一時帰国中の医療保険|健康保険の使い方と対策

海外の大学で勉強しながら、夏休みや冬休みに日本へ帰省するとき、慣れない環境でのストレスや時差ボケ、気候の変化で体調を崩しやすいのが一時帰国中の悩みどころ。

せっかくの帰国期間を思いっきり楽しみたいのに、「もしも病院にかかることになったら?」という疑問は、多くの留学生とそのご家族が抱える共通の心配事です。

一時帰国中に体調が悪くなったら

実は、海外留学中の健康保険の扱いは、出国のときに住民票をどうしたか親御さんの勤務先の健康保険に扶養で入っているかどうかで変わります。「保険証があるから大丈夫」と思い込んでいると、窓口で全額を請求されて驚くことになります。

この記事では、海外留学のために日本の健康保険から脱退している方が、一時帰国中に日本の医療機関にかかる場合の健康保険の取り扱いについて、わかりやすくお伝えします。

目次

結論多くの場合、一時帰国中に
日本の健康保険は使えません

海外転出届を提出して住民票を日本から抜いている方は、その時点で国民健康保険の資格を失っています[2]。国民健康保険しか持っていなかった方は、一時帰国して受診しても公的医療保険は使えません。

ただし、親御さんの勤務先の健康保険(会社の健康保険)に扶養で入っている場合は事情が違います。日本年金機構によると、被扶養者には令和2年4月から「日本国内に住所を有する」という要件が加わりましたが、留学生はその例外として扱われ、海外にいても被扶養者として認定を受けられます[1]

扶養に残っているなら、一時帰国中も日本の医療機関で公的医療保険を使えます。まずは自分がどちらなのかを確かめてください。

なお、医療機関で提示するものも変わりました。厚生労働省によると、従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終了し、期限切れの保険証を持参した場合の経過対応も2026年7月31日で終わりました[7]。現在はマイナ保険証を、持っていない方は資格確認書を提示します。

なぜ日本の健康保険が使えないの?

ここでの分かれ目は住民票です。国民健康保険は、その市区町村に住所がある人が加入する制度です。港区の案内も「住民登録の海外転出届を出すことにより、国保の資格を喪失します」と説明しています[2]。海外転出届を出すと住民票が日本から抜けるため、そこで資格が切れます。

会社の健康保険の被扶養者にも、令和2年4月から「日本国内に住所を有する」という要件が加わりました[1]。ただし前の節で書いたとおり、留学生はこの要件の例外です。

住民票を戻せば受診できる?

一時的に日本へ帰国しただけでは、いったん切れた国民健康保険の資格は戻りません。では住民票を戻せばよいのかというと、そこも自動ではありません。

住民票を置けるかどうかは、生活の本拠が日本にあるかどうかで市区町村が判断します。我孫子市は「生活の拠点が海外にある方が一時帰国(日本に短期滞在)する場合、国民健康保険に加入することはできません」と明記しています[4]。宜野湾市も、約1か月程度の一時帰国は「継続して本市に住む予定がないものとして、滞在期間中の国民健康保険への加入は難しい」としています[5]

一方で鹿児島県の案内は、「生活の本拠地を日本国内に移される場合は、住まわれる予定の市町村に転入届を行った上で、国民健康保険に加入することができます」としています[8]。線を引いているのは滞在日数ではなく「生活の本拠がどちらにあるか」で、その判定は個々の事情に応じて市区町村が行います。帰国前に、住所地となる市区町村の国民健康保険の窓口へ確認してください。

住民票を日本に残している場合は?

海外転出届を提出せずに住民票を日本に残したまま留学しているケースでは、引き続き日本の国民健康保険などに加入している状態です。港区も「海外滞在期間が短く住民登録の転出届をしない場合は、引き続き国保の資格が継続し、保険料もかかります」と案内しています[2]。この場合は、一時帰国中もマイナ保険証や資格確認書で受診できます。

転出届が必要になる期間の目安は自治体が示しています。江戸川区は「海外に移住する場合や1年以上にわたり海外に滞在する場合は、転出届が必要です」としています[3]。1年を超える留学なら転出届を出しているのが通常なので、その場合は前の節の「使えない」側に当てはまります。

健康保険が使えない場合
医療費はどうなる?

公的医療保険の資格がない状態で医療機関を受診すると、医療費は全額(10割)自己負担になります。厚生労働省の資料によると、保険が使えるときの窓口負担は70歳未満で3割(義務教育就学前は2割)です[6]。3割負担にあたる年齢なら、単純計算で3倍以上を窓口で払うことになります。

しかも、金額は「3倍」で読み切れません。保険を使わない受診では、同じ処置でも医療機関によって請求額が違うことがあります。だから「風邪ならいくら」「入院なら1日いくら」という全国共通の目安は示せません。

金額を知りたいときは、受診しようとしている医療機関に直接聞くのが、いちばん確実な方法です(後述の「事前の医療機関への相談」)。我孫子市も、一時帰国中の医療費は「全額自己負担となるため、民間の海外旅行保険等を検討してください」と案内しています[4]

一時帰国中の医療に備えるための対策

対策
留学保険の補償内容を徹底確認

留学中に加入している海外旅行保険や留学保険が、一時帰国中の日本国内での医療費をカバーするかどうかを出発前に必ず確認しましょう。

特に確認するべきポイント
  • 補償対象地域
    一時帰国中の日本国内での医療も補償対象に含まれるか
  • 保険期間と一時帰国の期間
    一時帰国する期間が保険の有効期間内か、補償から外れる期間ではないか
  • 補償される医療費の範囲と上限
    どの範囲の医療行為が補償されるか、補償額に上限はあるか
  • 保険金の請求方法
    日本で医療を受けた場合の手続き(必要書類、連絡先など)、キャッシュレス診療の可否
対策
一時帰国用の保険を検討

加入している海外旅行保険で一時帰国中の日本での医療がカバーされない場合、一時帰国期間限定で加入できる短期保険の検討も一案です。

ただし、このような保険は種類が限られていて、留学生の一時帰国が対象となるかは保険会社によって異なります。

対策
事前の医療機関への相談

持病があるなど、一時帰国中に医療機関の受診が予想される場合は、事前に医療機関に連絡し、健康保険が使えない場合(自費診療)の費用について確認しておくと安心です。

事前準備チェックリスト
  • 保険会社に一時帰国中の補償について確認済み
  • 保険会社の緊急連絡先を保存
  • 必要な保険書類を準備
  • 持病がある場合は医療機関に事前相談
  • 常備薬や処方薬の準備

安心の一時帰国のために
保険の確認が最重要!

国民健康保険しか持っていなかった方が海外転出届を出している場合、一時帰国中の医療費は全額自己負担になります。国保の資格が住民票と結びついているからです。これに対して、親御さんの勤務先の健康保険に扶養で残っているなら、一時帰国中も公的医療保険で受診できます。まず、自分がどちらなのかを確かめるところから始めてください。

そのうえで、留学保険が一時帰国中の日本での医療をカバーするかを確認し、必要に応じて追加の医療補償を検討しておきましょう。住民票を戻せるかどうかは、帰国前に住所地の市区町村へ問い合わせるのが確実です。


参考情報・出典

  1. 日本年金機構「従業員の家族が海外居住の場合の手続き(被扶養者の国内居住要件)」(令和2年4月1日施行/ページ更新日2025年10月24日・2026年9月6日閲覧)
  2. 港区「海外転出します。国保はどうなりますか。」(2026年9月6日閲覧)
  3. 江戸川区「【資格】海外で生活することになりました。国民健康保険はどうなりますか。」(2026年9月6日閲覧)
  4. 我孫子市「海外から一時帰国(日本に短期滞在)する場合は国民健康保険に加入できません」(2026年9月6日閲覧)
  5. 宜野湾市「一時帰国の国民健康保険加入について」(平成29年度の市民からの質問への回答・ページ更新日2020年6月30日・2026年9月6日閲覧)
  6. 厚生労働省「医療費の一部負担(自己負担)割合について」(PDF)(2026年9月6日閲覧)
  7. 厚生労働省「資格確認方法について」(2026年9月6日閲覧)
  8. 鹿児島県「海外在住で一時帰国しますが,国民健康保険に加入できますか」(2026年9月6日閲覧)

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この記事を書いた人

Masakiのアバター Masaki IBDP修了生の父/教育・進路メディア運営

我が子のIB経験と海外留学準備で奮闘した保護者としての実体験が原点。「同じ保護者の目線」で膨大な情報を整理・分析し、後悔しない進路選択を共に考えるパートナーとして「国際バカロレアIB広場」を運営。大学選びから留学手続き、その先のキャリア形成までを見据えた情報を提供しています。→ 運営者プロフィール・お問い合わせ

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