「東大や京大、早慶じゃないと良い就職はできない」
…そんな思い込み、実は誤解かもしれません。
興味深いことに、偏差値55くらいの地方国立大学から、三菱商事やゴールドマン・サックスといった一流企業に卒業生が就職している。
また地元の大手企業が「◯◯大学の学生を採用したい」と考える”穴場大学”も存在するようです。
大学選びでは、難易度と就職実績のバランス、いわゆる「コスパ」も一つの判断材料になるかもしれません。必ずしも偏差値の高い大学だけが選択肢ではなく、知名度が高くなくても素晴らしい就職実績を持つ大学もあります。
この記事では、入試では比較的狙いやすくて、就職実績が良いと言われる「コスパの良い文系国立大学」をご紹介します。
1. 滋賀大学(経済学部)
滋賀県彦根市に位置する滋賀大学経済学部は、戦前から続く彦根高等商業学校の伝統を受け継ぐ名門です。
「士魂商才」の精神を今に伝え、近江商人発祥の地という歴史的背景も相まって、金融・商社業界への強い就職パイプを構築してきました。
近年ではデータサイエンス学部との連携による文理融合教育も注目を集め、時代に合わせた進化を続けています。
- 3科目受験が可能
(国立大学では珍しい「私文型」入試) - 彦根高等商業学校を前身とする伝統ある経済学部
- データサイエンス学部との連携による文理融合教育
- ゼミ活動が盛んで、特に就職に強いゼミがある
入試難易度
- 偏差値:55前後
- 共通テスト得点率:65%程度
- 総合商社
(三菱商事、伊藤忠商事、丸紅など)への就職実績あり - 外資系金融
(ゴールドマン・サックスなど)への就職実績あり - 2023年の有名企業400社就職率ランキングで17.3%(46位)
なぜ就職に強いのか?
- 近江商人の学校というプライドから民間就職に熱心
- 「陵水会」という戦前から続く同窓会組織による支援が手厚い
- 大学の就職課が民間就活に非常に熱心

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2. 小樽商科大学
北海道小樽市に本部を置く小樽商科大学は、国立大学では唯一の社会科学系単科大学として知られています。
1910年設立の小樽高等商業学校を前身とし、「実学・語学・品格」を教育理念に掲げる伝統校です。
国内三大商科大学(一橋大学、神戸大学、小樽商科大学)の一つとして、実践的な商学教育と国際性を重視したカリキュラムが特徴的で、入試難易度と就職実績のバランスに優れています。
- 夜間学部あり
- 国立唯一の社会科学系単科大学
- かつては北海道大学よりも難易度が高かった歴史を持つ
- 旧3商大(一橋大学、神戸大学、小樽商科大学)の一つ
入試難易度
- 偏差値:52~54
- 共通テスト得点率:65~75%
- 金融・商社を中心に民間就職が強い
- 2024年の有名企業400社就職率ランキングで15.8%(57位)
- 同レベル帯の大学と比較して平均年収が高い傾向
教育の特徴
- 「実学・語学・品格」を教育理念としている
- 「本気プロ」などの地域企業と連携したプロジェクト型学習を展開
- 社会人の学び直しにも力を入れている

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3. 埼玉大学(経済学部)
首都圏に位置する埼玉大学経済学部は、東京のベッドタウンという立地を活かした就職活動の利便性が強みです。
「経済分析」「国際ビジネスと社会発展」「経営イノベーション」「法と公共政策」という4つのメジャーを設置し、専門複合的な視座から汎用力を身につける教育を展開しています。
1年次から段階的に専門性を深めるカリキュラム構成も特徴的です。
- 東京のベッドタウンに位置し、就職活動の利便性が高い
- 経済学部は夜間主コースも設置
- 少人数教育による丁寧な指導
入試難易度
- 偏差値:55前後
- 共通テスト得点率:65%程度
- 首都圏の企業への就職に強み
- 金融機関や公務員への就職が多い

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4. 横浜国立大学(経営学部)
神奈川県横浜市に位置する横浜国立大学経営学部は、実践的な経営教育に定評があります。
国際都市横浜の特性を活かし、グローバルなビジネス環境に対応できる人材育成に力を入れ、また産学連携プロジェクトも充実し、実際のビジネス現場に即した課題解決能力の養成が高く評価されています。
- 実践的な経営教育に力を入れている
- 留学・国際交流プログラムが充実
- 神奈川県内での知名度が高い
入試難易度
- 偏差値:57.5~60
- 共通テスト得点率:70%程度
- 大手企業への就職実績が良好
- 特に製造業や金融業界への就職が多い

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5. 金沢大学(人間社会学域)
石川県金沢市に位置する金沢大学人間社会学域は、人文学、法学、経済学、学校教育学、地域創造学、国際学の6学類からなる幅広い社会科学系学問を網羅した学域です。
加賀百万石の文化的土壌に根差した教育環境と、北陸地方随一の総合大学としての伝統が、地域社会から高い評価を得ています。
特に3科目入試が可能な学類もあり、柔軟な受験制度も魅力の一つです。
- 3科目入試が可能(一部の学類)
- 北陸地方では高い評価を得ている
- 伝統ある旧制第四高等学校を前身とする
入試難易度
- 偏差値:52.5~57.5(学類による)
- 共通テスト得点率:65~70%
- 北陸地方の企業や金融機関への就職に強み
- 公務員合格率も高い

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その他の注目コスパの良い文系大学・学部
教員採用に強い教育学部
教員志望の学生なら、就職率と採用試験合格率のバランスから見て、次の大学が「コスパの良い大学」と言えます。
福井大学|教育学部
小学校教員採用試験の合格率が全国トップクラス。教育実習に加え、1年次から学校現場での体験活動が豊富で実践力を磨ける環境が整っています。
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島根大学|教育学部
島根県内の小中学校教員の約60%が卒業生という圧倒的な地元シェア。県教育委員会との連携プログラムにより、地域に根差した教育者を育成しています。
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宮崎大学|教育学部
九州地方の教員採用試験で高い合格実績。特に特別支援教育や幼児教育分野に強みがあり、専門性の高い教員を目指す学生に適しています。
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地元就職に強い地方私立大学
都市部の有名私大より学費が抑えめで、地元企業との太いパイプを持つ以下の大学は、地域就職を考える学生にとって賢い選択肢です。
南山大学(中部地方)
トヨタをはじめとする中部地区の大手企業への就職に強み。キリスト教系の人間教育と実践的な語学教育で、地元企業から高い評価を受けています。
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名城大学(中部地方)
経営学部の公認会計士試験合格者数が私大でトップクラス。地元金融機関や製造業との産学連携プログラムが充実しています。
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東北学院大学(東北)
仙台を中心とした東北地方の企業・自治体への就職率が高く、地元での知名度・評価は東北大学に次ぐレベル。特に経済・経営系の実践教育に定評があります。
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北海学園大学(北海道)
道内企業・公務員就職率がトップクラス。北海道経済に特化した地域研究やインターンシップが充実し、地元での評価が非常に高い大学です。
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広島修道大学(中国地方)
マツダなど地元大手や地方銀行への就職に強み。中四国地方の企業との連携が深く、地域密着型の実践的なキャリア教育が特徴です。
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文系学生の大学選びポイント
- 地域性を考慮する
特に文系の場合、就職活動は地域性が影響することが多いため、将来働きたい地域の大学を選ぶのも一つの戦略です。 - 専門性を意識する
一般的な「文系学部」というくくりではなく、会計、法律、外国語など、より専門的なスキルを身につけられる学部・学科を選ぶと就職に有利になることがあります。 - 大学のブランド力だけでなく、学部・学科の特色を重視する
有名大学でも学部によって就職実績は大きく異なります。大学名だけでなく、学部・学科の実績をチェックしましょう。 - インターンシップ・海外留学など、付加価値を提供する大学を選ぶ
学位取得だけでなく、どのような付加価値(インターンシップ、留学プログラム、資格取得支援など)を提供してくれるかも重要な選択基準です。 - 少子化の影響に注意する
今後の少子化の進行により、地方大学は厳しい状況に直面する可能性があります。現在の評価が高くても、5〜10年後の状況は変わるかもしれません。
文系の国立大学の中には、偏差値や知名度の割に就職実績が高い「コスパの良い大学」が多く存在します。特に滋賀大学経済学部や小樽商科大学は、その代表例と言えるでしょう。
大学選びでは、偏差値や一般的な評判だけでなく、自分の興味や将来のキャリアを見据えて、幅広い選択肢から検討することをお勧めします。特に文系学部では、単に「有名大学」よりも、専門性や立地、学部の特色など、多角的な視点から大学を選ぶことも重要です。