「子どもを大学に送り出したけど、仕送りはいくら必要なの?」
「他の家庭はどれくらい送っているんだろう…」
「子どもにとって足りる金額なのか、それとも少なすぎるのか不安…」
大学生のお子さんを持つ親御さんなら、こんな悩みを一度は抱えたことがあるのではないでしょうか。
実際、2024年の調査では大学生への仕送り額の全国平均は、前年から増加傾向にあります。しかし一方で、全国の大学生の約7%は仕送りゼロで生活しています。この数字だけを見ても、仕送り事情がいかに家庭によって異なるかがわかります。
この記事では最新の調査データに基づき、大学生への仕送り事情を徹底解説。地域差や国公私立の違い、アルバイトや奨学金との兼ね合いなど、親子で考えるべきポイントも見ていきます。
仕送りの全国平均額
最新の調査結果からみる仕送り平均額
複数の調査結果によると、大学生への仕送り額の全国平均は以下のようになっています:
データ | 月額仕送り |
---|---|
全国大学生活協同組合連合会 | 72,350円 |
東京私大教連調査 | 89,300円 |
日本政策金融公庫調査 | 79,000円 |
全国大学生協連調査 | 70,120円 |
全国大学生協連の調査では仕送り額が前年から2,230円増加し、コロナ禍以前の水準に戻っています。これは物価上昇の影響を受けていると考えられます。
国公立大学と私立大学の差
学費の支払いも含めた仕送り額は、通う大学の種類によっても差があります。
- 国立大学の仕送り平均額
年間約116万円(月額約9万7,000円) - 私立大学の仕送り平均額
年間約163万円(月額約13万6,000円)
家庭からの給付は学費が国立大学より高い私立大学の方が多くなる傾向がありますが、自宅通学生の割合や地域差も影響しています。
仕送り額の内訳と実情
家賃が仕送りに占める割合
東京私大教連の調査による仕送りに占める家賃の割合は以下のとおりです。
仕送り額 | 月額8万9,300円 |
---|---|
家賃平均 | 月額6万9,700円 (前年比2,400円増) |
家賃が仕送りに占める割合 | 78.1%(過去最高) |
首都圏では家賃の高騰により、仕送り額から家賃を差し引いた生活費は月額わずか1万9,600円、1日当たり約653円という厳しい状況になっています。
仕送り金額の分布
全国大学生活協同組合連合会の最新調査(2024年)によると、仕送り金額の分布は以下の通りです。

0円 | 6.9% |
5万円未満(0円を除く) | 16.1% |
5~10万円未満 | 31.1% |
10万円以上 | 27.2% |
仕送り金額は5~10万円が最も一般的な層となっています。
また「仕送り金額10万円以上」は、1995年から2010年にかけて大きく減少し、2009年には「5万以上10万未満」の割合が「10万円以上」を逆転しました。
仕送り「0円」の学生は概ね7%前後で推移しています。
大学生の生活費事情
一人暮らしの月間支出
全国大学生活協同組合連合会の最新調査(2024年)によると、一人暮らしの大学生にかかる平均月額費用は約13万1,710円です。
項目 | 金額 |
---|---|
住居費 | 56,090円 (前年比+1,960円) |
食費 | 26,110円 (前年比+230円) |
教養娯楽費 | 13,870円 (前年比+1,030円) |
日常費 | 7,520円 |
交通費 | 5,050円 |
電話・通信費 | 3,320円 |
その他 (書籍費、勉学費など) | 5,510円 |
貯金・繰越 | 14,250円 (前年比-490円) |
収入源の内訳
多くの学生は仕送りだけでなく、アルバイトや奨学金で生活費を補填しています。
項目 | 金額 |
---|---|
収入合計 | 132,140円 (前年比+2,900円) |
仕送り | 72,350円 (収入全体の約55%) |
アルバイト | 37,540円 (収入全体の28.4%、前年比+1,430円) |
奨学金 | 19,140円 (前年比-520円) |
特に奨学金を受給している下宿生に限ると、その収入の43.2%を奨学金が占めています。
また就労率は76.8%と、コロナ禍前の水準を超え、過去10年間で最高となっています。
仕送り額を検討する際のポイント
地域による差
住居費を中心に、地域によって必要な生活費には大きな差があります。
- 首都圏
家賃相場が高く、ワンルームでも月額7万円程度から - 地方
首都圏と比べて家賃相場が低い場合が多い
学生と保護者間のコミュニケーション
仕送り額を決める際は、以下の点について親子でオープンに話し合うことが重要です。
- 家計の実情と仕送り可能な限度額
- 学生の生活スタイルと必要経費
- アルバイトや奨学金の活用方針
- 緊急時の対応方法
学費と生活費の区別
多くの調査で示されている仕送り額には学費が含まれていない場合があります。実際の負担を考える際は、以下を区別して考えることが重要です。
- 学費:授業料、施設費など
(大学種別によって大きく異なる) - 生活費:住居費、食費、交通費など
仕送りを補完する方法
奨学金の活用
奨学金は学生の重要な収入源となっています。
日本学生支援機構(JASSO)の「令和4年度 学生生活調査」によると、大学(昼間部)の学生のうち、何らかの奨学金を受給している割合は55.0%に達しています。
これには日本学生支援機構の奨学金およびそれ以外の奨学金(給付・貸与等)のいずれか、または両方を受給した学生が含まれます。
- 第一種奨学金(無利子)
成績基準と家計基準あり - 第二種奨学金(有利子)
家計基準あり - 給付型奨学金
「高等教育の修学支援新制度」による
効率的なアルバイト
アルバイトは収入源として重要ですが、以下のバランスを考慮することが大切です:
- 学業とアルバイトの時間配分
- 時給と交通費などのコストパフォーマンス
- 通学路や大学近くでの求人を優先的に検討
学費減免制度の活用
「高等教育の修学支援新制度」など、家計状況に応じた支援制度の活用も検討しましょう。
学生の声
仕送りと生活の実態
全国大学生協連の調査では、学生の生の声も集められています。その中には次のような切実な声があります。
親が払ってくれているのは授業料と家賃で、仕送りはなく、光熱費は自分持ちなので、バイトをかけ持ちしていても、趣味と部活をどちらも楽しむほどのお金が稼げず、毎月お金の心配をしています。
生活はできるが、あまり余裕はないので不安がある。来年から弟が大学生になり、仕送りに頼りたくない気持ちはあるが、アルバイトを増やすと学校の授業についていけないのでできない。
勉強を優先したくてあまりバイトに時間がさけず、その結果食費を削ることが多かったので、栄養バランスに気をつかった食事がなかなかとれませんでした。
まとめ持続可能な仕送り計画のために
大学生への仕送りは、子供の自立を促しながらも安心して学業に専念できる環境を整えるバランスが重要です。
- 実態に基づいた計画立案
平均値を参考にしつつも、個別の状況に合わせた計画を - 柔軟性の確保
急な出費にも対応できる余裕を持った設計を - 定期的な見直し
物価変動や学生の状況変化に応じて調整を - 金銭教育の機会として活用
将来の自立に向けた金銭管理スキルの育成を - 親子間のオープンなコミュニケーション
経済状況や生活実態について率直に話し合う機会を
仕送り額の多寡だけでなく、学生が自律的に金銭管理できるよう支援することが、真の意味での親としてのサポートといえるでしょう。
特に近年の物価高騰の中で、学生の経済的不安は増しています。貴重な大学時代を学業や成長に集中できる環境づくりが、親として子どもにできる最大の贈り物かもしれません。