近年、世界はますますグローバル化しています。国境を越えたコミュニケーションや交流が日常的になり、教育の分野でも国際的な選択肢も身近なものとなってきました。
国際的な教育の中でも、国際バカロレア(International Baccalaureate:IB)とケンブリッジAレベル(Cambridge Advanced Level)は、国際的な教育課程として世界中で認知されています。
これら2つのプログラムは、学生たちを世界で活躍する準備を整えることを目指している点で共通し、大学への橋渡しとしても高く評価されていて、世界中の名門大学への進学を目指す学生に選ばれています。
この記事では、国際バカロレアとケンブリッジAレベルを比較し、それぞれの特徴や魅力を掘り下げていきます。
カリキュラムの違い
国際バカロレアとAレベル
国際バカロレア(IB)
国際バカロレアは生徒たちが世界のさまざまな文化や価値観に触れながら、総合的な教育を受けることを目的としています。
IBプログラムは、主に3つのプログラムから構成されていて、3歳から19歳までの幅広い年齢層の生徒に対応しています。
IBプログラムの中でもDPはメインとなっていて、高校2年生・3年生で履修した後、世界共通の最終試験を受けて要件をクリアすることで、IBの資格を取得することが出来ます。
IBDPでは、6つの科目群にわたる厳格なカリキュラムと、3つの必修コア科目で構成されているので、幅広い科目を学ぶことができるのが魅力です。
IBDPのカリキュラム
6つの科目
- 母語で学ぶ文学
- 第二言語
- 社会系
- 理科系
- 数学
- 芸術
3つの必修科目
- 知の理論
- 課題論文
- 創造・活動・奉仕
ケンブリッジAレベル(A-Level)
ケンブリッジAレベルは、16歳から18歳の生徒向けのイギリスの高等教育資格の1つで、大学進学前に専門的な知識を深めることを目的としている資格です。
Aレベルのプログラムを修了するには通常2年間かかり、生徒は自分の興味や将来のキャリアプランに基づいて3〜4科目を選択し学習します。
ケンブリッジAレベルでは、必修科目はなく、以下のような科目グループから構成される50を超えるカリキュラムがあるので、より専門的な科目にフォーカスすることができる点が魅力です。
Cambridge International AS &A Level 科目グループ | ||
---|---|---|
英語 | 数学 | 科学 |
言語 | 人類学 | 技術 |
社会科学 | 芸術 | 一般教養 |
認定校数の違い
国際バカロレアとAレベル
世界での認定校 160ヵ国 5,700校以上 | 世界での認定校 160ヵ国 10,000校以上 |
日本の認定校 241校 IBDP以外も含む 2024年3月31日時点 | 日本の認定校 20校 A-Level以外も含む 2024年4月時点 |
日本国内にある国際バカロレア認定校等の数は、2024年3月31日時点で241校あり、そのうちIBDPの認定校は68校、候補校は8校となっています。
一方、日本国内にあるケンブリッジ国際認定校の数は、2024年4月時点で19校1団体の合計20校あり、このうちAレベル以前のカリキュラムまでを開講している学校もあります。
大学入学資格の違い
国際バカロレアとAレベル
日本国内での大学入学資格としての取り扱い
国際バカロレア資格を有する者で18歳に達した者に対しては、日本の大学への入学資格が認められます。
ケンブリッジAレベルを保有していれば、大学への入学資格が認められます。
大学で入学資格として認められている学校数
アメリカの大学 約1,600大学 | アメリカの大学 約800大学 |
イギリスの大学 全大学 | イギリスの大学 全大学 |
日本国内の大学 入試に利用できる大学あり | 日本国内の大学 入試に利用できる大学はなし |
令和3年度「日本及び主要国におけるインターナショナルスクールに関する調査」
最終報告書|令和3年 (2021年) 6月25日
評価方法の違い
国際バカロレアとAレベル
国際バカロレアDP
IBDPでは、最終的な成績は45点満点で評価されます。6科目それぞれに対して最大7点の合計42点と、必修コア科目の最大3点を加えたものです。
評価は内部評価(IA)と外部評価(EA)の組み合わせで行われます。
45点満点で評価
6科目×7点(最大42点)
コア科目(最大3点)
内部評価と外部評価の組み合わせ
内部評価(IA)
学生のコースワークやプロジェクトを基に、教師が行う評価。各科目における総得点の約20%〜25%を占めます。
外部評価(EA)
主に最終試験による評価。各科目における総得点の約75%〜80%を占めます。
ケンブリッジAレベル
Aレベルでは、各科目がA*(最高)からE(最低の合格点)までの等級で評価されます。(最低基準を満たしていない場合はU)
生徒は通常、3〜4科目を選択し、それぞれの科目で独立したスコアを獲得します。
A* | 90%以上 |
A | 80% |
B | 70% |
C | 60% |
D | 50% |
E | 40% |
成績相関図
IB | A-Level | 偏差値 |
---|---|---|
43-45 | A*A*A* | 70 |
42 | A*A*A | 68 |
40-41 | A*AA | 64 |
38-39 | AAA | 61 |
37 | AAB | 59 |
36 | ABB | 58 |
34-35 | BBB | 54 |
31-33 | CCC以上 | 50 |
28-30 | DDD以上 | 45 |
26-27 | EEE以上 | 42 |
24-25 | EE | 40 |
※国際バカロレア(IB)は6科目+コア科目の合計値、A-Levelは3科目の成績を人数比で対比
日本の大学入学審査におけるCambridge International AS & A Levelの活用推進について
※偏差値は人数比から正規分布表より世界で生きる教育推進支援財団が独自に試算した数字であり参考値
違いをまとめ
国際バカロレアとAレベル
国際バカロレアは6科目+必修3科目と幅広く勉強をするのに対し、Aレベルでは最低3科目となっているので、選択科目にフォーカスして学習を進めていくことが出来ます。
また、国際バカロレアは認定校に通う必要があるのに対し、Aレベルは完全オンラインでの履修が可能となっています。
科目数
国際バカロレア:6+3科目
Aレベル:最低3科目
受講方法
国際バカロレア:認定校へ通う
Aレベル:完全オンラインも可
国際バカロレアDP | ケンブリッジAレベル |
---|---|
幅広い科目を学べる | 専門的な科目にフォーカスできる |
成績評価による採点 | 試験による採点 |
世界各国の大学進学資格 | 世界各国の大学進学資格 |
国内の認定校が多い | 国内の認定校が少ない |
認定校には公立校もある | 認定校はインター、私立のみ |
ここまでIBプログラムとケンブリッジAレベルの違いなどを見てきましたが、どちらのプログラムも国際的な認知度が高く、世界中の大学で高く評価されています。
また、多くの大学は、IBプログラムやケンブリッジAレベルの取得者に対して、優遇措置を設けていることがあるなどの利点もあります。