国際バカロレアの課題論文(EE:Extended Essay)は、卒業論文に近い形式で独自に行う課題研究のことで、選択した科目にもよりますが、基本的には学術的な論文を書く必要があります。
そのため、適切な参考文献を探すことは課題論文(EE)にとって非常に重要なことで、研究の信頼性や充実度を向上させることはもちろんのこと、学術的なスキルの向上にもつながります。
参考文献を探す方法として最も身近で簡単なのはインターネット検索ですが、検索で出てくる情報が、そのまま学術的な参考文献として使えるとは限りません。
そこで、課題論文(EE)を書くにあたって、適切な参考文献や資料を探す方法やルール、テーマ選びのポイントなどを紹介します。
課題論文(EE)のルール
適切な参考文献や資料を探す前に、まずは課題論文(EE)を書くときのルールと構成を見ていきます。
※この記事で扱うのは、2018年5月の試験から適用されている現行のEEです[1]。IBは新しいEEを2025年2月に公開しており、初回の評価は2027年5月の試験です[2]。新しいEEでは評価規準が作り直され、「ワールドスタディーズ」は教科をまたぐ研究の枠に統合されます。2027年以降に受験する人は、どちらが適用されるかを学校の担当教員(スーパーバイザー)に確認してください。
ルール1:字数制限
課題論文(EE)の語数の上限は4,000語です[1]。
日本語で書く場合は「1語=およそ2文字」と換算し、上限は8,000字になります[3]。句読点は字数に数えず、打った文字数だけを数えます[1]。
「超えたら何点減点」という減点規定があるわけではありません。そのかわり試験官は上限を超えた部分を読まず、評価もしないよう指示されています[1]。
超過分は「書かれていないもの」として扱われるため、たとえば結論を4,000語の外に置いてしまうと、結論を述べていない論文として全部の評価規準で不利になります[1]。提出時のアップロードでは、評価の打ち切り点が自動的に認識されます。結論まで上限の内側に収めてください。
- 語数の上限は4,000語(日本語は8,000字)
- 上限を超えた部分は読まれず、評価もされない
- 超過分は「無かったもの」として全部の評価規準に響く
- 目次
- 地図、グラフ、図表、注釈つきの図や絵
- 表
- 等式、公式、計算
- 引用・参照(文中引用・番号・脚注・文末脚注のどの形式でも)
- 参考文献目録
- 「研究の計画と進捗の振り返り(RPPF)」の用紙
- ヘッダー
逆に、序論・本論・結論・引用文は語数に数えます[1]。参照のためではない脚注・文末脚注も語数に含まれるので、注に説明を書き足して上限を回避することはできません。
付録は必須の要素ではなく、試験官は読みません[1]。論の中身は本文に置いてください。

論文の構成
現行のガイドが挙げている必須の要素は次の6つです[1]。古い解説記事で紹介されている「要旨(abstract)」は、この6つに入っていません。要旨を書き足す必要はありません。
- 表紙
- 目次
- 序論
- 本論(研究・分析・議論・評価)
- 結論
- 参照文献と参考文献目録
目次
全てのページに番号を振り、冒頭に目次を置く必要があります[1]。索引(index)は不要で、付けても無いものとして扱われます。
参考文献目録・参考文献・文献対照注
引用元やアイデア、見解の出所は、文中または脚注での正確な出典表示と、参考文献目録に載せた完全な参照によって、読者に正確に伝える必要があります[1]。
決めた引用スタイルは、書き始めた時点から使ってください[1]。
課題論文のテーマ選び
課題論文(EE)のテーマ選びは、これは多くの学生が悩む問題で決して簡単ではありません。
重要なことは、自分自身が興味を持ち、深く掘り下げたいトピックを選ぶことです。そのためにも過去の論文を読んでみたり、ディスカッションをしたりすることでアイデアが出てくることもあります。
また、論文を書くことが苦手な場合でも、自分が興味を持っているトピックを選ぶことで研究することが楽しくなり、論文を書くことが少しは苦手が解消されることがあります。
ここではテーマ選びに関するポイントを5つ紹介します。

興味を持っている分野を選ぶ
課題論文(EE)では、独自の研究を行うことを目的としているので、自分が興味を持っている分野を選ぶことはとても重要です。興味を持っていることであれば情熱をもち、研究を行う上でのモチベーションも高くなります。
十分なリサーチが可能かを確認
課題論文(EE)では、十分な情報源が利用可能であることが重要になってくるので、スムーズに研究を進めるためにも選んだテーマに関して十分なリサーチが可能であるかどうかを事前に確認しておくのが良いです。
リソースの利用が可能かを確認
調査を行うためにアクセスできるリソースが利用可能かどうかを確認しておきます。特定のテーマに関する専門的な書籍やジャーナル記事にアクセスができないと、研究を進めることが難しくなってしまうので、事前に確認をしておくことが重要です。
研究の余地があるかを確認
課題論文(EE)では、既存の知識に加えて、独自のアプローチを取ることが求められので、研究を行うために十分な余地があるテーマを選ぶことが重要です。
十分に理解しているテーマを選択
課題論文(EE)では、複雑なテーマを扱うことが求められることがありますが、自分が理解できないテーマを選ぶと、研究が進められなくなる可能性があります。

信頼できる参考文献の選び方
課題論文(EE)は、自分で調べたことを論文としてまとめる必要があり、その際には正確かつ信頼できる情報を引用することが必要となります。
参考文献は、自分のアイデアや主張を裏付けるための証拠となるので、信頼できる情報源を選ぶことは、自分の論文の信頼性を高め高得点を取るためにもとても重要です。
そのため、十分な時間をかけて信頼できる情報源から必要な情報を収集することをおすすめします。
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まず1回、IBを通った人に見てもらう。
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学術データベースを利用する
日本語の参考文献を探す場合
日本の大学や研究機関が提供する学術データベースには、日本語の学術文献が多数収録されています。代表的なものとしては以下のようなものがあります。
CiNii Research
CiNii(サイニィ)は、国立情報学研究所(NII)が提供する、論文・図書・雑誌・博士論文などの学術情報を検索できるデータベースサービスです[4]。誰でも利用できます。
入口はCiNii Researchに一本化されました。「CiNii Articles(日本の論文をさがす)」は2022年4月18日に、「CiNii Books(大学図書館の本をさがす)」は2026年3月に、それぞれCiNii Researchへ統合されています[4]。
文献だけでなく、機関リポジトリの研究データやKAKENの研究プロジェクト情報まで横断して探せます[4]。古い解説で「CiNii Articles」を案内されていても、いまはCiNii Researchから入ってください。
J-STAGE
J-STAGE(科学技術情報発信・流通総合システム)は、科学技術振興機構(JST)が運営する電子ジャーナルプラットフォームです[5]。自然科学だけでなく、人文科学・社会科学も対象に含まれます。
公式の説明によると、国内の2,400を超える発行機関が、4,000誌以上のジャーナルや会議録などを公開しています[5]。掲載記事のほとんどは、認証付きの記事を除いて誰でも読めます。

英語の参考文献を探す場合
英語圏の大学や研究機関が提供する学術データベースには、英語の学術文献が多数収録されています。代表的なものとしては以下のようなものがあります。
Google Scholar
Google Scholarは、学術文献をまとめて検索できるGoogleのサービスです。学術出版社・専門学会・オンラインリポジトリ・大学などから集めた論文、学位論文、書籍、要旨を、分野をまたいで一度に検索できます[6]。
JSTOR
JSTORは、査読を経た学術雑誌・学術書・一次資料・画像を1つのプラットフォームにまとめたサービスです。運営しているのは非営利団体ITHAKAで、JSTORはその一部門にあたります[7]。人文科学・社会科学の古い論文をさかのぼって読みたいときに頼りになります。
Scopus
Scopusは、エルゼビア社が提供する抄録・引用文献データベースです。公式サイトによると、1億件を超えるレコードと、40万点以上の書籍を収録しています(2026年9月時点)[8]。使えるかどうかは学校によるので、まず図書館で確かめてください。
Web of Science
Web of Scienceは、クラリベイト社が提供する引用文献データベースです。公式サイトによると、254の主題分野にまたがり、収録は1864年までさかのぼります(2026年9月時点)[9]。「この論文を誰がどう引用したか」をたどれるのが特徴です。
図書館を利用する

日本の大学図書館や公共図書館には、日本語の学術書や雑誌が多数収蔵されています。特に大学図書館は、研究者や学生が利用するための学術文献が豊富に揃っています。
図書館のオンラインカタログを利用して、自分の研究に関連する日本語の書籍や論文を探すことができますし、また図書館で直接資料を閲覧することも可能です。
参考情報・出典
- International Baccalaureate Organization「Extended essay guide(First assessment 2018)」p.34・p.79〜84https://xmltwo.ibo.org/publications/DP/Group0/d_0_eeyyy_gui_1602_1/files/Guide_Extended_essay_en.pdf
- International Baccalaureate「DP extended essay updates」(Last updated: 19 February 2026)https://www.ibo.org/university-admission/latest-curriculum-updates/dp-extended-essay-updates/
- 文部科学省 IB教育推進コンソーシアム「IBのプログラム(DP/CP)」https://ibconsortium.mext.go.jp/about-ib/dp/
- 国立情報学研究所 学術コンテンツサービス サポート「CiNiiについて」https://support.nii.ac.jp/ja/cinii/cinii_outline/同「CiNii Researchについて」https://support.nii.ac.jp/ja/cir/manual_outline
- 科学技術振興機構(JST)「J-STAGEの概要」https://www.jstage.jst.go.jp/static/pages/JstageOverview/-char/ja
- Google Scholar「About Google Scholar」https://scholar.google.com/intl/ja/scholar/about.html
- JSTOR(ITHAKA)「What’s in JSTOR」https://about.jstor.org/whats-in-jstor//同「Mission and History」https://about.jstor.org/mission-history/
- Elsevier「Scopus: A comprehensive abstract and citation database」https://www.elsevier.com/products/scopus
- Clarivate「Web of Science platform」https://clarivate.com/academia-government/scientific-and-academic-research/research-discovery-and-referencing/web-of-science/
