都立国際高校の評判・校則・制服の実態【2026】入試10区分の倍率と進学実績

都立国際高校を調べると、偏差値68という数字はすぐ出てきます。ただ、その数字を見ても決まらないことがある。「髪を染めた生徒が多いらしい」という噂と「早慶上智に強い」という評判が、頭の中で結びつかないからです。

この記事は、この学校が「入口によってまったく違う顔をする」ところから話を始めます。公式資料の数字で、印象と実態を突き合わせていきます。

目次

都立国際高校とは、どういう学校か

東京都立国際高等学校は、目黒区駒場にある全日制の都立高校です。京王井の頭線の駒場東大前駅から徒歩5分、渋谷から2駅という立地にあります[20]。1989年開校で、都立では唯一、国際学科だけを置く高校です[1]。

学校名東京都立国際高等学校
区分公立(全日制・国際学科)
設立年1989年
所在地〒153-0041
東京都目黒区駒場2-19-59
アクセス京王井の頭線「駒場東大前」駅(西口)より徒歩5分
京王井の頭線「池ノ上」駅より徒歩7分
生徒数686名(男子161名・女子525名/令和8年4月7日現在)
各学年6クラス・計18クラス
公式サイト東京都立国際高等学校
出典:学校案内2027[1]、公式アクセスページ[20]。

生徒の「約3割が帰国生・外国人」の中身

この学校を語るとき、よく「生徒の約3割が帰国生と在京外国人」と言われます。これは公式の円グラフに基づく数字で、内訳は国内の中学校出身が62%、海外帰国生徒18%、在京外国人生徒11%、IBコース生徒9%です[1]。

ただ、同じ資料の別の表を見ると、印象が変わります。国籍と最終滞在国で数えた表では、在京外国人生徒119名と海外帰国生徒172名で合計291名。全校686名に対して約42%にあたります[1]。

※ 29%と42%は、どちらも正しい数字です。前者は「どの入試で入ったか」で数えた割合、後者は「国籍・最終滞在国」で数えた人数で、数えているものが違います。一般入試で入った生徒にも海外経験のある人がいる、ということです。

出身は41の国・地域にわたります[1]。中国47名、大韓民国26名(いずれも在京外国人生徒)、アメリカ合衆国38名、シンガポール13名、タイ10名(いずれも海外帰国生徒の最終滞在国)といった具合に、特定の国に偏らず散らばっているのが特徴です。

インターナショナルスクールではない

ここは誤解が多いところなので、公式の回答をそのまま引きます。学校案内のQ&Aには、こう書かれています[1]。

Q1:国際高校はいわゆるインターナショナルスクールですか?
A1:いいえ。全日制の東京都立高校で、グローバル人材を育成することを目的とした国際学科です。

Q2:授業は日本語ですか英語ですか?
A2:授業は原則として日本語で行われます。英語や他の外国語はその言語で行われます。IBコースは、別冊をご覧下さい。

東京都立国際高等学校「学校案内2027」

授業の原則は日本語です。英語で行われるのは英語の授業であり、数学や理科まで英語になるわけではありません(後述するIBコースだけは別で、そちらは基本的に英語です)。「国際高校=全部英語」というイメージで志望すると、入学後にずれが出ます。

学校としての指定は5つあります。進学指導特別推進校/Global Education Network School Premier 20(GE-NET20)/AIを活用した英語教育の充実事業 指定校/探究的な学びの推進事業 指定校/海外学校間交流推進校です[1]。

なお同校の連携校には、神奈川県立横浜国際高等学校のように、同じく国際学科とIBコースを置く公立校も含まれています[1]。首都圏で似た性格の学校を並べて見たい場合の比較対象になります。

「チャラい」と言われるのはなぜか──校則が4つしかない学校の実態

この学校について検索すると、「髪を染めている」「ピアスをしている」「ギャルっぽい」といった声に必ず行き当たります。一方で「早慶上智に強い進学校」とも言われる。どちらが本当なのか、というのが多くの人の疑問です。

答えは「どちらも本当」で、その理由は校則の作りにあります。

校則は4つだけ。頭髪・装飾の条文が存在しない

学校公式は、校則をこう説明しています[14]。

都立国際高校の校則(公式)
  1. 基本的生活習慣を守ること
  2. 自転車・バイク・自動車による登下校は禁止
  3. 本校指定の制服を着用すること
  4. 公共物、学校の施設を大切にすること

読んでいただくと分かるとおり、頭髪や装飾品についての条文がそもそも存在しません。「髪を染めてよい」と許可されているのではなく、規定が置かれていないのです。校内で配られる「生徒心得」を見ても、服装の項に書かれているのは制服の着用と、その中身の定義だけです[15]。

3.服 装 (1)登下校時・校内・学校行事においては,制服を着用する。但し,夏期はブレザー,ネクタイは着用しなくてもよい。(2)制服とは,本校指定のブレザー,ズボン,スカート,ネクタイ・リボンを言う。(ネクタイ,リボンの色,柄については指定しない。)注 夏期とは,6月1日から9月 30 日を目安とする。

東京都立国際高等学校「生徒心得」

制服の着用義務はあります。ただしネクタイとリボンは色も柄も指定されず[14]、6月1日から9月30日を目安とする夏期はブレザーもネクタイも不要です[15]。夏の街で見かける都立国際の生徒は、シャツにスカートかスラックスという姿になります。制服がある学校としては、かなり緩い部類です。

一方で、緩くない部分もはっきりしています。生徒心得は自転車・原付・自動二輪・自動車での通学を禁止し、登校後は原則として校外に出られないと定め、朝7時30分以前の登校は不可、下校は17時としています。厳禁行為として、不正行為・暴力暴言・窃盗や故意の器物破損・飲酒喫煙賭博・薬物の所持乱用・その他日本の法律に反する行為の6項目が並びます[15]。

つまりこの学校は、「見た目は問わないが、生活の枠と法は守らせる」という設計になっています。見た目の自由さだけを取り出すと「チャラい」に見え、枠のほうだけを見れば普通の都立です。

なぜ、この作りになっているのか

頭髪や装飾を細かく規定しないのは、この学校の生徒構成を考えると自然な帰結でもあります。前述のとおり、国籍・最終滞在国ベースで見れば生徒の4割超が海外にルーツを持ちます[1]。髪や肌の色、宗教上の装いが人によって違う集団に、日本の一般的な頭髪規定をそのまま当てるのは無理があります。

もう一つ、学校が明言していることがあります。入試の種別でクラスを分けないという方針です[1]。

Q3:在京外国人生徒は他の生徒と別々のクラスになりますか?
A3:いいえ。国際高校は、様々なバックグランドを持つ生徒たちを受け入れます。在京外国人生徒・海外帰国生徒対象入試、推薦入試、一般入試、IB入試等の入試の種別でクラスを作らず、混合されたホームルームに所属し、学校生活を共に過ごします。

東京都立国際高等学校「学校案内2027」

IBコースの生徒も例外ではなく、レギュラーの生徒と同じホームルームに数名ずつ分かれて所属します[8]。一般入試で入った生徒の隣に帰国生が座り、その隣にIB生がいる。この混ぜ方が、校風の土台になっています。

印象と、公式資料で確かめられること

よく聞く印象公式資料で
確かめられること
髪を染めている生徒が多い校則4項目に頭髪の規定が無い(禁止も許可も書かれていない)
制服が自由/私服っぽい制服の着用義務はある。ただしネクタイ・リボンは色柄の指定なし、夏期はブレザー・ネクタイ不要
校則がゆるい=管理されていない登校後の外出禁止、7時30分前の登校不可、下校17時、自転車通学禁止は明文で規定
帰国生と一般生で世界が分かれていそう入試の種別でクラスを作らず、混合ホームルームに所属すると公式が明言
遊んでいる学校なのでは英語系科目は3年間各6単位、TOEIC 3年生平均674点(全国の高校生平均441点)
出典:学校公式「特色と取組」[14]、「生徒心得」[15]、「学校案内2027」[1]、IBコースパンフレット[8]。

公開レビューの評価もこの見立てと矛盾しません。みんなの高校情報の口コミ116件では、校則の評価が4.72と全項目で最も高く、いじめの少なさ4.49、イベント4.71と続きます[16]。自由であることが、荒れているという評価には繋がっていません。

早慶上智129件は、どの入口で受かっているのか

都立国際の進学実績は、たいてい「早慶上理◯◯名」という数字で紹介されます。ただ、この数字の読み方には注意が要ります。学校公式が出している表には、「合格」と「進学」の2つの列があるからです。

合格129件に対して、進学は61名

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区分合格進学主な内訳(合格/進学)
国公立大学・省庁大学校3228東京都立7/7・東京外国語5/5・筑波4/2・北海道3/2
私立(早慶上智)12961上智55/18・早稲田40/22・慶應義塾34/21
私立(早慶上智以外)30369立教57/20・明治32/6・青山学院29/8・法政20/3
海外大学107(列なし)エディンバラ9・トロント7・KCL5・ブリストル4
2025年度(2026年3月卒業〔35期生〕)の合格者数一覧(R8.6.1付)。「合格」は件数(国内3区分の合計は464件で、1学年〔約230名〕を大きく上回ります)、「進学」は実際に進んだ人数です。海外大学の表には「進学」列がなく、合格件数のみが公表されています。この表には現役・既卒の別が書かれていませんが、同校の「年度別合格者数」は既卒生を内数で併記しており、令和8年の国公立37名〔うち既卒5名〕を除いた32名は、この表の「合計 32」と一致します[24]。出典:学校案内2027[1]。

早慶上智は合格129件に対して進学61名。合格の半分以下しか、実際には進んでいません[1]。とくに上智は合格55件に対して進学18名です。

差が開く理由は2つ考えられます。同じ人が複数の学部に出して複数受かれば、合格の件数はそのぶん積み上がります。そして受かっても、国公立や海外大学など別の進路を選んだ人は、この「進学」に入りません。どちらが主な理由かは公表されていません。

いずれにせよ「早慶上理◯◯名」という形で紹介される数字は、この合格の側です。そのまま「◯◯人が進学した」と読むと、実態から外れます。

国公立を見ると、合格32・進学28で差が小さい。前期・後期と枠が限られるぶん、合格と進学が近づきやすい形です。数字の差そのものが、どういう受け方をしているかを表していると読めます。

入試方式別の内訳は公表されていない。ただし指定校の一覧はある

「早慶上智はAOや指定校推薦で行く人が多いのでは」という見方をよく聞きます。この点について、一般入試・総合型選抜・学校推薦型の別に分けた内訳は、学校公式のウェブサイトには掲載されていません〔2026年8月時点。合格実績ページ・学校案内2027・年度別合格者数PDFを確認〕。したがって「AOが何割」と数字で答えることはできません。

ただし、その代わりになる材料は公表されています。指定校推薦の指定校一覧です[1]。

2025年度 主な指定校(公式・一部)
  • 早稲田(法、文化構想、基幹理工、人間科学、国際教養)
  • 慶應義塾(商、法、理工)
  • 上智(文、総合人間科学、法、経済、外国語、総合グローバル)
  • 国際基督教(教養)
  • 立教(文、法、経営、異文化コミュニケーション、GLAP、環境)/法政(グローバル教養〈GIS〉)/明治(国際日本)
  • 国立台湾(台湾)・国立台北科技(台湾)・モナッシュ(マレーシア)

※ 原典の表題は「2025年度 指定校(一部)」で、末尾に「他、国内外多数」とあります。ここに挙げたのは公表分のさらに抜粋で、全体の校数ではありません。

並びを見ると、この学校の性格がよく出ています。早慶上智の枠が学部単位で複数あり、立教のGLAP、法政のGIS、明治の国際日本、上智の総合グローバルといった英語で学ぶ/国際系の学部が目立ちます。さらに国立台湾・国立台北科技・モナッシュ(マレーシア)と、海外大学の指定校枠まであるのは、都立高校としてかなり珍しい構成です。

方式別の割合は分かりませんが、「英語ができる生徒が、英語系学部の推薦枠を使って進む道が制度として用意されている」ことは、この一覧から読み取れます。5教科の総合力で一般入試を勝ち抜くのとは、別のルートです。

英語を評価軸に置く入試は、この学校の指定校に限った話ではありません。一般入試の側にも、英語だけで受験できる関東の大学という選択肢があります。高校3年間で英語を伸ばした先に、どんな出口が開くのかを先に見ておくと、入学後の科目選択の判断が変わります。

海外大学は「のべ107件」

2026年3月卒業生(35期)は、海外大学に計107件の合格を出しています[1]。前述のとおりこの表には「進学」列が無いため、107名が海外に進んだという意味ではありません。1人が複数校に出願して複数合格を得るのが海外出願では一般的なので、実際に進んだ人数はこれより少なくなります。

合格先の顔ぶれは、公式がTimes Higher Education世界大学ランキング2026で50位以内の大学を抜き出して掲載しています[1]。

合格した主な大学THE世界大学
ランキング2026
ケンブリッジ大学(英)3位
インペリアル・カレッジ・ロンドン(英)8位
シンガポール国立大学(星)17位
トロント大学(加)21位
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(英)22位
ワシントン大学(米)25位
エディンバラ大学(英)29位
キングス・カレッジ・ロンドン(英)38位
マギル大学(加)41位
イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校(米)41位
ブリティッシュコロンビア大学(加)45位
公式が付した参考値=東京大学26位・京都大学61位。出典:学校案内2027[1]。

奨学金についても、日本学生支援機構(JASSO)の給付型・貸与型、グルー・バンクロフト基金、柳井正財団 海外大学奨学金プログラム、笹川平和財団スカラシップ、トロント大学奨学金といった合格実績のある奨学金が公式に列挙されています[1]。海外大学は学費が壁になりますが、その壁を越えた前例が校内にある、という意味では大きい情報です。

あなたは、どの入口で受けるのか

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。都立国際の入試は、令和8年度で10通りありました。そして区分によって、実質倍率が1.0倍から10.3倍まで開きます[2]。同じ「都立国際に受かった」でも、通ってきた門はまるで違います。

10区分の実質倍率(令和8年度)

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募集区分募集出願受検合格実質倍率
一般・推薦42118118422.8(3.0)
一般・学力981991581011.6(1.5)
在京外国人等258074253.0(3.9)
帰国生・日本人学校151510101.0(1.0)
帰国生・現地校253623231.0(1.1)
帰国生・在京外国人等[9月生]102323102.3(1.3)
IB生・日本人156967173.9(5.3)
IB生・外国人53131310.3(6.4)
IB生[9月生]・日本人3121234.0(3.0)
IB生[9月生]・外国人36616.0(5.0)
括弧内は令和7年度の実質倍率。出典:東京都立国際高等学校「令和8年度入学者選抜結果」[2]。IB生・日本人の合格者数が募集人員を上回り、外国人が下回っているのは、外国人生徒募集の枠が充足しない場合に基準を満たした日本人生徒募集の受検者から補充する規定があるためです[11]。

この表から読めることを、順に挙げます。

  • 帰国生枠は、受検すればほぼ通っている。日本人学校出身は受検10名で合格10名、現地校出身は受検23名で合格23名。いずれも実質1.0倍で、これは令和7年度も同じ水準です。ただしこの枠には出願前の資格審査があり、そこが本当のふるいです(後述)。
  • ふるいは出願の前に落ちている。帰国生・日本人学校は出願15名に対して受検10名、現地校は出願36名に対して受検23名。出願したうちの3割前後が受検日に来ていません。併願先に決まった人が抜けた結果と見るのが自然です。
  • いちばん狭いのはIBコースの外国人枠で10.3倍。日本人枠でも3.9倍あり、一般入試(学力1.6倍)とは別世界の数字です。
  • 一般入試は、推薦のほうが狭い。推薦2.8倍に対して学力1.6倍。学力入試は出願199名に対して受検158名で、ここでも2割ほどが受検前に抜けています。

「都立国際は難関」という一言でまとめられがちですが、難関なのはIBコースと推薦であって、帰国生枠は数字の上ではまったく違う景色です。海外在住で受験先を探している家庭が、偏差値68という数字だけを見て候補から外しているとしたら、まず確かめるべきは倍率ではなく応募資格のほうです。次の項で見ていきます。

帰国生枠の本当の関門は、倍率ではない

ここで「では帰国生枠を狙おう」と考える前に、必ず確認すべきことがあります。この枠のふるいは、倍率ではなく応募資格のほうにあります。

東京都の募集要項は、志願できる者を「日本国籍を有し、次の(1)から(4)までの全てに該当する者で、平成23年(2011年)4月1日以前に出生した者」と定めています[23]。どれか1つを満たせばよいのではなく、4つすべてを満たす必要があります。

そのうち、実際にいちばん多くの人が引っかかるのが(4)の在住期間要件です。保護者に伴った外国での「連続した」在住期間と、帰国してからの経過年数の2つで判定されます[23]。

外国での
連続した在住期間
入学日時点で、
帰国後
2年以上3年未満1年以内
3年以上4年未満2年以内
4年以上3年以内
出典:東京都教育委員会「令和8年度(2026年) 東京都立高等学校海外帰国生徒対象 募集要項」2(4)[23]。各号には帰国日による緩和の但し書きがあり、たとえば連続在住2年以上3年未満で帰国後1年を超える場合でも、帰国日が令和7年3月1日以降なら1年以内とみなされます。

連続在住が2年に満たない場合は、原則として対象外です。逆に4年以上いた人でも、帰国から3年を超えていれば対象外になります。「海外にいた経験がある」だけでは足りない、ということです。

ただし各号には「連続した2箇学年の課程を修了する見込みの者又は既に修了した者を含む」という但し書きが付いています(3年以上4年未満なら3箇学年、4年以上なら4箇学年)[23]。年数が境界にある場合は、自己判断で諦めないほうがよい書き方になっています。

もう一点、手続きの順番も要注意です。募集要項は「応募資格についてはインターネット出願の前に必ず志願校に連絡して事前審査を受けてください」とし、出願時には事前審査で発行された「応募資格確認証」の番号が必要と定めています[23]。出願画面に向かってから資格を確認するのでは間に合いません。

なお、応募資格に違反した場合や、必要書類の重要事項の誤記・不備その他事実に反する記載により入学したと認められる場合は、入学を取り消すと明記されています[23]。曖昧なまま出願して通ればよい、という性質のものではありません。

実質1.0倍という数字は、この資格審査を通り抜けた人だけで競った結果です。前掲の表で出願15名に対して受検10名だったのも、母集団がもともと絞り込まれているからこそ起きる小ささだと読むほうが自然です。

※ 帰国生を受け入れる都立高校は4校で、令和8年度の募集人員は三田18名・竹早13名・日野台13名・国際(日本人学校出身者15名/現地校出身者25名)でした[23]。

令和8年度から、帰国生入試の中身が変わった

ここは受験準備に直接響くので、変更前後を並べます。令和8年度から、海外帰国生徒対象入試(4月入学)の検査内容が変わりました[3]。

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令和7年度まで(配点)令和8年度から(配点)
日本人学校出身者学力検査600・調査書300・面接200
(作文なし)
日本人学校出身者・現地校出身者ともに
学力検査300・調査書100・個人面接100
現地校出身者学力検査なし・調査書200・面接200・作文400
令和8年度の
検査内容
日本人学校出身者・現地校出身者ともに、
国語(作文を含む)・数学・英語の3教科+個人面接
出典:学校公式「令和8年度入試の変更点について」[3](令和7年度は同ページ「参考 令和7年度」の配点表)。都教委の令和8年度 選抜方法一覧でも、4月入学は日本人学校出身者・現地校出身者ともに同じ検査・同じ配点と定められています[4]。

変化は2点あります。ひとつは現地校出身者も3教科の学力検査を受けることになったこと。令和7年度までは学力検査がなく、作文400点・面接200点・調査書200点という配点でした[3]。作文と面接で受けられた時代とは、必要な準備がまるで違います。

もうひとつは出身による区別がなくなったことです。日本人学校出身者は学力検査600点・調査書300点・面接200点でしたが、令和8年度は両者そろって300点・100点・100点に揃いました。面接は日本語で行われます[3]。英語で面接を受けるつもりで準備していると、当日に困ります。

なお学力検査の問題は都立高校共通のものではなく、海外帰国生徒受け入れ校である都立三田・都立竹早・都立日野台と同じ問題で、国語の一部に作文が含まれます[1]。過去問を探すときは、この3校の情報も併せて当たると材料が増えます。

令和8年度の時間割は、国語・数学・英語がそれぞれ50分で、午後に面接という組み立てでした[23]。3教科とも1コマ50分です。

9月入学の選抜は、現地校出身者だけが対象です[4]。

併願設計で先に確認しておくこと

  • IBコースを受けると、他校の推薦は受けられない。IB入試は推薦入試と同じ日に検査を実施するため、国際高校を含む他の高校の推薦入試に出願できません[10]。
  • 在京外国人・IB・帰国生の各入試には第二次募集がない[10]。落ちた場合の受け皿を、最初から別に用意しておく必要があります。
  • 令和9年度の日程は、推薦とIBの検査が1月26日・27日で発表2月2日、第一次募集の学力検査が2月21日で発表3月1日です[10]。
  • インターネット出願の対象は5区分(推薦/学力第一次/IB 4月入学/海外帰国生徒 4月入学/在京外国人等 4月入学)で、9月入学は含まれません[22]。
  • 帰国生入試は第一次募集と併願できるが、受かったら一般入試は受けられない。募集要項は「都立高校の第一次募集・分割前期募集に併せて出願することができる。ただし、この募集要項の定める選抜の合格者は、都立高校を受検することはできない」と定めています[23]。押さえの意味で出しておく、という使い方はできません。
  • 帰国生入試の志願変更は1回だけで、変更先も海外帰国生徒対象の都立高校に限られます(令和8年度は取下げ2月12日・再提出2月13日)[23]。

一般入試で受けるなら、差がつくのは英語1教科

ここからは、国内の中学校から受ける人向けの話です。生徒の62%は国内の中学校から入っています(推薦と学力検査の合計)[1]。ここでは人数の多い学力検査のほうを見ていきます。

英語だけが自校作成で、得点は2倍

都立国際の学力検査は5教科ですが、英語だけが自校作成問題で、100点満点で採点したあとに2倍されます[5]。国語・数学・社会・理科の4教科は、都立高校共通の問題です[1]。

検査教科国・数・英・社・理(英語のみ自校作成)
英語の扱いリスニングを含めて自校作成・検査時間50分・100点満点で採点後に2倍
学力検査:調査書7:3
配点学力検査700点・調査書300点・ESAT-J 20点=総合1020点
令和8年度・国際学科(一般・学力検査に基づく選抜)。出典:東京都教育委員会「令和8年度 入学者選抜実施方法一覧(専門学科)」[5]。

この配点の意味は、はっきりしています。4教科が共通問題である以上、そこで大きな差はつきにくい。差がつくのは、自校作成かつ2倍の英語です。

実際の問題を見ておくと、水準がつかめます。令和8年度の英語は大問1〜6・19ページ・50分という構成で、大問1〜3がリスニング、大問4・5が長文読解、大問6が英作文です。英作文は60語以上で書くよう指示されています[6]。50分でこの分量を処理するので、読む速さと書く速さの両方が要ります。

推薦で受けるなら、小論文と面接で1000点の半分

推薦入試の配点は調査書500・個人面接200・小論文300の計1000点で、面接では1分程度の自己PRを行います[5]。調査書が半分を占めますが、残りの500点は当日の小論文と面接です。

応募資格は5項目あり、5つ目に「学習成績が良好であり、特に外国語の成績が優れていること」が挙げられています[1]。推薦であっても、英語の評定は見られるということです。

都立の「内申」は中3だけ。ただし1学期から効く

都立の調査書に記載されるのは中学3年生の評定だけです。中1・中2の成績は入りません(中1から通算する県もあるので、他県から見ると意外に映ります)。

ただし「令和7年12月31日現在」で付ける評定は、3年生の1学期・2学期の成績を十分参考にすると実施要綱に定められています[7](2学期制なら前期の成績と後期の12月31日までの学習状況)。中3の1学期から、すでに勝負は始まっています。

もう一つ見落とされがちなのが配点です。学力検査に基づく入試の調査書点は、学力検査を実施する5教科(国・数・英・社・理)の評定を1倍、実施しない4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)の評定を2倍して算出します[7]。この計算で評定の満点は65点となり、そこから300点に換算されます[10]。

つまり実技4教科のほうが重い、ということです。5教科に気を取られて実技を落とすと、調査書点で差がつきます。

筆者の体験
我が家では、評定を1つでも上げておく、という発想で動いていました。行き先が最後まで固まらない可能性があったからです。どこを受けるか決めてから内申を上げようとしても、その時点ではもう手が届かない。そういう感覚だけは持っていました。

ここまでを一般入試の側からまとめると、やることは絞られます。共通問題の4教科は取りこぼさない水準まで上げ、そのうえで2倍される英語で、50分・60語英作文・リスニングに耐える形を作る。

ただ、この「英語だけ別物」という構造は、集団授業のカリキュラムとは噛み合いにくい面があります。共通問題の4教科なら、模試の判定も塾の教材もそのまま使える。一方、自校作成の英作文は、書いたものを誰かが読んで返してくれないと精度が上がりません。60語を50分の枠内で書き切る形は、独りで固めるのが難しいところです。

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IBコース──同じ校舎の中の、別のプログラム

都立国際には、国際学科(レギュラー)とは別に国際バカロレア(IB)コースがあります。ここは入試も、授業も、進路も別物です。「国際学科とIBコースの違いが分からない」という質問が多いので、公式資料で整理します。

授業が基本的に英語。ただしホームルームは混ざる

都立国際のIBコースは「英語ディプロマ」で、教科の学習は基本的に英語で行われます。ただし、DPの「日本語A:文学」「日本語B」と、学習指導要領に基づく「現代の国語」「言語文化」「保健体育」「家庭基礎」「美術」「情報」は日本語です[8]。日本の高校卒業資格とIBディプロマを同時に狙う設計なので、完全に英語だけ、にはなりません。

一方でホームルームはレギュラーの生徒と同じクラスで、IB生は数名ずつ分かれて所属します[8]。授業では別プログラムを受けながら、学校生活は混ざる。この点は、コース制の私立とはかなり感触が違うところです。

制度上、押さえておくべき制約が2つあります。転入・編入の制度が無く、必ず入学者選抜を受けて1学年から始める必要があること。そして長期留学を希望する場合、IBコースは適していないと公式が明言していること[8]です。3年間の連続した学習で修了するプログラムだからです。「都立国際に入って、途中で留学して、IBも取る」という組み立てはできません。

フルディプロマの取得には、世界共通の最終試験で45点満点中24点以上が必要です。同校は平成27年(2015年)5月にDP実施校として認定され、平成28年(2016年)4月からDPを実施しています[8]。

IB入試の配点と、足切りの仕組み

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検査内容使用言語配点総合成績
英語運用能力検査筆記60分(リスニング・リーディング・ライティング)
+面接10分(スピーキング)
英語100含めない
数学活用能力検査60分日本語または英語
(出願時に選択)
100含めない
小論文50分日本語または英語
(出願時に選択)
200○
個人面接15〜20分日本語または英語
(出願時に選択)
200○
調査書成績証明書—30○
総合成績(小論文+個人面接+調査書)430
令和8年度・IBコース(4月入学・9月入学とも)。出典:東京都立国際高等学校「国際バカロレアコースパンフレット」[8]。

この配点表には、読み解きが要ります。英語運用能力検査と数学活用能力検査は合計200点ぶんありながら、総合成績には含まれません。英語運用能力検査は「英語による授業に必要な力の有無(適・不適)の判定にのみ使用」すると明記されています[8]。

では何のためにあるかというと、足切りです。調査書を除く4つの検査すべてに基準点が設けられており、1つでも基準に達していなければ不合格になります[8]。小論文と面接でどれだけ高く取っても、英語か数学が基準を割れば終わり、ということです。

求められる水準も公表されています。入学時に求められる英語のレベルは英検2級から準1級程度、数学の検査レベルは都立の進学指導重点校がグループまたは自校で作成した問題と同程度です[8]。英語だけ強ければ通る入試ではありません。

もう一点、見落とされやすいのが使用言語です。英語運用能力検査は英語で行われますが、数学・小論文・個人面接は、日本語と英語のどちらで受けるかを検査ごとに選べます(出願時に申請)[8]。都教委もどちらを選んでも有利・不利はないと明記しています[10]。選べるということは、裏を返せばどちらで書き切るかを自分で決めておかなければならないということでもあります。

倍率は前掲のとおり、令和8年度で日本人枠3.9倍・外国人枠10.3倍[2]。全検査に基準点がある狭き門を、英語・数学・小論文・面接という4つの異なる形式で同時に越える必要があります。

とくに英語運用能力検査のライティングと、50分で書き切る小論文を、並行して仕上げるのは、独学で組み立てにくいところです。小論文と面接をどちらの言語で受けるかの判断も含めて、IB経験のある指導者に見てもらえると、入試準備から入学後のEE・IAまで見通しが立ちます。

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2027年度から、9月入学が無くなる

受験学年の人には直接関わる変更です。公式パンフレットに、こう書かれています[8]。

2027年度以降、9月入学生選抜を実施せず、4月入試のみの実施となります。

東京都立国際高等学校「国際バカロレアコースパンフレット」

都教育委員会の発表と突き合わせると、背景まで分かります。1年次の必修科目等を学ぶ期間を確保するためにIBコースの9月入学を4月入学に一本化し、現在の4月入学20人と9月入学5人を合わせて、改善後は4月入学の定員枠25人とする。あわせてDPを1年生の1月から前倒しで開始し、DP教育期間を3か月延ばすという内容です[9]。

つまり「9月入学で入る」という選択肢は、IBコースについては無くなります。ただしレギュラーコース(国際学科)の9月入学者選抜は引き続き実施されると明記されています[9]。IBだけの話であって、学校全体の9月入学が無くなるわけではありません。

「都立で唯一のIB校」は、いつまでか

2026年8月時点で、文部科学省IB教育推進コンソーシアムの認定校一覧に載る都立高校は、東京都立国際高等学校だけです[18]。

ただし、この「唯一」には期限が見えています。東京都は2026年7月9日、都立第一商業高校を令和10年度に改編し、国際バカロレアコース(仮称・1学年25人程度)を設置すると発表しました。こちらは日本語によるディプロマ・プログラムです[17]。

したがって、令和9年度入試(2027年度入学)までは「都立で唯一のIB認定校」で正しく、令和10年度からは2校になります。ただし第一商業が日本語DPであるのに対し、都立国際は英語ディプロマ[8]。「都立で唯一の英語ディプロマ」という位置づけは、その後も残る見込みです。

向いている人・しんどい人

公開レビューと公式カリキュラムを突き合わせると、この学校で伸びる人と、しんどくなりやすい人の輪郭が出てきます。みんなの高校情報の口コミ116件・総合4.43という高評価のなかにも、具体的な負荷の記述は混じっています[16]。

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観点向いているしんどくなりやすい
英語との距離英語を伸ばすこと自体が目的になっている。3年間で各6単位の英語系科目と多展開授業を活かせる英語は受験科目のひとつ、という位置づけ。入学後も英語中心の時間割が続く
理系志望文系・国際系・語学系の学部を視野に入れている理系難関を狙う。指定校一覧も国際系学部が中心で、学校の重心は理系ではない
集団との距離初対面の相手と話すのが苦にならない。行事に乗れる静かな環境で自分のペースを守りたい。イベント評価4.71の校風が負荷になりうる
設備の期待値校舎の古さを気にしない設備を重視する。口コミの施設評価は3.20で、全項目中いちばん低い
留学の希望レギュラーコースで長期留学制度を使いたい(2025年は私費10名+次世代リーダー育成道場生13名)IBコースで留学もしたい。公式が「長期留学を希望する場合、IBコースは適していません」と明言
出典:みんなの高校情報 口コミ116件・総合4.43(校則4.72/イベント4.71/いじめの少なさ4.49/制服4.40/進学4.16/部活3.86/施設3.20)[16]、学校案内2027[1]、IBコースパンフレット[8]。評価値は口コミサイトの集計で、時点により変動します。

誤解のないように書いておくと、総合評価は4.43で、都内でも高い水準です[16]。上の右列は「この学校が悪い」という話ではなく、合わない人には合わない、という軸がはっきりしているという話です。自由な校風は、自分で決められる人には最高の環境になり、決めきれない人には放り出された感覚になります。

右側に当てはまる項目が多いと感じたなら、IBコースを持つ私立も並べて検討する価値があります。たとえば法政大学国際高校は、内部進学という出口を持つぶん、進路の組み立てが都立国際とはかなり違います。

英語の授業は、どのくらいの密度か

「英語漬け」と言われる中身を、教育課程表で確かめておきます。英語系科目の単位数は1年生6単位(総合英語Ⅰ5+ディベート・ディスカッションⅠ1)、2年生6単位(総合英語Ⅱ4+エッセイライティングⅠ2)、3年生6単位(総合英語Ⅲ4+エッセイライティングⅡ2)です[1]。3年間ずっと週6コマ相当が英語、という構成です。

特徴的なのは、その分け方です。総合英語Ⅰは4段階5展開で、次のようにグループが分かれます[1]。

グループ対象1グループの
人数
グループ1英語圏からの
帰国生
25名程度
グループ2一般生徒25名程度
グループ3・4一般生徒15名程度
グループ5英語圏以外からの
帰国生
5名程度
総合英語Ⅰの多展開授業(4段階5展開)。出典:学校案内2027[1]。※同じ表の英文表記では、グループ3・4が “Around 20 students per class” となっており、日本語表記の15名程度と食い違います。ここでは日本語表記を採りました。

英語圏からの帰国生と、英語をこれから伸ばす一般生徒が、同じ教室で同じ授業を受けるわけではありません。一般入試で入った生徒は15〜25名程度のグループで、その水準に合わせた授業を受けます。「帰国生についていけないのでは」という不安は、この仕組みがある程度は吸収してくれます。

成果として公表されている数字が、TOEIC L&Rの結果です。3年生の平均674点(参考として全国の高校生平均441点)、900点以上が23名[1]。

第二外国語はドイツ語・フランス語・スペイン語・中国語・朝鮮語の5言語から選べます。1年次の必修選択では、第二外国語のほかに英会話や日本語も選択肢に入ります[1]。「必ず第二外国語をやらされる」わけではない、という点は志望前に知っておくとよいところです。

学費──IBコースだけ、3年間で23万円ほど高い

都立なので授業料は年118,800円ですが、東京都の授業料無償化制度により原則的に負担はありません[12]。実際にかかるのは、学年積立金とその他の費用です。

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項目第1学年第2学年第3学年
授業料年118,800円(都の無償化制度により原則負担なし)
学年積立金(一般)125,000円111,000円29,000円
学年積立金(IB)235,000円203,000円57,000円
PTA会費4,000円4,000円7,500円
生徒会会費5,000円5,000円5,000円
令和8年度。出典:東京都立国際高等学校「授業料など諸経費」[12](令和8年3月19日更新)。

IBコースの学年積立金は、一般より1年目で11万円、2年目で9万2千円、3年目で2万8千円高くなっています。3年間の差額は23万円です(各学年の差額を合計した数字で、原典に合計額の記載はありません)。

この差額が何なのかも公式が書いています。「IB生の年額にはディプロマプログラム個人登録料の費用が含まれています」[12]。IBの受験料が別途請求されるのではなく、積立金に組み込まれているということです。

筆者の体験
我が家の子が通ったIBコースでは、学費の表に出てこない支出がありました。一般コースは学校が端末をまとめて手配するので割引がつきますが、IBコースはパソコンを自分で用意するため同じようにはいきません。ほかに教材費、IBの試験料、1〜2週間の校外研修の費用も別に出ています。これは我が子の学校の話で、都立国際が同じとは限りません。

入学までにかかる費用

入学料5,650円(合格発表後5日以内に納付・減免制度あり)
制服(男子)43,065円(ブレザー上衣、夏冬スラックス)
制服(女子)43,010円(ブレザー上衣、夏冬スカート)。希望者は夏冬スラックス24,310円
体育着18,040円
体育館シューズ3,520円
出典:東京都立国際高等学校「授業料など諸経費」[12]。

同じIBでも、私立やインターナショナルスクールに進む場合は桁が変わります。国際バカロレア認定校の学費を並べて見ると、都立でIBが学べることの意味がはっきりします。

就学支援金は「手続きしないと授業料がかかる」

高等学校等就学支援金について、東京都は「令和8年度の制度改正に伴い、所得制限は撤廃されました」としています。全日制課程の支給額は月額9,900円・年額118,800円で、授業料と同額です[13]。

注意すべきは手続きです。「令和8年度は、在校生を含め、全ての生徒が手続を行う必要があります」「手続を行わない場合は、授業料を御負担いただくこととなります」と明記されています[13]。所得制限が無くなったからといって、自動的に無償になるわけではありません。

筆者の体験
我が家は毎年申請しています。通っていた学校は、収入がどうであれ在校生は全員が書類を出すという扱いでした。つまり「うちは該当しないだろう」と親が先回りして判断する余地が無かった。振り返ると、それが一番迷わずに済むやり方だったように思います。

学校生活と部活動

部活動は運動系11・文化系9・同好会1です[21]。

運動系(11)野球/水泳/女子バレーボール/男子バスケットボール/女子バスケットボール/男子サッカー/女子サッカー/テニス/バドミントン/ダンス/チアリーディング
文化系(9)ウインドアンサンブル/演劇/クッキング/茶道/表象文化/ジャズ/シンポジウム/ジャパニーズスタイル/弦楽
同好会(1)国際協力ボランティア
出典:東京都立国際高等学校「部活動」[21]。

数としては多くありません。口コミの部活動評価が3.86と、他の項目に比べてやや低いのはこのあたりが理由でしょう[16]。部活を進路選択の軸に置いている場合は、志望前に確認しておくべきところです。

長期留学については、2025年で私費長期留学者10名、次世代リーダー育成道場生13名という実績が公表されています。過去6年分の推移も載っており、私費留学は年0〜16名、道場生は2〜13名で推移しています[1]。在学中に1年出る、という選択が現実的に取られている学校です(ただし前述のとおり、IBコースは長期留学に適さないと公式が明言しています[8])。

「都立新国際高校」と混同していませんか

検索していると「都立新国際高校」という名前に行き当たることがあります。これは、目黒区駒場にある都立国際高校とはまったく別の学校です。

東京都教育委員会は2026年2月19日の発表で、「都立新国際高等学校(仮称)」について「その理念や専門家意見を踏まえて『新たな教育のスタイル』を実施する学校としてバージョンアップします」としました。開校予定は令和11年度、場所は港区白金地区です[19]。

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東京都立国際高等学校「新たな教育のスタイル」の実施校(仮称)
=旧「都立新国際高等学校(仮称)」
所在地目黒区駒場2-19-59港区白金地区
開校1989年(既に開校)令和11年度(予定)
課程全日制・国際学科全日制×通信制のハイブリッド
IB英語ディプロマのIBコースあり構想(案)概要にIBの記載なし
出典:東京都教育委員会 報道発表(2026年2月19日)および構想(案)概要[19]、学校案内2027[1]、IBコースパンフレット[8]。

名前が似ているだけで、場所も開校年度も課程も違います。都立国際のIBコースを目指している人が、白金の新設校の情報を追ってしまうと噛み合いません。なお、IBコースを新設する都立校としては、前述の第一商業高校(令和10年度・日本語DP)のほうが該当します[17]。

偏差値はどう見ればいいか

最後に偏差値に触れておきます。みんなの高校情報の2026年度版では偏差値68、東京都内の公立高校197件中10位です[16]。

ただし偏差値は、算出する模試や調査会社によって数値が変わります。合格可能性80%で出しているか60%で出しているかによって、基準そのものが違うためです。学校自身は偏差値を公表していません〔2026年8月時点。学校公式サイトの入試案内ページと学校案内2027を確認〕。

そしてこの記事でここまで見てきたとおり、偏差値1つでは、この学校の入りやすさは説明できません。同じ年に、実質1.0倍の入口と10.3倍の入口が同居しているからです[2]。偏差値68という数字は「一般入試のレギュラーコースを、国内の中学から受ける場合」の目安として見て、実際の判断は自分が使う入口の倍率と検査内容で組み立てるほうが正確です。

都立国際高校のよくある質問(FAQ)

都立国際高校の偏差値はどのくらいですか?

みんなの高校情報の2026年度版では偏差値68、東京都内の公立高校197件中10位です。ただし算出する模試や調査会社によって数値は変わり、学校自身は偏差値を公表していません。入口によって難易度がまったく違うため、偏差値だけで判断しないことをおすすめします。

いちばん倍率が高いのはどの入試ですか?

令和8年度はIBコースの外国人枠が10.3倍で最も高く、次いでIB9月生の外国人枠6.0倍、IBコースの日本人枠3.9倍でした。一方、帰国生枠は日本人学校出身・現地校出身とも実質1.0倍です。一般入試は推薦2.8倍・学力1.6倍でした。

授業はすべて英語で行われるのですか?

いいえ。学校公式は「授業は原則として日本語で行われます。英語や他の外国語はその言語で行われます」と説明しています。IBコースだけは英語ディプロマで、教科の学習は基本的に英語ですが、日本語A・日本語Bと学習指導要領に基づく一部科目は日本語です。

制服や校則は自由ですか?

校則は4項目だけで、頭髪や装飾品の規定はありません。制服の着用義務はありますが、ネクタイ・リボンの色柄は指定されず、6月1日から9月30日を目安とする夏期はブレザーとネクタイが不要です。一方で自転車通学の禁止、登校後の外出禁止、朝7時30分以前の登校不可・下校17時は明文で定められています。

IBコースの学費は一般とどのくらい違いますか?

学年積立金が一般より1年目で11万円、2年目で9万2千円、3年目で2万8千円高く、3年間の差額は23万円です。この年額にはディプロマプログラム個人登録料が含まれると公式が明記しているため、IBの受験料が別途かかるわけではありません。

IBコースの9月入学は今後もありますか?

2027年度以降、IBコースの9月入学生選抜は実施されず、4月入試のみになります。4月入学20人と9月入学5人を合わせて、4月入学の定員枠25人となる予定です。なおレギュラーコース(国際学科)の9月入学者選抜は引き続き実施されます。

まとめ

都立国際高校は、ひとつの偏差値では説明できない学校です。同じ年に、実質1.0倍の帰国生枠と10.3倍のIB外国人枠が同居しています[2]。まず決めるべきなのは「受かるかどうか」ではなく、自分がどの入口に立っているのかです。

校風については、噂と実態の両方に根拠があります。校則は4項目しかなく頭髪の規定は存在しない[14]一方で、登下校の枠と厳禁行為は明文化されている[15]。見た目は問わないが、生活の枠は守らせる。この設計に馴染めるかどうかが、入学後の満足度を分けます。

進学実績は、合格件数ではなく合格と進学の差で読むと像が変わります。早慶上智は合格129件に対して進学61名。そして指定校推薦の一覧には、立教GLAP・法政GIS・上智総合グローバルといった国際系学部と、国立台湾・モナッシュという海外大学まで並びます[1]。英語を武器に進む道が、制度として敷かれている学校です。

説明会に行けば、学校側が伝えたいことは聞けます。ただ、そこで分かるのは学校のことであって、「うちの子が、どの入口を、どの順番で準備すべきか」は持ち帰りの宿題として残ります。

一般入試なら2倍される英語の仕上げ方、推薦なら小論文と面接、IBなら4種類の検査すべてに基準点があるという構造。入口ごとに、次にやることが違います。残り時間をどこに割くかを決めかねているなら、一度外から見てもらうと判断が早くなります。

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参考情報・出典

  1. 東京都立国際高等学校「学校案内2027」(R8.6.1付・2026年3月卒〔35期生〕の合格者数一覧/生徒構成/教育課程表/入試Q&A)
  2. 東京都立国際高等学校「令和8年度入学者選抜結果」(全10区分の募集人数・出願者数・受検者数・合格者数・実質倍率/括弧内は令和7年度)
  3. 東京都立国際高等学校「令和8年度入試の変更点について」
  4. 東京都教育委員会「令和8年度 入学者選抜実施方法一覧(海外帰国生徒等対象)」
  5. 東京都教育委員会「令和8年度 入学者選抜実施方法一覧(専門学科)」(国際学科の推薦・学力検査の配点/英語の自校作成と2倍換算)
  6. 東京都立国際高等学校「令和8年度 英語(自校作成)学力検査問題」
  7. 東京都教育委員会「令和8年度 東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」(調査書=第3学年12月31日現在/第一学期・第二学期の成績を十分参考/実施5教科1倍・実施しない4教科2倍)
  8. 東京都立国際高等学校「国際バカロレアコースパンフレット」
  9. 東京都教育委員会「国際バカロレアコースの充実について」(2025年10月23日 報道発表 別添)
  10. 東京都教育委員会「令和9年度 東京都立高等学校に入学を希望する皆さんへ」(入試日程/第二次募集/IBコースの併願/調査書点の換算・評定の満点65点)
  11. 東京都教育委員会「東京都立国際高等学校国際バカロレアコース 入学者選抜実施要綱(令和8年度)」
  12. 東京都立国際高等学校「授業料など諸経費」(令和8年3月19日更新)
  13. 東京都教育委員会「高等学校等就学支援金事業について」(2026年6月8日更新)
  14. 東京都立国際高等学校「特色と取組」(校則4項目/制服の規定)
  15. 東京都立国際高等学校「生徒心得」
  16. みんなの高校情報「都立国際高校の評判」(口コミ116件・総合4.43/偏差値ページ=2026年度版)
  17. 東京都 報道発表「都立第一商業高校の改編に係る基本計画」(2026年7月9日)
  18. 文部科学省IB教育推進コンソーシアム「認定校・候補校一覧」
  19. 東京都教育委員会「港区白金地区『新たな教育のスタイル』の実施校(仮称)構想(案)概要」(2026年2月19日 報道発表の別添)
  20. 東京都立国際高等学校「アクセス」
  21. 東京都立国際高等学校「部活動」
  22. 東京都立国際高等学校「推薦・一般学力入試」(インターネット出願の対象区分・2025年12月19日更新)
  23. 東京都教育委員会「令和8年度(2026年) 東京都立高等学校海外帰国生徒対象 募集要項」(PDF)(応募資格/出願手続/志願の変更/学力検査/合格発表/入学手続/その他。東京都立国際高等学校サイト掲載)
  24. 東京都立国際高等学校「年度別合格者数」(2026年6月・PDF)(既卒生を内数で併記した合格者数の年度別推移)

この記事は2026年8月時点の公開情報をもとに作成しています。倍率・進学実績・学費・入試要項は年度により変わります(進学実績は公式の「合格」と「進学」を区別して掲載しました)。出願にあたっては、必ず学校公式サイトの最新の募集要項でご確認ください。

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この記事を書いた人

Masakiのアバター Masaki IBDP修了生の父/教育・進路メディア運営

我が子のIB経験と海外留学準備で奮闘した保護者としての実体験が原点。「同じ保護者の目線」で膨大な情報を整理・分析し、後悔しない進路選択を共に考えるパートナーとして「国際バカロレアIB広場」を運営。大学選びから留学手続き、その先のキャリア形成までを見据えた情報を提供しています。→ 運営者プロフィール・お問い合わせ

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