国際バカロレア機構(IB)が提供している16歳〜19歳を対象としたディプロマ・プログラムの最終試験は学校年度により年2回、5月と11月に世界一斉で行われます。
北半球が5月試験、南半球が11月試験とされていますが、日本の一条校の場合は4月入学の学校年度を採用しているため、原則として11月の試験となり、翌年の1月5日に最終スコアが通知されます。
各国の公的教育機関の学校年度
文部科学省の記載によると、各国・地域の新たな学年がスタートする時期は以下の通りとなっています。
1月 | シンガポール、マレーシア、バングラデシュ、南アフリカ |
2月 | オーストラリア、ニュージーランド、ブラジル |
3月 | 韓国、アフガニスタン、アルゼンチン、ペルー、チリ |
4月 | 日本、インド、パキスタン |
5月 | タイ |
6月 | フィリピン、ミャンマー |
7月 | アメリカ |
8月 | スイス、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、台湾、ヨルダン |
9月 | イギリス、アイルランド、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、ギリシア、ロシア、カナダ、メキシコ、キューバ、中国、インドネシア、ベトナム、イラン、トルコ、サウジアラビア、エチオピア、ナイジェリア |
10月 | エジプト、カンボジア |
世界の多くは国では9月前後辺りから新しい学年がスタートしています。
北半球の場合、夏休みを終了したところからが新たな学年がスタートしているということで、南半球のオーストラリア、ニュージランド、ブラジルなどの場合も同様に、夏休み明けの2月や3月から新学年がスタートする形をとっているようです。
日本や韓国の場合は、歴史的背景なのか春に新学期をスタートする形となっているため、国際バカロレア試験も北半球ながら、南半球に合わせた11月の方を受験するとなっています。
それでは、ここからは2022年11月試験の結果について詳しくみていきます。
試験結果詳細
トータルポイント分布(2018年〜2022年11月試験)
2018年〜2022年の11月試験の結果を見ると、5月試験同様に2021年、2022年のスコアは例年に比べて高い結果が出ています。
これは、2021年は新型コロナウイルスの感染拡大によって、学校が休校したことなどが考慮され、課題や試験内容に変更(縮小や中止)があった影響かもしれないのですが、2022年もまだその影響を受けてのものと思われます。
2023年の5月現在、日本も通常に戻りつつありますので、2023年度の試験内容や結果についての動向も気になります。
合格率(2018年〜2022年11月試験)
受験者数は2018年〜2022年の過去5年間をみると、2021年と2022年は13,000人台と少し減っているように見えますが、それほど大きな変化はなく、例年おおよそ15,000人程度が11月の最終試験を受けているようです。
合格率は約70%台〜80%台で推移していて、満点での取得者数が多かった2021年は合格率も非常に高かったのですが、2022年は例年の水準に戻っているように見えます。
(2022年11月)
IBDP資格取得者数:11,286人
IBDP不合格者数:2,440人+α
資格取得した人のうち
40点以上を取得した人は14.92%
35点以上を取得した人は31.46%
日本の受験者数
2022年11月試験の日本受験者数は477人ということで、アジア太平洋地域ではオーストラリア、シンガポールに次いで3番目に多い人数となっていました。
日本語Aのスコア
2022年11月試験の「日本語A」を受験している人数は419人だったようで、SL/HLともに平均点は5以上となっていました。
平均スコア(2018年〜2022年11月試験)
過去5年間の平均スコアをみると、高得点取得者率が高かった2021年よりは2022年の平均スコアは下がるものの、それでも例年よりは少し高い印象を受けます。しかし、それほど高くなっているというわけでもなく平均で”5”付近となっています。
コア科目ポイント(2018年〜2022年11月試験)
コア科目のポイント分布をみてみると、2021年と2022年は、2ポイント以上が55%以上となっていて、過去の年度と比較しても高くなっているのが見受けらます。
また0ポイントの取得率はこの2年大幅に下がっています。
フルスコア取得者数(2018年〜2022年11月試験)
過去5年間のフルスコア(45点)取得者の数は、2021年が292人と圧倒的に多くて、2018年〜2020年の過去年度と比べて2〜3倍の数となっています。
2022年のフルスコア取得者数は2021年に比べると半分以下の121人となり、以前の水準に戻っているように見受けられます。
スコア分布(2022年11月)
上の表は2022年11月受験者全体のスコア分布です。
上記でも書きましたが、スコアにより進路の選択肢が大きく変わってきます。
IBDPのスコアと海外大学の目安については以下の表となりますが、詳しくは記事に書いていますので、合わせて読んでみてください。
進学先の目安 | 世界大学ランキング | |
42点以上 | 超難関大学 | 10位以内 |
36点以上 | 50位以内 | |
30点以上 | 難関大学 | 100位以内 |
24点以上 | フルディプロマ取得 |
2022年11月試験のまとめ
2022年試験 | 11月 |
---|---|
受験者数 | 13,792人 |
合格率 | 81.83% |
合格者数 | 11,286人 |
不合格者数 | 2,440人+α |
平均スコア | 30.94 |
45点取得者数 | 121人 |
45点取得者率 | 0.88% |
40点以上取得者数 | 2,056人 |
40点以上取得者率 | 18.02% |
2022年5月のIBDP資格取得率は81%と、2021年の約87%には及びませんでしたが、例年と比較すると高い合格率となったようです。
難易度というのは2年間の取り組みもあるので一概に言うことはできませんが、資格取得率が高いというのは嬉しいことではあります。
IBDPのスコアによっては進路の選択肢も変わってくるので、単に合格すれば良いかというと、それだけではないのですが、スコアが思うように上がらなかったとしても、2年間取り組んできたものが消えるわけではないので、IBDPの経験が活きる場面がここから沢山あるのだろうなと思います。