「うちの子は英語だけは得意。それを活かして中学受験できないか」。そう考えて調べ始めると、英語入試を実施する中学が首都圏だけで100校を超えていて、逆にどう選べばいいのか分からなくなります。
英語入試は「4科目の受験勉強を回避できる楽な抜け道」ではありません。学校によって英語のハードルは面接だけの学校から、英語で数学まで出題する最難関まで大きく開いています。入り方を間違えると、入学後の速い英語授業でつまずきます。
この記事は、実施校の一覧を並べるのではなく、「英語入試の4タイプ」「入学後で後悔しない見極め」「帰国枠との違い」「英検は何級で有利か」という、親が本当に迷うところを、2026年度入試の公式要項をもとに整理します。志望校が決まったら、必ず各校の最新要項で最終確認してください。
- 英語入試は大きく4タイプ(英語+面接だけ/英語+教科/独自の英語筆記/英検などの資格利用)。まず「わが子はどのタイプで受けられるか」で絞る。
- 同じ「英語入試」でも英語のハードルは学校ごとに全然違う。面接だけの押さえ校から、英語で理数まで出題する最難関まで幅がある。偏差値回避の裏技ではない。
- いちばん大事なのは入り方より入学後。私立の英語は進度が速く、入学時点で差が二極化する。「入って落ちこぼれない学校か」で選ぶ。
- 英検は3級から選択肢が生まれ、準2級以上で大きく有利になる学校が多い。ただし優遇のしくみと点数は学校ごとに違い、毎年見直される。狙う級は志望校の要項で逆算する。
英語入試って、そもそも何校あるの?
首都圏模試センターの調べによると、一般入試で英語(選択)入試を実施した私立・国立中は、2014年の15校から2021年には143校、2022年には146校まで増えました[1]。栄光ゼミナールも同センターの集計を引き、2025年時点で約140校(首都圏の私立・国立のおよそ4割)が実施しているとしています[2]。
10年で約10倍。もはや特別な選択肢ではなく、「英語ができる子が使える、もう一つの受験ルート」として定着したと言えます。
※ 校数は集計主体や「英語入試」の定義で幅があります。ダイヤモンド・オンライン(森上教育研究所系の分析)は別集計で、2025年に私立124校が何らかの形で実施したとしています[3]。数える範囲が違うだけで、いずれも「首都圏で百数十校」という規模感は共通です。
英語入試は「4タイプ」で考える
「英語入試」とひとくくりにされますが、中身は学校ごとにバラバラです。まず次の4タイプで整理すると、わが子がどの学校を受けられるかが見えてきます。
| タイプ | 科目構成の例 | 代表校(2026年度入試) |
|---|---|---|
| 英語+面接だけ | 英語の筆記や面接だけで受けられる。教科型の勉強がほぼ不要。英語のハードルは学校で二極化。 | 聖学院「英語特別入試」(面接のみ)[9]/三田国際 IC(英語+面接)[4] |
| 英語+教科 | 国語・算数などと並べて英語を課す。英語も4科の一部も両方見られる。 | 三田国際 ISC(英・国・算・面)[4]/鎌倉女学院<英語力>(国・算・英・面接)[5] |
| 独自の英語筆記 | 学校オリジナルの英語問題を課す。リスニングや英作文を含むことも。英語力そのものが問われる。 | 三田国際(英語はリスニング含む60分)[4]/鎌倉女学院<英語力>[5] |
| 英検などの資格利用 | 英検の級を「みなし得点」に換算して英語の点にする。当日の英語筆記が無い学校も多い。 | 頌栄女子学院[8]/富士見[6]/豊島岡女子学園[7] |
1校の中に複数タイプを併設する学校も多く、たとえば鎌倉女学院は2026年度に、独自の英語筆記を課す<英語力>と、英語資格(英検など)を利用する【英語資格】の2方式を新設しています[5]。「英検で受ける」のか「当日の英語筆記で受ける」のかで、準備は大きく変わります。
同じ「英語入試」でも、英語のハードルは全然違う
英語入試でいちばん誤解されるのが、「英語入試=偏差値を回避できる楽なルート」というイメージです。実際には、必要な英語力は学校で大きく開いています。面接だけで英検3級相当の学校もあれば、英語で数学まで出題し、英検準1級で英語を免除する最難関もあります。
聖学院(面接のみ)
富士見・豊島岡・頌栄
鎌倉女学院<英語力>
三田国際 ISC
たとえば三田国際科学学園のインターナショナルサイエンスクラス(ISC)は、英語(リスニング含む・60分100点)に国語・算数・面接を組み合わせ、英検準1級以上・TOEFL iBT72以上・IELTS5.5以上を持っていれば英語の筆記を免除します[4]。
一方、聖学院の英語特別入試は面接のみで、出願資格はCEFR A1レベル以上(英検3級前後の目安)です[9]。同じ「英語で受ける」でも、求められる英語力は別世界だと分かります。
だから最初にやるべきは、偏差値表を眺めることではありません。わが子の英語力(英検の級・話せるか書けるか)が、どのハードルの学校に届くかを見立てることです。
英語入試で入って、入学後についていける?
ここが、実施校の一覧サイトがほとんど答えてくれない、いちばん大事なところです。英語入試は「入りやすさ」だけで選ぶと、入学後の英語授業で苦しむことがあります。
英語に力を入れる私立中学は、入学した時点で「英語が得意な子」と「これから始める子」に二極化しがちです。教科書も検定外の難しいものを使い、進度が速い学校もあります。ついていけなくなっても、学校は同じ文法を何度も教え直してはくれません。
この二極化は、しくみとしても表れます。たとえば三田国際のISCは、入学前に習熟度別の英語クラス分けアセスメントを行い、AdvancedかIntermediateかに分けます[4]。英語入試で入っても、そこからさらに英語力で線が引かれるということです。だからこそ「入って終わり」ではなく、入学後に英語を止めない前提で学校を選ぶ必要があります。
見学や説明会では、「入学時に英語ができない子はどのくらいいて、その子たちが1年後どうなっているか」を必ず聞いてください。二極化した下側のフォロー体制がある学校ほど、英語入試で入った後も安心です。もし入学後に授業のスピードへ不安が出たら、集団塾より、その子の穴に合わせて調整できる個別指導や家庭教師で早めに立て直すのが現実的です。
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「帰国生入試」と「一般の英語入試」はどう違う?
「帰国じゃないけど英語はできる。うちはどっちで受けるの?」という混乱もよくあります。両者は別物です。ざっくり言えば、帰国生入試は「海外での学習歴」という受験資格が要り、英語入試は資格を問わず英語力そのもので受けられる入試です。
| 論点 | 帰国生入試 | 一般の英語入試 |
|---|---|---|
| 対象 | 一定期間の海外在住・帰国後年数などの受験資格を満たす帰国生。 | 資格は問わない。国内インター在籍・低学年で帰国・家庭で英語を伸ばした子なども受けられる。 |
| 問われるもの | 海外で培った英語力・適応力。英作文や面接が中心の学校も。 | 英語力(英検の級・当日の英語筆記・面接)。タイプは前述の4つ。 |
| 時期の傾向 | 11月〜1月に前倒しで実施する学校が多い。 | 2月1日以降の一般入試日程で行う学校が多い。 |
ポイントは、帰国枠の資格に当てはまらなくても、英語ができれば「一般の英語入試」で勝負できるということです。海外経験が長く本格的な帰国対策が必要なら、帰国生入試に強いオンライン家庭教師で早めに相談するのが近道です。一方、国内で英語を伸ばしてきた子なら、この記事で見た一般の英語入試が主戦場になります。
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英検は何級あれば有利?=優遇のしくみと狙う級
英検の優遇は、大きく4つのしくみに分かれます。どれを採用しているかで「級の価値」が変わるので、一覧の点数を暗記する前に、しくみを押さえるのが先です。
| しくみ | 内容 | 例(2026年度入試) |
|---|---|---|
| みなし得点(換算) | 級に応じた点数を英語科目の得点とみなす。当日の英語筆記が無いことも。 | 頌栄=3級80〜1級150点[8]/富士見=3級80〜準1級以上120点[6] |
| 加点 | 通常の得点に、級に応じた点を上乗せする。 | 豊島岡=算数の得点を2倍し、英検のみなし得点(3級50〜準1級以上100点)を加える[7] |
| 試験免除 | 一定のスコアで、英語などの試験を免除する。 | 三田国際 ISC=英検準1級以上等で英語筆記を免除[4] |
| 出願資格 | 一定の級を、出願の条件にする。 | 聖学院 英語特別入試=CEFR A1レベル以上[9] |
狙う級の考え方はシンプルです。まず3級で「使える学校」が生まれ、準2級・2級と上げるほど、みなし得点や選択肢が増えます。頌栄のように1級で150点まで用意する学校もあり、上位の級ほど当日の国語・算数の失点を英語でカバーできます。志望校の要項を見て、「その学校で英語が武器になる級」から逆算して取得計画を立てるのが正解です。
※ 上の点数はあくまで2026年度入試の一例です。優遇の有無・級・点数は学校ごとに違い、年度でも変わります。「英検◯級で何点」を最終判断の根拠にするときは、必ずその年の募集要項の現物で確認してください。
英語入試で入ると、大学受験で不利になる?
「英語だけで入ったら、6年後の大学受験で困るのでは」という心配もよく聞きます。結論から言うと、中学受験の時点で英語が得意なこと自体が、大学受験の不利に直結することはありません。むしろ有利に働くことのほうが多いです。
気をつけたいのは、入学後です。多くの進学校は入学後に習熟度別クラスを敷き、その基準に英検の級を使うことがあります。上位クラスに入れば進度も内容も高度になり、結果として大学入試に向けた応用力が早く身につきます。逆に、英語入試で入ったのに入学後に英語を止めてしまうと、下位クラスで足踏みしかねません。「英語入試で入る」ことより「入学後も英語を伸ばし続ける」ことのほうが、進路を左右します。
失敗しない選び方チェックリスト
ここまでを、志望校を絞るときのチェックリストにまとめます。見学や説明会に持っていってください。
- タイプの確認=その学校の英語入試は4タイプのどれか。英検で受けるのか、当日の英語筆記があるのか。
- 英語ハードルの見立て=わが子の英語力(英検の級・話す/書く)で届くか。免除の基準級もチェック。
- 入学後のフォロー=入学時に英語が弱い子が、1年後どうなっているか。習熟度クラスの下側の支援はあるか。
- 帰国枠か一般の英語入試か=わが子は受験資格を満たすか。日程が前倒しか2月からか。
- 英検の狙う級=志望校で英語が武器になる級はどこか。取得時期から逆算できているか。
英語入試を実施する学校は、この記事で挙げた代表校のほかにも数多くあります。学校の種類そのものから考えたい場合は、インターナショナルスクールの選び方や、英語系の中高一貫として知られる開智日本橋学園の記事もあわせて参考にしてください。
よくある質問
まとめ|英語入試選びは「タイプ・レベル・入学後」で決まる
英語入試のある中学を選ぶときは、実施校の数に圧倒される必要はありません。(1)4タイプのどれか、(2)わが子の英語力で届くレベルか、(3)入学後に落ちこぼれない学校か。この3つで絞れば、わが子に合う学校が見えてきます。英検は、そのうえで「志望校で武器になる級」から逆算するのが正解です。
入学後の英語につまずきそう、あるいは英語入試の対策をどう進めればいいか迷う。そんなときは、その子の状況に合わせて計画を立ててくれる個別指導・家庭教師に一度相談してみてください。無料の体験や学習相談だけでも、いま何ができていて何が足りないかが見えてきます。
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参考情報・出典
- 首都圏模試センター「英語(選択)入試実施校の推移」(2022年入試・実施146校)
- 栄光ゼミナール「中学受験と英語」(首都圏模試センター調べ・2025年約140校)
- ダイヤモンド・オンライン「英語特化型?4つのパターンで分かるレベルの違い」(2025年・私立124校の別集計)
- 三田国際科学学園中学校「2026年度 募集要項(2月入試)」
- 鎌倉女学院中学校「2026年度 募集要項」(英語入試=<英語力>・【英語資格】)
- 富士見中学校「募集要項」(英語資格利用入試・英検みなし得点)
- 豊島岡女子学園中学校「2026年度 生徒募集要項」(算数・英語資格入試)
- 頌栄女子学院「一般生入試」(英語利用入試・英検みなし得点)
- 聖学院中学校「中学入試」(英語特別入試・出願資格CEFR A1以上)
