留学といえば、アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアなどの英語圏の国が人気ですが、これらの国では学費はとても高くなっていて、奨学金などを得ないことには合格しても進学出来ないといったことも少なくありません。
シンガポールや香港など、英語が公用語となっている国や地域も人気が高いのですが、こちらも同じく学費が高いのがネックとなっています。
そんな中、近年ヨーロッパへの留学が急速に人気を集めてきています。その中でも今回は「🇩🇪ドイツ」の大学の魅力に迫っていきたいと思います。
ドイツ大学の魅力
世界最高水準の教育
ドイツの大学は世界最高水準に位置していて、世界大学ランキングでもトップクラスに位置する大学がとても多く、革新的な最先端の研究が行われています。
世界大学ランキングとして特に有名なものとして、「THE世界大学ランキング」(THE World)と、「QS世界大学ランキング」(QS World)があります。各ランキングの200位にランクインしている学校を見てみると以下のようになります。
大学ランキング(〜200)
THE 2023 | QS 2024 |
---|---|
30位:ミュンヘン工科大学 | 28位:東京大学 |
33位:LMU ミュンヘン | 37位:ミュンヘン工科大学(TUM) |
39位:東京大学 | 46位:京都大学 |
43位:ハイデルベルク大学 | 54位:LMU ミュンヘン |
68位:京都大学 | 80位:大阪大学 |
73位:シャリテ ベルリン大学 | 87位:ハイデルベルク大学 |
86位:ベルリン フンボルト大学 | 91位:東京工業大学 |
86位:テュービンゲン大学 | 98位:ベルリン自由大学 |
89位:ボン大学 | 106位:アーヘン工科大学 |
91位:ベルリン自由大学 | 113位:東北大学 |
99位:アーヘン工科大学 | 119位:カールスルー工科大学(KIT) |
113位:フライブルク大学 | 120位:ベルリン フンボルト大学 |
119位:ゲッティンゲン大学 | 154位:ベルリン工科大学 |
128位:ハンブルク大学 | 164位:九州大学 |
139位:ヴュルツブルク大学 | 176位:名古屋大学 |
146位:ケルン大学 | 192位:アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルク |
148位:ウルム大学 | 96位:北海道大学 |
156位:ベルリン工科大学 | 199位:早稲田大学 |
156位:ドレスデン工科大学 | |
179位:マンハイム大学 | |
185位:ミュンスター大学 | |
189位:フリードリヒ・シラー大学イエナ校 | |
189位:カールスルーエ工科大学 | |
196位:エアランゲン ニュルンベルク大学 |
200位までにランクインしている学校数
THE | QS | |
日本 | 2校 | 9校 |
ドイツ | 22校 | 9校 |
ブリティッシュ・カウンシルの「Global Gauge」では、ドイツは大学の国際化では世界一と評価されています。その評価通り、ドイツの大学では多様な文化背景を持つ学生と交流できる機会が広がっています。
THEとQSのランキングデータから、ドイツのトップ3大学の留学生比率を見てみると、非常に多い割合を示していることが分かります。
留学生比率
THE2023 | QS2024 | |
---|---|---|
ミュンヘン工科大学 | 36% | 40% |
LMUミュンヘン | 19% | 18% |
ハイデルベルク大学 | 21% | 21% |
授業料が無料
ドイツの大学の約60%は、連邦政府と連邦州によって運営されている国公立大学で、これらの大学で受講する学士課程・修士課程は、EU圏内・圏外など国籍に関わらず、基本的に授業料は無料となっています。
例外として、バーデン=ヴュルテンベルク州(Baden-Würtemberg)の国立大学では、EU以外の国からの留学生は授業料がかかってきますが、その州でさえも、1学期あたり1500ユーロ(20万円程度)という学費の安さになっています。
ドイツは教育に関する位置づけが高く、子供たちにはきちんとした学びの場を提供しようという考えが根付いている国です。
学期共済費
授業料は無料ですが、すべての学生は学期ごとに100〜350ユーロ(15,000〜50,000円程度)の学期料金(Semester fee)を支払う必要があります。
この学期料金には、公共交通機関の乗り放題となるパス(Semester ticket)代が含まれていますので、生活をする上でもかなりお得なものとなっています。
Semester ticket
学期料金(Semester fee)の半分程度を占める「Semester ticket」は、通う大学の州によってエリアは変わりますが、特定のエリア内であれば、電車やトラム、バスなどの公共交通機関が乗り放題になる学生パスです。
これによって、通学時にはもちろん、買い物やお出かけなど、生活をする上での出費の1つである交通費を抑えることが出来ますし、他にも学生証を持っていると割引を受けられるなど、学生に優しいのもドイツの特徴です。
生活費
ドイツの学生全国平均値は約850ユーロ/月のようです。内訳の以下のようになっています。(海外留学情報サイト掲載)
平均:約850ユーロ/月
- 家賃:290〜560ユーロ
- 食費:168ユーロ
- 衣服:42ユーロ
- 教材費:20ユーロ
- 交通費:94ユーロ
- 健康保険:約100ユーロ
- 通信費:31ユーロ
- 交際費:61ユーロ
英語で学べる
ドイツの公用語はドイツ語ですが、英語教育もとても盛んで、英語力をランキング化した「EE EPI 英語能力指数」の2022年版では、第10位の能力レベル”非常に高い”にランクインするほどです。
このランキングにおいて、日本は第80位の能力レベル”低い”となっていました。
人口の60%近くが英語を話せると言われているドイツでは、英語のみで学ぶことができるコースを開講している大学もあり、その数は200以上の大学で60を超える専門分、2,000ほどの英語学位プログラムがあります。
英語で学ぶことが課程は、以下のサイトで検索することが出来ます。
※英語のみで受講できるプログラムでも、大学入学要件としてドイツ語が必要な大学もあります。
またドイツの大学では、英語だけでなくドイツ語を学ぶ機会を作ることもできるので、複数言語を同時に学べるのも魅力の1つです。
EU内でメジャーな言語の1つであるドイツ語を身につけることで、将来的にビジネスの場でも役立つスキルとなってくれます。
治安が良い
ドイツは世界有数の経済大国で、政治・経済が安定していて、治安も比較的良く、他の欧米諸国と比べても安全といえます。
地域や時間帯を問わず、基本的な危機管理を徹底し、常識的な予防策を講じれば、安心して生活できると言える国です。
世界平和指数
参考指標として、世界平和指数(GPI)2023では、ドイツは15位にランクインしていました。(同ランキングで日本は9位)
ドイツの大学は大きく分けると、学術研究のための総合大学、実践志向の応用科学大学、芸術を学ぶ芸術系大学に分けられます。
ドイツの教育システムと出願要件
ドイツには400校以上の高等教育機関があり、20,000以上ものコースが提供されています。
学士課程は3~4年、修士課程は2年となっていて、出願要件は州ごとに異なりますが、一般的には大学入学資格「HZB(Hochschulzugangsberechtigung)」が必要となります。
学士:3〜4年
修士:2年
HZBは、ドイツ人が大学へ進学するために受験するテストで、少なくとも2年以上在籍していないと受けられないテストとなっているため、日本人の場合は、HZBに相当する学力上の条件が求められます。
求められる学力条件
1.国際バカロレアを取得している場合
- IBDPを取得
- 数学をHLで受講、または、生物、化学、物理のいずれかをHLで受講。
- 数学AA,AIでIBDPを取得すると、すべての学部で直接大学入学が可能。
成績による入学資格が制限されている学部への入学を申請する場合、以下の公式を使用してIBDPで達成した最終スコアを、ドイツの成績評価システムに換算する必要があります。
- N = 必要なドイツの成績
- P = IBDPのスコア
- Pmax = 42(最大スコア)
- Pmin = 24 (最小スコア)
この公式によって換算されたドイツの成績は、小数点第2位以下は切り捨てされます。
例、IBDPの最終スコアが37とした場合、以下のような計算となります。
IBDPの最終スコアが37の場合、ドイツの成績評価システムでは小数点第2位以下は切り捨てされるため、「1.8」というグレードに変換されることになります。
2.最終学歴
最終学歴 | 出願可能な学科 |
---|---|
高校卒業 | 共通テストで62%以上の成績を修めた科目に関連する学科 |
4年制の大学に在学中 (1年以上を修了し、35単位以上を取得) | 専攻学科および関連学科 |
短期大学卒業 | 専攻学科 |
4年制大学を卒業し学士号を取得 | 任意の学科 |
2-1
高校卒業の場合
12年間の学校教育を修了して日本の高校を卒業
+ 大学入学共通テストを5科目以上受験し
+ うち5科目の得点の合計が420点以上が必要。
そのうちドイツの大学での専攻に関連する2科目において、それぞれ62%以上の成績をおさめた場合、その学科及び関連学科に出願できる。
2-2
日本の大学在学中の場合
日本の大学の学部課程で1年以上を修了し、35単位以上を得ている場合、その専攻学科および関連学科に出願できます。
2年で70単位以上、3年で105単位以上が必要になります。
2-3
短期大学卒業の場合
短期大学で専攻した学科に出願できます。
専攻を変える場合は、大学入学準備課程で1年間勉強をし、新たな専攻の大学入学資格確認試験に合格することで可能です。
2-4
4年生大学卒業の場合
日本の4年制以上の大学を卒業して学士号を取得している場合、任意の学科に出願出来ます。
ドイツ留学生の住まい選び
ドイツでの留学生活を始める際、最初に考えるべきことの一つが住まいの選び方です。
ドイツには留学生に合った様々な住居オプションがあります。以下、主な滞在先とその魅力をまとめました。
住居の選択肢
1.学生寮
安心・安全・経済的
学生寮は家賃が最も安く、キャンパスまでの距離が近いため、留学生に人気があります。部屋数に限りがあるので、入寮を希望する場合は留学が決まったら早めに申し込みましょう。学生寮は共同生活が基本で、異文化交流の場としても最適です。
2.フラットシェア
友情・共同体・節約
ドイツ人学生に一般的なのは、学生同士のフラットシェア(WG:Wohngemeinschaft)です。一人でアパートを借りるよりも家賃を低く抑えられ、自分の個室がありつつ、キッチンやバスは共同で使用します。
フラットシェアは、家族のように賑やかに生活することができ、友情を深める絶好の機会となってくれます。
フラットメイトの募集は、インターネットや大学の張り紙などで探すことが一般的です。
3.賃貸アパート
プライバシー・自由・個人主義
一人でアパートを借りる選択肢もあります。プライバシーを重視し、自分のペースで生活したい方に最適で、自分の好みに合わせて部屋をカスタマイズすることも可能です。
ドイツの大学情報を調べる
ドイツの大学情報を調べるには、まずはDAAD(Deutscher Akademischer Austauschdienst)を活用します。
DAADは、ドイツの大学や学生組織による協会として運営されている学術機関で、ドイツの大学のプログラムや入学要件、奨学金などに関することが検索出来ます。
DAAD日本
Study in Germany(HIGHER EDUCATION COMPASS)
また、年1回開催されている「欧州留学フェア(EHEF)」などのようなフェアへ参加するのも良いかと思います。
2023年は以下の日程で開催されていました。
- 東京会場:6月24日
- 京都会場:6月25日
- ウェビナー:6月19日〜21日