神奈川県立横浜国際高等学校(横浜国際高校)は、神奈川県で唯一の単位制国際科をもつ県立高校です。単位制国際科と、その中の国際バカロレア(IB)コースを置いています。校舎は横浜市南区六ツ川の丘の上にあります[4]。
自分の内申と模試の点で受かりそうかを判定したいときは、横浜国際高校に受かるか|内申と模試の点を県の式で合計点にするで、県の式に数字を入れて出せます。
横浜国際高校の進学実績|偏差値65で入って、大学はどこへ行くのか
模試の目安では国際科65・国際バカロレア科63と県内でも上位に位置しますが、掲示板や口コミでは「偏差値のわりに大学の実績が今ひとつではないか」という声が繰り返し出ています。
- 2026年3月卒の国公立合格は6大学16件で、うち9件が横浜市立大学。私立は立教22・中央20・上智16が上位
- 「偏差値のわりに」と見えるのは、時間割の設計で説明がつく。3年次まで全員が英語の専門科目と英語論文を履修する
- 理系は詰まない。国公立理系(7教科8科目)の履修モデルは公式にある。ただし外国語・国際関係の科目を減らすトレードオフを学校自身が明記している
- 向くのは「英語と探究に3年間を賭けられる子」。一般選抜で難関大を取りに行くことを最優先する家庭には、正直に言って合わない
先に数字を置きます。学校が公表している2025年度卒業生(2026年3月卒)の合格状況は、国際科の国公立が6大学16件、私立が公表分で208件、海外が11大学11件でした[1]。東京大・京都大・一橋大・東京科学大の名前はありません。
2026年3月卒業生の合格状況(国際科)
| 国公立 (6大学16件) | 横浜市立9/東京外国語2/横浜国立2/国際教養1/千葉1/東京都立1 |
|---|---|
| 私立の上位 | 立教22/中央20/上智16/日本15/青山学院14/東洋14/明治学院14/明治12/法政11/神奈川9 |
| 早慶・ICU | 慶應義塾7/早稲田6/国際基督教1 |
| 理系の学部 | 自治医科1/北里3/東京理科2/芝浦工業1 |
| 海外 (11大学11件) | 北京大学/台湾師範大学/Temple University Japan Campus のほか、St.Olaf・DePauw・Knox など米国のリベラルアーツカレッジが中心(各1) |
数の厚みは立教・中央・上智・青山学院・明治学院・東洋・日本のあたりにあります。国公立16件のうち9件が横浜市立大学に集中しているのも、この学校の出口を表す特徴です[1]。
この数字は「何人中」なのか
ここで一度立ち止まる必要があります。学校は卒業生の人数を公表していません。だから「立教22」が何人の卒業生から出た22件なのかは、公表資料からは計算できません[2]。
割合が分かる項目は、ひとつだけあります。学校のQ&Aが「例年およそ1割の卒業生が海外の大学に進学しています」と答えている点です[5]。ただしこれも国際科とIBコースの内訳は示されていません。
さらに、表の見出しは「合格状況」です。1人が上智と立教と中央に合格すれば、それは3件として数えられます。実際に何人がどこへ進学したかを示す数ではありません[1]。
比べると分かりやすいのが、同じ神奈川県立で国際系のコースをもつ神奈川総合高校です。あちらは卒業生254名という分母と、指定校推薦36・公募推薦7・総合型35・一般141という進学方式の内訳まで公表しています[9]。同じ土俵にいる学校でも、外から見える解像度がここまで違います。
※ 学校の公表資料で分かるのは在籍規模の目安(国際科480名・IBコース75名)[2]と、募集定員(国際科160名・IBコース25名)[8]までです。本記事では合格の「件数」をそのまま件数として扱い、割合には換算していません。
のべ合格数と実際の進学者数が別物であることは、国際科をもつ他校でも同じです。数字の読み方そのものを詳しく見たい方は成田国際高校の進学実績(のべ合格数と実際の進学数)もあわせてご覧ください。
筆者の体験
わが子が国際バカロレアに進んだとき、親として面食らったのは、成績が数字の位置で返ってこないことでした。海外の大学は2年分の評価や課外活動、エッセイをまとめて見るので、模試の判定のような目盛りがありません。当時は落ち着かない気持ちもありましたが、点数の並びだけで進路を測る癖から離れられたことは、親にとっても大きかったと感じています。入口を測った数字が、そのまま出口の物差しになるわけではないのだと思います。
時間割を見ると分かること
「偏差値のわりに国公立が薄い」と見えるのは、生徒の頑張りの問題ではありません。教育課程表を開くと、そう見える理由が単位数で説明できます。
まず、普通科の高校が置く「英語コミュニケーションⅠ」を、この学校は置いていません。教育課程表の単位数の欄は空欄で、専門科目の「総合英語Ⅰ」で代替すると備考に書かれています[3]。学校案内も「普通科の高校で設置されている外国語(英語)科目の代わりに、英語の専門科目を設置しています」と説明しています[4]。
そのぶん、他の教科は薄くなります。数学Ⅰは標準3単位のところ2単位に減らされ、数学Ⅱ・数学Ⅲ・数学B・数学C・数学発展はすべて選択で、履修0も認められています。理科も必履修は物理基礎・化学基礎・生物基礎の3科目だけです[3]。
単位制なので、2年次からは受験型に応じて自分で科目を選べます。ただし「全員が同じ授業を受ける枠」は3年間ずっと残ります。
そして3年次に残る11単位の中身が、この学校の性格をよく表しています。体育、総合英語Ⅲ、ディベート・ディスカッションⅡ、総合DR、LHR。つまり受験学年の秋になっても、全員が英語の専門科目と探究に時間を使います。総合DRでは英語で1,500語程度の論文を書き、英語でプレゼンテーションを行います[4]。
学校が示す履修モデルでも、国公立をめざす型は7教科8科目の受験を前提にしています[4]。3年間の持ち時間の一部が最初から英語と探究に配分されている以上、同じ偏差値帯の普通科進学校と同じ土俵で戦えば数字が薄く見えるのは自然なことです。学科そのものの構造として、国際科の出口が普通科と非対称になる仕組みは高校の国際科・英語科は卒業後どうなるかで詳しく整理しています。
理系はどうなるのか
口コミでは「理系は肩身が狭い」という声も見かけますが、制度としては理系は詰みません。学校案内には受験型の履修モデルが4つ載っていて、その中に「国公立理系(7教科8科目)」と「私立理系(3教科3科目)」があります[4]。
理系型の欄には、2年次に化学、3年次に物理・生物・数学Ⅲ・数学C・数学発展が置かれています[4]。実績の側でも、2026年3月卒に自治医科大学1・北里大学3・東京理科大学2・芝浦工業大学1の合格が出ています[1]。
ただし学校自身が、そこにトレードオフがあることをはっきり書いています。
「物理基礎」「化学基礎」を1年次で、「生物基礎」を2年次で全員が履修します。2年次以降、外国語・国際関係の科目を減らして理数系の科目を履修するようにすれば対応が可能です。
横浜国際高等学校「よくある質問」国際科Q3より[5]
読み替えると、理系を選ぶことは「この学校を選んだ理由である第2外国語や国際関係の科目を、自分から減らす」ことでもあります。理系志望がはっきりしている中学生にとって、これは進学先を決める前に知っておきたい条件です。
理系で受けるなら、数学Ⅱから先は選択科目なので、どれを取るかを自分で決めることになります。学校の授業で足りない分をいつどこで積むかは、入学前に見通しを立てておくほうが、入ってから慌てずにすみます。
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どの入口で受かっているのか
一般選抜・総合型・指定校推薦の内訳は、国際科については公表されていません。ただしIBコースだけは、学校が方式別の受験者数と合格者数を出しています。
| 選抜方式(国内) | 受験 | 合格 |
|---|---|---|
| IBスコアを活用した選抜 | 25 | 15 |
| 帰国等その他 | 17 | 5 |
| 一般選抜 | 4 | 2 |
| 指定校推薦 | ― | 記載なし |
IBコースの国内進学は、IBスコアを使った入試と帰国生等の枠でほぼ決まっていて、一般選抜を受けたのは4人でした[6]。学校自身も「日本の教育課程と国際バカロレアのカリキュラムは異なるため、一般選抜で合格を狙う場合は授業外でそれ相応の準備が必要になります」と書いています[7]。
※ この表はIBコースのみの数字です。国際科(IBコースを除く)の方式別内訳は公表されていません。また、2025年版には載っていたこの一覧が[6]、2026年版では掲載されなくなっています[7]。
自分の内申と模試の点で受かりそうかを判定したいときは、県の式に数字を入れて合計点を出す記事を別に用意しています。→ 横浜国際高校に受かるか|内申と模試の点を県の式で合計点にする
よくある質問
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参考情報・出典
