- ここで扱うのは高校の学科(国際科・英語科・外国語科)の話です。大学の国際学部の話ではありません。
- 「進学実績が伸びない」と言われる大きな理由のひとつは、時間割が有限だからです。ある公立高校では、同じ年に入学した生徒の数学の単位数が、国際科は最低5・普通科文系は最低11・普通科理系は最低18に分かれます。
- 出口は「不利」ではなく非対称です。国立大学の一般選抜では数学も情報も原則として必要になる一方、英語資格を使う私大の方式では国語1科目だけで合否が決まるものまであります。
- だから決め手は「行くか行かないか」ではなく、どの出口で行くかを入学前に決めておけるかです。
中学で英語の成績がよかった。担任や塾の先生から「国際科という選択肢もあるよ」と言われた。調べてみたら「デメリット」「後悔」という言葉が並んでいて、急に不安になった。そういう入り口でこのページに来る方が多いと思います。
この記事は高校の学科、つまり国際科・英語科・外国語科、そして私立の国際コースの話です。中学3年生・高校1年生のご家庭に向けて書いています。
ひとつ先にお伝えすると、この検索はとても混線しています。2026年7月に「国際科の卒業後の進路」で検索したかぎりでは、上位はほとんどが大学の国際学部の就職記事でした。高校の学科について書かれたものは、10年以上前の質問サイトの投稿くらいしか見つかりません。だから調べても腑に落ちないのは、あなたの調べ方の問題ではありません。
ここでは、学校の口コミではなく教育課程表と大学の募集要項という、誰でも確かめられる資料から話を進めます。国際科・英語科に入ると何が起きるのか、それはなぜなのか、そして条件しだいで何がひっくり返るのかを順に見ていきます。
高校の国際科・英語科を出た人は、実際どこへ行くのか
先に結論を言うと、進学先は文系・国際系が7割前後で、理系は1割前後です。ただし、その数字を探すところで多くの方がつまずきます。国際科・英語科だけを取り出した進学実績は、編集部が開いた範囲ではほとんど見つかりませんでした。
たとえば埼玉県立和光国際高校は、普通科と外国語科を併せ持つ学校です。2025年度卒業生309名の進路を公表していますが、4年制大学267名(うち国公立19名)といった全体の数字だけで、普通科と外国語科を分けた内訳は載っていません[3]。
千葉県立成田国際高校も同じで、公表されている合格状況に学科の区別はありません[27]。分けて出していたのは、神奈川県立横浜国際高校です。同校は国際科と国際バカロレアコースを別々に公表しています[28]。もう1校、神戸市立葺合高校の国際科は、大学ごとの合格者数を国際科・英語系・理系・文系に分けたうえ、推薦系か一般選抜かまで読める形で公表しています。編集部が開いた4校のうち、学科別に読めたのは2校です。
学科を選ぶために調べているのに、学科別の数字が出てこない。まずこの前提を知っておくと、学校の資料の見え方が変わります。
では手がかりがないかというと、そうでもありません。国際科しか置いていない高校なら、公表されている数字がそのまま国際科の実績になります。兵庫県立国際高校がその一つです。
| 進学先の系統 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|
| 文・語学系 | 26 | 24 | 28 |
| 法・経・商・社系 | 29 | 28 | 29 |
| 国際・人間・総合など学際系 | 29 | 27 | 19 |
| 教育系 | 1 | 4 | 6 |
| 理・工・農・情報系 | 3 | 8 | 10 |
| 医・歯・薬・看護・健康スポーツ・福祉系 | 8 | 10 | 4 |
| 家政・生活科学系 | 2 | 1 | 2 |
| 芸術系 | 2 | 5 | 6 |
| 合計 | 100 | 107 | 104 |
読み取れることは、はっきりしています。文系と国際系で全体の7割前後を占め、理・工・農・情報系は104名中10名です。2023年は3名でした。増えてはいますが、普通科の理系クラスとは比べものになりません。
つまり「国際科に行くと進路が狭まる」という話の正体は、難関大に行けなくなることではなく、理系に行かなくなることです。この違いは後で効いてきます。
学校が出している「合格実績」は、何を数えた数字か
学校の実績表を読むときに、必ず確かめてほしいことがあります。「合格者数」と「進学者数」はまったく別の数字だということです。
先ほどの兵庫県立国際高校は、自校の資料でこう説明しています。
「合格者数」はその年の合格延べ人数を表し「進学者数」は進学した実人数を表します[2]。
ひとりが5学部に合格すれば、合格者数は5と数えられます。同じ学校の2025年の私立大学は、合格者数が344に対して進学したのは100名を切ります[1]。3倍以上の開きです。
さらに、難関大の実績に「既卒生を含む。延べ人数」と注記されていることもあります[3]。浪人した先輩の合格が同じ表に入っている、という意味です。
学校説明会でパンフレットを見るときは、この2つを分けて聞いてみてください。それだけで、見える景色がかなり変わります。
「偏差値のわりに進学実績が伸びない」と言われるのは、なぜか
国際科・英語科について、必ずと言っていいほど出てくる言い方です。ただ、その理由まで説明されているものは、ほとんどありません。
理由は少なくとも2つあり、しかも読者にとっての打ち手が正反対になります。順に見ていきます。
理由1:時間割は有限だから(カリキュラムの構造)
まず知っておきたいのは、国際科・英語科が法令上は「専門教育を主とする学科」だということです。農業科・工業科・商業科と同じカテゴリで、「外国語に関する学科」「国際関係に関する学科」として並んでいます[4]。普通科の中の英語が強いコースとは、法的にまったく別の枠組みです。
そして専門学科には、国が定めた数量の縛りがあります。高等学校学習指導要領は、専門学科の専門教科・科目について「全ての生徒に履修させる単位数は、25単位を下らないこと」と定めています[5]。一方で卒業に必要なのは74単位以上[6]、週の授業時数は30単位時間が標準です[7]。
枠が決まっているところに25単位を先に置けば、残りは当然その分だけ減ります。これは学校の方針でも先生の熱意でもなく、足し算の問題です。
さらに指導要領は、その先まで書いています。「生徒の実態及び専門学科の特色等を考慮し、特に必要がある場合には、『数学Ⅰ』及び『英語コミュニケーションⅠ』については2単位とすることができ、その他の必履修教科・科目(標準単位数が2単位であるものを除く。)についてはその単位数の一部を減じることができる」[8]。
加えて、専門教科・科目の履修によって同様の成果が期待できる場合には、その履修をもって必履修科目の履修の一部又は全部に替えることができるとも定めています[9]。
つまり「英語に振るために他を削ってよい」という規定が、制度の側にあらかじめ用意されているということです。
その専門教科「英語」は総合英語やディベート・ディスカッションなど7科目で構成され、英語に関する学科では「総合英語Ⅰ」「ディベート・ディスカッションⅠ」を原則として全員が履修します[10]。
では実際の高校では、どれくらいの差になるのか。千葉県立成田国際高校は、同じ年に入学した生徒の教育課程表を、国際科・普通科文系・普通科理系の3種類とも公開しています。同じ学校・同じ年度・同じ様式なので、そのまま並べられます。
| 教科 | 国際科 | 普通科 文系 | 普通科 理系 |
|---|---|---|---|
| 数学 | 5〜15 | 11〜15 | 18〜20 |
| 理科 | 6〜10 | 6〜10 | 19 |
| 外国語(共通教科) | 行が無い | 16 | 16 |
| 専門教科・英語 | 18〜28 | 0〜6 | 0〜2 |
| 専門教科・国際教養 | 4〜16 | 0〜8 | ― |
| 国語 | 13〜15 | 17〜19 | 11〜13 |
| 教科の単位数合計 | 89 | 89 | 89 |
数学に注目してください。国際科は最低5単位で卒業できます。1年生で数学Ⅰと数学Aを履修したあとは、数学Ⅱ以降がすべて選択科目になるためです[11]。普通科理系では、2年生で数学Ⅱを全員が履修します[13]。
同じ高校・同じ年に入学した生徒の「数学の最低単位数」
千葉県立成田国際高等学校の令和7年度入学生の教育課程より、必修で確保される最低単位数を比較。選択科目まで取れば国際科も最大15単位まで伸ばせる。出典は上の表を参照。
もうひとつ、見落とされがちな点があります。この国際科の教育課程表には、共通教科「外国語」の行そのものがありません。備考にはこう書かれています。
「英語コミュニケーションⅠ」は「総合英語Ⅰ」で3単位代替する[11]。
普通科の生徒が受ける英語とは、そもそも別の科目を履修しているということです。同じ「英語が得意な高校生」でも、調査書に並ぶ科目名から違います。
理由2:入学する時点で、集まっている生徒が違うから
もうひとつは、カリキュラムとは別の理由です。数学も理科も得意な生徒は、はじめから進学校の普通科を選ぶことがあるという点です。英語だけが突出している生徒が国際科に集まりやすければ、入学した時点で集団の性質が違います。
ただし、これは私たちの整理であって、実証されたものではありません。学科別の入学者データが公表されていない以上、確かめようがないからです。
そして理由1と理由2のどちらがどれだけ効いているのかも、分かりません。ここを曖昧にしたまま「国際科は不利」とだけ言われると、家庭は打ち手を間違えます。カリキュラムの問題なら学校選びで解けるし、集団の問題なら自分の位置の話だからです。
最後に、ひとつ数字を置いておきます。先ほどの兵庫県立国際高校の2025年3月卒業生111名のうち、関西学院19名・関西大7名・立命館6名・同志社4名の計36名が、いわゆる関関同立へ実際に進学しています[26]。「国際科からは難関私大に行けない」という言い方は、少なくともこの学校には当てはまりません。
出口は「不利」ではなく「非対称」になる
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。国際科・英語科は、大学入試で一律に不利になるわけではありません。どの入口から入るかによって、有利にも不利にもなります。
| 出口 | 国際科・英語科 | 効いてくるもの |
|---|---|---|
| 国立の一般選抜 | 不利になりやすい | 共通テストで数学・情報が原則必要 |
| 私大の一般選抜(3教科型) | 大きくは効かない | 英語の配点が4割前後のことも |
| 学校推薦型・指定校 | 条件しだい | 履修した科目と単位数 |
| 総合型選抜 | 素材が揃いやすい | 留学・資格・探究の実績 |
| 英語資格を使う私大方式 | 強く効く | 英検などのスコア |
| 海外大学 | 強く効く | 英語力と在学中の成績 |
一般選抜では何が起きるのか
国公立から見ていきます。国立大学協会は、2024年度の入学者選抜から全ての国立大学が「『一般選抜』においては第一次試験として…原則としてこれまでの『5教科7科目』に『情報』を加えた6教科8科目を課す」という方針を出しています[14]。
ここで、日本でもっとも語学に振った国立大学を見てみます。東京外国語大学の2026年度前期日程(言語文化学部・国際社会学部・国際日本学部)では、共通テストで『数学Ⅱ,数学B,数学C』と『情報Ⅰ』がどちらも必須です。配点は合計950点で、外国語450点に対し、数学は100点、情報は50点が課されます[15]。
外国語大学であっても、数学から逃げることはできません。国立大学を一般選抜で狙うなら、ここは避けて通れない場所です。
なお、公立大学は国立大学協会の方針の対象外で、大学ごとに科目要件が違います。志望校の要項で個別に確認してください。
一方で私立大学の3教科型は、事情が違います。同志社大学の2026年度・全学部日程(文系)は、外国語200点・国語150点・地理歴史または公民または数学150点の総点500点です[16]。英語が占めるのは4割で、残る6割は国語と選択科目です。
英語が武器であることは間違いありません。ただし、私大の3教科型ではその武器の取り分が4割前後にとどまることがあるということです。ここが「英語は得意なのに、思ったほど伸びない」と言われる仕組みの一つです。
学校推薦型・指定校では、履修した科目そのものが条件になる
推薦については「国際科は有利」という話と「有利にならない」という話が、どちらもよく聞かれます。実際の要項を開くと、答えはどちらでもなく「履修した科目しだい」でした。
東京外国語大学の学校推薦型選抜は、共通テストと個別学力検査を免除して、推薦書・志望理由書・英語の資格スコア・活動報告書・調査書と小論文、面接で判定します[22]。英語はCEFR B2以上、英検なら準1級以上が要件です。国際科・英語科の生徒にとっては、確かに近い入口に見えます。
ところが同大学の国際社会学部には、こういう要件があります。
「地理歴史科」で「世界史探究」を4単位以上履修した者及び履修見込みの者[23]
注記はさらに踏み込んでいます。カリキュラムに4単位以上が用意されているのに、希望者が少ないなどの理由で開講されず履修できなかった場合は、事前に相談できます。ただし「高等学校等のカリキュラムにおいて、そもそも世界史探究が4単位以上設定されていない場合を除く」。つまり、その科目を4単位分置いていない教育課程だと、相談の対象にもなりません[23]。
いっぽう、名称が違っても同等以上の学校設定科目と併せて4単位以上あれば要件を満たし、その場合は「高等学校等のカリキュラムが確認できる資料(教育課程表等)を添付のうえ」相談することになっています[23]。
大学が、高校の教育課程表を見て推薦の資格を判定する。この記事の前半で見た「時間割が有限だ」という話が、そのまま出口の条件に接続していることが分かります。
なお、この選抜で学校長が推薦できるのは学部ごとに1校あたり1名です。国公立の学校推薦型に出願できるのは1つの大学・学部だけで、他大学の推薦とは併願できません[22]。校内で誰が推薦を得るかという競争が、その前に存在します。
※ 指定校推薦の枠が「学科ごと」に割り当てられるのかは、調べた範囲では公表資料が見つかりませんでした。高校が公開しているのは大学・学部の一覧までです。学校説明会で確かめる項目として、この記事の後半に置いています。
総合型選抜では、素材が揃いやすい
総合型選抜は、活動の実績や志望理由の中身で評価される入口です。留学、英語資格、模擬国連、探究のテーマ。国際科・英語科のカリキュラムは、こうした素材が授業の中で自然に貯まる作りになっています。
ただし、素材が貯まることと出願が通ることは別です。そして前で見たとおり、要件に特定の科目の履修が入っていれば、素材の量では埋められません。「総合型なら大丈夫」と考えるのではなく、志望校の要項を1年生のうちに開いてみるのが確実です。
英語資格を使う私大方式では、はっきり有利になる
ここが、英語に振ったことの見返りがもっとも大きく出る場所です。実際の要項を見ると、想像より踏み込んだ方式があります。
明治大学の2026年度入試を例にします。商学部の「英語4技能試験利用方式」は、英検2級以上などを出願資格とし、英語300点・国語150点・地理歴史/公民/数学100点の計550点で判定します[18]。英語の配点が総点の5割を超えます。ここでは英語の試験も受けます。
さらに踏み込んでいるのが国際日本学部の「英語4技能試験活用方式」です。英検準1級以上などを出願資格として、「『国語』の1科目の得点で合否を判定します」と明記されています。配点は国語150点のみ、計150点満点です[19]。
英語資格を持っていれば、当日の試験は国語1科目。これが「国際科に行った意味」が最大化する形の一つです。
経営学部の「大学入学共通テスト併用型英語4技能試験活用方式」も知っておく価値があります。入試当日の『外国語』の試験が免除されたうえで、英検のスコアに応じて20点または30点が加算されます。基準は総合2200(加算なし)/2467(20点加算)/2630(30点加算)で、各技能もそれぞれ530/570/610を満たす必要があります[20]。
ここで大事な注記があります。
※受験級(合格・不合格)ではなく、CSE2.0のスコアが基準となります[20]。
「2級を取ったかどうか」ではなく「何点で取ったか」で扱いが変わる方式がある、ということです。同じ級でも、点数が足りなければ加算されません。
関西の私大にも、英語の配点を上げた方式があります。同志社大学のグローバル・コミュニケーション学部 英語コースは英語重視型で、外国語250点・国語150点・選択150点の総点550点です[17]。同日の共通問題(200点満点)を250点満点に換算する仕組みです。
ただし、資格には期限があります。明治大学のこれらの方式では、使えるのは2024年1月1日以降に受験したもので(英検は証明書記載の受験回が2023年度第3回以降)、しかも「出願締切日までに提出できる1種類かつ1回のもの」に限られます[21]。異なる回のスコアを技能ごとに組み合わせることはできません。
早く取りすぎると期限切れになり、遅すぎると出願に間に合わない。いつ受けるかの設計まで含めて、英語資格は武器になります。
英検などの外部検定を入試でどう使うかは、それだけで大きなテーマです。級とスコアの換算、専願か併願か、辞退できるかどうかまで含めた整理は、英語外部検定利用入試の使い方にまとめています。
海外大学と、直接就職について
海外大学は、英語力と在学中の成績がそのまま評価される世界です。国際科・英語科の学びは直接つながります。ただし費用と出願設計が別の壁になるので、早い段階で情報を集めておく必要があります。
お金の話でひとつ注意があります。コースの学費と、留学の自己負担は別勘定です。留学が組み込まれている学校では、募集要項に載っている学費のほかに渡航費・滞在費が必要になることがあります。金額は学校とプログラムで大きく変わるので、説明会で「別途かかるものはいくらか」を必ず確認してください。
直接就職については、先ほど見た兵庫県立国際高校の表が参考になります。卒業生111名のうち進学したのは104名でした。少なくともこの学校では、国際科は大学進学を前提とした学科だと考えて差し支えありません。
入学したあと、実際に何が起きるのか
もうひとつ、進路とは別に気になるのが「ついていけるか」だと思います。
まず事実を一つ。今回確認した2校では、入学時に英語資格は求められていません。兵庫県立国際高校と神戸市立葺合高校の令和8年度の生徒募集要項を全文で確認しましたが、「英検」「実用英語技能検定」「検定」という語は1件も出てきません[25]。
選抜は、両校とも出願書類(調査書等)に加えて適性検査と面接で行われます。葺合はこれに実技検査が加わります[25]。「英検2級がないと入れない」といった話は、少なくともこの2校の要項には書かれていません。学校ごとに違うので、志望校の要項はご自身で確認してください。
ただ、入学後の環境は別の話です。同じ学科に、帰国生や早くから英語に取り組んできた生徒が集まります。中学で「学年でいちばん英語ができた」経験は、そこでは基準になりません。
ここで大事なのは、それが能力の問題ではなく順序の問題だということです。英語を早く始めた人が先に進んでいるだけで、入学時点の差が3年後の差とは限りません。ただし最初の1年は、それを頭で分かっていても効きます。
もうひとつ、あまり語られないことがあります。授業の英語が高度になるほど、他の教科に回せる時間が実際に減ります。前半で見た単位数の話は、時間割の上だけでなく、家に帰ってからの時間の使い方にも現れます。
この「英語が得意な子ほど、入ってから差を実感する」という構図は、中学受験の英語入試でも同じように起きます。中学段階での様子は英語入試のある中学の選び方にまとめています。
向いている子と、慎重に考えたい子
ここまでを踏まえて、判断の材料を整理します。
- 文系の学部を考えていて、英語資格を使う私大方式や総合型を主戦場にできる
- 海外大学が視野に入っている
- 英語そのものを面白いと感じていて、量が増えても苦にならない
- 留学や探究の機会を、進路の材料として使いきるつもりがある
- 理系に進む可能性が残っている(数学・理科の単位が普通科理系の3分の1になる学校がある)
- 国立大学を一般選抜で狙う気持ちが強い(共通テストで数学と情報が原則として必要)
- まだ文理も学部も決まっていない(専門学科は選択の幅を先に狭める作りになっている)
- 英語は「得意科目のひとつ」であって、好きというほどではない
ここまで見てきて、はっきりしたことが一つあります。国際科・英語科は「英語が得意な子が得をする学科」ではありません。出口の決め方を、入学前に迫ってくる学科です。
だから決めるべきは「行くか・行かないか」ではなく、どの出口で行くかです。大きく3つに分かれます。
- 英語資格と総合型・推薦を主戦場にする:国際科の強みがそのまま効く。英検などをいつ・どのスコアで取るかを1年生から設計する。
- 海外大学を狙う:英語力と在学中の成績が直接つながる。費用と出願時期を早めに調べておく。
- 一般選抜も残しておく:この場合だけ、薄くなる数学・理科をどこで埋めるかを最初に決めておく必要がある。
筆者の体験
我が家では、上の子の高校選びで国際科のある学校も候補に入れていました。選んだのは国際バカロレアのコースがある学校です。一般入試の側が細くなることは、分かったうえで決めました。共通テストまで受けるとなると対策が追いつかないだろうと考えたからです。だから国内を目指す場合でも、第一候補はIBで受験できるところを、と最初から考えていました。
一般選抜も残すなら、数学と理科をどこで埋めるか
3つ目を選ぶご家庭だけ、もう一段の準備が要ります。国際科の数学が最低5単位で済むということは、残りは学校の外で確保するしかないということだからです。
やり方は3つあります。どれが向くかは、お子さんの状況で変わります。
- 学校の補習・進度別の講座を使う:追加費用がかからないのが最大の利点。ただし国際科向けに数学の演習が組まれているとは限らないので、説明会で有無を確かめる。
- 映像教材や独学で進める:自分でスケジュールを立てられる子には効率がよい。課題量の多い学科なので、続けられるかは本人の性格しだい。
- 個別指導や家庭教師で補う:履修していない単元から始められるのが利点。「クラスの進度に合わせなくていい」ことが、この学科ではとくに効く。
3つ目を検討するなら、学科のカリキュラムを見せたうえで「学校で取れない範囲をどう埋めるか」を相談できる相手を選ぶことです。教科書の進度ではなく、教育課程表から逆算してもらえるかどうかが分かれ目になります。
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偏差値は見た。
で、うちの子は届くの…?
✓ 偏差値は近い。でも内申が足りているか分からない
✓ 推薦と一般、どっちで受けたら受かりやすい?
✓ 英検を持っていたら、本当に有利になる?
合否は偏差値だけでは決まりません。内申・入試方式・英検の使い方で、必要な点数は変わります。学研の家庭教師は体験指導+学習相談で約60分・無料。「いまの成績で何が足りないか」を先に聞けます。料金も公式に明記(時間あたり4,950〜8,800円・税込)。
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※ 1つ目・2つ目を選ぶご家庭に、外部の学習が必要だと申し上げているわけではありません。英語資格や総合型で行くと決めたなら、その準備に時間を寄せる方が合理的です。
行くと決めたら、入学前に学校へ聞いておくこと
ここまでの内容は、そのまま学校説明会での質問になります。パンフレットには載らないけれど、聞けば答えてもらえることばかりです。
- 教育課程表をください:数学と理科が3年間で何単位取れるか、選択でどこまで伸ばせるかを自分で確認する。ウェブで公開している学校も多い。
- 国際科だけの進学先を、学科別に教えてください:全体の実績しか出ていないことが多いので、学科別があるかを聞く。
- その数字は合格者数ですか、進学者数ですか:既卒生を含むかどうかも一緒に。
- 一般選抜と推薦・総合型の内訳はどれくらいですか:学科の実際の主戦場が分かる。
- 指定校推薦の枠は、学科ごとに分かれていますか:公表資料では確認できない部分なので、直接聞くしかない。
- 理系の選択科目は、何人が取っていますか:制度上あっても、人数が少なくて開講されない場合がある。
6つ全部は聞けなくても、1と3だけで十分に判断材料になります。
「国際教育に力を入れています」をどう見分けるか
学校紹介でよく見る肩書きについても、鮮度に注意が要ります。
「SGH指定校」という表記を見かけることがあります。文部科学省のSGHネットワークの対象は「平成26年度から令和2年度までのSGH事業指定校」などとされています[24]。指定そのものは令和2年度までのもの、ということです。
そのSGHの成果を引き継ぐSGHネットワークは参加校117校(令和7年4月現在/国立10・公立64・私立43)で、活動期間は令和8年度までを予定とされています[24]。5年前の指定を今の看板として出しているのか、現在も続く取り組みなのかは、区別して見ておきたいところです。
肩書きそのものより、教育課程表と進路の内訳を見るほうが確実です。それが、この記事でずっと見てきたことです。
なお、「国際科・英語科」という学科と、「国際コース」「グローバルコース」という普通科の中のコースは、別の仕組みです。前者は法令上の専門学科で、専門教科・科目を25単位以上履修します。後者は普通科の中に置かれていることがあり、その場合は25単位の規定の外にあります。
公立か私立かでは決まりません。私立にも英語科・国際科を置いている学校はあります。どちらなのかは、その学校の教育課程表を見れば分かります。
実際の学校で確かめたい方は、学科の例として横浜国際高校(公立の国際科)と大阪女学院(私立の英語科。中に英語コースとIBコースがある)、普通科の中のコースの例として三田国際科学学園を個別に見ています。同じ「国際」でも中身がどれだけ違うかが分かります。
よくある質問
まとめ
国際科・英語科は、法令上の専門学科です。専門教科に25単位以上を先に置くため、数学や理科に回せる枠がその分だけ減ります。これは学校の熱意ではなく、時間割の足し算の結果です。
その結果、出口は一律に不利になるのではなく、入口によって有利にも不利にもなります。国立大学の一般選抜では数学と情報が原則として必要になる一方、英語資格を使う私大の方式では国語1科目で合否が決まるものまであります。
だから、行くかどうかを迷い続けるより、どの出口で行くかを先に決めるほうが早いのだと思います。決まっていれば強い学科ですし、決めずに入ると選択肢のほうが先に細くなります。
そして最初の一歩は、志望校の教育課程表を1枚もらってくることです。パンフレットのどのページより、多くのことが書いてあります。
一般選抜も残しておくと決めたご家庭は、薄くなる数学・理科をどう支えるかを、入学前に一度どうするか算段をつけておくと迷いが減ります。
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参考情報・出典
- 兵庫県立国際高等学校「過去3年間 卒業生進路実績」(2025年4月/2026年7月閲覧)
- 兵庫県立国際高等学校「進路状況」(2026年7月閲覧)
- 埼玉県立和光国際高等学校「進路室より」(2025年度卒業生/2026年7月閲覧)
- 高等学校設置基準(文部科学省令)第5条・第6条(e-Gov法令検索/2026年7月閲覧)
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」総則 第2款 3 (2) ウ (ア)(PDF p.26)
- 同 総則 第4款 2(卒業までに修得させる単位数)(PDF p.31)
- 同 総則 第2款 3 (3) イ(週当たりの授業時数)(PDF p.27)
- 同 総則 第2款 3 (2) ア (ア)(必履修教科・科目の単位数の特例)(PDF p.25)
- 同 総則 第2款 3 (2) ウ (イ)(専門教科・科目による代替)(PDF p.26)
- 同 総則 第2款 3 (1) ウ の表/専門教科「英語」第3款 1 (2)(PDF p.24・p.474)
- 千葉県立成田国際高等学校「教育課程(国際科)令和7年(2025年)度入学生徒使用」(2026年7月閲覧)
- 同「教育課程(普通科・文系)令和7年(2025年)度入学生徒使用」(2026年7月閲覧)
- 同「教育課程(普通科・理系)令和7年(2025年)度入学生徒使用」(2026年7月閲覧)
- 国立大学協会「2024年度以降の国立大学の入学者選抜制度 ― 国立大学協会の基本方針 ―」(令和4年1月28日)
- 東京外国語大学「2026年度(令和8年度)入学者選抜要項」前期日程(PDF p.11・p.13)
- 同志社大学「入試ガイド2026」全学部日程(文系)試験教科・科目、配点等(PDF p.5)
- 同 グローバル・コミュニケーション学部 英語コース(英語重視型)の配点(PDF p.5)
- 明治大学「2026年度 一般選抜要項」商学部 英語4技能試験利用方式(PDF p.11)
- 同 国際日本学部 英語4技能試験活用方式(PDF p.11)
- 同 経営学部 大学入学共通テスト併用型英語4技能試験活用方式(PDF p.11)
- 同 英語4技能資格・検定試験のスコアの有効期限(PDF p.11)
- 東京外国語大学「2026年度(令和8年度)入学者選抜要項」学校推薦型選抜(PDF p.17〜18)
- 同 国際社会学部の推薦要件および注記(PDF p.17〜18)
- 文部科学省「スーパーグローバルハイスクール(SGH)ネットワークの構築について」(令和7年4月現在/2026年7月閲覧)
- 兵庫県立国際高等学校「令和8年度 推薦入学生徒募集要項」(入学案内ページよりPDF)/神戸市立葺合高等学校「令和8年度 国際科生徒募集要項」(PDF)(いずれも2026年7月閲覧)
- 兵庫県立国際高等学校「過去3年間 学校別進路実績」私立大学(2025年4月/2026年7月閲覧)
- 千葉県立成田国際高等学校「令和7年度 合格状況」(令和8年4月3日 進路指導部/2026年7月閲覧)
- 神奈川県立横浜国際高等学校「2024年度卒業生 合格状況」(2026年7月閲覧)
