IBDPの科目を選択する時のポイント
- 目標大学の出願要件で選択
- 好成績を狙った科目を選択
- 広く対応できるように選択
目標大学の出願要件で選択
実際は2年後となると、出願要件など変わってしまうこともあるかもしれませんが、科目選択時点では例年の募集要項などを参考に、出願要件とされている指定科目や指定レベルを確認しておくと良いです。
- 大学の志望学部の出願要件を確認する
- IBDPの科目、レベルの指定を確認する
- 実際に出願する年には、要件の変更がないか確認する
IBDP実施の学校によっては、そもそも開講されていない科目やレベルが出願要件として指定されている場合があります。また開講はされているものの、HLとSLの組み合わせ上難しいという場合もあります。
そのような場合には、後述するオンラインでの別途受講も視野に入れて検討してみるのも良いです。
好成績を狙った科目を選択
IBDPのスコアは高ければ高いほど有利になることがあります。2年間ハードな学習に取り組むことも考えると、自分の得意な科目であったり、興味のある科目を選択することも1つの戦略です。
出願要件に科目の指定がされていない大学でも、最終試験のスコアによる要件を設けている学校や学部がありますので、良いスコアを取るという方向もおすすめです。
こちらはあくまでも目安に過ぎませんが、世界大学ランキングとIBDPスコアの関係性として以下の表が用いられることがあります。
IBDPスコア | 進学先の目安 | 世界大学ランキング |
---|---|---|
42点以上 | 超難関大学 | 10位以内 |
36点以上 | 50位以内 | |
30点以上 | 難関大学 | 100位以内 |
24点以上 | フルディプロマ取得 |
広く対応できるように選択
科目選択時には目標としている大学や学部などが決まっていない場合、将来に向けて広い選択肢を持てるような科目選択をすることもおすすめです。その場合、やはりHL(Higher Level)は4つ選択しておくほうが良いです。
4つHLを取っておくと、途中で進路変更への対応が出来るかもしれません。ただそれでも万能ではないので、目標とする方向性が決まったり、行きたい大学や学部が決まってきた時に、科目要件をクリアしていない可能性はあります。
IBDP科目選択のルール
- 6グループから各1科目を選択
- HL(Higher Level)を3〜4科目
国際バカロレア・ディプロマ・プログラム(IBDP)を受講する生徒は、6つのグループから各科目を選択する必要があります。
選択する6科目のうち、3〜4科目を上級レベル(HL)、その他を標準レベル(SL)で学習します。さらに、コアと呼ばれる3つ(EE、TOK、CAS)の必修要件を合わせて2年間で履修となります。
標準レベルと上級レベルの違いは以下のようになります。
標準レベル SL(Standard Level) | 上級レベル HL(Higher Level) | |
学習時間 | 150時間 | 240時間 |
難易度 | 日本の高校と同程度 | 日本の高校以上〜大学の教養課程 |
グループ1:言語と文学(母国語)
グループ1は、言語A(Language A)ということで、基本的には自分の一番得意な言語を選択します。このグループでは一般的に「文学:Literature」or「言語と文学:Language and Literature」から選ぶことが出来ます。
そのため、主な選択肢としては以下の通りです。
- 日本語A:文学
- 日本語A:言語と文学
- English A:Literature
- English A:Language and Literature
言語Aにあたるこの科目は、たくさん本を読み理解をしていく必要があるので、得意でない(母語としない)言語で選択をしてしまうと難易度は上がってしまいます。
小説などを読むのが好きな場合は「文学」、新聞やニュースなどのメディア記事を分析するのが好きな場合は「言語と文学」が向いているかもしれません。
この科目はHLとSLのレベル差が少ないので、HLを選択する生徒が多いようです。
グループ2:言語習得(外国語)
グループ2は、言語B(Language B)または、言語入門(Language ab initio)の科目を選択します。こちらは第二言語以降として学習する生徒が多い科目です。
目的としている進学先にもよりますが、グループ1で英語を選択していない場合、こちらのグループ2で英語を選択する必要が出てくる場合があります。
グループ3:個人と社会
地理 | 歴史 | 経済 | ビジネスと経営 |
情報テクノロジーとグローバル社会 | 哲学 | 心理学 | |
社会・文化人類学 | 世界の宗教 | グローバル政治 |
グループ3には、上記のような科目がありますが、学校によっては開講されている科目に限りがありますので、これほど選択肢は多くないと思われます。
このグループは文系を目指している生徒はHLを選択している場合が多いです。
グループ4:理科
生物 | 化学 | 物理 | コンピュータ科学 |
デザインテクノロジー | スポーツ・エクササイズ・健康科学 | ||
環境システムと社会(グループ3と4の横断) |
グループ4には、上記のような科目がありますが、こちらも学校によっては開講されている科目に限りがありますので、これほど選択肢は多くないと思われます。理系を目指している生徒はHLを選択している場合が多いです。
目指している大学によって、出願要件に科目の指定、レベルの指定がされている場合も多いので、予め確認をしておく必要があります。
グループ5:数学
グループ5の数学には、「解析とアプローチ(Analysis and approaches)」と「応用と解釈(Applications and interpretation)」の2つがあり、記載としては、「数学AA」と「数学AI」と頭文字を取ったものになっている場合があります。
こちらも大学によっては、”数学AAをクリアしていること。AIをクリアしていること”や、HL(ハイヤーレベル)の指定などの要件を設定しているところも多いので、しっかりと確認が必要になります。
グループ6:芸術
音楽 | 美術 | ダンス |
フィルム | 演劇 |
グループ6の芸術には上記のような科目がありますが、IBDPで芸術の評価を正しくできる先生の数は非常に少ないため、グループ6の科目自体を開講していない学校も多いです。
このグループ6のみ、グループ3or4から1科目選択をすることが出来ます。
IBDP科目選択のTIPS
シラバスを確認する
シラバスは、国際バカロレア機構(IBO)から各科目ごとに出されている、IBDPで学ぶ内容や、試験内容、評価概要など全てが掲載されているものです。
このシラバスを確認することで、どのような内容を学ぶのかが分かります。なので、例えば「歴史が好きだから取る」と言っても、IBDPで学習するものは自分が好きな時代や内容ではないかもしれません。
また、シラバスの中にある「Syllabus outline」などを確認すると、標準レベル(SL)と上級レベル(HL)で履修する範囲なども確認することができるため、科目によってSLとHLの差がまちまちであることに気付きます。
どの科目をHLで履修するかというのは、最終スコアにも大きく影響してくることですので、しっかりとシラバスを確認して選択することも重要です。
先生との相性
国際バカロレアのプログラムは世界共通となっていますが、実際は教える先生の教え方や力量により異なってくるものです。2年間一緒に進んでいくわけですから、先生との相性というのも1つのポイントになってきます。
また、内部評価(IA)では、担当の先生が評価をするわけですから、密なコミュニケーションが取れる先生の科目を選ぶというのも1つです。
また、日本のIBDPが履修できる学校は、ここ最近で認定校になったというところも少なくありません。その場合、先生が国際バカロレアのプログラムにどの程度精通しているかはそれぞれです。
先生が頼りないような場合には、IBDP専用の塾などで指導をしてもらうことや、オンラインで受講できるものもあるので、自身でしっかりと頑張っていくということも視野に入れておくと良いです。
まとめ
IBDPの科目を選択する時のポイントとしては、以下のようなことが挙げられます。
- 目標大学の出願要件で選択
- 好成績を狙った科目を選択
- 広く対応できるように選択
また、その他「シラバスを確認する」ことや、「担当の先生との相性をみる」などのことも踏まえて科目選択をしてみると良いのではないでしょうか。