「アメリカで働ける?」という一言が頭をよぎったことはありませんか?
留学の魅力の一つは、異国の地で実務経験を積めること。特にアメリカ留学では、CPTとOPTという二つの制度があなたの夢を後押ししてくれます。
でも、「CPTって何?OPTとどう違うの?」と疑問も。
シンプルに言えば、CPTは在学中、OPTは卒業後(または在学中)に使える就労許可制度。
でも違いはそれだけではありません。申請方法、期間、ビザへの影響など、知っておくべきポイントはたくさん。
この記事では、CPTとOPTの違いを分かりやすく解説します。
CPT/OPTとは?
F-1ビザで働く仕組みをゼロから解説
CPT(Curricular Practical Training)とは
CPTは「Curricular Practical Training(カリキュラー・プラクティカル・トレーニング)」の略で、在学中に大学のカリキュラムの一環として学外で就労経験を積むことができる制度です。
現行の規定では、専攻分野に関連する職種で働くことが条件となります。
- 対象者
フルタイムの学生として1年以上学校に通った留学生 - 時期
在学中のみ(卒業前)に利用可能 - 就労形態
学期中は週20時間まで、休暇期間中はフルタイム可能 - 申請手続き
学校(留学生アドバイザー)の許可のみで取得可能(移民局の許可は不要) - 就労内容
専攻分野に関連し、カリキュラムの一部となる実習やインターンシップ
OPT(Optional Practical Training)とは
OPTは「Optional Practical Training(オプショナル・プラクティカル・トレーニング)」の略で、専攻分野に関連する職種で最長12ヶ月間就労できる制度です。
米国国土安全保障省(DHS)の規定によると、STEM分野では最大36ヶ月まで延長可能です。
- 対象者
フルタイムの学生として1年以上学校に通った留学生 - 時期
在学中(Pre-Completion OPT)または卒業後(Post-Completion OPT)に利用可能 - 期間
合計で最長12ヶ月間(STEM分野は最大36ヶ月間まで延長可能) - 申請手続き
学校と移民局(USCIS)両方の許可が必要 - 就労内容
専攻分野に関連する職種であれば、企業やインターンシップなど広く選択可能
CPTとOPTのビザステータスとの関係
CPTとOPTは、どちらもF-1学生ビザの範囲内で認められる就労許可制度ですが、ビザステータスとの関係には重要な違いがあります。
現行の規定では、特にキャップギャップ期間の延長など、留学生に有利な変更が実施されています。
ポイント | CPT | OPT |
---|---|---|
必要許可証 | 不要(I-20に直接記載) | 必要(EADカード発行) |
ステータス上の位置づけ | F-1学生のまま | 「学生」→「研修生」へ |
申請手続き | DSO の許可のみ | DSO 推薦+USCIS 承認 |
終了後の扱い | 特になし | 60日間の Grace Period が付与 |
無職許容日数 | ― | 90日以上の無職はステータス失効リスクあり (STEM OPTは150日) |
5分でわかる!
CPTとOPTの7つの違い比較
次の表は、CPTとOPTの主要な違いを比較しています。
項目 | CPT | OPT |
---|---|---|
実施時期 | 在学中のみ | 在学中・卒業後 |
目的 | カリキュラムの一部として必要な実習やインターンシップ | 学業分野での職業経験(必須ではない) |
仕事の内定 | 必要(申請時に内定が必要) | 不要(申請時に内定は不要) |
認可機関 | 大学の国際担当(DSO)が認可 | USCIS(移民局)が認可(DSOの推薦が必要) |
雇用主の指定 | 必要(雇用主と期間が限定される) | 不要(分野内なら雇用主の制限なし) |
期間 | フルタイムで最大12ヶ月 (12ヶ月以上使うとOPT不可) | 最大12ヶ月(STEM分野は24ヶ月延長可能) |
コース登録 | 必要(授業や単位と関連) | 不要(卒業後OPTの場合) |
STEM延長 | 不可 | 可能(STEM分野なら24ヶ月延長) |
申請費用 | 不要 | 必要(USCISへの申請料が必要) |
失業制限 | なし | 通常OPTは90日、STEM OPT延長は150日まで |
- CPT
-
在学中のみ利用可能。カリキュラムの一部として実施するため、卒業前に終了する必要があります。
米国移民税関執行局(ICE)の規定では、学部生は通常1年以上の在籍が必要ですが、大学院生の場合はプログラムによって早期開始が可能な場合もあります。 - OPT
-
在学中と卒業後の両方で利用可能です。多くの留学生は卒業後にPost-Completion OPTを利用します。
現行の規定では、STEM OPT延長は最長24ヶ月間で、合計で最大36ヶ月間のOPTが可能です。
- CPT
-
比較的簡単で、大学の留学生アドバイザー(DSO: Designated School Official)の許可のみで取得できます。
移民局(USCIS)への申請は不要。許可が下りると、I-20(学生ビザの証明書)に雇用主の名前、開始・終了日、DSO署名が記載されます。オンラインシステム「SEVIS」を通じて記録が管理されます。
- OPT
-
手続きが複雑で、大学の留学生オフィスを通じて申請し、その後、移民局(USCIS)の承認が必要です。
申請から労働許可証(EAD Card)取得まで数ヶ月かかることがあります。
現在の申請規定では、卒業予定日の90日前から申請可能で、卒業後60日以内に申請する必要があります。
- CPT
-
カリキュラムの一部として行うため、インターンシップや実習など、教育目的の就労に限定されます。学校によって異なりますが、単位取得が必要な場合もあります。
現行の許可基準では、条件を満たせばボランティアや無給のポジションも認められています。 - OPT
-
より柔軟性があり、専攻分野に関連していれば様々な職種や企業で働くことができます。単位取得の必要はありません。
STEM OPT延長では、雇用主はE-Verifyに登録されている必要があり、Form I-983(トレーニングプラン)の提出が必須です。また、無給のポジションは認められていません。
- CPT
-
期間制限は基本的にありませんが、フルタイムでの就労が合計12ヶ月を超えると、OPTの資格を失うので注意が必要です。パートタイムのCPTはOPT資格に影響しません。
- OPT
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基本的に合計12ヶ月間のみ利用可能です。ただし、STEM(科学・技術・工学・数学)分野の学位取得者は、さらに24ヶ月間の延長が可能で、最大36ヶ月間働くことができます。
2025年の規定では、失業期間は通常OPTで90日、STEM OPT延長で追加60日(合計150日)までと定められています。
OPT完全ガイド:Pre-Completion/Post-Completion/STEM延長

Pre-Completion OPT
在学中に利用するOPTで、フルタイムの学生として1年以上学校に通った後に申請可能です。
就労時間 | 学期中は週20時間まで、休暇期間中はフルタイム可能 |
注意点 | この期間はPost-Completion OPTの期間(12ヶ月)から差し引かれます |
Post-Completion OPT
卒業後に利用するOPTで、多くの留学生が選択するオプションです。
申請時期 | 卒業予定日の90日前から卒業後60日以内に申請可能 |
就労開始 | EADカードの受け取り後、卒業日から60日以内に開始する必要あり |
失業期間 | 90日以上無職状態が続くとOPTステータスを失います |
就労形態 | フルタイム(週20時間以上)での就労が必要 |
STEM OPT Extension
STEM分野(科学・技術・工学・数学)の学位取得者は、通常の12ヶ月間のOPTに加えて、さらに24ヶ月間の延長が可能です。
最新の更新されたDHS STEM指定学位プログラムリストに基づき、資格が判断されます。
対象者 | STEM指定の学位プログラムを修了した学生 |
要件 | E-Verify(政府の雇用確認システム)に登録されている雇用主が必要 |
トレーニングプラン | 雇用主とのフォーマルなトレーニングプラン(Form I-983)が必要 |
報告義務 | 6ヶ月ごとの検証報告、12ヶ月・24ヶ月時の評価報告が必要 |
失業制限 | 最大150日間まで(通常OPTの90日を含む) |
H-1Bビザとキャップギャップ:OPTからの移行
多くの留学生は、OPT期間終了後にH-1Bビザへの移行を検討します。2025年の最新規定では、「キャップギャップ」期間が延長され、OPT終了からH-1B開始までの間のステータス維持がより容易になりました。
キャップギャップ延長とは
「キャップギャップ」とは、OPT期間終了から年次H-1Bビザの有効開始日(10月1日)までの間の期間を指します。
最新の規制改正により、キャップギャップ期間が翌年の4月1日まで延長されました。この変更は留学生にとって大きなメリットとなっています。
資格要件
キャップギャップ延長の資格を得るには
- OPT期間中または60日の猶予期間中であること
- 雇用主がタイムリーにH-1B申請を提出すること
- H-1Bビザの開始日が10月1日から翌年4月1日の間であること
- H-1B申請がOPT期間中に提出された場合、就労許可も延長されます
- 猶予期間中に申請された場合、滞在許可のみ延長され、就労は許可されません
- キャップギャップ期間中の海外渡航は、H-1B承認前の場合、ステータス喪失リスクがあります
CPT/OPTを最大活用するための戦略
CPTを最大限に活用するには
- 早めの計画
学部・専攻選びの段階から、CPTの可能性を考慮しましょう。
特に、プログラムによっては1年間の在籍要件が免除される大学院コースもあります。 - 単位との関連
CPTが単位として認められるコースを選択することで、就労経験と学位取得を同時に進められます。
多くの大学では、申請手続きの効率化のためオンラインポータルでCPT申請手続きが電子化されています。 - 期間管理
OPTも利用したい場合は、フルタイムでのCPT期間が合計12ヶ月を超えないよう注意してください。
パートタイムCPTはOPT資格に影響しないため、長期インターンシップの場合はパートタイム形式の検討が有効です。 - インターンシップ探し
大学のキャリアセンターや留学生オフィスを活用しましょう。
E-Verifyに登録されている企業は、将来のSTEM OPT延長やH-1B申請にも有利です。
OPTを成功させるためのポイント
- 早めの申請
OPTの申請から承認までに時間がかかるため、卒業の数ヶ月前から準備を始めましょう。
現在のUSCIS処理時間は通常2〜5ヶ月ですが、地域や申請時期によって異なることがあります。 - 就職活動
在学中から専攻分野に関連する企業へのネットワーキングを始めましょう。
OPT開始後は失業期間が制限されているため、早めの就職活動が重要です。 - STEM延長の検討
STEM分野を専攻することで、より長いOPT期間を確保できます。
最新の更新されたSTEM指定学位プログラムリストを確認し、資格要件を満たすようにしましょう。 - 就労ビザへの移行
H-1Bなどの就労ビザへの移行を希望する場合は、OPT期間中にスポンサー企業を見つけましょう。
最新の規制では、H-1B申請後のステータス延長が翌年4月1日まで可能になり、身分移行の柔軟性が大幅に向上しています。
留学生&保護者の疑問解消Q&A
- CPTとOPTを両方利用することはできるか?
-
可能です。ただし、フルタイムでのCPTが合計12ヶ月を超えると、OPTの資格を失います。CPTを12ヶ月未満に抑えれば、その後OPTも最大限(12ヶ月間+STEM延長が適用される場合は追加24ヶ月)利用できます。パートタイムCPTはOPT資格に影響しません。
- OPT期間中に転職することはできるか?
-
可能です。ただし、新しい職も専攻分野に関連していなければならず、転職した場合は10日以内に学校のDSOに報告する必要があります。また、失業期間が合計90日(STEM OPT延長の場合は150日)を超えないよう注意してください。現在の規定では、SEVPポータルを通じてオンラインで雇用情報を更新できます。
- OPT期間終了後、アメリカに滞在するには?
-
OPT期間終了後もアメリカに滞在するには、以下のオプションがあります
- H-1Bなどの就労ビザへの切り替え
雇用主のスポンサーシップが必要です。新たに導入された規制により、H-1B申請中のステータス維持がより容易になりました。 - 新たな学位プログラムへの入学
新しいF-1ビザのスポンサーシップを受けることで、学生ステータスを維持できます。 - 他の適切な移民資格への変更
例えば、O-1「特殊能力」ビザやL-1企業内転勤ビザなど、状況に応じた選択肢を検討できます。
- H-1Bなどの就労ビザへの切り替え
【まとめ】CPTとOPTの違い・申請ポイントおさらい
CPTとOPTは、アメリカの留学生が貴重な就労経験を積むための重要な制度です。近年の規制改正により、特にSTEM OPT延長やキャップギャップに関する改善が実施されています。
留学計画の段階から、これらの制度を理解し戦略的に活用することで、学業とキャリアの両方において最大限の成果を得ることができます。
- CPT: 在学中にカリキュラムの一部として実施。申請が比較的簡単で、DSO(指定学校職員)の承認のみで取得可能。
- OPT: より柔軟性が高く、卒業後も利用可能。STEM分野では最大36ヶ月間の就労が可能。移民局(USCIS)の承認が必要。
- キャップギャップ: 最新の規制改正により、H-1B申請後のステータス維持期間が翌年4月1日まで延長されました。
留学は学業だけでなく、実践的な就労経験を通じて真のグローバル人材への成長を促す素晴らしい機会です。CPTとOPTを有効活用して、充実したアメリカ留学生活を送りましょう。
この記事は最新の情報に基づいています。移民規則や手続きは頻繁に変更される可能性があるため、最新情報は必ず大学の留学生オフィスや米国国土安全保障省(DHS)の公式サイトでご確認ください。