チューリッヒ工科大学(ETH)の入学条件・偏差値・学費【2026】日本人がIBから入るには

「世界トップ10の大学が、学費は年およそ30万円?」。そう語られてきたETH(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)ですが、2025年秋学期から留学生の学費が約3倍になりました。それでも世界最高峰の理工系教育を受けられる価値は健在です。

ETH(現地表記 ETH Zürich/ETHZ)は、アインシュタインが学んだ理工系の名門です。IBが所定の条件を満たしていれば試験なしで入学できる可能性があり、一般的な日本の高校生も入学試験を通じて挑戦できます。ただし学士課程の授業はドイツ語。英語力だけでは入学できません。ここが最大のポイントです。

ETHは世界最高峰の理工系でありながら、学費だけなら手が届きます。だから勝負を決めるのは、ドイツ語C1と入学試験のほうです。ここでは ETH公式(ethz.ch)で確認した2027年秋入学向けの入学条件・学費・総費用を、準備の順番とあわせて整理します。海外トップ大学の比較ならIBからオックスフォード大学へ、アジアの選択肢はIBからシンガポール国立大学(NUS)へもどうぞ。

目次

ETHとは?世界トップ10常連の理工系最高峰

ETHの基本
  • 世界大学ランキング:QS・THEとも世界トップ10前後の常連(東京大学より上位。※順位は年度・機関で変動)
  • 世界中から2万人以上が在籍し、学生のおよそ3人に1人が留学生(ETH公表値の目安)
  • アインシュタインの母校。ノーベル賞受賞者を多数輩出(歴代20名以上とされる)
  • 学費はスイスの公立大学として比較的手頃(後述・2025年秋に留学生は改定)

ETHの偏差値・難易度は?日本の大学に例えると

チューリッヒ工科大学に偏差値はありません。日本の模試が算出する指標なので、選抜の仕組みが違う海外大学には付かないのです。そこで、日本の大学と並べたときの難易度の目安を見ておきます。

大学世界ランキングの位置(目安)
ETH(チューリッヒ工科大学)QS・THEとも世界トップ10前後
東京大学QS・THEとも世界20〜30位台
京都大学世界40〜60位台
世界ランキングは年度・調査機関で変動します。あくまで難易度の”目安”で、偏差値ではありません。

つまりETHは、学力だけなら日本の最難関(東大・京大)と同格かそれ以上。加えてドイツ語C1+入学試験という、日本の入試には存在しない関門が上に乗ります。「偏差値◯◯相当」に置き換えることはできませんが、日本トップ校レベルの学力に、語学と試験の関門が上乗せされると考えるのが実態に近いです。

ETHの入学ルート|日本の高校生の3パターン

ETHの学士課程には、日本の学生が使える3つの入学ルートがあります。教育背景と履修科目でどれになるかが決まります[1]

  1. 無試験入学:IBなどの条件を満たす場合(最も理想的)
  2. 軽減入学試験(4科目):条件を一部満たす場合
  3. 総合入学試験(8科目):上記に当てはまらない場合(最難関)

ルート1:IBによる無試験入学

総合スコア38点以上(42点満点・ボーナス点除く)
HL(必須)1. 数学(AA または AI)/2. 物理・化学・生物のいずれか1科目/3. 言語A 1科目
SL(3科目)物理・化学・生物・地理・歴史・経済/経営・第二言語・コンピュータサイエンス から3科目
出典:ETH Zurich 募集要件(2025/26)[1]。要件を満たさない場合は軽減入学試験へ。

よくある誤解:「HLで理科2科目が必須」と紹介されることがありますが、公式はHL理科は物理・化学・生物のいずれか1科目でOK(コンピュータサイエンスはHLの選択肢ではなくSL側)。数学HLは必須です[1]

ETHの場合、38点+HL数学・理科の高得点に加えて入学試験があります。IBのスコアづくりと試験対策を、同じ時期に並走させることになる。時間配分がそのまま結果に出ます。EE・TOK・IAを含めた学習設計を、早いうちにIB経験者と組み立てておくと動きやすくなります。

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ルート2:軽減入学試験(4科目)

試験科目は数学・第一言語・第二言語・自然科学(物理/化学/生物から選択)の4科目です。ただしETH公式の日本向け要件では、軽減試験の前提として「日本の大学の入学許可」を得ていることが条件とされています[1]

当てはまらない場合は総合入学試験(8科目)になります。具体的な適用は必ず公式・出願前にご確認ください。

ルート3:総合入学試験(8科目)

数学・物理・化学・生物・第一言語(ドイツ語)・第二言語(英/仏/伊から選択)・地理または歴史・自由選択の8科目。高校の履修科目に関係なく受験でき、最難関ですが誰でも挑戦できます[3]

重要入学試験そのものがドイツ語で実施されます(各科目の専門用語をドイツ語で理解している必要あり)。「英語ができれば試験ルートで入れる」は誤りです[3]。試験日程の例:2027年1月中旬(登録は前年9〜10月)。

ETH入学のドイツ語要件(C1)

学士課程は1年目は完全にドイツ語で開講され(2〜3年で一部英語授業)[6]、出願締切(3月31日)までにドイツ語C1相当の語学証明の提出が必須です[2]。認定される主な資格は次のとおりです。

資格必要基準
Goethe-Zertifikat C1平均80点以上(全モジュールを12か月以内に合格)
Goethe-Zertifikat C2全セクション合格
TestDaF4セクションすべて最低スコア4
telc Deutsch C1 Hochschule「gut」以上
DSH-3 ほか合格
出典:ETH Zurich「Language requirements」[2]。ドイツ語母語者や独語圏の高校修了者等は免除。C1到達には通常1〜2年かかるため早期開始を。

なお修士課程は英語で開講されるプログラムが多いため、「学部はドイツ語、大学院は英語」と使い分ける進路もあります。

ETHの学費【2025年秋に留学生は改定】

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区分授業料(年額)円換算の目安
〜2025年夏学期(全学生)CHF 1,460約29万円
2025年秋以降:留学生(日本人)CHF 4,380約88万円
スイス・EU等(Group1)CHF 1,460(据置)約29万円
出典:ETH Zurich「Tuition fees」[4]。円換算は編集部の目安(1CHF≒200円・2026年7月時点/為替は変動)。日本人はスイス非居住=Group2で改定対象。

経過措置

  • 2025年夏学期以前に学士課程へ登録済みの学生は、学士課程修了まで旧学費(年CHF1,460)が適用
  • ただしその学生が修士課程に進むと新学費が適用されます[4]

ETH留学の総費用【公式データ】学費より”生活費”が主役

ETHの学費自体は安いですが、チューリッヒは世界有数の物価高。ETHの学生支援課(Financial Aid Office)が公表する公式の年間費用目安を見ると、実際にかかるお金の中心は生活費です。

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項目(留学生・年額)CHF円換算の目安
学費・試験料等4,380約88万円
家賃(チューリッヒ州平均)11,300約226万円
食費7,200約144万円
健康保険1,320約26万円
交通・学用品・個人支出 等3,900約78万円
年間総額約28,100約562万円
出典:ETH Zurich「Study and living costs」(Financial Aid Office・家賃は2024年平均)[5]。円換算は編集部目安(1CHF≒200円)。建築学科(D-ARCH)はやや高め。

注意|「学費が安い」だけで判断しない

他サイトでは「ETHは総額200万円台」と紹介されることがありますが、公式の生活費目安は年約562万円(家賃だけで約226万円)です。さらに次の隠れコストもあります。

  • 一次出願手数料:CHF150(約3万円)[4]
  • 入学試験を受ける場合の受験料:CHF550〜800(約11〜16万円)[3]

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ETH出願スケジュール(2027年秋入学)

時期手続き
2026年12月1日〜2027年3月31日オンライン出願
2027年3月31日までドイツ語証明書の提出
2027年8月31日まで最終成績・卒業証明書の提出
2027年9月20日修学開始(秋学期)
出典:ETH Zurich「Dates(2027年秋入学)」[7]。締切は年度により変わるため必ず公式で最新を確認。

日本の高校生の準備ステップ

POINT

IB科目選択(Grade 11開始前)

  • 数学はAA-HLまたはAI-HLを選択
  • 物理・化学・生物のいずれか1科目をHL(理系志望は物理HL推奨)
  • 言語A 1科目をHLで確保
POINT

ドイツ語(最重要・早期)

  • Grade 11までにドイツ語学習を開始(C1到達に1〜2年)
  • Goethe C1 などの証明を出願締切前に取得
POINT

成績(38点+HL高得点)

  • IB総合38点以上を目標に設定
  • 特にHL数学・理科での高得点が重要

よくある質問(FAQ)

英語だけで入学・勉強できる?

いいえ。学士課程はドイツ語で行われるため、英語だけで入学することはできません。入学試験のルートを選んでも、試験そのものがドイツ語です。ただし修士課程には、英語で受けられるプログラムが多数あります。

ETHの偏差値はどのくらい?

海外大学に偏差値はありません。難易度の目安では世界トップ10前後(東大より上位)で、日本の最難関+ドイツ語C1+入学試験という多重のハードルと考えるのが実態に近いです。

IBが38点に届かない・HL理科が足りない場合は?

無試験入学の要件(総合38点+HL数学・理科いずれか1科目・言語A)を満たせなくても、軽減入学試験(4科目・受験には対象資格の条件あり=本文ルート2参照)または総合入学試験(8科目)で挑戦できます。総合入学試験は高校の履修科目を問いませんが、いずれも試験はドイツ語で行われます。

ドイツ語はいつから、どの資格で準備すればいい?

C1到達には通常1〜2年かかるため、Grade 11までの開始が安全です。認定される主な資格はGoethe-Zertifikat C1(平均80点以上)・TestDaF(各セクション4以上)・telc C1 Hochschule・DSHなど。出願締切(3月31日)までに語学証明の提出が必要です。

同じドイツ語圏の工科大学を併願先として検討するなら、ミュンヘン工科大学(TUM)の入学条件・学費もあわせて確認しておくと選択肢が広がります。また、同じスイス連邦立の姉妹校でフランス語圏にあるEPFL(スイス連邦工科大学ローザンヌ校)の入学条件・偏差値・学費は、言語(ドイツ語かフランス語か)で選ぶ比較対象になります。

まとめ|ETHへの道筋

ETHは、世界最高峰の理工系教育を、学費だけなら比較的手頃に受けられる大学です。壁になるのはお金ではありません。ドイツ語C1・入学試験・チューリッヒの生活費。ここを2025年秋の学費改定も含めて早い段階で数字にしておくことが、実現できるかどうかを決めます。

  • 入学ルート:IB無試験/軽減試験(4科目)/総合試験(8科目)から自分に合う道を
  • ドイツ語C1:最重要。1〜2年かかるので最優先で早期スタート
  • 費用は総額で:学費約88万円より、生活費込み年約562万円で計画
  • 最新情報:学費・日程は毎年変わる=必ず公式で確認

ETHの準備で他大学と違うのは、ドイツ語C1と入学試験のどちらを先に固めるかという順番を自分で決めないといけない点です。C1は1〜2年、試験対策も直前に詰め込める性質ではない——順番を決めずに走ると両方が中途半端になります。独りで決めにくければ、相談で順番だけ先に決めてしまうと残りが逆算できます。

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参考情報・出典

  1. ETH Zurich「Admission requirements 2025/26(IB・国別要件)PDF」
  2. ETH Zurich「Language requirements(ドイツ語要件)」
  3. ETH Zurich「ETH Entrance examination(入学試験)」
  4. ETH Zurich「Tuition fees(学費)」
  5. ETH Zurich「Study and living costs(生活費・Financial Aid Office)PDF」
  6. ETH Zurich「Bachelor’s degree programmes(開講言語)」
  7. ETH Zurich「Dates(出願日程)」

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この記事を書いた人

Masakiのアバター Masaki IBDP修了生の父/教育・進路メディア運営

我が子のIB経験と海外留学準備で奮闘した保護者としての実体験が原点。「同じ保護者の目線」で膨大な情報を整理・分析し、後悔しない進路選択を共に考えるパートナーとして「国際バカロレアIB広場」を運営。大学選びから留学手続き、その先のキャリア形成までを見据えた情報を提供しています。→ 運営者プロフィール・お問い合わせ

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