「ボスキャリの内定率はどれくらい?」。検索すると「49.8%」という数字がいくつものサイトに並んでいます。
ところが、その数字の出どころを辿っていくと、運営が発表したものではないことが分かります。ボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)を運営する株式会社キャリタスは、内定率を公表していません。
ここでは、公式サイトで確認できる事実と、ウェブ上に出回っている数字の正体を分けて示します。ウォークイン(当日の飛び込み訪問)の実態や、参加資格・禁止事項まで、公式の原文にあたって整理しました。
- 運営は「内定率」を公表していない。公式サイト・FAQ・プレスリリース(2019年以降)のいずれにも記載がありません[1][2][5]。
- 「ウォークインの内定率30%」は回答者3名の調査。就活メディアGlobyが自社で行ったアンケートで、同社自身が母数の小ささを断っています[7]。
- 公式が出している数字はある:参加企業191社(2024年)、来場者延べ8,011名(2023年実績)[5]。
- ウォークインは公式に認められた行動。FAQは「過去の参加者の半数以上は返事がなくても当日ウォークインでブースを訪問しています」と書いています[2]。
- 2026年は11月20日〜22日、会場はHynes Convention Center(ボストン)[1]。
ボスキャリの内定率は?運営は公表していない【2026】
先に事実を置きます。ボスキャリの運営元である株式会社キャリタス(2024年に株式会社ディスコから社名変更)は、参加者の内定率も内定者数も公表していません。
確認したのは、公式イベントページ[1]、公式FAQ[2]、運営会社のプレスリリース(2019年まで遡及)[5]、そして公式ヘルプセンターです。いずれにも内定率の記載はありません。
よく見る「49.8%」はどこから来た数字か
「ボスキャリ 内定率」で検索すると、多くのページが「約49.8%」と書いています。この数字を「CFNのサイトに載っていた参加者データ」と説明するメディアもあります。
ただし2026年7月時点で、運営の公式サイト上にその参加者データを確認することはできませんでした。過去に掲載されていた可能性は残りますが、現在たどれる出典がない以上、この記事では「運営の公表値」として扱いません。
※ 当サイトも以前は、この49.8%を出典を示さずに掲載していました。今回の改稿で削除しています。
公式が公表している数字
内定率の代わりに、運営会社のプレスリリースで確認できる数字があります[5]。
| 参加企業数 | 191社(2024年/前年172社) |
|---|---|
| 来場者数 | 3日間 延べ8,011名(2023年実績) |
| 開催回数 | 2024年で38回目 |
| 性格 | 「選考直結型イベント」=当日に面接・内定獲得の機会がある[6] |
企業191社に対し、来場者は8,000名規模。1社あたりの採用枠は数名ですから、全員が内定を得られる催しではないことは、この2つの数字だけでも見当がつきます。
「内定率」という数字を読むときの注意
仮に内定率の数字を見かけたとしても、何を分母にしているかで意味がまったく変わります。来場者全員なのか、面接を受けた人だけなのか、アンケートに答えた人だけなのか。
- 誰が調べたか:運営か、就活メディアか、個人のブログか
- 分母は何か:来場者全員か、面接を受けた人か、回答者か
- 何人に聞いたか:回答者が数名なら、割合は偶然で大きく動く
- いつの数字か:コロナ禍を挟んで開催形態が変わっている
ウォークインとは|公式の説明
ウォークイン(Walk-in)は、事前応募をしていない企業のブースを、当日その場で訪問することです。ボスキャリでは公式に認められた行動で、FAQにも説明があります[2]。
事前応募との違い
公式FAQは、事前応募を勧めたうえで、企業側の事情をこう説明しています。
「参加企業の中にはイベント当日は事前応募された求職者としか面接を行わない企業や、ほとんどが事前応募者との面接で、ウォークインの枠が少ない企業などもございますので、希望される企業にはぜひ事前応募を行ってください。」[2]
さらに、事前応募をすると当日を待たずに選考が動き出すことがあります。
「応募をすることで企業によってはイベント前に電話やオンラインでの面接を行う場合や、イベント当日の面接の時間設定を行うことがあります。」[2]
公式の参加ガイドも、応募した時点から選考が動き出すことをはっきり書いています[3]。
「応募後に選考(面接など)がスタートします。企業によっては事前にオンラインで選考が進むこともあります。」/「インタビュールーム(面接を行う部屋)や企業ブースにて当日面接を行う企業も多くあります。」[3]
つまり当日を待たずに勝負は始まっています。事前応募が本筋で、ウォークインは枠の残りを狙う行動です。志望度の高い企業ほど、事前に応募しておく意味があります。
「返事がなくても行っていい」|公式FAQの一文
一方で、事前応募して連絡が来なかった場合について、公式はこう書いています。
「事前応募後に連絡が無い場合でも不採用というわけではありません。当日ウォークインで受け付けてもらえる可能性がありますので、積極的にブースをイベント期間中、訪問ください。過去の参加者の半数以上は返事がなくても当日ウォークインでブースを訪問しています。」[2]
返事がないことを不採用と受け取って、ブースに行かないまま帰る人がいます。運営自身が「半数以上は訪問している」と書いている以上、遠慮する理由はありません。
ただしこれは事前応募をした人の話です。応募しないまま当日を迎え、ウォークインだけで内定を狙うのは、これとは別の難しさがあります。
「ウォークインの内定率は30%」は信用できるか
ウォークインについては「面接率が約50%、内定率が約30%」という数字がよく引用されます。出所は、留学生向け就活メディアのGlobyが自社で行ったアンケートです[7]。
同社は記事の中で、この調査の回答者が3名であること、母数が小さいことを自ら断っています。運営が発表した統計ではありません。
3名のうち1名が内定を得れば33%、得なければ0%です。この数字を「ウォークインの内定率」として受け取るのは危険だと考えます。当サイトも以前は「ある調査によると」という書き方で、この数字を出典なしに引用していました。
確かなのは、公式が示す構造の方です。参加ガイドはウォークインを「企業ブースを自由に訪問して、情報収集したり、質問したりできます。その場でレジュメ提出が可能な場合もあります」と説明しています[3]。面接の場としては書かれていません。
面接枠の多くは事前応募者で埋まり、ウォークインは残りを狙う。だから事前応募より不利になる。数字がなくても、この結論は変わりません。
当日の持ち物と動き方
公式が案内している準備は、次のとおりです。
- レジュメは日本語・英語を各10部程度。公式の参加ガイドが部数の目安を示しています[3]
- 面接の予定がなくてもレジュメは持参する。「行く予定のなかったブースにウォークインで参加したり」する場合があるため[2]
- 服装の指定はない。ただし面接を受ける予定があるなら「面接にふさわしい服装(ビジネスカジュアルなど)」[2]
- 訪問社数は期間中で平均10〜12社(過去の参加者アンケート)。3日目までウォークインを歓迎する企業がある[2]
- ゲストの同伴は不可。付き添いが必要な場合は運営へ問い合わせる[1]
「平均10〜12社」という公式の数字は、動き方の目安になります。1日3〜4社を回る計算で、事前応募した企業を軸に、空いた時間をウォークインに充てるのが現実的です。
参加資格と、禁止されていること
参加資格
公式の参加条件は「日英バイリンガルで学士以上(学士、修士、MBA、博士等)の学位をお持ち/取得予定の方」。日本語・英語ともに初級レベル以上が目安とされています[1]。
公式が挙げる対象者は、次の4つです。
- 日本以外(北米・欧州・アジア・オセアニアなど)の大学に在学中/卒業済みの方
- 日本の大学に在学中/卒業済みの留学経験者
- 海外での生活やグローバルな環境での経験が長い方(帰国子女、インターナショナルスクールなど)
- 海外勤務や留学経験をお持ちの職務経験者
※ 卒業年度による参加制限は、公式ページに記載がありません。FAQには「卒業がまだ先の方でもインターンシップや企業研究を目的として参加歓迎です」とあります[2]。
禁止されていること(CFN会員規約 第5条)
「ボスキャリの禁止事項」を探している方が多いようです。運営が定める会員の禁止行為は、会員規約の第5条に列挙されています[4]。
- 虚偽の情報を登録する行為
- CFNおよびキャリタスからの情報を複製、販売、出版その他私的利用の範囲を超えて使用すること
- 営利を目的とした情報提供活動を行うこと
- 他の会員・第三者の知的所有権を侵害する行為
- 他の会員または第三者の財産、プライバシー等を侵害する行為、犯罪的行為もしくは公序良俗に反する行為
- CFNの運営を妨げる行為、もしくはキャリタスの信用を毀損するような行為、またはその恐れがある行為
- CFNが配信するメールマガジンを第三者に転送すること
- その他違法行為等キャリタスが不適切と判断する行為
※ 2025年10月1日改定版。イベント当日については、参加者以外のゲストの入場が認められていません[1]。
内定が出なかったら
3日間で内定が出ない人の方が多い催しです。企業191社に対して来場者は8,000名規模ですから、当然のことです[5]。
ボスキャリだけで就活を終えるつもりだと、11月に結果が出なかったときに手立てがなくなります。並行して動いておくことが、いちばんの保険です。
- 他のキャリアフォーラム:東京・ロンドン・ロサンゼルスなど、同じ運営が姉妹イベントを開いています[6]
- 企業の通常選考:ボスキャリで接点を持った企業に、あらためて本選考で応募する
- 日本国内の就活:日本の大学に在学中の留学経験者なら、国内の新卒採用と並行しやすい
渡航費と滞在費をかけて行く以上、「ここで決める」と気負う気持ちは分かります。それでも落ちたときの道筋を先に用意しておく方が、当日は落ち着いて話せます。
筆者の体験
我が家では、長男の海外大学進学を考えた頃から、ボスキャリを選択肢のひとつとして何度も話してきました。進学後も、開催のたびに参加企業と募集要項に目を通しています。分かったのは、当日が「始まり」ではないこと。応募した時点で選考は動き出していて、当日のブースはその続きになる。行くと決めたなら、夏のうちから動くつもりでいます。ボスキャリまでに決まっていればそれでいい。決まっていなければ、ここが最後の砦になります。
2026年の日程と準備の進め方
| 日程 | 2026年11月20日(金)〜22日(日) |
|---|---|
| 会場 | Hynes Convention Center(900 Boylston St., Boston, MA 02115) |
| 対象 | 日英バイリンガルで学士以上の学位を持つ/取得予定の方 |
| 運営 | 株式会社キャリタス(CareerForum.Net) |
開催は11月です。事前応募の締切は企業ごとに異なり、夏から秋にかけて順に開きます。レジュメの準備と企業研究は、遅くとも夏のうちに始めておきたいところです。
ウォークインは、あくまで当日の空き枠を拾う手段です。志望度の高い企業ほど、事前応募で枠を確保しておく。公式FAQが繰り返し言っているのは、結局そこに尽きます。
渡航費や滞在費の目安はボスキャリの費用をまとめた記事で扱っています。現地に残る道も視野にあるなら、ビザの条件を先に確かめておくと動きやすくなります(大学卒業後のアメリカ就労ビザ)。
参考情報・出典
- CareerForum.Net「BOSTON CAREER FORUM 2026」公式イベントページ(2026年7月10日閲覧。日程・会場・参加資格・ゲスト同伴の可否)
- CareerForum.Net「よくあるご質問」(2026年7月10日閲覧。事前応募とウォークインの違い、レジュメ、服装、訪問社数)
- CareerForum.Net「キャリアフォーラムは事前準備が必須!」(参加ガイド)(2026年7月10日閲覧。事前応募後に選考が開始すること、当日面接を行う企業が多いこと、ウォークインの説明、レジュメ日英各10部程度)
- CareerForum.Net「CFN会員規約」第5条 会員の禁止行為(2025年10月1日改定)
- 株式会社キャリタス プレスリリース「ボストンキャリアフォーラム2024」(2024年11月12日。参加企業191社、来場者は2023年実績として延べ8,011名、38回目)
- CareerForum.Net「キャリアフォーラムとは」(2026年7月10日閲覧。選考直結型イベント、姉妹イベントの一覧)
- Globy「ボストンキャリアフォーラム(ボスキャリ)のウォークインの内定率は?」(面接率約50%・内定率約30%。同社の独自アンケートで、回答者3名・母数が小さい旨を同記事内に明記)
- 経済産業省「BOSTON CAREER FORUM 2025」(2025年11月21日〜23日開催の告知。最終更新2025年11月14日)
