グローバル化が加速する現代社会において、国際的に通用する教育資格の重要性がますます高まっています。中でも国際バカロレア(IB)とケンブリッジAレベルは、世界中の名門大学への進学を可能にする2大国際教育プログラムとして注目を集めています。
しかし、
「どちらを選ぶべきか」
「自分の子どもにはどちらが向いているのか」
といった疑問を抱く保護者や学生は少なくありません。この記事では、2025年最新のデータに基づき、両プログラムの特徴、費用、進学実績、そして最適な選択方法まで包括的に解説します。
IBとAレベルとは?基本的な違いを理解する
国際バカロレア(IB)とは
国際バカロレア(International Baccalaureate:IB)は、1968年にスイスのジュネーブで設立された非営利団体・国際バカロレア機構(IBO)が提供する国際的な教育プログラムです。世界の複雑さを理解し、多様な文化を尊重できる国際的視野を持つ人材の育成を目指しています。
国際バカロレアの仕組みやプログラムについて、より体系的に知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
現在、IBは世界160カ国・地域の約5,800校で実施されており、日本国内では251校が認定(2024年12月31日時点)されています。

- PYP(3-12歳):プライマリー・イヤーズ・プログラム
- MYP(11-16歳):ミドル・イヤーズ・プログラム
- DP(16-19歳):ディプロマ・プログラム(大学入学資格取得)
- CP(16-19歳):キャリア関連プログラム
ケンブリッジAレベルとは
ケンブリッジAレベル(Cambridge Advanced Level)は、イギリス・ケンブリッジ大学グループのCambridge International Examinationsが1951年から提供している国際的な教育プログラム・資格試験です。
現在は世界160カ国以上の10,000校以上で採用されていて、年間17万5千人が受講しています。日本国内では約24校がケンブリッジ国際認定校として登録されています。

- 対象年齢:16-18歳(2年間のプログラム)
- 科目数:通常3-4科目を選択
- 評価:A*(最高)からE(最低合格点)の6段階評価
- 完全選択制(必修科目なし)
カリキュラムの違い|6科目 vs 3科目、どちらが有利?
IBディプロマプログラム(DP)のカリキュラム
IBDPでは、6つの科目群から各1科目ずつ、計6科目を選択します。どのような基準で科目選択をすれば良いかは、大学進学や将来のキャリアにも大きく影響する重要なポイントです。
- 言語と文学(母国語)
- 言語の習得(外国語)
- 個人と社会(歴史、経済、地理など)
- 理科(物理、化学、生物など)
- 数学
- 芸術(または他の科目群からもう1科目)
さらに、3つの必修コア要素が加わります。
- 知の理論(TOK): 批判的思考力の育成
- 課題論文(EE): 4,000語の研究論文
- 創造・活動・奉仕(CAS): 課外活動への参加
これらの幅広い学習を効率的に進めるためには、シラバスを戦略的に活用し、IB特有の指示語(Command Terms)を理解しておくことが鍵となります。

Aレベルのカリキュラム
Aレベルでは、9つの科目グループにわたって設定された50に及ぶ幅広い科目の中から、学生が個人の興味に沿って柔軟に科目を選択し、組み合わせて受講することができます。必須科目はありません。
主要科目グループ
- 英語・数学・科学
- 言語・人文学・技術
- 社会科学・芸術・一般教養
イギリスの大学が3年制であるのは、本来日本の大学生が1年目に学ぶ一般教養過程を既にA-Levelで学習しているからです。そのため、学習内容は日本の大学1年生相当までカバーしています。
学習スタイルの根本的違い
項目 | 国際バカロレア(IB) | ケンブリッジAレベル |
---|---|---|
科目数 | 6科目+3つのコア要素 | 3-4科目 |
学習範囲 | 幅広い分野をバランス良く | 選択科目を深く専門的に |
必修要素 | あり(TOK、EE、CAS) | なし |
学習アプローチ | 探究型・批判的思考重視 | 科目内容の深い理解重視 |
柔軟性 | 科目選択の幅が限定的 | 完全自由選択制 |
大学進学実績の真実|どちらが有名大学に合格しやすい?
国内大学での受け入れ状況
IB資格の優位性
現在国内77の大学でIBを活用した大学入学者選抜が実施されています(令和5年3月時点)。主要大学でIB入試を実施している例
- 東京大学・京都大学・筑波大学
- 早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学
- 国際基督教大学・立命館大学・関西学院大学
日本の大学におけるIB入試の最新情報や、求められるスコアの詳細については、こちらの記事で詳しく解説しています。

Aレベルの現状
Aレベルも日本の大学への入学資格として認められていますが、IB入試のように専用の入試枠がある大学は少ないのが現状です。多くの場合、帰国生入試や総合型選抜での出願となります。
海外大学での認知度と実績
IBの国際的評価
IB取得者は一般的に難関大学への合格率が高い傾向にあるとされていますが、具体的な数値については大学や年度によって変動するため、志望校の最新の入試データを個別に確認することが重要です。
受け入れ大学数の比較
地域 | 国際バカロレア | Aレベル |
---|---|---|
アメリカ🇺🇸の大学 | 約1,600大学 | 約800大学 |
イギリス🇬🇧の大学 | 全大学 | 全大学 |
その他の国 | 世界75カ国2,500以上 | 世界125カ国で認知 |
IB生がどのような出願パターンで大学に合格しているのか、具体的なデータに興味がある方はこちらも参考にしてください。

Aレベルの強み
統計を確認すればすぐにわかりますが、俄然A-levelのほうが地球規模でみるとメジャーです。160か国10,000を超える学校で世界中の1,400以上の大学で認められている資格です。
特にイギリスや旧英連邦諸国では、Aレベルが高く評価される傾向があります。
評価方法と難易度|実際どちらが取得しやすい?
IBの評価システム
IBスコアは各科目7点満点 × 6科目 + ボーナススコア3点 = 45点が満点です。IBスコアは各科目7点満点 × 6科目 + ボーナススコア3点 = 45点が満点です。
そもそもIBのスコア(点数)がどのように決まるのか、その仕組みを理解することが高得点への第一歩です。
評価構成
- 各科目:内部評価(約20-25%)+ 外部評価(約75-80%)
- コア要素:TOKとEEの成績によって0-3点
この内部評価と外部評価の具体的な配分や、レポートや実験が評価される内部評価(IA)の対策は特に重要です。
これらの複雑な課題を乗り越えるために、IB対策に特化した家庭教師サービスEDUBALを求める家庭も増えています。
また、大学出願で重要になる予測スコア(Predicted Grade)をいかにして上げるかも戦略的に考える必要があります。最終試験の結果に不満がある場合は、再採点や再試験という選択肢も検討できます。
Aレベルの評価システム
A-Levelの取得は難しいと思われている人も多いですが、基本的に授業をしっかり受けていれば、高得点を取れるようになっています。イギリスの高校生の4人に1人はA以上を取得していると言われています。
グレード別評価
グレード | 統一得点率(PUM) | 説明 |
---|---|---|
A* | 90%以上 | 最高評価 |
A | 80% | 優秀 |
B | 70% | 良好 |
C | 60% | 標準 |
D | 50% | 合格最低ライン |
E | 40% | 最低合格点 |
成績相関表(参考値)
IBスコア | Aレベル | 偏差値目安 |
---|---|---|
43-45 | AAA* | 70 |
40-41 | A*AA | 64 |
38-39 | AAA | 61 |
36 | ABB | 58 |
34-35 | BBB | 54 |
31-33 | CCC以上 | 50 |
あなたはどちらタイプ?IBとAレベル適性診断

IBに向いている学習者
オールラウンダータイプ
- 様々な科目に興味があり、幅広い分野を学びたい
- 探究心が強く、自分から課題を見つけて深く掘り下げることを楽しめる
- チームワークを得意とし、グループプロジェクトに積極的
- 時間管理が得意で、複数の課題を同時に進められる
こんな将来を考えている人におすすめ
- 将来の専門分野がまだ決まっていない
- 国際的なキャリアを目指している
- 批判的思考力や問題解決能力を重視する職業
- 多様な文化や価値観に触れたい
Aレベルに向いている学習者
スペシャリストタイプ
- 特定の分野に強い興味があり、深く学びたい
- 将来の進路が明確(医学、工学、経済学など)
- 自己学習能力が高く、独立して学習を進められる
- 効率的に関心のある分野に集中してエネルギーを注ぎたい
こんな将来を考えている人におすすめ
- 専門性を重視するキャリア
- イギリスや英連邦諸国の大学進学
- STEM分野での研究や開発
- 特定分野でのエキスパートを目指す
学費比較|実際にかかる費用はいくら?
IBプログラムの費用
学校タイプ別年間費用(2025年データ)
学校種別 | 年間授業料 | 備考 |
---|---|---|
インターナショナルスクール | 150-300万円 | 最も高額だが充実した環境 |
私立学校(認定校) | 80-180万円 | 日本の高校卒業資格も取得可能 |
公立学校(認定校) | 30-60万円 | 最も経済的な選択肢 |
追加費用
- IB試験の受験料として、1科目あたり約1万円、全科目とコア要素を含めると約10万円程度
- 教材費、課外活動費、海外研修費など
より多くの学校を含めたIB認定校の授業料比較はこちらの記事で詳しくまとめています。特に、近年注目されている公立のIB認定校が持つメリットや特徴についても解説しています。
Aレベルプログラムの費用
受講方法別費用
受講方法 | 費用目安 | 特徴 |
---|---|---|
インターナショナルスクール | 年間150-300万円 | 通学が必要、少数の認定校 |
イギリス留学 | 年間400-600万円 | 現地での生活費込み |
オンライン受講(Nisai等) | 2年間で400-600万円 | 地理的制約なし、最も現実的 |
Aレベルの試験費用は1科目あたり約2万円で、3-4科目で6-8万円程度がかかります。
費用対効果の分析
経済的観点から見た推奨パターン
- 最も経済的:公立IB認定校 → 国内大学IB入試
- バランス型:私立IB認定校 → 海外大学進学
- 専門特化型:オンラインAレベル → イギリス大学進学
- 最高環境型:インターナショナルスクール → 世界トップ大学
これらの高額な学費や将来の教育資金について、ご家庭だけで計画を立てるのが不安な場合もあるでしょう。そんな時は、家計見直し無料相談サービス「マネドア」で教育資金に強いファイナンシャルプランナー(FP)に無料で相談し、客観的なアドバイスをもらうのも一つの賢い方法です。
後悔しない選び方|5つの判断基準で決める
総合的な判断基準
以下のチェックリストで自己診断してみましょう
IBを選ぶべき条件
- 幅広い知識と教養を身につけたい
- 日本国内でのIB入試を活用したい
- 批判的思考力や問題解決能力を重視
- 通学可能圏内にIB認定校がある
- 6科目+コア要素の学習負荷に対応可能
Aレベルを選ぶべき条件
- 特定分野での専門性を深めたい
- イギリス・英連邦諸国の大学進学志望
- オンライン学習に適応できる
- 3-4科目に集中して取り組みたい
- 地理的制約があるが国際資格を取得したい
失敗しない選択のための5つのステップ

情報収集を徹底する
- 両プログラムの説明会・オープンキャンパスに参加
- 在校生・卒業生からの生の声を収集
- 志望大学の入試要項を詳細に確認
学習スタイルを客観的に分析
- これまでの学習で最も効果的だった方法を振り返る
- 興味のある科目や分野を明確化
- 集中力の持続時間や学習習慣を把握
将来のキャリアビジョンを描く
- 10年後にどのような職業に就いていたいか
- どの国・地域で活動したいか
- 専門性と幅広い教養のどちらを重視するか
経済的な負担を現実的に検討
- 家計への影響を長期的に試算
- 奨学金制度や支援制度の調査
- 投資に見合う将来のリターンを評価
サポート体制を確認
- 学校のアカデミックサポート
- 家庭でのサポート体制
- 外部リソース(塾・家庭教師等)の必要性
特にIBは学習内容が特殊なため、課題論文(EE)や知の理論(TOK)など、独学が難しい分野でサポートが必要になるケースも少なくありません。そんな時は、IB対策に特化した家庭教師サービスEDUBALを検討するのも有効な手段です。」といった形でEDUBALへ誘導します。
よくある質問(FAQ)
難易度はどちらが高い?
一概には比較できません。IBは6科目+コア要素と幅広い学習が求められ、全体的な負担が大きい傾向があります。
一方、Aレベルは3-4科目に特化するため科目数は少ないですが、各科目での深い理解が求められます。自身の学習スタイルによって感じる難易度は変わります。
日本の大学受験ではどちらが有利?
現在のところ、IBの方が国内大学の入試制度として整備されています。77の大学でIBを活用した入学者選抜が実施されている一方、Aレベル専用の入試は限定的です。ただし、Aレベルも入学資格として認められており、帰国生入試等で評価されます。
英語力に不安がある場合はどうすればよい?
IBには日本語DP(一部科目を日本語で受講可能)という選択肢があります。Aレベルは基本的に英語での受講が前提ですが、科目選択によって言語的負担を調整できます。いずれにしても、ある程度の英語力は必要となるため、早期の準備が重要です。
アカデミックなトピックについてネイティブ講師と議論する練習をしたり、プレゼンテーションの準備をしたりと、実践的な英語力を鍛えるにはオンライン英会話【Cambly(キャンブリー)】
の活用も効果的です。24時間いつでもレッスン可能なサービスなら、忙しいIB生やAレベル生でも続けやすいでしょう。
IBの授業についていくために必要な英語レベルについて、より詳しくはこちら。
途中でプログラムを変更することは可能?
技術的には可能ですが、カリキュラムの違いからスムーズな移行は困難です。IBからAレベルへの変更は比較的容易ですが、逆は難しい場合があります。変更を検討する場合は、早めに学校やカウンセラーに相談することをお勧めします。
オンライン受講の効果はどう?
ケンブリッジ国際からオンラインでの提供を認められているのは、世界でNisaiを含む4つのスクールのみとなっています。適切な環境とサポートがあれば、オンライン受講でも高い学習効果を得ることができます。ただし、自己管理能力と家庭でのサポート体制が重要です。
まとめ:最適な選択への道筋
国際バカロレア(IB)とケンブリッジAレベルは、どちらも国際的に認められた優れた教育プログラムです。重要なのは、「どちらが優れているか」ではなく、「どちらが自分に適しているか」を見極めることです。
- 学習スタイル:幅広く学ぶか、深く専門特化するか
- 将来のビジョン:国際的なキャリアか、専門分野でのエキスパートか
- 地理的条件v通学可能な認定校の有無
- 経済的条件:家計への長期的影響
- サポート体制:学校・家庭・外部リソースの充実度
どちらのプログラムを選択したとしても、しっかりと取り組めば将来のグローバルな活躍への確かな足がかりとなります。まずは十分な情報収集と自己分析を行い、家族でよく話し合った上で決断することが成功への第一歩です。
次のステップ
- 志望校の入試要項確認
- 認定校への見学・相談申し込み
- 体験授業やサマープログラムへの参加
- 専門カウンセラーとの相談
- 最終的な進路決定
あなたの未来を切り開く教育選択が、充実したものとなることを願っています。
グローバル化が加速する現代社会において、国際的に通用する教育資格の重要性がますます高まっています。中でも国際バカロレア(IB)とケンブリッジAレベルは、世界中の名門大学への進学を可能にする2大国際教育プログラムとして注目を集めています。
しかし、「どちらを選ぶべきか」「自分の子どもにはどちらが向いているのか」といった疑問を抱く保護者や学生は少なくありません。この記事では、2025年最新のデータに基づき、両プログラムの特徴、費用、進学実績、そして最適な選択方法まで包括的に解説します。