留学先としても人気の高いオーストラリアの大学は、世界的にも高い評価を受けていて、その学位は国際的にも高く認められています。
また、オーストラリアは、多文化社会の中で多様性と包摂性を重んじる国として知られています。
遠い異国の地で学ぶことに加え、このような環境で学ぶことは、単に新しい知識を習得するだけではなく、世界観を広げ、自立心を養う貴重な機会となります。
そんなオーストラリアの大学へ進学を考える際に必要になってくるのが、オーストラリアの成績評価基準です。
この記事ではオーストラリアの成績評価基準(ATAR)と、国際バカロレアIBDPスコアの関係性についても詳しく見ていきます。
オーストラリアの成績ATAR
オーストラリアの大学入学の主要な基準となるのがATAR(Australian Tertiary Admission Rank)です。
ATARは、その年の高等学校卒業生全体に対する学生の相対的な位置を示すパーセンタイルランキングで、0.00から99.95の間で0.05刻みで表示されます。ですので、これは得点ではありません。
オーストラリアの高校では、自分が学びたい科目を自由に選択でき、学生が受けた科目の難易度はバラバラであり、また州によって教育システムも異なるので、それぞれの州でATARの計算方法も異なってきます。
それでも全国で統一したランクを出すために、ATARは各州で独立してATARが計算されますが、その等価性は全国的にオーストラリア高等教育入学センター会議(ACTAC)を通じて確認されます。
これにより、州の違いや難易度の高い科目、難易度の低い科目を選択した学生間でも、しっかりと比較ができるように、スケーリングというプロセスが各州で行われるようになっています。
大学への入学許可
ATARは、学生がその年における全学生体に対する全体的な位置を示す指標で、高いATARを持つ学生は、自分が希望するコースへの入学を優先的に考慮されることになります。
ただし、ATARだけが大学入学の基準というわけではありません。
大学は「選択ランク」という大学側が学生を選択するために使用する大学独自の基準に基づく追加ポイントや、特別な考慮事項などの組み合わせて、大学独自の基準に基づいて入学を許可しています。
一部の大学では、地方出身者、先住民、経済的に困難な申請者などの不利な状況に基づいて追加ポイントが提供されるようです。
ここまでATARのことについて説明をしてきましたが、日本でIB(国際バカロレア)教育を受けた学生がオーストラリア大学を目指す場合、IBの最終スコアがATARに変換されます。
基本的にこの変換は自動で行われるのですが、進学を目指している大学や学部の最低ATAR条件をクリアしているのかどうか。また、例えば支給される奨学金の対象資格であるかどうか。
このようなことを知るためにも、IBDPの最終スコアが何点だったら、ATARはどれだけがになるのかを概算数値でも知っておくことには意味があります。
オーストラリアの名門
シドニー大学の必要ATAR
シドニー大学は、オーストラリアで最も歴史のある大学の一つで、QS世界大学ランキング2024では19位(東京大学28位)にランクインし、就職率ランキングでは世界4位と、世界からも高い評価を受ける超名門校です。
ここでは、そんなシドニー大学が設けているATARの最低数値を5つの学部で確認してみます。
Arts | Economics | Engineering (Software) | Liberal Arts and Science | Psychology |
---|---|---|---|---|
82.00 | 91.60 | 91.05 | 70.25 | 97.00 |
上表を見ても分かるように、学部により求められるATARはバラバラで、学部によっては上位10%のATARを獲得していないと入れないところもあります。
メルボルン大学
50%の授業料免除
例えば、メルボルン大学が留学生向けに提供している、メルボルン・チャンセラーズ奨学金は、学士号コースの標準フルタイム期間の授業料の50%が援助されます。
この奨学金の対象となる学生の前提条件には、「国際バカロレアを終了している」という項目もあります。
この前提条件をクリアしている上で、少なくともATAR99.90を達成していることが選定基準になっていますが、そこには国際バカロレア(IBDP)のスコアは記載されていないので、国際バカロレア(IBDP)のスコアをATARのスコアに変換して確認する必要があります。
もちろん、最終的にはメルボルン大学へ直接出してみないと分かりません。
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IB(国際バカロレア)の受入れ
オーストラリアの大学は、IB(国際バカロレア)ディプロマを完全に修了し、授与された学生を受け入れています。
ディプロマを授与されたIBの結果は、ほとんどの大学のコースに申し込む際に、自動的にオーストラリアの大学入学ランク(ATAR)に直接変換されます。
この変換は、オーストラリア高等教育入学センター会議(ACTAC)によって計算されます。そして多くの大学では、変換されたATARの数値に調整要素を加えています。
また一部の大学では、ATARへの変換ではなく、IBDPのスコアを入学の基準として使用している大学もあります。
IBDPのスコアをATARに変換
以下の表は、2023年に大学への入学を申し込み、2024年に高等教育を開始するオーストラリアの学生に適用されるもので、2023年6月7日に更新されたものです。
この表の数値は、細かい変換が行われる前の基本的な国際バカロレア(IBDP)のスコアをATARに変換したものです。
IBDPスコア | ATAR(アタール) |
---|---|
45 | 99.95 |
44 | 99.70 |
43 | 99.25 |
42 | 98.80 |
41 | 98.15 |
40 | 97.30 |
39 | 96.35 |
38 | 95.30 |
37 | 94.25 |
36 | 92.85 |
35 | 91.50 |
34 | 90.15 |
33 | 88.30 |
32 | 86.30 |
31 | 84.30 |
30 | 82.40 |
29 | 80.10 |
28 | 77.80 |
27 | 75.55 |
26 | 73.00 |
25 | 70.25 |
24 | 67.85 |
この換算表を見ると、国際バカロレア(IBDP)は、とても高く評価されているということが分かります。例えばIBDPで34点を取得していると90.15ということですので、上位10%以上に位置することになります。
最終的には学校へ出してみないと分からないのですが、1つの目安としてこの換算表が役立つと幸いです。