本当に得?公立校IBDPの費用×学習負荷×進路リターンを徹底解剖

「国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)にかける時間や労力、費用って、将来的に本当に見返りがあるのかな?
という疑問は、進路を考える上でとても重要なポイントです。

特に公立校でIBDPコースと通常コースの両方から選べる場合、どちらが自分に合っているのか迷うことも多いでしょう。

この記事では、かかるコスト(費用・時間・労力)とそこから得られる価値について、両者を比較しながら考えていきます。

目次

IBDPとは?
特徴と選ぶメリット

プログラム概要と対象年齢

国際バカロレア・ディプロマプログラム(IBDP)は、16〜19歳を対象とした2年間の教育プログラム。1968年にスイスのジュネーブに設立された国際バカロレア機構が世界に向けて提供しているものです。

このプログラムの狙いは、複雑な世界を理解し、未来に責任を持って行動できる若者を育てること。そのために必要な考え方やスキルを身につけられるよう設計されています。

国際バカロレア資格が開く大学進学の扉

最終試験に合格すると「国際バカロレア資格」という国際的な大学入学資格が取得できます。

この資格は世界中の多くの大学で認められているので、日本の高校卒業資格だけでは出願すらできないような海外の大学にも、入学資格を得られるというわけです。

費用で選ぶなら?
公立校IBDP vs 通常コース

IBDPを子どもに受けさせたいと考えた時に最も懸念するのが費用の問題です。公立校でIBDPを受講できる場合、そのメリットは非常に大きいと言えます。

以下に、2024年時点での学校タイプ別の年間費用の比較表を示します。

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学校タイプ授業料施設設備費教材費・その他年間総額
公立高校12万円5万円3万円20万円
公立高校(IBDP)12万円5万円10万円27万円
私立高校(IBDP)65万円25万円30万円120万円
インター150万円50万円50万円250万円

注: 複数の教育機関サイトの情報の平均的な費用の概算です。学校によって費用は異なりますので、進学を検討する際は各校の公式情報をご確認ください。

公立校での通常コースとIBDPコースの学費差は、私立校やインターナショナルスクールと比較すると格段に小さいため、費用対効果の観点からは公立校IBDPが圧倒的に優位と言えます。

公立校のIBDPコースを選択すると、インターナショナルスクールと比較して年間約220万円の費用削減になり、2年間で440万円もの差額が生じることになります。

学習負荷を可視化
時間と労力の投資

高い学習負荷とその見返り

IBDPの2年間は生活の半分以上を勉強に費やすことになり、良い成績を残そうと思うと遊びや趣味に充てる時間はあまり確保できません。

カリキュラムの基準値が高く難しいため、本気で勉強に取り組まないと良い点数を取ることは難しいでしょう。

IBDPと通常コースの時間投資の違いは以下の表に示します。

IBDP生と通常コース生の
平均学習時間比較モデル

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活動内容IBDP生通常コース生差分
授業時間3530+5
宿題・自習2510+15
課外活動(CASなど)105+5
睡眠4249-7
趣味718-11
自由時間512-7
このデータは複数のIB卒業生の体験談に基づく概算モデルです。個人差や学校の特性により実際の時間配分は変動します。

TOK・EE・CASに要する追加時間

IBDPでは6つの教科グループから1つずつ教科を選び、2年間学びます。さらに、コア科目としてTOK(知の理論)、EE(論文課題)、CASなどが課され、合計45点満点中24点以上を取ることが求められます。

IB卒業生の体験談によると、最も時間を要する活動は「課題・宿題」と「EE(課題論文)の作成」で、週平均で計25時間程度を費やしているケースが多いです。

通常コース生の宿題時間と比較すると、約2倍以上の時間投資が必要と言えるでしょう。

また、TOK(知の理論)やCAS(創造性・活動・奉仕)の活動には追加で週10時間程度を要しているケースが一般的です。

身につく時間管理スキル

この時間的コストは非常に大きいものですが、一方で時間管理能力や自己管理能力が自然と身につくという副次的効果も期待できます。

IBDP卒業生のアンケート調査では、多くが「時間管理能力が向上した」と回答しています。

IBDPで得る価値とは?
データ&事例

海外大学進学チャンスと必要スコア

最も明確なメリットは、国際バカロレア(DP)を取得すれば、海外の大学へ進学しやすくなるということです。

イギリスやシンガポールではほぼすべての大学、オーストラリア、ニュージーランド、香港では過半数の大学、カナダでも比較的多くの大学が、国際バカロレアを大学入学資格として認めています。

国際バカロレア資格による
大学入学資格としての認定状況

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IB認定状況必要スコア目安備考
アメリカ多くの大学で評価各大学による他試験と併用が一般的
イギリスほぼ全大学24-38点大学・専攻により異なる
カナダ主要大学の多く24-32点
オーストラリア大多数の大学24-33点
日本75校以上24-33点増加傾向

国内大学入試での
IBDP優位性と実施校数推移

近年では、日本国内の大学でも国際バカロレア資格(IBDP)を使った入試が広がってきています。

2024年1月時点で、日本国内の75校以上の大学が国際バカロレアの最終試験スコアを活用した入試を実施しています。

国立大学が24校、公立大学が8校、私立大学が44校となっており、日本の主要大学の多くがIB生を受け入れる体制を整えています。

実例

東京大学の「外国学校卒業者特別選考」や、慶應義塾大学法学部のIB入試など、従来の一般入試とは異なるルートで難関大学への進学が実現しています。

2023年には約40大学で国際バカロレアの生徒のみを対象とした入試が実施され、選択肢が大幅に拡大しています。

公立校のIBDPコースでは、IBDPの資格取得と同時に日本の高校卒業資格も得られるため、通常の一般入試での国内大学進学も選択肢として残ります。

この「選択肢の多様性」は、通常コースにはない大きなメリットです。

批判的思考・リサーチなど
“学力以外”のスキル

国際バカロレアは高水準の教育が受けられることで有名です。DPを習得することによって、単なる学力だけでなく、批判的思考力や論理的思考力が養われます。

IBDP卒業生が獲得したスキル
(自己評価調査)

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スキル向上した
と回答した割合
進学・就職活動で役立った
と回答した割合
批判的思考力多数多数
時間管理能力多数多数
論理的思考力多数多数
リサーチ能力多数多数
英語力ほぼ全員ほぼ全員
プレゼン能力多数多数
異文化理解力多数一部
複数のIB卒業生インタビューと教育機関の調査レポートから得られた定性的な傾向です。
実例

某大手グローバル企業の採用担当者によると、「IBDP経験者は、プロジェクト管理能力や論理的思考力が高い傾向にある」との評価があります。

特にTOK(知の理論)での批判的思考の訓練や、EE(課題論文)でのリサーチスキルが、大学や職場で求められる能力と直結していることが多いようです。

これらのスキルは将来の大学進学や就職において非常に価値があり、通常コースでは体系的に育成されにくい能力です。

卒業生ネットワーク活用の成功事例

DPは厳しいカリキュラムが用意されていますが、その分ともにやり詰めた思い出はかけがえのない絆となります。

大学進学や就職で有利に働くという国際バカロレア資格を持った友人たちとのネットワークは、将来のキャリア形成においても大きな資産となる可能性があります。

実例

東京のある公立IBDP校では、卒業生同士のネットワークが大学進学後も継続しており、年に一度の同窓会を開催。海外大学に進学した卒業生が帰国時に後輩たちにアドバイスを行う「先輩講演会」も定期的に開催されています。

これにより在校生は貴重な海外大学情報を直接得ることができるという好循環が生まれています。

このような国際的なネットワークの構築は、グローバル社会において非常に価値のある資産となります。

公立校IBDPの限界と課題
および対策・補完策

科目選択の制限

課題

特に国際バカロレアの認定を受けたばかりの学校の場合、教師確保の問題やコスト面の問題などから、DPの開講科目が少ないことがあります。

公立校に限らず、私立校やインターでも選択できる科目には限りがありますが、目指す進路によっては、履修していなければいけない科目などもあるので、事前に大学や学部のホームページなどで入学条件などの確認をしておくことが重要です。

対策・補完策

  • 学校間連携プログラム
    複数の公立校が連携し、オンラインでの共同授業を提供するケースも増えています。地理的に離れていても他校の科目を履修できる可能性があります。
  • 夏期集中講座
    一部の科目は夏休み期間中に集中講座として提供されることがあります。通常の授業で取れない科目を補完できます。
  • 外部教育リソースの活用
    IBのオンラインコースや認定外部教育機関を利用する方法もあります。費用は追加でかかりますが、必要な科目を履修できます。
  • 事前の科目選択相談
    志望大学・学部が決まっている場合は、入学前に学校のIBコーディネーターと相談し、最適な科目選択のプランニングを行いましょう。

英語力の要求

課題

IB(国際バカロレア)は英語で授業を受けなければいけません。

日本語DP(Dual Language DP)でもやはり英語に加え1教科を英語で受ける必要があり、英語を避けることはできません。

対策・補完策

  • 入学前の英語強化
    IBDPコース入学の1〜2年前から英語学習に特に力を入れておくことが望ましいでしょう。
  • 英語サポートクラス
    多くの公立IBDP校では、英語力に不安のある学生向けにサポートクラスを設けています。放課後や長期休暇中に利用しましょう。
  • 英語イマージョン環境の自己創出
    校内の英語クラブや地域の国際交流イベントに積極的に参加し、実践的な英語環境に身を置くことが効果的です。
  • オンライン英語学習
    英語ネイティブとの会話練習ができるオンラインプラットフォームを活用することで、授業外でも英語力を強化できます。
  • ピアサポート
    英語が得意な同級生とスタディグループを組むことで、互いに助け合いながら学習を進められます。

ただし、取得するには高いレベルのカリキュラム科目を理解するレベルの英語力が必要なものの、完璧な英語が話せない・書けないからと言って減点になることはないため、ネイティブレベルの英語力でなくても取得は可能です。

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精神的負担

課題

DP2年間の間は本気で勉強に取り組み、生活の半分以上は勉強に費やすことになります。

そして、求められる課題一つひとつがIB取得において大事になるので、ものすごいプレッシャーの中で2年間頑張っていかなければなりません。

そのため、精神的な面での親のサポートや理解はDP生において必要不可欠なものになります。

対策・補完策

  • 休息の確保
    効率良く勉強するためにも、適切な休息時間を確保することが重要です。週末の1日は完全に休むなど、メリハリをつけましょう。
  • 小さな目標設定
    大きな課題を小さく分割し、達成感を得ながら進めることで、モチベーションを維持できます。
  • 家族のサポート
    保護者は子どもの状況を理解し、精神的な支えとなるよう心がけましょう。家事の負担を減らすなど物理的なサポートも効果的です。
  • 趣味の時間を確保
    勉強だけでなく、好きなことをする時間も意識的に作ることで、ストレス解消につながります。週に数時間でも自分のための時間を確保しましょう。

投資対効果の最終分析

短期的投資 対 長期的リターンの視点

公立校でのIBDPは、通常コースと比較して明らかに時間と労力の投資が大きく、プレッシャーも強いプログラムです。

しかし、その投資により得られるのは、単なる学力だけでなく、批判的思考力、リサーチ能力、自己管理能力など、長期的に価値を持ち続けるスキルセットです。

進路志向による判断

海外大学進学を目指す場合、IBDPは費用対効果が最も高い選択肢と言えます。国内大学進学の場合でも、IBDPを評価する入試制度を活用できる可能性があります。

さらに、将来的にグローバルなキャリアを構築したい場合、IBDPで培われる国際的な視野や英語力は大きなアドバンテージとなるでしょう。

学生の適性と志向性

学習スタイルや性格的な適性も重要な判断要素です。

自ら課題を設定し探究することを好む学生、議論や批判的思考を楽しめる学生にとっては、IBDPの教育方法は相性が良いかもしれません。

逆に、体系的・指示的な学習スタイルを好む学生には、通常コースの方が適している場合もあります。

結論:公立校IBDPは
費用対効果に見合うのか?

公立校でIBDPを受講する場合、特に費用面での障壁が低く、得られる国際的な教育の質と将来の選択肢の広がりを考えると、多くの学生にとって「投資に見合う」選択と言えるでしょう。

ただし、その成功は学生自身の意欲と適性、そして家族のサポート体制にも大きく依存します。

最終的には、学生の将来の目標、学習スタイル、英語力、そして家族の支援体制を総合的に考慮した上で判断することが重要です。

公立校でIBDPと通常コースの選択肢がある場合、その機会を活かすかどうかは、単に「難しいから避ける」という判断ではなく、自分の将来設計に照らし合わせた戦略的な選択となるべきでしょう。

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