国際バカロレアDPと日本の高校教育の違いとは?IBのの教育システムとその魅力

近年、教育の国際化が進む中で、「国際バカロレア」という言葉を耳にする機会が増えてきましたが、その具体的な内容や一般の高校教育との違いについて、詳しく知る機会は意外と少ないかもしれません。

  • 国際バカロレアって具体的にはどんな教育?
  • 普通の高校教育と比べて、どんなメリットやデメリットが?

この記事では、このような疑問に対して、国際バカロレアプログラムの特色と、日本の一般的な高校教育との間にある主な違いについて、分かりやすく紹介します。

目次

国際バカロレア(IB)と日本の高校教育との違い

国際バカロレアは「より良い教育を受けたい」、「海外留学を検討している」と考えているご家族が、注目している教育プログラムの1つで、認定を受けている学校は、世界160の国と地域で約5,700校あります。

教育方針の違い

国際バカロレアDP日本の高校教育
目的批判的思考、問題解決能力の育成知識の習得、大学入試の準備
学びの焦点知識の活用と個人の成長知識の伝達と習得
学生像自主的で探究心があり、国際的な感覚を持つ学問に精通し、特定の分野において高い能力を持つ
グローバルな視点強く推奨される徐々に重視されつつある

国際バカロレアDPの教育方針

国際バカロレアDPの教育は、生徒が自ら学び、世界を理解し、より良い世界の構築に貢献できるようにすることを目指しています。

日本の高校教育の方針

日本の高校教育は、大学進学や将来の職業に向けて準備することに焦点を当てています。

カリキュラムの違い

国際バカロレアDP日本の高校教育
科目選択6つの学問領域から均等に選択文系・理系に分かれて選択
学びの焦点EE・TOK・CASが必須学校によって異なる

国際バカロレアDPのカリキュラム

学生は6つの科目を選択し、それぞれの分野で知識と理解を深めることが求められます。

それに加えて、TOK(知の理論)・EE(課題論文)・CAS(創造性、活動、奉仕)といった3つの必修科目もあります。

日本の高校のカリキュラム

学生は文系または理系のいずれかを選択し、その方向性に沿った科目を中心に学習します。

また、学校により異なりますが、総合的な学習の時間や特別活動も行われます。

学びのアプローチの違い

国際バカロレアDP日本の高校教育
学習スタイル探究ベースの学習伝統的な教室ベースの学習
学生の役割学習者が主体的に学ぶ教師が中心となり指導
スキルの重視点批判的思考力、独立した学習能力、国際的な理解知識の習得、理解度、記憶力

国際バカロレアDPの学び方

探究ベースの学習に重点が置かれ、学生が自ら疑問を持ち、それを解決するプロセスを通じて深い理解と批判的思考能力を育むことを目指している。

日本の高校の学び方

知識の習得や理解度の確認に重点が置かれていて、教師が主導した授業が行われ、生徒は与えられた知識を吸収します。

評価方法の違い

国際バカロレアDP日本の高校教育
評価の種類内部評価と外部評価の組み合わせ学校内評価が中心
評価の焦点知識の理解、思考力、応用能力知識の理解度、記憶力
多面的な評価TOK・EE・CASによる成長も評価学業成績のほか、態度や参加度なども考慮されることもある

国際バカロレアDPの評価方法

学校内での試験やレポートなどの内部評価と、課題提出や世界共通の最終試験の外部評価の両方で構成

学生の思考力、研究能力、コミュニケーション能力を総合的に測ります。

日本の高校の評価方法

主に学校内での筆記試験やレポートが成績評価の中心で、学生が授業で学んだ知識をどれだけ理解しているかを測るものとなっています。

国際バカロレアを取り入れる日本の高校の増加傾向

  • 教育の質の向上
  • 学習者中心の教育
  • グローバル化への対応

国際バカロレア(IB)を導入している日本の高等学校は全国的に増加してきています。

導入している学校の共通点としては、高いレベルの教育を提供することを目的としていて、また国際的な視野を持った学生を育成することを目指しているということ。

国際バカロレア認定校の現状

PYP認定校
63
候補校
46
MYP認定校
39
候補校
16
DP認定校
68
候補校
8
令和6年3月31日時点

国際バカロレアのプログラムを提供する日本の学校の数は着実に増加していて、2024年3月31日時点で国際バカロレア認定校等の数は241校となっています。

また、ここからも推し進めていくことを閣議決定されていることからも、国際教育に対する関心の高まりが示されています。

国際バカロレア認定校
公立・私立・インター

公立校

  • 学費が安い
  • 生徒数が多く、交流が盛ん

私立校

  • 施設や設備が充実
  • IBに特化したカリキュラムがある場合も
  • 幅広い進路指導の充実

インターナショナルスクール

  • バイリンガルな教育
  • 国際色が豊かな環境

国際バカロレア教育のメリット・デメリット

メリットデメリット
海外大学の入学資格
国内大学のIB入試
英語力の向上
論理的思考が身に付く
認定校の選択しが少ない
学費が高くなることも
学習量が多い
大学入試の選択肢

IB教育のメリット

国際バカロレア修了生は、欧米やアジア圏などはもちろん、アメリカやカナダなどの名門大学など、世界的に有名な大学での入学率が高いとされています。

また、国際バカロレアの教科書などは英語で記載されているものを使用し、日本語で行われている日本語DPの場合でも、2つの科目はオールイングリッシュでの受講となるので英語力の向上が期待できます。

IB教育のデメリット

国際バカロレア教育は、高いレベルの学習が求められるため、ストレスや負担が大きくなることがあります。費用も一般コースと比較すると、IB専用の教科書代や試験料など別途必要な費用が増えます。

また実情として、提供している学校はまだ少なく学校の選択には限りがあることや、日本の大学入試制度に適用されていないところもあります。

国際バカロレアを導入している学校の選び方

国際バカロレアのプログラムを導入している学校は年々増加してきています。しかし、導入している学校によっては実績や教員の質、教育環境などには差があるため、選ぶ際には以下の確認をおすすめします。

選ぶ際のチェック項目
  • IBプログラムの実績
  • IB教員の質や実績
  • 学校の施設や環境
スクロールできます

IBプログラムの実績

IB資格の合格率や卒業生の進路先、IBプログラムのカリキュラム内容や授業の質などを、学校のホームページや卒業生などの体験談などを見てみる。また学校説明会などに参加する。

IB教育の質

卒業生の合格率や合格点数、教員の資格や実績、教育委員会からの評価の確認。IB担当教員の熱量もチェックポイントです。

学校の施設や環境

IBプログラムは授業だけでなく、課外活動や文化交流なども重視しています。そのため、学校が提供する施設や設備、国際交流の機会や活動なども確認しておくと良い

IBのディプロマ取得者の進路

国内外の大学へ進学

国際バカロレア(IB)のディプロマ取得者の進路調査によると、大学進学が最も一般的な選択で、また一般的な高校教育を受けている学生よりも海外大学進学を目指す傾向が強いです。

日本の高校卒業資格だけでは、海外の大学への入学要件を満たさない場合でも、国際バカロレアの資格を取得していることで要件を満たすことも多く、海外大学への進学がより近くなるという事があげられます。

また、日本国内でも年々、国際バカロレアDPの資格を受験資格として受け入れをしている大学が増えてきています。さらに国際バカロレアのみを対象とした入学試験を実施している大学もあります。

国内外の有名企業へ就職

国際バカロレア(IB)のプログラムは、世界共通の課程が提供されることで国際的な視野が身につき、問題解決能力や批判的思考力、コミュニケーション能力など、多様なスキルが養われます。

そのため、国際的な経験や視野を持つことが求められる仕事や、専門的な知識を持ちながらも多様な視点を持ってアプローチすることができる仕事に向いている学習といえます。

また、国際バカロレア(IB)のディプロマ取得者は海外大学への進学も多いので、海外の企業での就職や国際的な業務に携わることができる職種に就く学生も多くなってきます。

就職先や職業例(IBOより)

  • 国際機関やNGOの職員
    国際バカロレア(IB)プログラムで養われる国際的な視野や問題解決能力、コミュニケーション能力が求められる仕事です。
  • 外資系企業でのグローバルな業務
    国際バカロレア(IB)プログラムで身につけた英語力や国際的な視野が役立ちます。
  • 大手企業の人事・総務部門
    国際バカロレア(IB)プログラムで身につけたコミュニケーション能力やチームワーク能力が求められる仕事です。

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