兵庫県立国際高校|推薦入学だけの入試と、進学実績の実像【2026】

兵庫県立国際高等学校(芦屋市)は、学校自身が「兵庫県で唯一の国際科のみからなる単位制高等学校」と説明する高校です[21]。募集は推薦入学だけで、3月の学力検査は実施されません。2年次には全員が海外研修に出ます。

この学校を調べていると、「私立大学に344名合格」「関関同立106人」といった数字に行き当たります。卒業生は110名前後です。数字だけを見ると、1人が3校も4校も進んでいるように読めてしまいます。

この記事では、その「344」の正体から先に書きます。あわせて、入試で実際に何が見られるのか、入学後に何が待っているのかを整理します。

この記事の結論(先に4つ)
  • 募集は推薦入学のみ。当日の検査は英語の適性検査2つと集団面接で、5教科の学力検査はない
  • 「私立344名合格」はのべ合格数。同じ年に私立大へ実際に進んだのは75名で、関西学院大は合格64に対し進学19
  • 推薦入学の調査書は「総合評定」とだけ定められ、配点は公表されていない。塾サイトの内申の目安は各社の推定
  • 2年次に全員が7日間の海外研修へ。行き先は年度で入れ替わり、費用は公式には出ていない
目次

兵庫県立国際高校と芦屋国際中等教育学校は、別の学校です

先に、混同しやすい点をひとつ片づけておきます。兵庫県立国際高等学校と、兵庫県立芦屋国際中等教育学校は別の学校です。同じ敷地にあるので紛らわしいのですが、入り方も在籍する生徒も違います。

両校が同じ敷地に建っているのは、開校の経緯によります。2003年4月、国際高校の開校と同時に、同じ敷地内に県内初の中高一貫校として芦屋国際中等教育学校が開校しました[10]

中等教育学校は中学校から入る6年制の学校で、選考も高校入試とは別枠です[17]国際高校を志望する中学生にとっては、名前が似ているだけの別の学校だと考えてください。

ただし交流はあります。学校が公表している学校評価アンケートには「文化祭や3月の球技大会は、芦屋国際中等教育学校と交流できる貴重な機会となっている」という記述があります[22]

入試は推薦入学だけ。3月の学力検査がない

兵庫県の公立高校入試は、2月の推薦入学等と3月の学力検査という二段構えが基本です。ところが国際高校には、後半がありません。

兵庫県教育委員会の選抜方法一覧では、国際に関する各学科は推薦入学等が100%、学力検査が0%と示され、学力検査の欄は斜線で消されています[3]。学校側も「推薦入学のみ」と明記しています[2]

つまり、2月で決着します。3月の学力検査で挽回する、という道はこの学校にはありません。

募集定員国際科(全日制課程・単位制)120名
通学区域県下全域
次回の入試日2027年2月16日(火)/合格発表 2027年2月22日(月) ※いずれも予定
検査の内容適性検査Ⅰ(英語の聴解力)・適性検査Ⅱ(英語の読解力、表現力)・面接(主に日本語、一部英語)
入学考査料2,200円
出典:兵庫県立国際高等学校「学校案内2026」[2]、「令和8年度 推薦入学生徒募集要項」[1]。日程は学校案内2026の予定。

当日は英語の検査が2つと、集団面接

募集要項は選抜方法を4つ挙げています。登録された出願情報、適性検査Ⅰ(英語の聴解力をみる)、適性検査Ⅱ(英語の読解力、表現力をみる)、面接(主に日本語で行い、一部英語による応答を含む)です[1]

当日の時間表まで公表されています。8時10分に集合し、9時10分から適性検査Ⅰが30分、適性検査Ⅱが60分、11時15分から集団面接という流れです[1]。検査室には下敷き・筆箱・定規類・計算機(時刻表示付きを含む)などを持ち込めません。

ここで分かるのは、当日に問われるのが英語だけだということです。国語や数学の学力検査はありません。聴解力を単独で30分測る形式は、公立高校の入試としてはかなり珍しいものです。

過去問は市販されていませんが、9月の第1回オープンハイスクールで過去問が配布されます(最新版配布予定)[2]。11月の第2回では募集要項と願書の配布・説明があります。日程が合わないという理由で行かずに済ませると、手に入る資料の差がそのまま対策の差になります。

合格したら、県内の他の公立には出願できない

推薦入学は、出願の時点で「本校を第1志望とする者」であることが条件です[1]。そして募集要項には、もう一段はっきりした一文があります。

合格者は、県内公立高等学校に新たに出願することはできない。[1]

合格した時点で、県内の公立についてはそこで決まりです。不合格だった場合は、3月に学力検査を実施する他校へ改めて出願することになります。2月に一度きりの勝負を、第1志望として受ける。これがこの学校の受け方です。

出願そのものにも中学校長の推薦が要ります。条件は3つで、志願する動機・理由が明白かつ適切であること、学校に対する適性および興味・関心を有すること、特色ある教育活動に積極的に参加し主体的に学習する強い意欲があること[1]。中学校長の承認期限は2月上旬で、それを過ぎると出願できません。

なお、帰国生徒の枠もあります。外国での在住期間が1年以上あることなどが条件で[1]、県の要綱では「帰国生徒にかかわる推薦入学については、国際に関する学科において実施する」と定められています[4]

内申は何点あればいいのか。目盛りが3つある

掲示板を見ていると、「2年生の3学期の内申が146しかなかったんですけど、まだ希望はありますか」といった質問が並びます[13]。一方、塾や家庭教師のサイトを開くと「目標内申39」(開成教育グループ)、「34/45」(家庭教師ぽぷら)、「178〜207」(受験塾家庭教師)と、まったく違う数字が出てきます。

これは誰かが間違えているのではなく、目盛りが違うだけです。まず、そこを分けます。

スクロールできます
目盛り中身どこで使われるか
250点満点3年の5教科の評定の和×4
+実技4教科の評定の和×7.5
兵庫県の一般入試(学力検査による選抜)
45点満点9教科×5段階中学校の通知表の素点。塾サイトの「39」
規定なし「総合評定した判定資料」とだけ定義推薦入学(=この学校の入試)
出典:兵庫県教育委員会「令和8年度兵庫県公立高等学校入学者選抜要綱」第12210項・第7126項[4]

一般入試の内申は、要綱にはっきり計算式が書かれています。3年の「国語」「社会」「数学」「理科」「外国語」の5教科の評定の和を4倍した値と、「音楽」「美術」「保健体育」「技術・家庭」の4教科の評定の和を7.5倍した値との総和で、総配点250点です[4]。掲示板の「146」はこの目盛りの数字です。

ところが推薦入学の条項は、まったく違う書き方をしています。判定資料(A)は「調査書情報の各教科の学習の記録を、当該学科のスクール・ポリシー等に即して、総合評定した判定資料[4]。倍率も総配点も書かれていません。

学校の募集要項にも配点の記載はありません[1]つまり「何点あれば受かる」という公式の基準は、そもそも公表されていません。上に挙げた塾サイトの数字は、各社が独自に置いた目安です(うち1社は自ら「暫定」と記しています)。参考にするのは構いませんが、公式の合格ラインとして受け取らないでください。

※ 兵庫県の一般入試では「調査書情報の学習評定と学力検査の成績との比重が同等となるようにする」と定められていますが[4]、これは学力検査を行う選抜の話です。推薦入学の資料には比重の規定がありません。

倍率は1.03〜1.12倍で落ち着いている

県教育委員会が毎年公表している推薦入学の志願状況から、4年分を並べます。倍率の定義は志願者数÷推薦定員です[6]

入学年度推薦定員志願者倍率
2023年1.12
2024年1201311.09
2025年1201231.03
2026年1201261.05
出典:兵庫県教育委員会「令和6年度 推薦入学合格状況」[18]、「令和7年度 推薦入学合格状況」[6]、「令和8年度 推薦入学等志願状況」[5]。2023年の倍率は令和6年度表の前年度欄の値。

2025年入学は123名が志願して120名が合格しています。数字だけ見れば、定員に対して志願者がわずかに上回る状態が続いています。

ただ、この倍率をそのまま「入りやすい」と読むのは早いと思います。推薦入学だけの学校では、受ける前にふるいが一段かかっているからです。中学校長の推薦が要り、第1志望でなければ出願できず、合格すれば他の県内公立には出願できない。迷っている人は、そもそも志願者に数えられていません。倍率1.03倍は、覚悟を決めた人だけが並んだ結果の1.03倍です。

ちなみに同じ兵庫県内で国際科を持つ神戸市立葺合高校の国際科は、2026年入学の推薦倍率が1.31倍でした[5]。国際科という括りの中でも、学校によって集まり方はかなり違います。

筆者の体験
我が家で評定を早くから気にしていたのは、合格ラインに届かせるためだけではありませんでした。評定が足りないと、志望校を考える段階で並べられる学校が減っていきます。一つ上げてあれば、最後まで複数を候補に置いたまま考えられる。第1志望と決めてからでないと出願できない入試では、その持ち駒の差がそのまま選べる幅になります。

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偏差値は、学校が公表しているものではない

調べるとサイトによって数字が違います(みんなの学校情報は58としています)。これはどれも模試の主催者や情報サイトが独自に算出したもので、学校や県教育委員会が公表している数字ではありません。内申の目安と同じで、当サイトはこれらを合否の基準としては扱いません。

そもそもこの学校の入試には5教科の学力検査がないので、5教科の偏差値と合否が直接つながる構造になっていません。目安として見る分にはよいのですが、当日測られるのは英語の聴解力・読解力・表現力と、面接です。志望校を決める材料としては、そちらの適性のほうが実態に近いはずです。

入学後の英語は「得意科目だった」では続かない

入ってからの話に移ります。ここは公式資料だけでは見えないので、在校生・卒業生の口コミも合わせて読みます。

まず数字から。学校が公表している2024年度の実用英語技能検定の保有状況は、1級3名、準1級21名、2級174名(2025年3月現在)です[9]。全校生徒は350名ほどですから[22]、在校中に2級以上を持っている生徒が相当数いることになります。

学校が重点教育として掲げているのは「卒業までに9割以上の生徒が英検2級以上に合格していく英語力の向上」です[9]。これは達成率の公表値ではなく、学校が目標として置いている水準です。

この数字は、そのまま入学直後の教室の密度になります。英語が得意ではないまま入ったという在校生が、入学当初をこう振り返っています。

英語に関して、全然出来ない私でも何とかついていきました。周りのレベルは本当に高いですし、入学当初は英検準2取得者が殆どでした

同じ人が、続けてこうも書いています。「中学校でちょっと得意だったレベルだと、ある程度のプライドは捨てていかないと心折れる人もいるかもしれないなって感じです」[13]入学時点の英語力が高いのではなく、まわりが同じ理由で集まっている。この落差が、最初の壁になります。

同じ年に入学した別の在校生は、もっと厳しい書き方をしています。

まじめな人が多いので、すぐに置いて行かれます

英語の課題の量が多いので、家で帰ってからやる時間が全然ありません

同じ投稿には「毎週英単語テストと漢字テスト、合格点があり合格しなかったらペナルティで課題が出されます」「英語のやる気がなくなってしまう人が多いと思います」ともあります[13]。一方、卒業生の投稿には「英語の授業は文法以外、ほぼオールEnglishでとても充実していると思います」という評価も並んでいて、同じ環境が人によって逆の意味になっているのが分かります。

この学校への進み方をいちばん言い当てているのは、その投稿の書き出しだと思います。「いざ入学すると意外としんどいかも」「中学の時英語ができたからここに入ろうと決めるのはやめたほうがいいです」[13]。中学校で得意科目だったという理由だけを持って入ると、その理由がそのまま効かなくなるからです。

英語以外にも柱があります。2年次には全員が、ドイツ語・フランス語・スペイン語・イタリア語・中国語・韓国朝鮮語のうち1つを選び、週2時間学びます。6か国すべてネイティブスピーカーが指導に加わります[2]。3年次はさらに進めたい生徒が最大週4時間まで取れます[9]。第二外国語が選択科目ではなく全員必修という点は、英語だけを掲げる学校との明確な違いです。

2年次に全員が海外研修へ行く(費用は非公表)

この学校の看板のひとつが、2年次の海外研修です。学校案内には「海外研修(7日間)」「2年次/全員対象/ホームステイ」と明示されています[2]。希望者を募る行事ではなく、2年次全員が3か国から1か国を選んで参加します[11]

学校は「2年次が毎年10月に3か国に分かれて海外研修を行います」と説明しています[20]。ただし過去には11月にかかった年度もあります[11]

行き先は年度で入れ替わる

ここは注意が要ります。ネット上には「イギリス・カナダ・オーストラリア」「カナダ・ニュージーランド・イギリス」など複数の組み合わせが流通していますが、どれも間違いではなく、年度が違うだけです。

年度研修先(3か国から1つ)
2026年度イギリス・カナダ・ニュージーランド
2025年度イギリス・カナダ・アメリカ(ハワイ州)
出典:兵庫県立国際高等学校「学校案内2026」[2]、「学校案内2025」[9]

学校案内にも「海外研修先は来年度以降、変更となる可能性があります」と但し書きがあります[2]。いま中学生の人が2年生になる年の行き先は、まだ決まっていないと考えるのが正確です。特定の国に行きたいという理由でこの学校を選ぶのは、避けたほうがよいと思います。

2年次の全員研修とは別に、希望者向けの研修もあります。オーストラリア語学研修、韓国研修、ドイツ研修の3つで、韓国とドイツは隔年実施・希望者10名程度と明記されています[2]。姉妹校であるドイツ・キール市のフンボルト・シューレを訪問する形です。人数枠がある以上、希望すれば必ず行けるわけではありません。

研修費は公式には出ていない

全員参加である以上、家計としては実質的に必須の支出になります。ところが、金額は公式のどこにも書かれていません。学校サイトが公開しているPDF(募集要項・学校案内・PTA総会資料・保護者向け通信など)を全文検索しましたが、金額の記載があるのはPTA会費と積立金だけです。

ではいつ分かるのか。学校は研修ごとに保護者説明会を開いています。ドイツ研修の回では「研修内容、費用、参加するにあたっての心構え」を説明したと報告されています[19]。2年次の海外研修についても、実施前年度の3月に第1回保護者説明会が開かれています[20]

つまり、金額が分かるのは入学後です。掲示板にも「西オーストラリア研修の費用って全部でどれくらいかかりますか」「私の家はあまり裕福ではなくトビタテ留学考えてるんですけど」といった質問が実際に投稿されています[13]

金額を先に知りたい場合は、9月・11月のオープンハイスクールの個別相談会で直接聞くのが確実です。ネット上に出回る金額は出所が確認できないため、当サイトでは引きません。

2年次の科目選択が、進路の幅を決める

単位制なので、履修の組み方が普通科と違います。教育課程表を見ると、1年次はほぼ全員が同じ科目を取り、2年次から科目選択群で大きく分かれます[2]。理科は1年次が「科学と人間生活」のみで、物理基礎・生物基礎・化学基礎は2年次からです。

ここで学校側の説明と、在校生の声が食い違って見える箇所があります。両方を並べます。

理系に進めるのか
  • 学校側の説明=「国公立大学理系(物理系、生物系、医療系)への進学にも対応した教育課程」「文系・理系・医療系・海外進学等多様な進路に対応」[2]
  • 実際の進学先=2025年3月卒では京都工芸繊維大・会津大・神戸市看護大などへ進学。類型別では理・工・農・情報系10名、医・歯・薬・看護・健康スポーツ・福祉系4名[8]
  • 在校生の声=「理系選択すると国際的な授業が取れないです」(2022年の投稿)/別の在校生は「楽しい科目を取れるのは私文の人だけです。国文・理系は勉強科目に持っていかれます。国公立に行くには理数系の授業のレベルが低いです」と書いています(2021年の投稿)[13]
  • 学校案内に載る卒業生のメッセージ=神戸大学農学部へ進んだ卒業生は「理系進学には不安もありましたが、担任の先生の言葉に勇気を貰い決断できました」と書いています[2]
  • 肯定側の口コミ=「10人ぐらいの理系を数学や理科の先生がガッツリみてくれる」(2023年の投稿)/「理系にも対応しており、勉強面でも結果を残してる人は多い一方、あんまり勉強していない人も見られます」(2019年の投稿)[13]

整理すると、理系に進めないわけではありません。ただし、理系の科目を積むほど国際科ならではの選択科目に割ける枠は減ります。そういう構造だと読めます。教育課程表でも、国際科の専門科目は2・3年次の選択X・選択Yにあり、理系科目と同じ時間帯を取り合う形になっています[2]

掲示板でも「2、3年生で絶対に取らない方がいい授業とかありますか」と聞かれています。この構造の裏返しでしょう[13]。単位制は自由度が高いぶん、2年次の選択が3年次の選べる幅をそのまま決めます。理系志望で検討しているなら、説明会で「理系選択をした場合に取れる国際科の科目」を具体的に聞いておくと、入ってからの想定が変わりません。

進学実績の読み方。「合格344名」の正体

ここがこの記事でいちばん伝えたいところです。

学校は「合格者数」と「進学者数」を分けて出している

国際高校の進路状況ページには、表を読む前提が明記されています。

「進路データ(概略)はその年の卒業生についてのものです。「合格者数」はその年の合格延べ人数を表し「進学者数」は進学した実人数を表します。[7]

1人が3校に合格すれば合格者数は3、進学者数は1です。学校はこの2つを、同じ表に並べて公表しています[8]。ところが外部のサイトやAIの要約に現れるのは、ほとんどが合格者数のほうだけです。

区分合格
(のべ)
進学
(実人数)
国公立大学2323
私立大学34475
海外の大学53
専門学校・各種学校23
進学者 小計374104
卒業者数111
2025年3月卒。出典:兵庫県立国際高等学校「過去3年間 卒業生進路実績」[8]。合格者数はのべ、進学者数は実人数(同校の定義による)。専門学校・各種学校が合格2・進学3となっているのは原表のとおり。進学者小計104と卒業者数111の差は、就職1名・再受験6名。

卒業生111名に対して、私立大学の合格は344。1人あたり約3校です。実際に私立大学へ進んだのは75名でした。ネット上でよく見る「私立344名合格」という表現は、この左の列を指しています。

※ 学校別の表では私立大学の進学者数の合計が78になっています。これは海外の大学へ進んだ3名を含んだ数と読めます(概略表の私立75+海外3。海外の大学名は私立大学の表の脚注として記載されており、独立した表がありません)。本記事は概略表の区分に従い、私立大学への進学者を75としています。

同じ構造は「関関同立106人」という数字にもあります。これは2023年3月卒の関西大30・関西学院大43・同志社大17・立命館大16を足したのべ合格数で、同じ年に関関同立へ進学したのは合わせて33名です[8]

大学別に見ると、差はもっとはっきりする

2025年3月卒 主な私立大学の合格者数と進学者数(現役)
関西学院大学
合格64
進学19
関西大学
合格44
進学7
近畿大学
合格38
進学4
甲南大学
合格29
進学8
関西外国語大学
合格25
進学7
バーの長さは合格64を100%とした比率。出典=兵庫県立国際高等学校「過去3年間 学校別進路実績」(本文の注8)。

関西学院大学は合格64に対して進学19、近畿大学は合格38に対して進学4です[8]。同志社大学は合格12に対して進学4、立命館大学は合格21に対して進学6でした。

これは学校が数字を盛っているという話ではありません。1人が複数学部を受ければ合格者数はそれだけ積み上がる、というだけのことです。ただ、「関関同立106人」を1学年110名規模の学校の実績として読むと、実像から離れます。そこを分けて見られるだけの材料を、この学校は自分で公表しています。

国公立は合格と進学が一致している

一方で、国公立大学は合格23・進学23で一致しています[8]。辞退がゼロということです。内訳は京都大1、大阪大1、大阪教育大3、兵庫県立大5、神戸市外国語大3、滋賀大1、京都工芸繊維大1、京都府立大1、京都市立芸術大1、名古屋市立大1、会津大1、国際教養大1、兵庫教育大1、神戸市看護大1、大阪公立大1です。

国公立の合格者数は水増しが効きにくい数字です(前期・後期で1人が複数持つことはあっても、私立ほどの積み上がりにはなりません)。3年間の推移を見ると、2023年3月卒17→2024年19→2025年23と増えています[8]

最新(2026年3月卒)は合格者数だけが出ている

学校案内2026には、2026年3月に卒業した21回生の「主な入試結果」が載っています。兵庫県立大4、神戸市外国語大1、北九州市立大1、茨城大1、鳥取大1。私立は関西外国語大67、近畿大37、関西学院大21、関西大10、甲南大7、同志社大4、立命館大3ほかです[2]

ただし、この欄は合格者数であり、「主な」「等」と限定されています。進学者数と卒業者数はまだ公表されていません。関西外国語大67という数字も、のべ合格数です。前年の同大学は合格25に対して進学7でした。進学者数が分かるのは、過去3年間の進路実績のPDFが更新されてからになります。

※ 学校案内の「入試結果」欄が合格者数であることは、同じ表の令和7年3月卒の数値が、進路実績PDFの合格者数と全項目一致することで確認しました。

向いている人、慎重に考えたい人

ここまでの材料から、当サイトとしての見方を書きます。学校選びの正解はひとつではありませんが、判断の材料としては言い切ったほうが役に立つはずです。

向いていると思う人
  • 英語を「得意科目」ではなく「使う道具」として3年間伸ばし続けたい人。課題と単語テストが続く前提を受け入れられること
  • 第2外国語まで含めて言語を学びたい人。2年次に全員必修で週2時間、3年次は最大週4時間という枠は、普通科の選択科目とは密度が違います
  • この学校を第1志望と決められる人。2月の推薦入学一本で、合格すれば県内公立の他校には出願できない受け方だからです
  • 海外研修に「行き先を問わず」価値を感じる人。国は年度で入れ替わります
慎重に考えたい人
  • 理系を本線で考えている人。進学実績を見れば進めますが、理系科目を積むほど国際科の選択科目に割ける枠は減ります。取れる組み合わせを説明会で確認してからのほうが安全です
  • 部活動を本気でやりたい人。運動部はカヌー部・バスケットボール部・ソフトボール部・バドミントン部・テニス部・陸上部・女子バレーボール部・水泳部・剣道部・男子バレーボール同好会で、サッカー部と野球部はありません[2]
  • 男女比を気にする人。JS日本の学校が掲載する在籍数は男子85名・女子269名(2026年4月現在)で、4人に3人が女子です[14]。在校生も「120人中男子は25人とかです」と書いています[13]
  • 通学時間を短くしたい人。学区が県下全域なので遠方から通う生徒もいます。在校生の投稿にも「通学も1時間近くかかる人にはお勧めしません」とあります[13]
  • 国際バカロレア(IB)を目的にしている人。この学校はIB認定校ではありません[15]。全員必修の第2外国語と全員参加の海外研修という、別のやり方で国際教育を組み立てている学校です

付け加えると、学校の置かれている立場も変わってきています。スーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定は2015年からの5年間で、現在はSGHネットワークへの参加という形です[10]

県の指定としては、2024年から2028年まで「ひょうごリーダーハイスクール」の指定を受けています[2]。「SGH指定校」と現在形で紹介しているページを見かけたら、更新されていない情報だと考えてください。

上の2つの箱のうち、慎重に考えたい側に思い当たる項目が多いなら、いま迷っている点を具体的な質問に変えて、9月か11月のオープンハイスクールで直接ぶつけてみてください。それでも「うちの子で本当に届くのか」が判断しきれないときは、外の目を一度入れてみる手もあります。

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入学時と、その後にかかるお金

公立高校なので、授業料そのものは県が定める金額です。ただし、そのまま家計から出る額ではありません。

授業料年額118,800円(年4期に分けて納入)※就学支援金の対象(同額が支給される)
入学料5,650円
入学考査料2,200円
端末11インチiPadの購入が必要(金額は非公表)
海外研修費非公表(保護者説明会で案内)
出典:兵庫県教育委員会 財務課「県立高等学校等の授業料と入学金はいくらですか?」[12]、兵庫県立国際高等学校「令和8年度 推薦入学生徒募集要項」[1]、同「新入生向けBYOD端末(iPad)購入について」[16]。全日制課程の金額。

端末は学校が用意するのではなく、11インチiPadを各家庭で購入する形です。合格者説明会で購入案内が配布されます[16]。制服はブレザーで、着用のルールは「長袖を着るときにはネクタイ着用のこと」の1点だけと学校が説明しています[10]が、価格は公表されていません。

授業料には高等学校等就学支援金があり、令和8年度の改正で所得制限が撤廃されました[23]。公立高校の支給限度額は年額11.88万円[24]、上の授業料(118,800円)と同額です。つまり授業料の分は支援でまかなわれる形になります。

ただし申請の手続きが必要です[23]。制度の内容は年度で変わりうるので、入学する年の最新は文部科学省のページで確認してください。また、就学支援金の対象は授業料だけです。入学料・iPad・制服・海外研修費は別に用意することになります。

ただし、授業料以外の教育費にも支援があります。文部科学省は同じ案内の中で、教科書費・教材費など授業料以外の教育費を支援する「高校生等奨学給付金」(返還不要)を挙げています[23]。対象になる世帯の条件や金額は自治体の案内で確認してください。

よくある質問

一般入試(3月の学力検査)で受けることはできますか?

できません。国際に関する学科は推薦入学等100%・学力検査0%と県教育委員会の資料に示されており、学校も「推薦入学のみ」と明記しています。

内申は何点必要ですか?

公式の基準はありません。推薦入学の判定資料は「総合評定した判定資料」とだけ定められ、配点は選抜要綱にも学校の募集要項にも記載がありません。塾や家庭教師のサイトに出ている数字は各社の推定です。

合格したら、他の公立高校を受けられますか?

受けられません。募集要項に「合格者は、県内公立高等学校に新たに出願することはできない」と書かれています。不合格の場合は、3月に学力検査を実施する他校へ改めて出願します。

過去問はどこで手に入りますか?

9月の第1回オープンハイスクールで配布されます(学校案内2026に「過去問配布(最新版配布予定)」と記載)。11月の第2回では募集要項と願書の配布・説明があります。

海外研修は全員参加ですか。費用はいくらですか?

2年次に全員が参加します(7日間・ホームステイ)。費用は公式資料に金額の記載がなく、研修ごとの保護者説明会で案内される形です。

帰国生の受け入れはありますか?

あります。外国での在住期間が1年以上あることなどを条件とする帰国生徒にかかわる推薦入学が、国際に関する学科で実施されます。詳細は募集要項の該当欄をご確認ください。

国際バカロレア(IB)は取れますか?

取れません。この学校はIB認定校ではありません。第2外国語の全員必修と2年次の全員海外研修という、別の形の国際教育を行っている学校です。

まとめ

兵庫県立国際高校は、2月の推薦入学だけで120名を募り、当日は英語の適性検査2つと集団面接で決まります。合格すれば県内の他の公立には出願できないため、受ける前に第1志望と決めておく必要があります。

進学実績を見るときは、学校自身が分けている「合格者数(のべ)」と「進学者数(実人数)」のどちらを見ているかを確かめてください。私立344という数字と、私立75という数字は、同じ年の同じ学校のものです。

そして、入ってからは英語が3年間続き、2年次には全員が第2外国語も学び、同じ2年次に全員が海外に出ます。その密度を魅力と読むか負担と読むかが、この学校が合うかどうかの分かれ目だと思います。オープンハイスクールは9月と11月です。過去問が配られるのは9月のほうです。

学科そのものを迷っている段階なら、高校の国際科・英語科を出たあとの進路もあわせて読んでみてください。国際科という選び方が自分に向くかどうかを、出口の側から確かめられます。


参考情報・出典

  1. 兵庫県立国際高等学校「令和8年度 兵庫県立国際高等学校推薦入学生徒募集要項」(2025年11月公表・PDF)
  2. 兵庫県立国際高等学校「学校案内2026」(2026年6月公表・PDF)
  3. 兵庫県教育委員会「令和8年度兵庫県公立高等学校入学者選抜実施結果」(2026年6月・PDF/p.10「選抜方法等の概要」)
  4. 兵庫県教育委員会「令和8年度兵庫県公立高等学校入学者選抜要綱」(2025年12月・PDF/第1006項・第1011項・第7126項・第12210項)
  5. 兵庫県教育委員会「令和8年度 推薦入学等志願状況(確定)」(2026年2月・PDF)
  6. 兵庫県教育委員会「令和7年度 推薦入学合格状況」(2025年2月・PDF)
  7. 兵庫県立国際高等学校「進路状況」
  8. 兵庫県立国際高等学校「過去3年間 卒業生進路実績/学校別進路実績」(2025年4月公表・PDF)
  9. 兵庫県立国際高等学校「学校案内2025」(2025年6月公表・PDF)
  10. 兵庫県立国際高等学校「国際高校について」(沿革・制服)
  11. 兵庫県立国際高等学校「海外研修」
  12. 兵庫県教育委員会 財務課「県立高等学校等の授業料と入学金はいくらですか?」
  13. みんなの学校情報「国際高校(兵庫県)の口コミ」高校受験ナビ「国際高校(兵庫)」掲示板(いずれも2026年7月閲覧)
  14. JS日本の学校「兵庫県立国際高等学校」(2026年4月現在の生徒数)
  15. 文部科学省 IB教育推進コンソーシアム「IB認定校・候補校」(2026年7月閲覧・兵庫県の掲載校に本校の記載なし)
  16. 兵庫県立国際高等学校「【重要】令和8年度 新入生向けBYOD端末(iPad)購入について」(2026年3月13日)
  17. 兵庫県教育委員会「令和8年度 兵庫県立芦屋国際中等教育学校入学者選考受験状況等」(2026年2月・PDF)
  18. 兵庫県教育委員会「令和6年度 推薦入学合格状況」(2024年2月・PDF)
  19. 兵庫県立国際高等学校「令和8年度 ドイツ・フンボルト校訪問研修 第1回保護者説明会」(2026年5月14日)
  20. 兵庫県立国際高等学校「23回生 海外研修第1回保護者説明会」(2026年3月18日)
  21. 兵庫県立国際高等学校「兵庫県齋藤元彦知事来校」(2023年6月22日)
  22. 兵庫県立国際高等学校「令和7年度 学校評価アンケート」(2026年3月・PDF)
  23. 文部科学省「高校生の授業料支援制度(新制度のお知らせ)」(令和8年度・PDF)
  24. 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要(支給限度額)」(令和8年度・PDF)

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この記事を書いた人

Masakiのアバター Masaki IBDP修了生の父/教育・進路メディア運営

我が子のIB経験と海外留学準備で奮闘した保護者としての実体験が原点。「同じ保護者の目線」で膨大な情報を整理・分析し、後悔しない進路選択を共に考えるパートナーとして「国際バカロレアIB広場」を運営。大学選びから留学手続き、その先のキャリア形成までを見据えた情報を提供しています。→ 運営者プロフィール・お問い合わせ

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