「IAって結局、成績の何割なの?」
「先生が付けた点は、そのまま出るの?」
「もしディプロマが取れなかったら、手元には何が残るの?」
IBの45点は、6科目のテストの合計ではありません。科目ごとに違う比率で内部評価と外部評価が混ざり、そこに学校の外からの調整が入り、さらにTOKとEEの組み合わせで最大3点が乗る。この順番で積み上がります。この作られ方を知らないまま2年間を走ると、「どこを頑張れば点が動くのか」が最後まで見えません。
この記事では、その45点の作られ方を公式規程で1つずつ確かめます。あわせて、日本のIB生がぶつかる11月試験と国内入試の時間割と、ディプロマが取れなかったときに何が残り、日本の大学入学資格はどうなるのかまでを扱います。
- 45点=6科目×7点(42点)+ TOKとEEの組み合わせで最大3点。CASは点数化されないが、終わらないとディプロマは出ない
- 内部評価(IA)の比率は「グループごとに一律」ではない。同じ理科でも生物20%・情報科学SL30%・デザイン40%と倍以上ひらく
- 先生が付けたIAの点は、IBのモデレーションで学校ごと・科目ごとに全員まとめて調整されることがある
- TOKの内部評価は2022年試験から「展示」に変わっており、プレゼンテーションはもう存在しない。EEは5規準34点(2027年試験からは30点)
- ディプロマが出なかった場合に発行されるのは「IB Certificate」ではなくDP Course Results(各科目のグレードの証明)
- 日本の大学入学資格は、「IB資格で入る」ルートと「高校を卒業して入る」ルートが法律上べつの入口。在籍校が一条校かどうかで話が変わる
45点はどう作られているのか
IBのディプロマ・スコアは45点満点です。内訳は、6科目それぞれが1〜7点で採点されて最大42点、そこにTOK(知の理論)とEE(課題論文)の組み合わせで最大3点が加わります。公式規程はこれを「45:((6×7)+3)」と書いています[1]。
CAS(創造性・活動・奉仕)は点数化されません。ただし修了しなければディプロマは出ません[1]。「点にならないから後回し」が効かない領域です。
そして授与の下限が24点。これを下回るとディプロマは授与されません[1]。
24点を超えても、条件を1つ外すと出ない
合計点はあくまで条件のひとつです。公式には、これとは別にグレードの分布や必修要件についての追加条件があり、そのうち1つでも外れるとディプロマは授与されません。たとえば「1」がどれか1科目にあるだけで不授与、「2」は2個まで、「3以下」は合計3個まで。そういう数え方です[1]。
※ 「3が3個まで」ではありません。公式の条文は「grade 3s or below」=3・2・1を合算して3個までです。
なお、成績に表示される不授与の要件コードは最初に該当した1つだけです[1]。表示された条件を解消しても、次が残っていることがあります。
不授与条件の全9項目と、実際にどのくらいの受験者が届いていないのかは、別の記事で最新データとあわせて詳しく扱っています。

あなたの点は、科目ごとに違う比率で作られている
各科目の1〜7点は、内部評価(IA=学校の先生が採点し、IBが外から調整するもの)と外部評価(EA=IBの試験官が採点する筆記試験など)を合わせて決まります。
ここで、「グループ4(理科)はIA20%」のようにグループ単位で書いている解説を見かけます。これは正確ではありません。比率は科目ごとに決まっていて、しかも同じ科目でもSLとHLで違うことがあります。
実際に公式資料で確認できた範囲を並べると、同じグループ4の中でも生物の20%からデザイン・テクノロジーの40%まで、倍の開きがあります。
| 科目 | グループ | 内部評価(IA)の比率 |
|---|---|---|
| デザイン・テクノロジー | 4 理科 | 40% |
| ダンス | 6 芸術 | SL・HLとも40% |
| 映画 | 6 芸術 | SL 40%/HL 25% |
| 情報科学 | 4 理科 | SL 30%/HL 20% |
| 古典語 | 2 言語習得 | SL 30%/HL 20% |
| 言語B(個人口述) | 2 言語習得 | 25% |
| 生物 | 4 理科 | SL・HLとも20% |
| 数学 | 5 数学 | 20% |
この違いは、勉強の配分に直接効きます。IAが40%を占める科目では、提出物ひとつで1グレード分が動きます。逆にIAが20%の科目は、どれだけIAを磨いても最終試験で崩れれば取り返せません。
自分の科目の比率は、どこを見れば分かるのか
上の表は代表例で、全科目の一覧ではありません。自分が履修している科目の正確な比率は、その科目の「subject guide(指導の手引き)」の Assessment outline を見るのが確実です。SL版とHL版で別の表になっているので、自分のレベルの側を見てください。手元に無ければDPコーディネーターか担当の先生に頼めば出てきます。
※ グループ1(言語A)については、当編集部が公式資料で比率を確認できていないため、上の表には載せていません。確認でき次第この表に追加します。

先生が付けた点は、そのまま出るとは限らない
IAは学校の先生が採点します。ただし、その点がそのまま最終成績になるわけではありません。IBはモデレーション(moderation)という手続きで、外部の試験官が各校の提出物の標本を点検します[1]。
ここで押さえておきたいのは、調整のかかり方です。公式の説明では、先生の採点が世界基準に対して甘い(または厳しい)と判断された場合、その学校のその科目のIAの点に、全員分まとめて同じ調整係数がかけられます[1]。個人の答案を1枚ずつ見直して上下させるのではありません。
つまり「自分のIAだけが下げられた」という状況は、この手続きの仕組み上は起きにくいということです。下がったとすれば、同じ科目のクラスメイトのIAも一緒に下がっています。
なお、IBは「調整が不要である(=学校の採点が世界基準と揃っている)と確認できることが理想的な結果だ」としています[1]。モデレーションは減点のための制度ではなく、学校間の基準を揃えるための制度です。
筆者の体験
わが家の場合は、先生が付けたIAの点と、最終的に返ってきた点に違いはありませんでした。調整が入らないまま終わることも実際にある、という一例です。
結果が出たあとに、このIAの調整そのものを問い直す手続き(再モデレーション)もあります。こちらは結果を受け取ってから動く話なので、後半の「取れなかったあとに選べる道」で扱います。
コアの3点はこう決まる(TOK・EE・CAS)
6科目の42点に上乗せされる最大3点は、TOKとEEの評価の組み合わせで決まります。CASは点になりませんが、必修です。
TOK=「展示」と「エッセイ」。プレゼンテーションはもう無い
TOKは2つの課題で評価されます。公式の TOK guide によれば、内部評価=TOK展示(exhibition・10点・全体の1/3=33%)と、外部評価=所定課題によるTOKエッセイ(10点・全体の2/3=67%)です[3]。
ここは注意が要ります。「TOKプレゼンテーション」を紹介している日本語の解説も見かけますが、その形式は現在のTOKにはありません。1人あたり10分程度の発表と説明されていた旧形式です。展示に置き換わったのは first assessment 2022、つまり2022年の試験セッションからです[3]。いま履修している生徒が受けるのは展示のほうです。
展示の中身も具体的に決まっています。35個のIAプロンプトから1つを選び、それに結びつく3つの「物」を集めて、それぞれについて書いた解説文を提出する形式です。文字数は全体で950語(日本語なら1,900字。日本語・中国語・韓国語では句読点を字数に数えません)[1]。
- グループワークは認められていません。展示は必ず個人で作ります[1]
- 同じクラスの生徒が同じIAプロンプトを選ぶのは問題ありませんが、同じ物を使うことはできません[1]
- 採点は規準(criteria)を使わない「全体的印象による採点」で、10点満点です[1]。項目ごとに点を積み上げる方式ではありません
エッセイのほうは、各セッションでIBが公表する6つの所定課題(prescribed titles)から1つを選んで書きます。上限は1,600語(日本語は3,200字)[1]。
※ 日本語で書く場合、展示は句読点を字数に含めず、エッセイは含めます。同じTOKの中で扱いが逆になっているので、提出前に確認しておくと安全です(いずれも出典[1])。
EE=5つの規準・34点満点。2027年試験から30点に変わる
EE(課題論文)は完全に外部評価です。上限4,000語(日本語は1語をおよそ2文字と換算して8,000字)[4]。
評価は5つの規準・合計34点で行われます[4]。「11項目・36点満点」と説明している資料がありますが、現行の指導の手引きの数字は下記です。
| 規準 | 配点 |
|---|---|
| A:焦点と方法 | 6 |
| B:知識と理解 | 6 |
| C:批判的思考 | 12 |
| D:提示 | 4 |
| E:関与 | 6 |
| 合計 | 34 |
配点を見ると、批判的思考(C)だけで34点中12点=3分の1以上を占めます。調べた量ではなく、調べたものをどう論じたかで差がつく設計です。
もうひとつ、現在の高校1年生・2年生には直接効く変更があります。EEは first assessment 2027 から、5規準・合計30点に変わります。現行の「D:提示(4点)」が無くなり、討論と評価の規準に8点が配分されます[5]。
自分がどちらの版で評価されるのかは、受けるセッションを在籍校に確認してください。
なお、アブストラクト(要約)を付けるという説明も残っていますが、現行の指導の手引きが定める提出物の必須要素は表紙・目次・序論・本論・結論・参考文献の6つで、アブストラクトは含まれていません[4]。
TOKとEEの組み合わせで、0〜3点が決まる
TOKとEEはそれぞれA〜Eで評価され、その組み合わせでコアの点数が決まります。公式のマトリクスは次のとおりです[1]。
| EE \ TOK | A | B | C | D | EまたはN |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 3 | 3 | 2 | 2 | 不授与 |
| B | 3 | 2 | 2 | 1 | 不授与 |
| C | 2 | 2 | 1 | 0 | 不授与 |
| D | 2 | 1 | 0 | 0 | 不授与 |
| EまたはN | 不授与 | 不授与 | 不授与 | 不授与 | 不授与 |
この表で確認しておきたいのは2点です。ひとつは、どちらか一方がEなら、他方が何であってもディプロマは授与されないこと。もうひとつは、両方がDでも0点にはなるが不授与にはならないことです。EとDのあいだに、合否を分ける線が引かれています。
CASは点にならないが、終わらないとディプロマは出ない
CASは評価されません[1]。ただし要件を満たさなければ、点数がいくらあってもディプロマは出ません。
ここで安心材料をひとつ。CASが終わっていない場合、ディプロマは「不授与」ではなく保留になります。公式規程では成績発表後1年以内に要件を満たせば、ディプロマが授与されます[1]。「CASが間に合わなかった=終わり」ではありません。

ここまでが「点の作られ方」です。TOKとEEは、科目の勉強と勝手が違います。展示は規準を使わない全体的印象で採点され、EEは34点のうち12点が批判的思考に振られている。採点の型が公開されていても、何をどう書けば点が動くのかは見えにくい領域です。
筆者の体験
わが家の場合、HLに置く科目は志望する学部の科目要件でほぼ決まってしまい、「この科目をHLにすると、こちらはSLになる」という組み合わせの制約もありました。予測スコアを受け取ったとき、残りの数か月で何ができるのかを親子で考え直したのを覚えています。
志望先に科目要件がある場合は、このようにHLの組み方に選ぶ余地があまり残りません。逆に要件がなければ、総合点を取りやすい構成を考える道もあります。まず志望先に科目要件があるかを確かめるのが先です。
いったん組んだ科目構成を途中から大きく入れ替えるのは難しいので、動かせるのは「いま持っている科目の中で、どの成分にどれだけ時間を使うか」になります。IAが40%の科目とTOK展示とでは、同じ1時間の効き方がまるで違います。どこに時間を寄せるかは、自分の科目の比率と残り時間を並べてみないと決まりません。
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日本のIB生の時間割:11月試験と国内入試は同時に来る
IBの試験が年2回あるのは、南半球と北半球で学校年度がずれるためです。文部科学省IB教育推進コンソーシアムは「南半球と北半球の学校年度に対応できるよう、年2回、世界で一斉に実施されます。日本の一条校の場合は、原則として3年次の11月に実施され、翌年の1月5日に最終スコアが通知されます」と説明しています[12]。
ただし「日本は4月入学だから南半球扱いになって11月」という説明には、IBの規程上の裏づけがありません。評価規程が定めているのは、学校が認定を受ける段階で主たる試験セッションを5月にするか11月にするかを選ぶ、ということだけです[1]。日本の学校が南半球の扱いを受ける、という規定は置かれていません。
一方で、日本語DPにとって11月が実務上重要である理由は規程に書かれています。TOKで日本語による解答が認められるのは11月セッションのみです[1]。
最終スコアが出る前に、大学に出願することになる
ここが日本のIB生にとって一番きつい構造です。国内のIB特別入試は秋に動き、最終試験の結果が出るのはそのあとです。
文部科学省の資料も、出願時期までに最終スコアが確定しない場合は学校が見込みスコア(predicted score)を付けて大学に提出し、大学は最終スコアの決定をもって合否を決定すると説明しています[9]。
実際の日程を、筑波大学の国際バカロレア特別入試(10月募集)の募集要項で並べてみます。
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 高3の9月末〜 10月初旬 | 大学に出願。最終スコアはまだ無いのでPredicted Gradesを提出する |
| 10月31日 | 第1次選考(書類審査)の結果発表 |
| 11月下旬 | 大学の第2次選考(面接・小論文など)と、IB最終試験がほぼ同時期 |
| 12月10日 | 大学の合格者・条件付合格者の発表 |
| 12月 16〜17日 | IBの成績発表(学校向け12月16日/生徒向け12月17日) |
| 翌1月6日まで | 大学がIBから成績証明書を入手できない場合は合格取消(IBの成績発表が遅れた場合を除く) |
| 翌3月31日まで | IB資格を取得できない場合、指定得点に届かない場合は合格取消 |
並べると分かるとおり、大学の2次選考とIBの最終試験が同じ月に来ます。そして合格発表のほうが、IBの成績発表より先に出ます。
※ 成績通知の時期は、制度上の説明(翌年1月5日)[12]とIBが公表した日程(2025年11月セッションは12月16〜17日)[1]にひらきがあります。上の例では大学側の提出期限が1月6日なので、制度上の日付どおりに通知された場合は前日という計算になります。志望校の締切は、実績ではなく遅いほうの日付を前提に逆算しておくと安全です。
「条件付合格」は、人によって条件が違う
取得見込みで出願した場合、合格は「条件付合格」という形になります。この中身が、あまり知られていません。同要項によれば、条件付合格の通知では志願者ごとに、最終合格に必要なIB最終試験の合計点と各科目の得点が指定されます[10]。
- 指定される得点は出願時のPredicted Gradesをもとにするが、それより高いことも低いこともある[10]
- レポートと面接の内容に対して必要とされる得点なので、同じ学類でも志願者によって違う[10]
- 合計点または各科目の得点が指定を下回った場合も合格取消[10]
つまり、合計点が足りていても特定の科目だけ指定に届かなかったために取り消される、ということが制度上あり得ます。ディプロマの授与条件(24点以上など)とは別に、志望校ごとの条件がもう一段乗っている、と理解しておくのが正確です。
なお、同じ大学でも募集の回によって出願資格が違います。筑波大学の7月募集はディプロマ取得者のみが対象で、取得見込者は出願できません[11]。「IB入試」とひとくくりにせず、志望校ごとに要項を確認する必要があります。
最終スコアが出る前に出願する、という構造は国内に限りません。文部科学省の資料も、海外の大学について「出願時期までに最終スコアが確定しない場合、学校は見込みスコア(predicted score)を付けて大学に提出し、大学は最終スコアの決定をもって合否を決定する」と説明しています[9]。
筆者の体験
わが家は海外の大学でしたが、条件は合格のあとから届き、中身は英語だけでした。English Bの成績次第で、そのまま入学できるか、準備コースからになるかが変わる、という形だったと記憶しています。
条件の形は、志望先によってかなり違うということです。合計点と各科目の両方を指定されることもあれば、1科目だけが条件になることもある。そして届かなかった場合の着地点も、「不合格」だけとは限りません。準備コースを経由する道が用意されていることもあります。条件付合格の通知を受け取ったら、まず「何が条件で、満たせなかったらどうなるのか」を書面で確かめてください。

ディプロマが取れなかったら、何が残るのか
残るのはDP Course Results=各科目のグレードとTOK・EE・CASの結果を記した成績証明です。そして日本の大学入学資格は、在籍校が一条校かどうかで話が変わります。順に見ていきます。
「IB Certificate」ではなく、DP Course Results
日本語の解説では「ディプロマが取れなければ IB Certificate がもらえる」と書かれていることがありますが、この呼称はIBの現行文書では使われていません。
IBの一般規則(2026年版)は、ディプロマの要件を満たさなかった学生が受け取るものを DP Course Results と定めています。記載されるのは各科目で得たグレード、TOKとEEの結果、そしてCAS要件を完了したことの確認です[2]。
つまり、これは「修了資格」ではなく「各科目の成績証明」です。2年間の学習が記録として残らないわけではありません。一方で、ディプロマそのものとは扱いが異なります。
※ 現在「Certificate」の語が付くのは、DPではなくCP(キャリア関連プログラム)の「IB CP Certificate」です(出典[2])。
日本の大学入学資格は、どうなるのか
「ディプロマが取れないと、高校卒業資格が無いことになるのでは」。知恵袋にはこの不安が書き込まれており、しかも回答が割れています。ここは法令まで下りて構造を見たほうが早いので、順に並べます。
まず前提として、IB自身が「IBはディプロマやDP Course Resultsの承認を保証するものではなく、各国・各機関の要件はIBの管理外である」と明言しています[2]。答えは日本の制度の側にあります。
整理しておきたいのは、「IB資格で入る」ルートと「高校を卒業して入る」ルートは、法律上まったく別の入口だということです。
- 学校教育法第90条=「高等学校…を卒業した者」は大学に入学することができる[7]
- 同法施行規則第150条第4号+昭和23年文部省告示第47号 二十=「国際バカロレア事務局が授与する国際バカロレア資格を有する者」も、高等学校卒業者と同等以上の学力があると認められる[7]
後者について、文部科学省は「大学入学資格ガイド」の中で、この指定は「DP(ディプロマ・プログラム)の修了者を想定したものであり、CPの修了者は含まれない」と明記しています[7]。IB資格による入学資格が想定しているのは、フルのディプロマだということです。
では前者、「高校を卒業して入る」ルートはどうか。一条校(日本の高校)のIBコースの場合、IB科目は日本の高校の卒業単位に算入できます。
平成27年文部科学省告示第127号が、IB認定校の教育課程の基準の特例を定めているためです。高校卒業に必要な74単位のうち、IB科目を学校設定科目として置いた場合は36単位まで算入できます(通常の学校設定科目は20単位まで)[8]。
条文の上では、この2つは別々に判定されます。ディプロマを授与するかどうかを決めるのはIB機構、日本の高校を卒業したと認めるのは在籍している学校です。
したがって、一条校のIBコースに在籍している生徒については、「ディプロマが取れない=日本の大学に出願できない」とはなりません。IB特別入試の受験資格は失うことになりますが、必要な単位を修得して高校を卒業していれば、それを根拠とする一般選抜や総合型選抜への道は残ります。
一方、一条校ではないインターナショナルスクールなどでディプロマを取得できなかった場合は、話が変わります。この場合は日本の高校を卒業したことにならないためです。
ただし、ここにも複数の入口があります。国内のインターナショナルスクールについては、文部科学大臣の指定を受けた課程(12年)を修了すれば、それだけで大学入学資格が付与されます[7]。
もうひとつの入口が、認証評価団体(WASC・ACSI・CIS・NEASC・Cognia)の認定を受けた課程の修了です。これも大学入学資格が認められる要件のひとつとして挙げられています[7]。
つまり、まず確かめるべきは在籍校がこれらの指定・認定を受けているかです。受けていれば、卒業そのもので大学入学資格が成立します。ディプロマの可否とは別の話です。
文部科学省は、インターナショナルスクールについて、こうした要件のいずれにも該当しない場合は「当該ISを卒業しただけでは大学の入学資格が認められませんので、高卒認定試験に合格する等の、他の要件を満たす必要があります」としています[7]。この場合も道が閉じるわけではなく、別の入口を通ることになります。
※ ただし「ディプロマが取れなくても高校は卒業できる」と文部科学省が一文で明言した文書は、当編集部が確認した範囲では見つかっていません。上記は条文と告示から読み取れる構造です。最終的な扱いは必ず在籍校と志望校に確認してください。
取れなかったあとに選べる道
結果が出たあとにも、手続き上の選択肢はいくつか残っています。
結果を確かめ直す(EUR)
成績に納得がいかない場合、EUR(Enquiry upon results)という手続きがあります。外部評価の再採点、答案の返却、IAの再モデレーションなど5種類が用意されています[1]。
実務で押さえておきたい点が3つあります。
- 申請は学校(DPコーディネーター)が行います。生徒や保護者が直接IBに申し込むことはできません[2]
- 外部評価の再採点は下がることもあります。そのためIBは、学校が生徒本人または保護者の書面による同意を得ることを求めています[2]
- 一方、IAの再モデレーションで点が下がることはありません[1]
- ただし再モデレーションが実施されるのは、調整後と調整前の平均点の差が、その成分の満点の15%以上ある場合に限られます[1]
期限は成績発表からおよそ2か月(9月15日/3月15日)です[1]。前述の条件付合格を受けている場合は、大学側の締切のほうが先に来ることがあるので、志望校の要項とあわせて逆算する必要があります。
受け直す(リテイク)
科目を受け直すこともできます。6か月後のセッション、あるいはその後のセッションで、科目単位での再受験が可能です[1]。
受け直せるのは科目だけではありません。TOKエッセイやEEも提出し直せます[1]。
負担を減らせる仕様もあります。IAなど試験以外の成分は、前回の点をそのまま持ち越せます(筆記試験とTOKエッセイは持ち越せません)[1]。全部をやり直す必要はない、ということです。
そして、再受験した場合はより高いほうのグレードがディプロマの授与に使われます[2]。受け直して下がったせいでディプロマが遠のく、という心配は要りません。ただしこれは同じレベル・同じ応答言語で受け直した場合の扱いです[1]。
※ 6か月後に受け直す場合はSLからHLへの変更ができないなど、細かい制限があります(出典[1])。

ディプロマを目指さない登録に切り替える(Course)
あまり知られていませんが、IBの登録区分はディプロマ志願だけではありません。Courseという区分があり、これはディプロマを目指さず、個別の科目やコア要素を組み合わせて登録・受験するためのものです[1]。
フルディプロマ6科目+コア3つを走りきることが難しくなったとき、制度上は「全部やめる」と「全部続ける」の間に選択肢があるということです。実際にどう扱われるかは在籍校の方針にもよりますので、早めにDPコーディネーターに相談してください。
どの道を選ぶにしても、起点は同じです。成績表と、この記事で見てきた条件を並べて、いまどの条件が、どれだけ足りていないのかを1つずつ特定すること。EURの期限も、リテイクで持ち越せる成分も、そこが決まってはじめて逆算できます。
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IBは独特。“経験者”に頼るのが立ち上がりの近道。
✓ IBの課題(EE・TOK・IA)や英語での授業に伴走してほしい
✓ DPスコアを上げたい/評価の仕組みが分からない
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IBは学習法も評価(EE/TOK/IA)も独特で、入学後に負荷を感じる生徒は少なくありません。EDUBALの教師はIBを実際に経験した帰国子女×現役大学生が中心。まずは無料の体験授業で、オンライン指導が合うかを1回確かめてみるのが近道です。
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※編集部は情報提供の立場です。教師数・対応地域等は広告主公表の情報です。指導内容・料金は公式で確認のうえご検討ください。
よくある質問
まとめ
IBの45点は、科目ごとに違う比率でIAとEAが混ざり、学校の外から調整が入り、TOKとEEの組み合わせで最後の3点が乗る。そういう積み上げ方をしています。この構造が見えていると、「いまの自分はどこを動かせるのか」が具体的になります。
そして、もし届かなかったとしても、手元に残るのはDP Course Resultsという各科目の成績証明です。EURやリテイクという手続きも、ディプロマを目指さない登録区分も、制度としては用意されています。日本の大学入学資格についても、在籍校が一条校であれば「IB資格で入る」以外の入口が法律上べつに存在します。
いずれも、最終的な扱いは在籍校と志望校の判断が入ります。この記事の内容を手がかりに、早めにDPコーディネーターに確認してみてください。



参考情報・出典
- 国際バカロレア機構『Diploma Programme Assessment procedures 2025』(A2.2 ディプロマの授与/C2.4・C2.5 登録区分と再受験/C3.3 モデレーション/C8.1 成績発表日程/C8.2.4 要件コードとコアポイント・マトリクス/C8.3 EUR/D2・D4・D5・D6 科目別の評価構成/D8 TOK/D9 CAS)
- 国際バカロレア機構『General regulations: Diploma Programme』(2026年版)(第5条 承認について/第10条 再受験と最高グレード/第11条 結果の形式=DP Course Results/第12条 EURの申請/第13条 IB CP Certificate)
- 国際バカロレア機構『Theory of knowledge guide』(first assessment 2022)「TOK assessment outline」
- 国際バカロレア機構『Extended essay guide』(first assessment 2018)「Writing the extended essay」「Overview of the assessment criteria」
- 国際バカロレア機構『Extended essay guide』(first assessment 2027)「Assessment criteria」
- 国際バカロレア機構『Biology guide』(first assessment 2025)「Assessment outline—SL/HL」
- 文部科学省高等教育局「大学入学資格ガイド ~ver.2~」(令和6年6月。学校教育法第90条/同法施行規則第150条/昭和23年文部省告示第47号/Ⅰ-1⑬⑰/Q32/Q35/Q39)
- 文部科学省大臣官房国際課「国際バカロレア・ディプロマ・プログラムと学習指導要領との対応関係について」(中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 第123回 資料6・令和3年4月28日。平成27年文部科学省告示第127号)
- 文部科学省大臣官房国際課「国際バカロレアの大学入試における活用について」(2024年8月1日)
- 筑波大学「令和8年度(2026年度)国際バカロレア特別入試(10月募集4月入学)学生募集要項」
- 筑波大学「2026年度(令和8年度)国際バカロレア特別入試(7月募集4月入学)学生募集要項」
- 文部科学省IB教育推進コンソーシアム「IBのプログラム(DP/CP)」
