カナダの大学を卒業し、現地企業でインターンシップを経験。英語力とグローバルな視野を身につけ、日本企業からも海外企業からもオファーが届く。さらに、希望すればカナダの永住権取得への道筋も見えている。
これは決して夢物語ではありません。実際に、多くの日本人学生がカナダでこのような成功を手にしています。

カナダの大学が注目される理由は明確です。
- アメリカの約2/3の学費で世界トップレベルの教育
- 卒業後3年間の就労許可で確実なキャリア形成
- 州立大学中心で「どの大学でも安心」の教育品質
しかし、「うちの子の成績で入れるの?」「具体的な費用は?」「どの大学を選べばいい?」という現実的な疑問を持つことも。
この記事では、カナダの大学進学を具体的かつ現実的に検討するための情報を詳しく解説します。国際バカロレア(IB)の資格を持つ方はもちろん、日本の高等学校から直接目指す方、あるいはカレッジからの編入を考えている方まで、それぞれの状況に応じた最適なルートをご紹介します。
カナダの大学が選ばれる4つの理由|アメリカ・イギリスとの比較
世界には数多くの大学がありますが、なぜカナダが選ばれるのでしょうか。他の主要な留学先であるアメリカやイギリスと比較しながら、その理由を見ていきましょう。
世界トップレベルの教育の質|どの大学でも安心
カナダの大学教育の最大の特徴は、そのほとんどが州立(公立)であり、国全体で教育水準がしっかりと保たれている点です。一部のトップ校に人気が集中するアメリカとは異なり、どの大学でも質の高い教育を受けられます。
これにより、学生は大学の知名度だけでなく、自身の学びたい分野や地域の特性に応じて、幅広い選択肢から最適な環境を選ぶことができます。
実際に、世界的な大学ランキングでも多くのカナダの大学が上位に名を連ねています。
世界大学ランキング2025(QS)カナダ国内トップ5
大学名 | 世界順位 2025年 | 世界順位 2026年 |
---|---|---|
トロント大学 | 25位 | 29位 |
マギル大学 | 29位 | 27位 |
ブリティッシュ・コロンビア大学 (UBC) | 38位 | 40位 |
アルバータ大学 | 96位 | 94位 |
ウォータールー大学 | 115位 | 119位 |
卒業後の就職サポートが充実|永住権取得のチャンスも(PGWP)
カナダが留学生にとって魅力的な理由の一つが、卒業後の就労機会です。カナダの指定教育機関(DLI)で一定期間のプログラムを修了した留学生は、「Post-Graduation Work Permit (PGWP)」という就労許可証を申請できます。
PGWPは最長で3年間有効で、この期間中に得た就労経験は、将来的にカナダの永住権を申請する際の大きなメリットとなります。学業だけで終わらない、その先のキャリアまで見据えた道筋が制度として用意されている点は、他の国にはない大きな魅力です。
PGWPの申請可能期間
通学期間 | PGWP申請可能期間 |
---|---|
8ヶ月未満 | 申請できない |
8ヶ月以上2年未満 | 通学期間と同じ期間申請可能 |
2年以上 | 3年間の申請が可能 |
PGWPの重要な特徴
- 雇用主の縛りがない:申請時に雇用主からのサポートは不要で、期間中は自由に雇用主を変更できます
- 幅広い職種で就労可能:一定の職業を除き、ほぼすべての職種で働くことができます
- 一生に一度の機会:PGWPは生涯で一度しか申請できないため、申請タイミングは慎重に検討が必要です
申請条件(重要)
- 指定教育機関(DLI)を卒業していること
- 留学生ビザの有効期間中に卒業していること
- 卒業後180日以内に申請すること
- 最低でも8ヶ月間以上の学位プログラムを修了していること
- 過去にPGWPを受け取ったことがないこと
この期間中に得た就労経験は、将来的にカナダの永住権を申請する際の大きなメリットとなります。学業だけで終わらない、その先のキャリアまで見据えた道筋が制度として用意されている点は、他の国にはない大きな魅力です。
詳細はカナダ移民・難民・市民権省(IRCC)の公式サイトで確認してください。
主要英語圏3カ国での費用比較【学費・生活費】
留学を考える上で、費用は避けて通れない問題です。一般的に、カナダの大学の授業料は、アメリカの同レベルの大学と比較してリーズナブルな傾向にあります。
国 | 日本円換算(目安) | 年間授業料の目安(文系) | 年間授業料の目安(理系) |
---|---|---|---|
カナダ | 約277万-608万円 | CAD 25,000 – 45,000 | CAD 30,000 – 55,000 |
アメリカ(州立) | 約379万-759万円 | USD 25,000 – 40,000 | USD 30,000 – 50,000 |
アメリカ(私立) | 約607万-1,062万円 | USD 40,000 – 60,000 | USD 45,000 – 70,000 |
イギリス | 約291万-581万円 | GBP 15,000 – 25,000 | GBP 18,000 – 30,000 |
生活費は都市によって差がありますが、全体として費用の見通しが立てやすく、計画的に準備を進められます。
多文化共生社会と治安の良さ
カナダは国策として多文化主義を掲げていて、世界中からの移民を積極的に受け入れています。そのため、多様なバックグラウンドを持つ人々が共生する社会が築かれていて、留学生も自然に受け入れられる環境です。
また、世界平和度指数(Global Peace Index)でも常に上位にランクされるなど、治安の良さも注目すべき点です。学生やその保護者にとって、安心して学業に集中できる環境は、何よりの魅力と言えるでしょう。
カナダ大学への4つの入学ルート|あなたに最適な方法は?
カナダの大学への道は一つではありません。最終学歴や現在の学力に応じて、複数のルートが存在します。ここでは主要な4つのルートを解説します。
最適な入学ルートの考え方
どのルートが最適かは、あなたの状況によって異なります。
- 学力と英語力に自信がある場合
直接出願(ルート1, 2)が最も時間効率が良い選択です - 学力や英語力に若干の不安がある、あるいは費用を抑えたい場合
カレッジからの編入(ルート3)が非常に現実的で有効な選択肢となります - 条件付きで早く留学生活を始めたい場合
パスウェイプログラム(ルート4)が適していることがあります
ルート①:IB資格で直接出願|必要スコアと単位認定について
国際バカロレア(IB)ディプロマは、カナダの大学で高く評価されていて、多くの大学で入学選考の主要な基準となります。

要求スコア
トップ大学では、総合スコアで35点以上が目安となりますが、人気学部では40点以上が求められることもあります。履修が必須の科目や、科目ごとの要求スコア(特にHL科目)も必ず確認が必要です。
大学 | IBスコア | GPA |
---|---|---|
マギル大学 | 37 | 3.7 |
トロント大学 | 37 | 3.7 |
ブリティッシュコロンビア大学 | 37 | 3.7 |
アルバータ大学 | 35 | 3.5 |
モントリオール大学 | 33 | 3.5 |
マクマスター大学 | 33 | 3.5 |
英語力証明
IB English A (HL/SL) で一定の成績を修めることで、IELTSやTOEFLのスコア提出が免除される大学が多くあります。English B (HL)でも免除されるケースがありますが、大学・学部によるため個別の確認が必須です。
単位認定 (Transfer Credit)
HL科目で高得点(一般的に6または7)を取得した場合、大学1年次の単位として認められることがあります。これにより、在学期間を短縮したり、より高度な科目を早期に履修したりすることができます。
ルート②:日本の高校から直接出願|成績と英語力の要件
日本の高等学校の成績も、カナダの大学出願において重要な評価対象です。
評定平均 (GPA)
多くの大学では、高校3年間の成績が重視されます。トップ大学を目指す場合、5段階評価で4.0以上が一つの目安とされますが、これも大学のレベルや学部によって大きく異なります。
GPAが低い場合の救済措置:WES評価サービス
日本の高校や大学はGPAの求め方が統一されていないため、どれだけ頑張ってGPAを計算しても、正確なGPAを算出することができません。
そこで活用したいのが、4.0スケールで計算されたアメリカやカナダの成績点平均(GPA)へと変換してくれるサービス「WES(World Education Services)」です。大学によっては、WESのようなGPA認定機関を通してGPAを提出することが求められる場合もあります。
WESで変換するとGPAが上がる可能性
このWESで変換を行うことで、「GPAが上がった」という声が多数報告されています。日本の厳しい評価基準が適切に考慮され、北米基準での公正な評価を受けられる可能性があります。
特に、高校の成績に不安がある場合は、WES評価を検討することをお勧めします。思っていたよりも高い評価を得られるかもしれません。
英語力証明
留学生はIELTS(Academic)またはTOEFL iBT®のスコア提出が必須です。大学により要求スコアは異なりますが、一般的にIELTS 6.5(各セクション6.0以上)/TOEFL 90点以上が基準となります。
必須科目
志望する学部によっては、高校で特定の科目(数学、物理、化学など)を履修していることが出願条件となる場合があります。
ルート③:カレッジ経由で大学編入|費用を抑えて名門校を目指す
カナダ、特にブリティッシュ・コロンビア州などでは、公立カレッジから有名大学への編入システムがとても発達しています。これは、留学生にとって最も現実的でメリットの多いルートの一つです。
- 入学難易度の緩和
大学へ直接入学するよりも、カレッジの入学要件(成績、英語力)の方が緩やかな場合が多いです - 費用の削減
カレッジの授業料は大学よりもリーズナブルであるため、最初の1〜2年間の総費用を抑えることができます - 環境への適応
少人数クラスが多いため、カナダの授業スタイルにスムーズに適応しやすいです
カレッジで1〜2年間学び、良好な成績(GPA)を維持することで、提携している有名大学の2年次または3年次へ編入することができます。
ルート④:大学付属パスウェイプログラムの活用
これは、大学が提供する留学生向けの準備コースです。学力や英語力が大学の入学基準にわずかに満たない学生が、条件付きの合格を得て、大学のキャンパスで学び始められる制度です。
アカデミックな英語力や、大学の授業で求められるスタディスキルを集中的に学び、プログラムを成功裏に修了することで、学部課程へ進級できます。
【目的別】カナダのおすすめ大学|世界ランキング上位校から就職に強い大学まで
ここでは、単なるランキングではなく、「総合力」「就職活動への強さ」「特定分野」といった目的別に大学をご紹介します。
世界ランキングで見る総合力の高い名門大学
世界中の大学と競い合う、研究力・教育力ともにトップレベルの大学群です。
- トロント大学 (University of Toronto)
カナダ最大の大学で、研究分野では国内随一。多様なプログラムを提供。 - ブリティッシュ・コロンビア大学 (University of British Columbia – UBC)
バンクーバーに位置し、美しいキャンパスと国際的な雰囲気で人気。アジア太平洋地域との結びつきも強い。 - マギル大学 (McGill University)
“北のハーバード”とも称される名門。ケベック州モントリオールにあり、歴史と格式を誇る。
Co-op(有給インターンシップ)が充実し、就職に強い大学
学業と並行して、給与を得ながら企業で実務経験を積む「Co-opプログラム」が非常に発達している大学です。
- ウォータールー大学 (University of Waterloo)
コンピュータサイエンスや工学分野で世界的に有名。北米最大級のCo-opプログラムを持つ。 - サイモン・フレーザー大学 (Simon Fraser University – SFU)
ブリティッシュ・コロンビア州にあり、Co-opプログラムのパイオニアの一つ。
特定分野のスペシャリストを目指す大学
特定の分野で高い評価を受けている大学も数多く存在します。
- アート&デザイン:エミリー・カー美術大学 (Emily Carr University of Art + Design)
- ビジネス:ヨーク大学シューリック・スクール・オブ・ビジネス (Schulich School of Business, York University)
- 農学:ゲルフ大学 (University of Guelph)
カナダ留学の費用を徹底解説|学費・生活費の目安と奨学金情報
留学の実現性を測る上で、資金計画は不可欠です。
【都市別】年間の学費・生活費のリアルなシミュレーション
項目 | トロント/バンクーバー | モントリオール/カルガリー |
---|---|---|
年間授業料 | CAD 30,000 – 60,000 (約333万-666万円) | CAD 25,000 – 50,000 (約278万-555万円) |
年間生活費 | CAD 18,000 – 25,000 (約200万-278万円) | CAD 15,000 – 20,000 (約167万-222万円) |
年間合計 | CAD 48,000 – 85,000 (約533万-944万円) | CAD 40,000 – 70,000 (約444万-777万円) |
留学資金計画の専門相談
留学費用は大きな投資です。教育資金の準備方法、奨学金の活用、留学保険など、総合的な資金計画については、家計見直し無料相談サービス「マネドア」でファイナンシャルプランナーに相談することをお勧めします。ご家庭の状況に応じた最適な資金計画をサポートします。
返済不要!留学生が応募できる奨学金
カナダの大学は、優秀な留学生を対象とした奨学金制度を設けています。多くは入学選考の成績に基づいて自動的に選考される「Entrance Scholarship」ですが、別途申請が必要なものもあります。
奨学金の探し方
各大学のウェブサイトにある「Awards」「Scholarships for International Students」といったページを必ず確認しましょう。
外部奨学金
日本の団体(JASSOなど)や、カナダ政府が提供する奨学金も存在しますが、競争率はとても高いです。
カナダ大学出願スケジュール|高校生向け完全タイムライン
【高校3年生向け】一般的な出願スケジュール
9月~11月 | 大学・学部選定、出願要件の最終確認、英語試験のスコア取得 |
---|---|
10月~1月 | 各大学のオンラインポータルから出願手続き、必要書類の提出 |
12月~4月 | 合否発表(大学・学部により時期は異なる) |
5月~6月 | 進学先決定、入学許可の受諾、学生ビザの申請準備 |
7月~8月 | 渡航準備(航空券、住居の確保) |
9月 | 大学生活スタート |
複雑な出願手続きや書類準備で不安を感じる場合は、 出願手続きの専門サポート手数料0円の留学情報館などの専門エージェントへの相談をお勧めします。海外の大学制度に精通したカウンセラーが、出願戦略から現地生活の準備まで、トータルでサポートしてくれます。
【高校1・2年生向け】今から始めるべき準備
成績の維持・向上
高校の成績(GPA)は最も重要な要素です。日々の学習をおろそかにしないことが第一です。
情報収集
大学のウェブサイトを定期的に訪問し、オープンキャンパス(オンライン含む)に参加してみましょう。
英語力の強化
英語力は一朝一夕には身につきません。IELTSやTOEFLを目標に、継続的な学習を始めましょう。
課外活動
学業以外の活動(部活動、ボランティア、コンテストなど)も、出願時に自己アピールの材料となり得ます。
よくある質問(FAQ)
日本の大学との併願は可能?
可能です。
多くの学生が、日本の大学と並行してカナダの大学に出願しています。ただし、出願スケジュールや入学金納付のタイミングが異なるため、計画的な管理が必要です。
卒業後の就職活動はどのように行うの?
多くの大学にはキャリアセンターがあり、履歴書の添削や面接練習などのサポートが充実しています。前述のCo-opプログラム やインターンシップを通じて、在学中から企業とのコネクションを作ることも重要です。
カナダの大学の授業についていけるか不安
カナダの大学では、留学生向けのライティングセンターやチューター制度など、学業サポートが非常に手厚く用意されています。積極的に活用することで、スムーズに適応することができます。
まとめ:カナダ大学留学は、未来への最高の投資
カナダの大学への道は、決して平坦ではありません。しかし、そこには努力した分以上の価値が必ず返ってきます。
世界トップレベルの教育、グローバルなキャリアへの扉、そして多様な価値観に触れる経験は、間違いなく人生を豊かにするでしょう。
この記事が、あなたのカナダ大学進学という挑戦に向けた、具体的で信頼できる羅針盤となれば幸いです。
参考情報
- QS World University Rankings
- WES (World Education Services) iGPA Calculator
- カナダ移民・難民・市民権省 (IRCC) – 卒業後就労許可(PGWP)について
- Vision of Humanity – 世界平和度指数 (Global Peace Index)
- EduCanada – カナダ政府 留学生向け奨学金
- 日本学生支援機構(JASSO) – 海外留学のための奨学金
- トロント大学 (University of Toronto)
- ブリティッシュ・コロンビア大学 (University of British Columbia – UBC)
- マギル大学 (McGill University)
- ウォータールー大学 (University of Waterloo)
- サイモン・フレーザー大学 (Simon Fraser University – SFU)
- エミリー・カー美術大学 (Emily Carr University of Art + Design)
- ヨーク大学シューリック・スクール・オブ・ビジネス (Schulich School of Business, York University)
- ゲルフ大学 (University of Guelph)