アメリカの大学への留学は、学術的な成長はもちろん、国際的な視野を広げる素晴らしい機会です。しかし、卒業が近づくにつれて、こんな疑問や不安が出てきます。
卒業後もアメリカに残って働けるのかな?
どんなビザが必要なんだろう?
この記事では、アメリカの大学を卒業する(または卒業した)日本人留学生が、卒業後にアメリカで就労経験を積むための主なビザを、2026年9月時点のUSCIS・連邦規則の記載に当たって整理します。
基本的な考え方
アメリカの大学を卒業した留学生がすぐに「永住権(グリーンカード)」を取得して自由に働けるわけではありません。
多くの場合、まずは「就労許可」を得て一時的に滞在し、その間に長期的な就労ビザや永住権を目指すことになります。
卒業後の進路として最も一般的なのは、OPTを利用し、その後H-1Bビザを目指すルートです。

OPT(Optional Practical Training)卒業後の最初のステップ
OPTは、F-1学生ビザを持つ留学生が、専攻分野に関連した実務経験を積むために一時的に米国内で就労することを許可する制度です。
卒業後にアメリカで働くなら、ほぼ全員がここを通ります。在学中の就労(CPT)との違いや申請の時期は、F-1ビザでの就労ルールで詳しく整理しています。
種類
- Pre-completion OPT
在学中に利用可能(パートタイムが主) - Post-completion OPT
卒業後に利用可能(週20時間以上のパートタイム、またはフルタイム)[1] – 本記事が主に扱うのはこちらです
期間
これは「STEM OPT Extension」と呼ばれ、対象になるにはDHSのSTEM指定学位リストに載った学位であること、雇用主がE-Verifyに参加していることの両方が必要です[2]。
対象となる専攻リストは随時更新されるため、ご自身の専攻が該当するか大学の留学生オフィスに確認が必要です。
申請時期と手続き
- 卒業日の90日前から卒業後60日までの間に申請できます[1]が、卒業前に申請を完了させることが強くおすすめです
- もう一つの締切に注意
DSOがSEVISにOPTの推薦を入力してから30日以内に、USCISへForm I-765を提出しなければなりません[1](STEM OPT延長の場合は60日以内[2]) - 申請手続きは、大学の留学生オフィス(DSO – Designated School Official)を通して行います
- STEM OPT延長を期限内に申請し、審査中に現在のOPTが切れた場合は、雇用許可が自動的に180日間延長されます[1]
この自動延長はSTEM OPT延長の申請にだけ適用されるもので、最初のOPT申請には適用されません[2]
F-1ステータス維持(Grace Period/Cap-Gap)
- グレースピリオド
卒業後は60日間の猶予期間があり[3]、この間にOPT申請、帰国準備、または他のビザステータスへの変更を行う必要があります - 失業許容期間
OPT期間中の失業が一定日数(通常OPTは90日、STEM OPT延長を含めて合計150日)を超えるとステータスを失う可能性があるので注意しましょう[2] - Cap-Gap延長
OPT期間中にH-1Bへの変更申請が期限内に出されていれば、OPTとF-1ステータスが自動的に延長されます。延長の終わりはそのH-1Bの就労が始まる会計年度(10月1日開始)の4月1日か、承認された申請の開始日のどちらか早い方です[3]
重要な点
H-1Bビザ(専門職就労ビザ)
OPT期間中に就労経験を積み、さらに長期的にアメリカで働きたい場合、多くの人が次に目指すのがH-1Bビザです。
これは専門的な知識(通常は学士号以上の学位が必要)を要する職種に就く外国人労働者のための非移民就労ビザです。
H-1Bビザの基本情報
- 年間発給枠
65,000枠(一般枠)+ 20,000枠(米国の大学院で修士以上を取得した人向け)が設けられています[5] - スポンサーシップ
雇用主(企業)がスポンサーとなり、あなたの代わりにビザ申請を行う必要があります - 有効期間
初回は最長3年、延長を含めて通算6年まで[4]
費用と期間の目安
- 登録料
抽選への登録1件につき$215[5] - 申請費用(2026年5月29日版の料金表[7])
Form I-129の基本申請料が$780(オンライン申請は$730。小規模雇用主・非営利は$460)、詐欺防止料が$500、ACWIA訓練費が$750または$1,500、Asylum Program Feeが$600(小規模雇用主$300・非営利$0)。米国内の従業員が50人以上で、その過半がH-1B・L-1AまたはL-1Bという雇用主には、さらに$4,000が加わります - 負担区分
法律で雇用主が負担すべき費用(詐欺防止料、ACWIA訓練費など)と、個人で負担可能な費用があります - 優先審査(プレミアム処理)
H-1Bのすべての申請で利用できます[5]。手数料はForm I-907で$2,965[7]
申請プロセスとタイミング
- 登録期間
直近のFY2027(2027会計年度)分は、2026年3月4日正午に開き、3月19日午後5時(いずれも米国東部時間)に締め切られました。登録期間は会計年度ごとに最低14日間と決まっているだけで、日付は毎年発表されます[6] - 抽選プロセス
FY2027分から「加重抽選(weighted selection)」に変わりました。提示賃金がOEWSの賃金水準IVに達する登録は抽選箱に4回、IIIは3回、IIは2回、Iは1回入ります[5]。つまり提示される給与が高いほど当たりやすいしくみです - 申請結果通知
FY2027分は3月31日までに通知する予定と公表されていました[6] - 就労開始日
申請書には、その会計年度の10月1日以降の開始日を書く必要があります[5]
抽選落選時の代替ルート
- OPTが継続中であれば引き続き就労し、翌年再度H-1B抽選に参加
- 他のビザカテゴリー(O-1、L-1、Eビザなど)への切り替えを検討
- 日本または第三国でのキャリア構築と将来的な米国再挑戦の計画を立てる

重要な点
- 希望する職種がH-1Bの対象となる「専門職」であるか確認しましょう
- 雇用主がH-1Bのスポンサーになる意向があるか事前に確認しておくことが大切です
- 抽選という不確実性があるため、OPT期間を有効活用しつつ、他のキャリアパスも視野に入れておくと安心です
- FY2025分の登録から「受益者中心(beneficiary-centric)」の方式になり[6]、同じ人について何社が登録しても、その人は抽選の母数に1回しか数えられません[5]=複数社に登録してもらっても当選確率は上がりません
- 2025年9月19日の大統領布告により、同年9月21日以降に出される一部のH-1B申請には$100,000の追加支払いが条件として課されました。ただしこの運用指針は2026年6月8日の連邦地裁の命令で無効とされ、2026年9月6日時点では徴収されていません[4]
DHSは命令に従いつつ不服を表明しており、命令が解かれれば徴収する方針だと述べています。争いが続いている論点なので、就職活動の時点でUSCISの当該ページを必ず確認してください
OPT・H-1B以外のビザオプション
OPTやH-1B以外にも、特定の状況下で利用可能なビザやパスがあります。
代替ビザオプション
- J-1ビザ(インターンシップ・研修など短期交流プログラム)
大学・企業などの認定スポンサー組織を通じて申請します。2年間の本国帰国義務(212(e))がかかるのは、次のいずれかに当たる場合だけです[10]=(1) プログラム費用の一部でも米国政府または本国政府が負担している (2) 米国務省が指定する国別の「Skills List」に自分の専門分野が載っている (3) 卒後の医学研修(graduate medical education or training)で渡米した。すべてのJ-1にかかるわけではありません。対象になった場合は、帰国義務の免除申請(Waiver)という手続きが別に用意されています - O-1ビザ(科学・芸術・教育・ビジネス・スポーツ等で、国際的に認められた顕著な実績を有する人)
H-1Bのような登録・抽選の関門はありません(登録が要るのは枠の対象になるH-1B申請だけです[6])。そのぶん「卓越性」を証明するための受賞歴・出版物・メディア報道などの基準は厳格で、抽選の運に左右されない代わりに実績で通す道になります - L-1ビザ(同一企業の海外支社から米国支社へ転勤する管理職=L-1A、または専門知識職=L-1B)
渡米の直前3年間のうち、日本本社等で継続して1年以上(通算ではなく、途切れずに1年)働いた実績が要ります。滞在は初回が最長3年(米国に新しい拠点を立ち上げる場合は1年)、延長を含めてL-1Aは最大7年[8]、L-1Bは最大5年です[9] - Eビザ(E-1/E-2)(日米間の貿易取引を主導する従業員=E-1、または米国への実質的投資を行う出資者・担当者=E-2)
米国内で合法な非移民ステータスにあるうちは、Form I-129でEへの変更申請ができます。米国外にいる間はForm I-129では申請できず、国外からのビザ申請は米国務省の案内で確認します。滞在は初回が最長2年で、延長は1回につき最長2年、回数の上限はありません(E-1[11]・E-2[12]とも同じ規定)
永住権への道
- H-1Bなどを経て雇用主がスポンサーになる方法(PERM労働認証プロセス)
- 特定のカテゴリー(卓越能力保持者、研究者、投資家など)で自己申請する方法
- 家族(米国市民や永住権保持者)を通じて申請する方法
卒業後の進路のために在学中からできること
- 学業に励む
良い成績は就職活動やビザスポンサー探しに有利に働きます - 専門性を高める
自分の専攻分野での知識やスキルを深め、アピールできるようにしましょう - インターンシップ(CPT)
在学中に専攻と関連のあるインターンシップを経験することは、卒業後の就職活動で職歴として使えます- カリキュラムの一部として単位を取得しながら実施するもので、OPTとは異なります
- フルタイムCPTを12ヶ月以上使用するとOPT資格に影響する場合があるので注意が必要です
- キャリアセンターや留学生オフィスの活用
大学の各種サポート部門を積極的に活用しましょう - ネットワーキング
教授、クラスメート、業界のイベントなどを通じて人脈を築くことが大切です - 情報収集と早期準備
ビザの規定は頻繁に変更される可能性があります。常に最新情報を収集し、早めに準備を始めましょう
日本人留学生のための特別な考慮点
日本企業とのつながりを活かす
- 日系企業での就職
米国に拠点を持つ日系企業は、日本人留学生にとって言語と文化の強みを活かせる選択肢となります - 将来的なL-1ビザの可能性
日本の本社で継続して1年以上(渡米直前の3年間のうちに)勤務すれば、L-1ビザで米国オフィスへ転勤できる場合があります[8]
日米の架け橋となるキャリア
- バイリンガルの強み
日英両言語のスキルを持つ人材は、グローバルビジネスにおいて高い価値があります - 国際取引・ビジネス
日米間のビジネスに関わる職種では、文化的背景と言語スキルが強みになります
ビザ以外の選択肢
- 日本へ帰国
米国での学位と経験を活かして、グローバル企業や外資系企業での就職を目指せます - 第三国での機会
カナダ、オーストラリア、シンガポールなど、他の英語圏国家での就労機会も検討してみましょう - 起業家としての道
革新的なアイデアを持つ場合、スタートアップビザなど起業家向けの選択肢も視野に入れてみては?

希望と現実アメリカのビザ取得
アメリカの大学を卒業後に現地で就労経験を積むことは、多くの留学生にとって魅力的な選択肢であり、OPTやH-1Bといった制度はそのための道筋を提供しています。
ただし、特にH-1Bビザの取得には競争や抽選といった不確実性が伴うのも事実です。
大切なのは、正確な情報を得て、早めに準備を始め、利用できるリソース(大学のDSO、キャリアセンターなど)を最大限に活用すること。
そして、万が一希望通りに進まなかった場合の代替プランも考えておくことで、より安心して将来設計ができるでしょう。
よくある質問
注意: この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況に応じた法的アドバイスではありません。最新かつ正確な情報を得るためには、大学の留学生オフィスや移民法専門の弁護士にご相談ください。
参考情報・出典
いずれも2026年9月6日に閲覧。米国の移民制度は改定が続いているため、各ページの「Last Reviewed/Updated」の日付を併記しています。手続きの前には必ず原典をご確認ください。
- USCIS「Optional Practical Training (OPT) for F-1 Students」(Last Reviewed/Updated: 11/25/2024)https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/students-and-exchange-visitors/optional-practical-training-opt-for-f-1-students
- USCIS「Optional Practical Training Extension for STEM Students (STEM OPT)」(Last Reviewed/Updated: 01/30/2026)https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/students-and-exchange-visitors/optional-practical-training-extension-for-stem-students-stem-opt
- USCIS「Extension of Post Completion Optional Practical Training (OPT) and F-1 Status for Eligible Students under the H-1B Cap-Gap Regulations」(Last Reviewed/Updated: 01/17/2025)https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/h-1b-specialty-occupations/extension-of-post-completion-optional-practical-training-opt-and-f-1-status-for-eligible-students
- USCIS「H-1B Specialty Occupations」(Last Reviewed/Updated: 08/31/2026)https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/h-1b-specialty-occupations
- USCIS「H-1B Cap Season」(Last Reviewed/Updated: 07/17/2026)https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/h-1b-specialty-occupations/h-1b-cap-season
- USCIS「H-1B Electronic Registration Process」(Last Reviewed/Updated: 07/17/2026)https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/h-1b-specialty-occupations/h-1b-electronic-registration-process
- USCIS Form G-1055「Fee Schedule」(Edition 05/29/26・PDF)https://www.uscis.gov/sites/default/files/document/forms/g-1055.pdf
- USCIS「L-1A Intracompany Transferee Executive or Manager」(Last Reviewed/Updated: 08/31/2026)https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/l-1a-intracompany-transferee-executive-or-manager
- USCIS「L-1B Intracompany Transferee Specialized Knowledge」(Last Reviewed/Updated: 08/31/2026)https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/l-1b-intracompany-transferee-specialized-knowledge
- eCFR「22 CFR 41.63 Two-year home-country physical presence requirement」(2026年9月6日時点の現行条文)https://www.ecfr.gov/current/title-22/section-41.63
- USCIS「E-1 Treaty Traders」(Last Reviewed/Updated: 04/08/2025)https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/e-1-treaty-traders
- USCIS「E-2 Treaty Investors」(Last Reviewed/Updated: 08/20/2026)https://www.uscis.gov/working-in-the-united-states/temporary-workers/e-2-treaty-investors
