国際バカロレア(IB)の試験結果は、今後の学業やキャリアに大きな影響を及ぼすことがあります。
しかし、時には結果が期待通りでないこともあります。そんな時、再受験(Retake)と再採点(Remark)という重要な選択肢があります。
再受験と再採点は、それぞれ異なる目的とプロセスを持っていますが、どちらも未来に対する重要なステップとなります。
ですが、本当に再受験するべきか、再採点をするべきかどうかを正く判断する必要があります。
そこで、この記事では、IBの再受験・再採点に関して深く理解し、正しい判断ができるように詳細をまとめていきます。
再受験(Retake)の選択肢
国際バカロレア(IB)の試験結果に満足できない場合、学生には主に2つの選択肢があります。
- 再受験(Retake)リテイク
- 再採点(Remark)リマーク
再受験と再採点は、異なる目的とプロセスを持っているので、学生の個別の状況に応じて適切な選択をする必要があります。
再受験と再採点の違い
再受験(Retake)
「Retake(リテイク)」は、一つ以上の科目の試験を完全にやり直すためのものです。
IBの最終試験(Final Exam)の結果に満足できなかった場合、または特別な事情がある場合に、試験を再度受けることができる制度です。
IBDP生はディプロマを取得するために、最大で3回最終試験を受験する資格があります。
または
ディプロマ (D)/再受験 (R)/再受験 (R)
再採点(Remark)
「Remark(リマーク)」は、既に受けた試験の採点を再採点(再評価)してもらうためのものです。
IBの最終試験(Final Exam)の結果に不満がある場合に、学校を通じて同じ答案を再度採点してもらう制度です。
これにより、採点者の誤りや偏見を排除することができるかもしれません。
どちらを選ぶべきか
再受験( | Retake)再採点( | Remark)
---|---|
成績が目標から大きく離れている場合 複数の科目で改善が必要な場合 試験の準備が不足していたと感じる場合 | 成績が目標に非常に近い場合 特定の科目での採点に不満がある場合 大学入学の要件をわずかに満たしていない場合 |
最終的な選択は、個々の状況や目標、リソースに依存します。
再受験と再採点の両方の選択肢を検討し、IBコーディネーターや保護者と相談して、最も適切な道を選ぶことが重要です。
再受験・再採点
メリットとデメリット
再受験のメリットとデメリット
再受験のメリット
- 大幅な改善のチャンス
再受験は、成績を大幅に向上させる機会を提供します。
- 深い理解
特定の科目に焦点を当てて勉強することで、より深い理解とスキルの向上が期待できます。
- 新しい戦略の適用
最初の試験での失敗から学び、新しい勉強法や戦略を適用するチャンスがあります。
再受験のデメリット
- 時間と労力
再受験は、追加の勉強と準備を必要とするため、時間と労力がかかります。
- 費用
再受験の登録費用や教材費など、費用がかかることが一般的です。
- 精神的プレッシャー
以前の試験の結果に対するプレッシャーと、再び試験を受けるストレスがあるかもしれません。
再採点のメリットとデメリット
再採点のメリット
- 速い結果
リマークは再受験よりも迅速に結果を得ることができます。
- コスト効率
一部の科目のみの採点を再評価するため、再受験に比べて費用が低くなることが多いです。
- 追加の勉強不要
既に受けた試験の採点を見直すだけなので、追加の勉強や準備は不要です。
再採点のデメリット
- 限定的な効果
成績が大幅に改善する可能性は低く、わずかな変動しか期待できないことが多いです。
- 結果の不確実性
採点の再評価によって成績が下がる可能性もあるため、リスクを慎重に評価する必要があります。
選択肢 | メリット | デメリット |
---|---|---|
再受験 Retake | 大幅な改善のチャンス 深い理解 新しい戦略の適用 | 時間と労力 費用 精神的プレッシャー |
再採点 Remark | 速い結果 コスト効率 追加の勉強不要 | 限定的な効果 結果の不確実性 |
再受験(Retake)の詳細
再受験できる科目
再受験できる科目
IBの再受験では、最大6つの科目とコアコンポーネント(CAS、EE、TOK)を再受験することができます。(「ただし、制限があるため、登録を希望する学校のDPコーディネーターに相談すること。」と記載があります。
再受験には以下の3つの方法があります。
個別の科目の再受験
複数科目の再受験
全科目の再受験
- 個別の科目の再受験
特定の科目で成績を向上させたい場合、その科目だけを再受験することができます。
- 複数科目の再受験
複数の科目で改善が必要な場合、それらの科目を一度に再受験することも可能です。
- 全科目の再受験
全体的な成績を大幅に向上させたい場合、全科目の再受験を選ぶこともできます。
内部評価(IA)の再提出について
IAの改訂
既存のIAの使用
新しいIAの提出
- IAの改訂
一部の科目では、内部評価(IA)の改訂が可能です。これにより、IAの成績を向上させるチャンスが得られます。
- 既存のIAの使用
以前のセッションで提出したIAをそのまま使用することも選択できます。この場合、IAの成績は変更されません。
- 新しいIAの提出
新しいトピックや研究に基づいて、完全に新しいIAを提出することも可能です。
大学への影響
国際バカロレア(IB)の再受験は、大学入学に対して重要な影響を及ぼすことがあります。
再受験の決定とプロセスは、大学の入学要件、奨学金、進学計画などに直接関連するため、慎重に検討する必要があります。
再受験が大学入学にどう影響するか
入学要件の変動
入学の遅延
奨学金の影響
- 入学要件の変動
再受験によって成績が改善すると、入学を希望する大学の選択肢が広がることがあります。
一方、成績が下がると入学要件を満たさなくなるリスクもあります。- 入学の遅延
再受験は時間がかかるため、大学の入学を1年遅らせることが必要な場合があります。
- 奨学金の影響
成績の変動は、奨学金の資格や金額に影響を及ぼすことがあります。
どのように対処すべきか
TIPS01:早期計画
再受験を検討する場合は、早めに計画を立て、大学の入学要件とタイムラインを確認することが重要です。
TIPS02:大学とのコミュニケーション
入学を希望する大学の入学オフィスと連絡を取り、再受験の意図とプロセスを明確に伝えることが推奨されます。
TIPS03:専門家に相談
専門のカウンセラーや教育の専門家と相談し、再受験が個人の進学計画とキャリア目標にどう影響するかを検討すると良いでしょう。
TIPS04:代替プランの検討
再受験の結果が不確実な場合、代替の進学プランを検討することも重要です。
再受験のタイミング
国際バカロレア(IB)の試験は通常、5月と11月の2回実施されますので、1回目の試験が11月の場合、再受験の選択肢は翌年の5月、または翌年の11月が考えられます。
翌年の5月に再受験
- メリット
海外大学を目標としている場合、大学の入学時期を1年遅らせずに済むかもしれない。
また、11月の試験から直後の再受験なので、内容が新しいままであることが多い- デメリット
準備時間が短いため、大幅な改善が必要な場合には難しいかもしれません。
翌年の11月に再受験
- メリット
より長い準備期間があるので、弱点を克服するための時間が十分にあり、大幅な改善が期待できます。
- デメリット
大学への入学が1年遅れることとなります。
また、1年後の再受験となるので、内容のリフレッシュが必要になるかもしれません。
再採点(Remark)の詳細
再採点(Remark)は、IBの最終試験結果に対して不満がある場合、または、次の評価範囲(Boundary)に近い場合に考慮すべき選択肢です。
このプロセスを通じて、採点の誤りや偏見を排除し、正当な評価を受ける機会を得ることができます。
申請方法とプロセス
再採点をリクエストするには、IB結果発表から2ヶ月以内に、学校を通じて「Enquiry upon result」(EUR)を提出します。
再採点の結果は通常18日以内に返ってきます。リクエストは同じ主題に対して複数回行うことは出来ません。
また再採点の場合、スコアが下がる可能性もあるため、評価範囲(Boundary)との差をよく確認し、リスクを理解する必要があります。
あとがき
国際バカロレア(IB)の再受験(Retake)と再採点(Remark)は、将来に重要な影響を及ぼす選択肢です。
再受験は、成績の向上を目指すための道であり、再採点は、公正な評価を確保するための手段です。
これらの選択肢は、個人の目標と状況に応じて慎重に検討する必要がありますので、IBコーディネーターに相談をして最適な選択をすることが重要です。
この記事が、適切な選択をするための参考になることを心より願っています。