「ドイツの大学は学費が無料」。そう聞いて調べ始めたご家庭は多いはずです。でも本当に無料なのか、日本の高校からそのまま行けるのか、英語だけで卒業できるのか。気になる点は山ほどあります。
この記事では、公式情報(DAAD=ドイツ学術交流会や各大学)をもとに、費用・入学条件・失敗しないルートを整理します。良い面だけでなく「ここは思ったより大変」という現実もお伝えします。
- DAADの公式情報サイトによると、ドイツはほとんどの州で授業料が無料。ただし毎学期の学期会費(目安€100〜350)はかかります。例外はバーデン=ヴュルテンベルク州と、バイエルン州の一部(例=TUM)です。
- 生活費は月約16万円(€992)が目安。学生ビザ取得には原則として年約196万円(€11,904)の資金証明が求められます。
- 日本の高校卒業だけでは、たいてい直接には入学できません。日本の大学に1年ほど在籍するか、予備課程(Studienkolleg)を経るのが正規ルートです(IBディプロマを持つ場合は例外=直接出願できます)。
- DAADの国際プログラムDBで見ると、英語で学べる学士は245件に対し修士は1,541件=英語の課程は修士に偏っています。ドイツの大学の課程は大半がドイツ語で行われ、必要な語学レベルは大学・課程ごとに決まります。
- 日本とドイツは学年の暦が半年ずれます。主流の冬学期(9〜10月入学)は出願が5〜7月、合否は8〜9月。3月に高校を卒業する時点では、まだ出願すらしていない状態になります。
ドイツの大学は本当に「無料」?なぜ無料なのか
結論から言うと、ドイツはほとんどの州で、公立大学の授業料がかかりません[23]。これはドイツ国籍の学生だけでなく、日本を含む外国人留学生にも当てはまります。世界的に見ても珍しい制度です。
なぜ無料なのか。背景には「教育は社会が支えるべき公共財」という考え方があります。大学教育を税金でまかない、家庭の経済力にかかわらず広く開く、という発想です。
ただし後述のとおり、いくつかの例外は残っています。
「無料」に隠れた費用=ここは有料になる
ただし「1円もかからない」わけではありません。「無料」を鵜呑みにすると出願直前に慌てます。有料になる代表的なケースを先に押さえておきましょう。
| 有料になるケース | 費用の目安 | 対象・補足 |
|---|---|---|
| 公立大の学期会費 (毎学期かかる) | 目安 €100〜350/学期[23] (例:TU Berlin=€149.56/学期券込み€379.06)[4] | 行政費・学生自治会費・交通定期等。授業料とは別に必要。学期券を含む大学は目安を上回ることもある |
| バーデン=ヴュルテンベルク州の州立大 (例:ハイデルベルク大) | 授業料 €1,500/学期 (年€3,000・約50万円) | 非EU/EEAの留学生のみ。ドイツでAbitur取得者等は免除[2] |
| バイエルン州の一部 (例:ミュンヘン工科大 TUM) | 学士 €2,000または€3,000/学期 修士 €4,000または€6,000/学期 (課程による) | 2024/25冬学期から新規入学の非EU生に導入。既在籍者等は免除[3] |
| 私立大学 | 年数十万〜数百万円 (編集部調べの目安) | 大学・専攻によって大きく異なる |
ポイントは2つ。公立大でも学期会費は毎学期かかること、そして「例外はバーデン=ヴュルテンベルク州だけ」ではなくなったことです。人気のミュンヘン工科大学(TUM)を含むバイエルン州の一部でも、非EUの留学生には授業料が発生します[3]。
とはいえ、これらは例外です。いまもほとんどの州で、公立大学の授業料はかかりません。この後で、生活費まで含めた「実際にいくら必要か」を見ていきます。
ドイツ留学は4年間でいくら?費用の総額と生活費
ほとんどの州で授業料がかからないぶん、ドイツ留学のお金の中心は生活費です。ドイツ政府は学生ビザの取得に「1年分の生活費を用意できること」を求めており、その金額が生活費の目安になります。
2026年7月時点で公式が示す必要額は年€11,904(月€992・約16万円)。証明の方法は複数あり、「閉鎖口座(Sperrkonto)」にこの金額を預ける方法がそのひとつです[5](ほかに親の収入証明・ドイツ在住者の保証・銀行保証・奨学金の採用通知など)。
| 生活費の項目 | 月額の目安 |
|---|---|
| 家賃(学生寮・シェア) | €300〜600(約5万〜10万円) |
| 食費 | €200〜250(約3.3万〜4万円) |
| 保険(公的医療保険) | €120前後(約2万円) |
| 交通・通信・その他 | €150〜(約2.5万円〜) |
| 合計の目安 | 約€900〜1,100(約15万〜18万円) |
生活費を中心に見ると、4年間の総額はおおよそ780万〜900万円が目安です。授業料が中心のアメリカやイギリスと比べると、大きく抑えられます。
| 進学先 | 4年間の 学費+生活費の目安 |
|---|---|
| ドイツ(公立・英語課程) | 約780万〜900万円 |
| 日本(私立文系・自宅外) | 約700万〜900万円 |
| イギリス | 約2,000万円前後 |
| アメリカ(私立) | 約2,500万〜3,000万円 |
奨学金を使えばさらに負担を下げられます。公的に認められた奨学金の採用通知は、閉鎖口座に代わる資金証明としても使えます[5]。
日本の高校から直接は行けない?出願条件と正規ルート
ここが多くの人がつまずくところです。DAADは、EU/EEA・スイス以外の国の高校卒業資格では「たいていの場合、直接には」ドイツの大学に進めないと説明しています[1]。日本の高卒もここに当たります。
理由は、ドイツの大学入学資格「アビトゥア(Abitur)」と、日本の高卒資格が同等とみなされないためです。日本の高校の学びだけでは、入学の前提条件を満たさないと判断されます。
では、どうすればよいのか。正規ルートは大きく2つです。
- 日本の大学に1年(2〜3学期)ほど在籍してから出願する。同じ系統の学部に進む前提で、日本での大学在籍が入学資格として認められます[1]。
- ドイツの予備課程(Studienkolleg)で1年学び、修了試験(FSP)に合格する。その後、試験の重点分野に対応する学部へ出願できます[1]。
DAAD(ドイツ学術交流会)によると、Studienkollegはドイツのほぼ全ての州にあり、専攻分野ごとの「重点コース」で大学進学の準備をします。ただし入学にはドイツ語力(B1〜B2程度)と入学試験の合格が必要です[1]。英語の勉強と並行して備えるには負担が小さくないため、「日本の大学に1年在籍してから出願する」ルートを選ぶ人もいます。
自分の資格がどう扱われるかは、ドイツ公式のデータベースanabinやuni-assist(出願書類の事前審査サービス)で確認できます。志望大学の要項と合わせて、早めにチェックしておきましょう。
※ 国際バカロレア(IB)やアビトゥアの保持者は扱いが異なり、条件を満たせば直接入学できる道があります(後述)。
見落としがちな「暦のズレ」=卒業から入学まで半年以上空く
費用や条件ばかりに目が行きますが、実際にいちばん効いてくるのがスケジュールです。ドイツと日本では、学年の暦が半年ずれています。
ドイツの主流は冬学期(9〜10月)入学です。多くの大学で出願の受付は5月ごろに始まり、締切は7月15日ごろ。合否の通知が届くのは8〜9月です[13](ミュンヘン工科大の2026/27年度は10月1日開始)[15]。7月15日より早い締切を設ける大学もあります[14]。
つまり冬学期を目指す場合、日本の高校を3月に卒業する時点では、ドイツにはまだ出願すらしていないことになります。合否が分かるのは卒業から半年ほど経ったあと、入学はさらにその先の秋です。
| 時期 | 日本 | ドイツ(冬学期入学) |
|---|---|---|
| 3月 | 高校を卒業 国内の進学先の合否は判明 | まだ出願していない |
| 5月〜 7月15日ごろ | — | 出願の受付〜締切 |
| 8〜9月 | — | 合否の通知 |
| 9〜10月ごろ | — | 冬学期がスタート (TUMは10月1日[15]) |
「では春(夏学期)入学にすれば?」とも考えたくなります(IBなど、高校卒業時点で直接出願できる資格を持つ場合の話です)。夏学期(3〜4月入学)の出願は12月上旬〜1月15日が一般的で、合否は2〜3月に届きます[13]。日程だけ見れば、卒業前後に結果が分かる可能性はあります。
ただし日本語DPの最終スコアは、制度上は翌年1月5日に通知されます(直近の2025年11月セッションは12月中旬)。1月15日の締切まで10日〜1か月しかありません。
uni-assistは審査に通常4〜6週間かかるとしたうえで「締切の少なくとも8週間前の出願」を推奨しており[14]、2026年7月時点の実処理は全地域で7〜8週間です。スコアを待ってからでは、事実上間に合いません。
しかも夏学期に学士の1年次を募集しているかは、大学・分野で大きく違います。ハイデルベルク大学のように定員制限のない課程なら4月30日まで受け付ける例がある一方、医学・薬学・歯学は夏学期の募集自体がありません[17]。志望分野に夏学期の募集があるかは、必ず要項で確認してください。
現実的な本命である冬学期を選ぶ以上、避けられないのが「3月に卒業しても進路が決まっていない」という状態です。これを受け入れられるかどうかが、ドイツをメインの進路にするか、併願の一つに留めるかの分かれ道になります。
語学の条件=ドイツ語または英語
入学には語学力の証明も必要です。ドイツ語で学ぶ課程と、英語で学ぶ課程で、求められる試験が変わります。
| 言語 | 主な語学要件 |
|---|---|
| ドイツ語で学ぶ課程 | ほとんどの大学が最低B2を要求[1] 例:ボン大学=出願時はB2以上。入学時はDSH-2またはTestDaF全4分野TDN4[6] |
| 英語で学ぶ課程 | 例:ミュンヘン工科大学=IELTS Academic 6.5以上/TOEFL iBT 88以上[26] ※要求スコアは大学・課程ごとに異なります |
DAADは「ほとんどの大学が、少なくともB2レベルのドイツ語力を求める」としており、必要な水準は大学・課程ごとに決まるとしています[1]。さらに入学時には、B2より高い水準(DSH-2やTestDaF全4分野TDN4)を課す大学もあります(例=ボン大学[6])。日常会話とは別物のレベルです。
一方、英語課程なら英語力の証明で出願できます。どちらのルートでも、英語の試験対策は早めに始めておくのが安全です。
筆者の体験
我が子の進路を考えたとき、ドイツに限らず海外の大学はIELTSかTOEFLを入学要件にしていました。アメリカ以外も候補に入れるならIELTSが使いやすい印象で、高校1年生のうちから対策を始めました。良いところを狙うなら7.5が必要という大学もありましたし、大学によってはスコアが奨学金の可否・条件にも効いてきます。「英語課程だから英語だけでいい」と安心していると、要件の高さと準備期間の長さで足をすくわれます。
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英語だけで学位が取れるドイツの大学【種類・おすすめ】
「ドイツ語は自信がないけれど、英語なら」という人も多いはずです。ドイツには英語で学べる学位プログラムが数多くあります。ただし、数の実態を正しく知っておくことが大切です。
ドイツの学位プログラムは全体で2万件を超えますが[7]、その大半はドイツ語で行われます[1]。英語で学べる課程は、その中の一部です。DAADが留学生向けに集めた「国際プログラム」データベース(収録2,517件)で見ると、英語で学べる学士は245件・修士は1,541件(うち授業がすべて英語の学士は239件)[22]。
つまり英語で学べる課程は修士に大きく偏っています。「英語で学べる=どの学部でも英語だけでOK」ではない点に注意しましょう。
ドイツの大学のタイプ
ドイツの高等教育機関には、主に次のようなタイプがあります[11]。
- 総合大学(Universität):理論と研究を重視し、幅広い学問分野をもつ。
- 応用科学大学(Fachhochschule/HAW):実務志向で、理論より職業への応用に重きを置く。
- 芸術・音楽大学:入学に際して、試験で才能を示すことが求められる。
- 二元制(デュアル)大学:大学での学びと、企業での職業訓練・実習を組み合わせる。
「Made in Germany」が品質の代名詞とされるように、ドイツの工学は世界的に評価の高い分野です[29]。英語で学べる代表格がミュンヘン工科大学(TUM)です。
ほかに、留学生の受け入れが厚い応用科学大学もあります。ライン・ヴァール応用科学大学は課程の73%が英語開講で、学生の半数超がドイツ国外の出身(123か国)[30]。デッゲンドルフ工科大学も学生の48%が120以上の国・地域からの留学生です[31](英語の課程は両校でそれぞれ23件・19件[22])。
世界ランキングで見るドイツの大学
ドイツの大学は世界ランキングでも上位に食い込みます。たとえばミュンヘン工科大学(TUM)は、QS世界大学ランキング(2027年版=2026年6月18日公表の最新版)で世界25位・EU圏の大学で最上位と公表しています[8]。
この版では、世界トップ100にドイツから4校が入りました。QSはドイツを「EUで最も多くの大学がランクインした国(世界では4番目)」としています[27]。ハイデルベルク大学も、この4校に自校が入ったことを公式に伝えています[28]。
| 大学 | 世界順位 |
|---|---|
| ミュンヘン工科大学(TUM) | 25位 |
| ミュンヘン大学(LMU) | 61位 |
| ハイデルベルク大学 | 86位 |
| ベルリン自由大学 | 98位 |
大学名の並びを眺めるより、この4校のうち英語で学べる課程があるか・自分の分野があるか、を見るのが実用的です。
覚えておきたいのは、英語で学べる=すべて無料ではないということ。たとえば人気のTUMは、いまや非EUの留学生に授業料がかかります[3]。「英語課程かどうか」と「授業料の有無」は分けて確認しましょう。
IBを取った子はドイツの大学にどう出願する?
ここはあまり語られませんが、大事なポイントです。国際バカロレア(IB)ディプロマや、ドイツのアビトゥアを持っている場合は、日本の高卒とはまったく別の扱いになります。
IBディプロマは、科目の要件を満たせばドイツの大学に直接出願できる入学資格として認められています。DAADは、他国の高卒資格が「直接は進学できない」という原則を説明したうえで、「IBディプロマを持つ場合はこの限りではない」と明記しています[1]。要件を満たせばStudienkollegを経ずに出願できます[9]。
つまり、日本のインターや一条校でIBを取った子にとって、ドイツ留学は「予備課程を挟まずに出願できる」現実的な選択肢になり得ます。IBの仕組みや科目選択についてはIBの科目選択の考え方や国際バカロレア(IB)の全体像もあわせてご覧ください。
IBを持っていても「暦のズレ」は変わらない
ここは、日本でIBを取るご家庭にぜひ知っておいてほしい点です。IBは「ドイツの門」を開けてくれますが、「暦」までは変えてくれません。
文部科学省の資料によれば、日本の一条校の日本語DPは原則として3年次の11月に試験を受け、翌年1月5日に最終スコアが通知されます[24](直近の2025年11月セッションでは12月中旬に結果が発表されました[16])。
いずれにせよ、高校を卒業する3月より前に、スコアは手元にあります。
それでも、主流の冬学期は出願が7月ごろ、合否は8〜9月、入学は秋です(TUMの2026/27年度は10月1日開始)。スコアは早く出ているのに、ドイツの暦がそれを受け取ってくれません。結果として、卒業から入学まで空白の期間が生まれます。
※ IB試験は年2回、世界一斉に実施されます[24]。2026年5月セッションの結果は7月6日に発表されました[25]。ただしuni-assistの審査には7〜8週間かかるため[14]、5月セッションでも「結果を見てから7月15日の締切に出す」ことはできません。日本の一条校が使う11月セッションとは、接続する学期が異なります。
また、IBでもどの分野に出願できるかは科目構成で変わります。ドイツ語の証明として認められるIB科目にも条件があるため(たとえばミュンヘン工科大学は、IBのうち「ドイツ語A・上級レベル(HL)」のみをドイツ語能力の証明として認めています[19])、志望大学の要項とanabinで、自分のIBがどう扱われるかを早めに確認しておきましょう。
ドイツの大学は何年で卒業できる?日本との制度の違い
「何年で卒業できるの?」という疑問も多いところです。ドイツはヨーロッパ共通の「ボローニャ制」を採用しており、学士は6学期(3年)、修士は4学期(2年)が基本形です。DAADのプログラム検索では、各課程の標準修業年限(Standard Period of Study)を確認できます[7]。
ただし分野によっては6学期より長い課程(7学期など)もあります[7]。また医学は学士・修士制ではなく国家試験(Staatsexamen)制で、連邦法により標準修業年限6年3か月と定められています[20]。「ドイツの大学=一律3年」ではない点に注意しましょう。
入学時期は冬学期(9〜10月)始まりが中心で、夏学期(3〜4月)始まりもあります。日本の「4月一斉入学」とは違い、出願の条件や締め切りは大学・プログラムごとに異なります[12]。志望校が決まったら、必ずその大学の要項で日程を確認してください。
住まい・準備・卒業後のキャリア
住まいの選び方
- 学生寮:家賃が最も安い(月€300前後〜)が、部屋数に限りがあり早期申込が必須。
- フラットシェア(WG):複数人で1住居をシェア。家賃と生活の折り合いをつけやすく、留学生に人気。
- 一人暮らし(アパート):自由度は高いが家賃が高め(月€500〜800程度)。大都市はさらに上がる。
※ 家賃は編集部による概算です。都市・物件により大きく変わります。
準備のロードマップ
- 高2〜高3:英語力を伸ばす(たとえばミュンヘン工科大はIELTS 6.5以上を求めます)。志望分野の英語プログラムを探し始める。
- 進学ルートの確定:日本の大学に一度入るのか、Studienkolleg経由か、IBで直接出願かを決める。anabin・uni-assistで資格を確認。
- 出願(入学の半年〜1年前):語学証明・成績・資金証明(Sperrkonto)を準備。uni-assist経由で出す場合は審査に通常4〜6週間かかるため、締切の8週間前には提出する[14]。
- ビザ申請:合格後、学生ビザ(資金証明€11,904)を申請して渡独。
卒業後は就職活動ビザが使える
ドイツで学位を取った卒業生は、卒業後最長18か月の「就職活動用の滞在許可」を申請できます(生計を維持できることの証明が条件)。この期間は就労も認められるため、現地就職を目指す人には大きな追い風です[10]。
近年は「オポチュニティ・カード(Chancenkarte)」も新設され、ポイント制でも取得できる求職用の滞在許可としてドイツで働く道は広がっています[21]。
ここまで見てきたとおり、ドイツの大学は費用が抑えられる一方で、出願ルートや語学のハードルは決して低くありません。どのルートが自分の子に合うのか、早い段階で情報を集めておくと安心です。
筆者の体験
我が家もドイツの大学を本気で検討しました。学費が無料で、学士から英語で学べるコースもあったからです。周りにも同じ理由で調べている家庭がいました。ただ、引っかかったのは時期です。主流の冬学期を狙うと、日本の高校を卒業する時点でまだ進路が決まりません。その不安から、結局は併願の一つとしてしか置けませんでした。公立高校でなければ、また違ったのかもしれません。
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- 入学・出願の時期が日本と半年ずれる。主流の冬学期(9〜10月入学)は出願が5〜7月、合否は8〜9月。3月に高校を卒業する時点では、まだ出願すらしていない状態になる。
- 国内進学先との「二重払い」が起こり得る。冬学期を目指す場合、ドイツの合否が届くのは8〜9月。日本の大学に進んで入学金などを納めたあとに結果が来るため、併願するなら費用の重複を織り込んでおく。
- ドイツ語の壁がある。英語課程でも、生活や手続きではドイツ語が必要な場面は多い。ドイツ語で学ぶ課程は最低でもB2、大学によっては入学時にDSH-2/TestDaF TDN4が要る。
- 「無料=全部タダ」ではない。学期会費や一部の州の授業料、生活費(年約196万円)はかかる。資金計画は必須。
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ドイツはほとんどの州で公立大学の授業料がかからず、生活費中心の4年間約780万〜900万円という費用は、他国と比べて大きな魅力です。一方で、日本の高卒だけでは直接入学できず、出願ルートや語学のハードルは低くありません。
だからこそ、早めに情報を集め、自分の子に合ったルート(日本の大学経由・Studienkolleg・IBでの直接出願)を見極めることが大切です。IBを取っているなら、Studienkollegを経ずに出願できる可能性があり、選択肢はさらに広がります。
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参考情報・出典
- DAAD(ドイツ学術交流会)「ドイツ留学の入学要件(概要)」(他国の高校資格では「たいてい直接は」進学できず、母国で2〜3学期の在籍またはStudienkollegが必要。ただしIBディプロマ・在外ドイツ人学校のアビトゥアは例外と明記)
- ハイデルベルク大学「Tuition fees for international students」(バーデン=ヴュルテンベルク州の非EU/EEA留学生への授業料€1,500/学期)
- ミュンヘン工科大学(TUM)「Tuition fees」(2024/25冬学期からの非EU留学生向け授業料)
- TU Berlin「Semester fees」(2026/27の学期会費=学期券なし€149.56/学期券込み€379.06。※1大学の実額。金額は大学ごとに異なる)
- study-in-germany.de(DAAD)「Proof of financing」(学生ビザの資金証明額=年€11,904。閉鎖口座/保証/奨学金による証明方法。※本文の月€992は年額÷12の換算値)
- ボン大学「German language proficiency」(TestDaF TDN4/DSH-2の入学要件)
- DAAD「All degree programmes」(学位プログラム検索)(ドイツの全学位プログラム検索=2万件超を収録。各課程の標準修業年限〔学士6・7学期等/修士4学期〕を表示)
- ミュンヘン工科大学(TUM)「Rankings」(QS世界大学ランキングで世界25位・EU圏で最上位と公表)。最新の全体順位はQS公式を参照
- DAAD「Guide to German Universities for High School and IB Graduates(2024)」(PDF)(IBディプロマの科目要件と直接入学の扱い)
- BAMF(連邦移民難民庁)「University graduates」(卒業後18ヶ月の就職活動用滞在許可)
- DAAD「Types of higher education institution」(総合大学=理論と研究重視/応用科学大学=実務志向/芸術・音楽大学=入学試験で才能を示す必要/二元制大学=大学の学びと企業での職業訓練・実習を組み合わせる)
- study-in-germany.de(DAAD)「Application」(出願の条件・締め切りは大学や専攻ごとに異なると明記)
- DAAD「Application process」(冬学期の出願は5月上旬〜7月15日/合格通知は8〜9月に送付)
- uni-assist「Deadlines & processing time」(冬学期の締切は「多くの場合7月15日」・より早い締切を設ける大学もある/審査に通常4〜6週間・「締切の少なくとも8週間前の出願」を推奨。2026年7月時点の実処理時間は全地域で7〜8週間)
- ミュンヘン工科大学(TUM)「Dates, Periods and Deadlines」(冬学期2026/27=2026年10月1日開始・講義は10月12日から)
- 国際バカロレア機構(IBO)公式ニュース(2025年12月17日付)(2025年11月試験セッションの結果を全世界23,392名が受領=結果発表は12月中旬)
- ハイデルベルク大学「学士1年次の出願期限」(学士=冬学期は定員制限なしの課程6/1〜10/31/定員制限・入試ありの課程6/1〜7/15。夏学期は定員制限なしの課程12/1〜4/30/定員制限・入試ありの課程12/1〜1/15。医・薬・歯は夏学期の募集なし)
- DAAD「Recognition of the IB-Diploma」(IBディプロマは一般に修了資格として認められる)
- ミュンヘン工科大学(TUM)「Applicants with International Baccalaureate」(IBは「German A(Higher Level)」のみをドイツ語能力の証明として認める)
- 医師免許規則(Approbationsordnung für Ärzte・ÄApprO 2002)第1条(ドイツ連邦法。医学の標準修業年限=6年3か月「sechs Jahre und drei Monate」)
- Make it in Germany(ドイツ連邦政府ポータル)「Opportunity Card」(ポイント制で取得でき、ドイツで職を探すための滞在許可)
- DAAD「International Programmes in Germany」(留学生向け国際プログラム検索)(収録2,517件。授業言語に英語を含む課程は学士245件・修士1,541件。学士245件の内訳=英語のみ239件/英語+ドイツ語6件。2026年7月12日時点にAPIで実測)
- study-in-germany.de(DAAD)「Why Germany?」(「ほとんどの州では授業料を一切払う必要がない」/学期会費は大学により100〜350ユーロ)
- 文部科学省IB教育推進コンソーシアム「ディプロマ・プログラム(DP)」(IB試験は年2回世界一斉。日本の一条校は原則3年次の11月に実施、翌年1月5日に最終スコア通知)
- 国際バカロレア機構(IBO)「5月セッションの結果発表」(2026年5月セッションの結果は2026年7月6日に発表)
- ミュンヘン工科大学(TUM)「Language certificates」(英語の証明=IELTS Academic 総合6.5以上/TOEFL iBT 88以上)
- QS公式プレスリリース「QS World University Rankings 2027」(2026年6月18日公表。世界トップ100のドイツ勢=TUM25位・LMU61位・ハイデルベルク86位・ベルリン自由98位/ドイツはEUで最も多くの大学がランクイン・世界4位)
- ハイデルベルク大学公式ニュース(2026年6月22日付)(QS 2026/2027版=2026年6月18日公表・世界トップ100にドイツから4校・同校はドイツ3位)
- DAAD「Engineering studies」(「Made in Germany」は世界中で品質の証とされ、ドイツの工学は高く評価されている/ドイツではエンジニアの失業はほとんどない)
- ライン・ヴァール応用科学大学「Facts, figures and data」(詳細PDF=Figures 2024)(課程の73%が英語開講/学生の半数超がドイツ国外出身〔欧州15%+非欧州41%〕・123か国)
- デッゲンドルフ工科大学「Study with us」(学生9,100人超の48%が120以上の国・地域からの留学生)
- UCAS「The UK degree system」(英国の学士は通常3年・スコットランドは4年)
