「筑波大学附属坂戸高校」という名前を見て、附属校なのだから、筑波大学に上がれるのではないか。名前からそう思うのは自然なことです。「付属校だから大学受験はしないらしい」という話も、受験生や保護者のあいだで交わされます。
結論から言うと、その理解は違います。ただし「だから筑波大への道が無い」というのも、また違います。附属校に何があって、何が無いのか。2027年度入学生から筑坂の何が変わるのか。学費は3年間でいくらかかり、在校生は何を「合う・合わない」と言っているのか。順に見ていきます。
- 筑波大学に附属校専用の内部進学枠はありません。推薦の要項に「附属校だから」という優遇は一つも書かれていません。
- 代わりに「総合学科だから使える枠」が筑波大に実在します(生物資源学類・共通テスト免除)。筑坂は総合学科です。
- 2027年度入学生から、筑坂は大きく変わります。IGクラスが無くなり、SGクラス120名+TXクラス40名の2クラス制へ。TXは2年次からつくばで学びます。
- 学費は入学初年度でおよそ56万円+制服等8万円(授業料は2026年度から実質無償)。IBを選ぶと受講料が別途かかります。
- 偏差値は媒体によって46〜57と割れています。学校は非公表。代わりに公式が出している「合格者の評定平均」(推薦4.10/一般3.49)のほうが正確です。
| 正式名称 | 筑波大学附属坂戸高等学校(通称「筑坂」) |
|---|---|
| 区分 | 国立・共学(筑波大学の附属学校) |
| 学科 | 総合科学科(学校教育法上の総合学科) |
| 所在地 | 埼玉県坂戸市千代田1丁目24番1号 東武東上線 若葉駅から徒歩7分 |
| 生徒数 | 449名(令和7年度・12学級) |
| IB | 2017年2月に埼玉県で初のIB認定校。日本語DPを実施 |
筑波大学に「内部進学」できるのか
筑波大学の要項に、附属校の枠は1行も無い
筑波大学が公表している「令和8年度 学校推薦型選抜 学生募集要項」は全33ページあります。この中で「附属」という語が出てくるのは、「附属病院」の1か所だけです[2]。出願資格にも、推薦要件にも、募集人員にも、1校あたりの推薦人数にも、附属校を特別扱いする規定はありません。総合型選抜(AC入試)の要項も同じで、こちらにも附属校に関する規定はありません[21]。
つまり「附属校だから筑波大に入りやすい」という制度は、存在しません。系列大学へエスカレーター式に上がる私立の附属校とは、仕組みがまったく違います。
ネットで語られている「条件」は、要項の記述とずれている
知恵袋の回答には、筑坂からの大学推薦について「共通テストの受験は必須でした」、筑波大への推薦は「成績の評定基準4.7以上でした」と書かれています[18]。しかし、筑波大学の要項にはそう書かれていません。
| ネットの 説明[18] | 筑波大の 要項[2] |
|---|---|
| 評定基準 「4.7以上」 | 推薦要件は「調査書の学習成績概評A段階に属する者、又は筑波大学の個別学力検査等に合格できる程度以上の学力を有する者」。評定が届かなくても学力で出願しうる書き方で、4.7という数字は要項に無い |
| 共通テストの 受験は必須 | 「推薦入試」(共通テストを課さない)と「推薦入試(大学入学共通テストを課す)」は別立て。共通テストを課すのは人間学群 心理学類のみ |
ただし、この回答者自身が「在学中に伺った」と書いています[18]。つまり校内で語られていた基準の可能性があります。高校が校内で推薦者を選ぶときに独自の基準を設けることはあり得ますし(筑坂はそれを公表していません)、共通テストについても、志望した学類がたまたま共通テストを課す枠だったのかもしれません。
ただし、それは「筑波大が全員に課している要件」ではない。ここを取り違えると、「評定4.7に届かないから諦める」という判断につながります。大学が公表している要件と、学校の校内事情は別のものです。
実在するのは「附属校の枠」ではなく「総合学科の枠」
ここからが、この学校を検討するうえで本当に大事なところです。同じ要項の15ページに、「推薦入試(専門高校・総合学科特別入試)」という枠があります[2]。条件はこうです。
- 実施学類:生命環境学群 生物資源学類(募集人員は若干名)
- 出願要件:総合学科を卒業見込みで、卒業に必要な単位のうち農業・工業・商業・水産に関する教科・科目を25単位以上修得(見込み)
- 選抜方法:大学入学共通テストおよび個別学力検査を免除し、小論文と面接で判定
- 推薦人数:1校で推薦し得る数の制限なし
そして筑坂は、総合学科です。学科の名称は「総合科学科」ですが、学校自身が「総合学科であり、且つIBを導入している学校は、日本で本校のみです」と明記しています[16]。SGプログラムには、生命環境(農業)・工学情報(機械・電子・情報)・生活デザイン(家庭・福祉)・経済経営(商業)という4つのキャリア関連科目群があり[3]、要項が求める分野とそのまま重なります。
※ ただし「25単位以上」を実際に積めるかどうかは、各科目の単位数が公表されていないため確認できませんでした(学校が公表しているのは「必修科目43〜45単位・選択科目33〜36単位」という総枠までです[20])。この枠を狙って進学を考えるなら、学校説明会で教育課程表を見せてもらい、単位数を必ず確認してください。「筑坂なら使える」と言い切れる根拠は、現時点で公開資料にはありません。
実際、筑波大には何人進学しているのか
学校案内に載っている進学実績(=合格者数ではなく進学者数)を見ると、2026年3月卒業生では筑波大学に2名、加えて筑波大学 学際サイエンス・デザイン専門学群(マレーシア)に2名が進んでいます[3]。一方、その前の2年(2023年・2024年の卒業生)は0名です。
毎年安定して何十人も上がっていく附属校を想像しているなら、実像はかなり違います。筑波大へ進む人はいる。ただし少数で、年によってはゼロ。これが公式資料から読み取れる事実です。「附属だから安心」という理由で選ぶ学校ではありません。
2027年度から、筑坂は大きく変わる
いま中学生が受験する2027年度入試から、クラス編成そのものが作り直されます。ネット上の学校情報サイトや塾のページには、まだ旧制度(IGクラス・SGクラス・IBコース)のまま書かれているものも見かけます。学校の公式サイトのページ自体、一部が旧いままです。最新の姿は、2027年度の生徒募集要項[1]と学校案内に書かれています。
| 項目 | 2025年度[19] | 2027年度から[1] |
|---|---|---|
| クラス | IGクラス120名(3クラス) SGクラス40名(1クラス) ※IBコース10名程度を含む | SGクラス120名(3クラス) TXクラス40名(1クラス) |
| SGクラスの中身 | — | IBDP/IBCP/SGプログラムの 3つから選ぶ(2年次に選択) |
| 学ぶ場所 | 坂戸 | 1年次は全員坂戸。 2年次からTXは筑波大学内の教室(つくば) |
| 海外研修 | — | 1年次全員がマレーシア研修 |
| IB入試 | あり | 廃止(IBは入学後に選ぶ) |
受験生にとって特に重いのは、IB入試という入り口が消えることです。これまでは「IBコースを受験して入る」ことができましたが、2027年度からはまずSGクラスに入り、2年次にDP/CPを選ぶ形になります。選択には校内の基準があり、詳細は入試説明会で説明されます[1]。つまり入学時点ではIBに行けるかどうかが確定しません。IB目当てで受けるなら、この点は説明会で必ず確認すべきところです。
もうひとつ、見落とされがちな注意書きがあります。要項には「2010年4月1日以前に生まれた者は、IBのDPおよびCPは選択できない」と明記されています[1]。IB機構の年齢規定にもとづくもので、早生まれ・遅生まれの事情で該当する人は事前に確認が必要です。
なお、TXクラスは坂戸とつくばの両方から通学圏が設定され、2年次以降は筑波大学の構内で学びます[1]。「大学の中で高校生活を送る」という意味では、附属校らしさが最も濃いのはこのクラスです。ただし先ほど触れたとおり、これは進学の優遇とは関係がありません。
進学実績の実像は。推薦・総合型が中心なのか
口コミサイトには「一般入試はほぼゼロ。99%指定校かAO」「MARCHなんて無理だと思っといたほうが良い」という強い声が複数あります[14]。これは在校生・卒業生による匿名の書き込みであって、学校の公表数字ではありません。実際のところはどうなのか、公式が公表しているデータで見ていきます。
| 進学先 | 2023 年度卒 | 2024 年度卒 | 2025年度卒 (2026年3月) |
|---|---|---|---|
| 国公立大学 | 13 | 8 | 13 |
| 私立大学 | 107 | 120 | 110 |
| 海外大学 | 7 | 2 | 3 |
| 短大・専修・就職など | 13 | 20 | 25 |
2026年3月卒業生の進学先には、上智大学・早稲田大学・立教大学・明治大学・法政大学・東京理科大学・東京農業大学などが並びます[3]。「MARCHには行けない」という書き込みは、少なくとも進学実績の一覧とは一致しません。
ただし、公表されていない数字があります。入試方式の内訳です。一般入試・学校推薦型・総合型・指定校推薦が、それぞれ何人なのか。公式サイトにも学校案内にも、この内訳はありません。指定校推薦の枠(大学名・人数)も公表されていません。したがって「99%が推薦」を肯定も否定もできない、というのが正直な現状です。
ここで見ておきたいのは、総合学科という学校の構造です。筑坂の生徒は、必修科目に加えて多くの単位を選択科目から自分で組み立て、4つのキャリア関連科目群のどれかを履修します[3]。自分の関心を掘って形にする学び方であり、5教科の反復演習に時間を注ぐ普通科の進学クラスとは、そもそも設計思想が違います。
だから「一般入試の勉強がしにくい」という不満と、「探究が面白い」という賞賛が、同じ学校について同時に出てくるのです。どちらも同じ設計の裏表です。
もし難関大の一般入試を本気で狙うつもりで筑坂に入るなら、学校のカリキュラムの外で、5教科の演習量を自分で積む前提になります。それは不可能ではありませんが、「入ってから考える」と間に合いません。入る前に、どちらのルートで大学に行くのかを家庭で決めておくこと。これがこの学校を選ぶ際の最大の分かれ道です。
偏差値と、合格ラインの実像
偏差値は媒体によって46〜57と割れている
まず前提として、学校は偏差値を公表していません。ネットに出ている数字はすべて模試業者や情報サイトの推計で、実際に見比べると数字が割れています[13]。
| 媒体 | 偏差値 |
|---|---|
| みんなの高校情報 | 57 |
| 高校受験ナビ | 56 |
| ManaWill | 46 |
口コミには「偏差値は大嘘、実際50あるかどうか」という書き込みもあります[14]。数字が10も割れている以上、偏差値だけで合否の距離を測るのは無理があります。
学校が公表しているのは「合格者の評定平均と得点」
偏差値の代わりに、学校自身が入試説明会の資料で、合格者の評定平均と学力試験の得点を公表しています[4]。これは推計ではなく、公式が実際の入試結果から出した数字です。
| 令和7年度入試 | 推薦入試 | 一般入試 |
|---|---|---|
| 評定 受験者平均 | 3.74 | 3.40 |
| 評定 合格者平均 | 4.10 | 3.49 |
| 合格者の評定 最高〜最低 | 5.00〜3.37 | 4.59〜2.81 |
| 学力試験 合格者平均 | 小論文 10.32 (18〜5) | 258.33 (333〜207) |
読み方はこうです。推薦入試は評定が効きます。合格者の平均は4.10で、最低でも3.37。内申が振るわないなら、推薦は現実的ではありません。
一方、一般入試は評定2.81でも合格者が出ています。当日の学力試験で挽回できる設計だということです。教科別の合格者平均(令和7年度)は国語59.48・数学51.33・英語47.22・理科50.91・社会49.39で[4]、突出した高得点が要求されているわけではありません。
ここから見えるのは、学力試験のラインそのものは突き抜けて高いわけではないということです。「偏差値57」という数字だけを見て身構える必要はありません。口コミには「校則の自由さ目当てで志願者が集まっている」という指摘もありますが[14]、学校は志願者数も倍率も公表していないため、それを数字で確かめることはできません。
確かなのは、公式が出している合格者のデータのほうが、推計値の偏差値より具体的だということです。推薦なら評定4.10、一般なら5教科で258点あたりが合格者の真ん中。この2つの数字のほうが、模試の偏差値より役に立ちます。
※ 筑坂は志願者数・倍率を公表していません。国立高校の入試は学校ごとに実施されるため、県立のように県が倍率を一覧で出す仕組みもありません。ネット上に出回る倍率は出所が確認できないため、この記事では扱いません。
内申の作り方と、加点のルール
調査書の計算方法は、学校が公式に説明しています[7]。
- 中1〜中3を1:1:1で扱う(9教科×3年分=満点135点を27で割って評定平均を出す)。中1から効くということです。
- 北辰テストは合否判定に使いません(合格の確約にも用いない)。
- 加点=英検は準2級から、漢検・数検は3級から、各検定ごとに5点。部長・委員長・生徒会役員などのリーダー経験も加点対象。1項目5点で、4項目まで。
- 英検2級(CEFR B1以上)を持っていると、SG入試の英語試験が免除されます(100点扱い)。対象は海外帰国生・外国人生徒特別選抜と一般選抜です。
※ 学校のQ&Aは「回答は2025年度(R7年度)入試向けの内容です」と明記されています。2027年度入試での扱いは、最新の募集要項と説明会で確認してください。
ここまで数字を並べてきましたが、受験を考える親が本当に知りたいのは「今の成績で、うちの子は届くのか」という一点だと思います。筑坂の場合、それは偏差値ではなく「内申が推薦に届くか」「一般で5教科をどこまで取れるか」という、もっと具体的な形で決まります。中1からの評定が効く以上、判断は早いほうが選択肢が残ります。
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2027年度入試の全体像
| 入試の種類 | 募集定員 | 選考日 |
|---|---|---|
| SG入試 海外在留生特別選抜 | 10名程度 | 2026年12月5日 |
| SG入試 海外帰国生/外国人生徒特別選抜 SG入試 推薦選抜(単願) | あわせて 70名程度 | 2027年1月14日 |
| TX入試 推薦選抜(単願) | 40名程度 | 2027年1月14日 |
| SG入試 一般選抜 | 40名程度 | 2027年2月2日 |
SG入試推薦選抜には評定の基準点がありません(学校のQ&Aが「成績における基準点はありません」と明言)[7]。とはいえ先ほど見たとおり、合格者の評定平均は4.10です。基準が無いことと、実際に受かる層が高いことは、別の話として理解しておく必要があります。
県立高校と併願できるのか
受験生がいちばん不安に思う点です。学校の回答は明快です[7]。
- 県立高校と併願できる入試はありません。禁止されているというより、入学納付金の締切が公立の合格発表より前に設定されているためです(2027年度=SG一般選抜の入学納付金の締切は2月12日、埼玉県立の入試日は2月26日)[1]。
- ただし、筑坂が不合格だった場合は、県立高校に出願・受験できます。「落ちたら公立が受けられない」わけではありません。
- 推薦入試は単願=合格したら必ず入学することが前提です。私立が併願可であれば、私立との併願はできます。
つまり、推薦で受けるなら「ここに決める」という覚悟が要る。一般で受けるなら、公立との併願はできないが、落ちた場合の公立受験は残る。この設計を理解したうえで、どの入り口から入るかを決めることになります。
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学費は3年間でいくらかかるのか
「国立だから安い」と思われがちですが、授業料以外の負担がそれなりにあります。学校情報サイトに載っている「初年度納入金」は、何がどこまで含まれているのかが分かりにくいものです。学校が配っている諸会費の資料[5]を開いて、実額を整理します。
| 区分 | 項目 | 金額 |
|---|---|---|
| 入学時 | 入学料 | 56,400円 |
| 授業料 | 年額(前期・後期 各57,600円) | 115,200円/年 → 実質無償 |
| 入学後 納付金 | 校外学習積立(海外校外学習) | 200,000円 |
| 教材雑費(3年分) | 120,000円 | |
| 学年行事費(コミュニケーションキャンプ) | 50,000円 | |
| 生徒会入会金・生徒会費・空調費等 ICT利用促進費・災害備蓄費 | 32,700円 | |
| 納入額(小計) | 402,700円 | |
| 任意 | 教育振興費(任意の寄付金) | 100,000円 |
| 任意 | PTA会費(加入は任意・年額) | 5,000円 |
| 合計 | 入学後納付金+教育振興費+PTA会費 | 507,700円 |
ここに制服・教科書などの実費が加わります。制服は男子36,980円・女子36,400円、教科書10,876円、副教材等7,324円、ジャージや上履きなどを含めて男子82,080円・女子81,500円です[5]。さらに、選択科目によっては実習服・実習用具・実習費が入学後に別途徴収されます。
2年次以降は負担が軽くなります。学校が示している参考金額は2年次34,200円・3年次47,200円(PTAに加入した場合)です[5]。3年分の教材費が初年度にまとめて入っているためです。
ここまでを足すと、3年間でかかるのはおよそ73万円です(入学料56,400円+入学後の納付金と任意分507,700円+制服等82,080円〔男子〕+2年次34,200円+3年次47,200円=727,580円/女子は727,000円)。授業料は下記のとおり実質無償なので、この金額に含めていません。IBを選ぶ場合は、ここに受講料が別途加わります(後述)。
※ 上記は2025年度(令和7年度)の金額にもとづく試算です[5]。修学旅行・海外研修の追加費用や、選択科目の実習費は含みません。
「任意」と書かれた10万円をどう考えるか
見落としやすいのが教育振興費10万円です。資料には「本校の教育活動を充実させるためにご協力をお願いしている任意の寄付金です」と書かれており、同時に「例年90%を超えるご協力をいただいています」とも書かれています[5]。PTA会費も「加入は任意」ですが「例年100%に近い保護者の方に加入いただいています」とあります。
制度としては任意ですが、実態としてはほぼ全員が払っています。家計の計画を立てるときは、払う前提で見積もっておくのが安全です。この記事の合計507,700円も、任意分を含めた数字にしてあります。
授業料は2026年度から実質無償になった
ここは家計にとって大きな変化です。2026年度(令和8年度)から高等学校等就学支援金の所得制限が撤廃され、保護者の収入にかかわらず支給されるようになりました[6]。国立高校(全日制)の支給限度額は年額115,200円で、これは筑坂の授業料とぴたり同額です。文部科学省の資料も「国立高校等についても、実質無償」と明記しています。
つまり授業料の負担は事実上ゼロ。かかるのは、上の表の入学後納付金と、制服などの実費です。
IBを選ぶといくら増えるのか
IB(DP/CP)を選択すると、プログラム受講料が別途必要になります。ここは正直に、分かっていることと分かっていないことを分けて書きます。
- 2025年度の募集要項では「プログラム受講料100万円」と明示されていました(2年次50万円+3年次50万円の分割納付)[19]。
- ところが2027年度の募集要項には金額が書かれていません。「2年次以降は選択内容に応じて受講料が必要となる。詳細は入試説明会で説明する」とあるのみです[1]。IBCPが加わって費用体系が変わる可能性があります。
- 加えて、ディプロマ取得には最終試験の科目受験料等が別途必要です[8]。
したがって「今も100万円」とは言えません。IBを視野に入れているなら、受講料の最新額は入試説明会で必ず確認してください。3年間の総額が数十万円単位で変わる項目です。
IBコース(日本語DP)の中身
筑坂は2017年2月に埼玉県で初めてIB認定校となり、2018年度入学生からDPを導入しました[17]。形式は日本語DP(デュアルランゲージ)で、6科目のうち2科目を英語、4科目を日本語で学びます[8]。
| グループ | 開講科目 |
|---|---|
| 1|言語と文学 | 言語と文学(HL) |
| 2|言語習得 | English B(HL)※英語で学習 |
| 3|個人と社会 | 歴史(HL) |
| 4|科学 | 生物(SL) |
| 5|数学 | 数学AI(SL) |
| 6|芸術 | Theatre(SL)※英語で学習 |
最終試験は3年次の11月。日本の一条校のDPは、原則としてこの11月に試験を受け、翌年1月5日に最終スコアが通知されます[15]。つまりスコアは卒業の約2か月前に手元に届きます。ここは海外大学への出願スケジュールを考えるうえで重要な事実です。
IBコース卒業生の進学先には、University of the Arts London、University of Aberdeen、The University of Melbourne、Monash University、KU Leuven、The University of British Columbia などの海外大学と、国際教養大学・慶應義塾大学・立教大学・法政大学・学習院大学・津田塾大学・立命館アジア太平洋大学などが並びます[8]。
さらに筑坂は、IBCP(キャリア関連プログラム)の候補校になっています。学校案内には「国公立高校として初となる」と書かれており[3]、学校自身は「導入に向けて準備中」と説明しています[16]。認定されれば国公立高校で初ということです(2026年7月時点では認定前)。
CPは、IBの学びと職業・キャリアに直結する科目を組み合わせるプログラムです。総合学科のキャリア関連科目群を持つ筑坂だからこそ成立する構成で、実際、総合学科でIBを導入しているのは日本で筑坂だけだと学校は説明しています。「IBは学問寄りで、手を動かす学びとは両立しない」と思っていた人にとっては、選択肢がひとつ増えることになります。
PRIB(国際バカロレア)対策|オンライン・海外からもOK
IBは独特。“経験者”に頼るのが立ち上がりの近道。
✓ IBの課題(EE・TOK・IA)や英語での授業に伴走してほしい
✓ DPスコアを上げたい/評価の仕組みが分からない
✓ 海外大出願まで見据えて相談したい
IBは学習法も評価(EE/TOK/IA)も独特で、入学後に負荷を感じる生徒は少なくありません。EDUBALの教師はIBを実際に経験した帰国子女×現役大学生が中心。まずは無料の体験授業で、オンライン指導が合うかを1回確かめてみるのが近道です。
無料の体験授業でIB指導を試してみるEDUBAL・帰国子女の現役大学生教師/オンライン
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校風・校則・施設と、「移転」のうわさ
筑坂といえば「校則がゆるい」という評判が先に立ちます。学校案内には、生徒総会での対話をきっかけに整容規定を改定し、細かなルールで縛るのではなく、TPOに合わせた装いを自ら判断する「自主規制」を運用していると書かれています[3]。生徒会が掲げるのは「自由・自律・自覚」。制服は購入品として存在します[5]。
学校生活について公式が説明しているのは、朝のSHRは9時から/学食は無く昼に弁当販売がある/部活動の参加は強制ではない/パソコンは個人で用意するといった点です[7]。始業が9時なのは、遠方から通う生徒が多いこと(埼玉のほか東京・千葉・茨城・群馬から通う生徒がいます[3])と無関係ではないでしょう。
学校のWWLページによると、筑坂は2014年度から5年間、文部科学省のSGH(スーパーグローバルハイスクール)指定校を務めました[12]。現在はWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業の拠点校として、「アジア版エラスムス計画」を掲げた高大接続のネットワークづくりを続けています。
連携校にはインドネシア・タイ・フィリピンの大学附属高校などが名を連ねます[12]。海外研修が「行って終わり」にならない土台は、この蓄積の上にあります。
「筑坂は移転するのか」への答え
検索でよく見かける疑問です。学校は2024年1月15日に公式見解を出しています[10]。
筑波大学附属学校の将来構想検討の一環として、つくば市への移転なども可能性のひとつとして検討しておりますが、現時点で具体的に意思決定されていることはありません。
学校の公式見解は、2024年1月のこの声明から更新されていません(2026年7月時点)[10]。校舎ごと移転する話は、まだ決まっていない。これが2026年7月時点の状況です。ただし2027年度からTXクラスは2年次以降をつくばの筑波大学構内で学ぶので[1]、「一部の生徒はつくばで学ぶ」という形は現実になります。
なお、口コミサイトには校舎の老朽化を指摘する声(雨漏り、設備の古さなど)が複数あります[14]。これは匿名の書き込みであり、学校の公表資料では確認できませんでした。改築・修繕の予定についても公表を見つけられませんでした。気になる場合は、学校説明会や見学で自分の目で確かめることをおすすめします。
向いている子・慎重に考えたい子
この学校ほど、口コミの温度差が激しい高校は珍しいです。「入ってよかった」という声と「しっかりと特性を理解した上で入らないと必ず後悔します」という声が、同じ密度で並んでいます[14]。どちらかが嘘なのではなく、合う子と合わない子がはっきり分かれる学校だということです。
- 自分で問いを立てて掘るのが好き(探究・卒業研究が学びの中心)
- 興味の方向がある程度見えていて、選択科目を自分で組み立てたい
- 多様な背景の同級生と学びたい(帰国生・外国人生徒の受け入れ枠があり、1年次は全員マレーシア研修)
- 推薦・総合型で大学へ進むことを、あらかじめ選択肢に入れている
- 難関大の一般入試を第一に考えている(5教科の演習は学校の外で積む前提になる)
- 「普通の高校生活」を求めている(口コミには「普通の高校生生活を送りたい人には一切お勧めしません」という強い声があります)
- 課題の量に不安がある(「課題が多い」という声は繰り返し出てきます)
- 指示を待つほうが安心なタイプ(自分から動くことを前提に設計された学校です)
※ 引用した声は、みんなの高校情報・高校受験ナビに投稿された在校生・卒業生による匿名の口コミです[14]。学校の公表内容ではありません。
そのうえで言えるのは、「附属校だから」「国立だから」という理由だけで選ぶと、いちばん危ない学校だということです。ここは進学のためのエスカレーターではなく、自分で学びを設計する場所として作られています。その設計に子どもが乗れるかどうかを、入学前に見極める必要があります。
見極めるといっても、親だけで判断するのは簡単ではありません。推薦で行くなら中1からの評定が要り、一般で行くなら5教科を学校の外で積むことになる。推薦と一般、どちらのルートが我が子に現実的なのか。それは今の成績をもとに、あと何がどれだけ足りないのかを一度、第三者に見てもらうとはっきりします。
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「うちの子、間に合う…?」
合格戦略の次は“何を対策するか”です。
✓ 推薦で内申を確実に届かせたい
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よくある質問
まとめ:筑坂を選ぶ前に決めておくこと
- 筑波大への内部進学枠は無い。附属校であることは、進学の優遇を意味しません。
- ただし総合学科向けの推薦枠は筑波大に実在します。使えるかどうかは単位要件次第なので、説明会で教育課程表を確認してください。
- 2027年度から学校が変わります。IB入試は廃止、TXクラス新設、1年次全員マレーシア研修。古い情報で判断しないこと。
- 大学へのルートを先に決める。推薦・総合型で行くのか、一般入試で行くのか。後者なら学校の外で演習を積む前提になります。
- 合う・合わないがはっきり出る学校です。「普通の高校生活」を求めるなら、慎重に。
埼玉県内の他のIB・国際系の選択肢としては、難関大への合格実績を伸ばしている昌平高校(IBコースを併設)もあります。首都圏の公立系でIBを学ぶなら、東京都立国際高校も比較対象になります。IBそのものの仕組みを先に理解したい場合は、国際バカロレア(IB)の解説もあわせてどうぞ。
参考情報・出典
- 筑波大学附属坂戸高等学校「2027年度 生徒募集要項」(2026年6月公開)
- 筑波大学「令和8年度 推薦入試(学校推薦型選抜)学生募集要項」(2025年9月公表・全33頁)
- 筑波大学附属坂戸高等学校「2027 SCHOOL GUIDE(学校案内)」(2026年7月)
- 筑波大学附属坂戸高等学校「令和7年度・令和6年度 入試情報」(令和8年度入試説明会資料)
- 筑波大学附属坂戸高等学校「令和7年度 諸会費」(令和8年度入試説明会資料)
- 文部科学省「令和8年度 高等学校等就学支援金制度等に関する都道府県担当者等説明会」資料(2026年4月)
- 筑波大学附属坂戸高等学校「よくある質問」(回答は2025年度入試向けと明記)
- 筑波大学附属坂戸高等学校「国際バカロレア(IB)」(2026年6月更新)
- 筑波大学附属坂戸高等学校「新旧情報の読み替えについて」(2026年5月)
- 筑波大学附属坂戸高等学校「本校に関する新聞報道について」(2024年1月15日)
- 筑波大学附属坂戸高等学校「令和7年度 学校運営改善シート」(生徒数・学級数)
- 筑波大学附属坂戸高等学校「WWLコンソーシアム構築支援事業」(2026年3月更新・SGH指定期間の記載を含む)
- みんなの高校情報(57)/高校受験ナビ(56)/ManaWill(46)の各掲載偏差値(2026年7月時点・学校非公表の模試目安)
- みんなの高校情報「筑波大学附属坂戸高校の評判」/高校受験ナビ 掲示板(在校生・卒業生による匿名の口コミ)
- 文部科学省 IB教育推進コンソーシアム「ディプロマ・プログラム(DP)」
- 筑波大学附属坂戸高等学校「学校説明会・教育講演会のご案内」(2026年5月・「総合学科であり、且つIBを導入している学校は、日本で本校のみです」「CP導入に向けて準備中」)
- Senior High School at Sakado, University of Tsukuba「IB Course」(英語版公式ページ・「the first authorized IB school in Saitama, granted in February 2017」)
- Yahoo!知恵袋「筑波大学附属坂戸高校について質問です」(2025年1月・回答は投稿者の個人的な経験談)
- 筑波大学附属坂戸高等学校「2025年度 生徒募集要項」(旧クラス編成の出典)
- 筑波大学附属坂戸高等学校「スクール・ポリシー」(「必修科目43~45単位」「選択科目33~36単位」)
- 筑波大学「令和8年度 AC入試(総合型選抜)学生募集要項」(2025年6月公表・全15頁)
