【IB生の進路の悩み解決】国際バカロレア大学出願完全ガイド|国内78校・海外20,000校の戦略とスコア活用法2025

「IBの成績は良いけれど、どの大学に出願すればいいのか分からない…」
「予測スコアで条件付き合格をもらったけれど、最終試験が不安」
「国内と海外、どちらを目指すべき?」

国際バカロレア(IB)を理解した上で、IBを履修する多くの生徒と保護者が抱えるこうした悩み。実は、適切な出願戦略があれば、IB生は一般受験生よりもはるかに有利な条件で大学進学を実現できます

2025年現在、国内78校、海外では100カ国以上4,500校以上の大学がIB資格を認定。しかし、この豊富な選択肢が逆に「何をどう選べばいいのか」という新たな迷いを生んでいるのも事実です。

この記事では、失敗しない出願戦略から具体的なスコア目標設定まで、IB生と保護者が知っておくべき情報をすべて網羅して解説します。

目次

IB生が知るべき3つの大学出願パターン|進路選択の決定要因と成功戦略

IBDPを履修する生徒の大学進学には、主に3つのパターンがあります。それぞれのメリット・デメリットと選択理由を詳しく見ていきましょう。

  1. 国内大学のみ出願
  2. 海外大学のみ出願
  3. 国内と海外の両方の大学に出願
IB生の大学出願における3つの選択肢「国内大学のみ」「海外大学のみ」「国内と海外の併願」を比較したインフォグラフィック。国内は日本の地図と円マーク、海外は地球儀と飛行機、併願はカレンダーと天秤のアイコンで、それぞれの特徴を示している。

国内大学のみ出願戦略

IBスコアを活用した3つの入試方法

  • 総合型選抜のIB入試:IBスコアを活用した大学出願が可能
  • 学校推薦型選抜(推薦入試):通っている高校からの推薦が必要
  • 一般入試:共通テスト利用入試など

なぜ国内大学を選ぶのか

選択する主な理由
  • 日本での医師免許や教員免許の取得を目指している
  • 特定の研究分野や教授のもとで学びたい
  • 英語圏の大学と比較して学費が抑えられる
  • 地理的・文化的に身近な環境で学びたい

2024年1月時点では、日本国内の大学で国際バカロレアの最終試験スコアを活用して入試を受けることができる大学は78校で、国立大学が25校、公立大学が8校、私立大学が45校となっていました。

このように、大学進学先の選択は、お子様の学びたい内容だけでなく、ご家庭の資金計画とも密接に関わってきます。特に海外大学や国内の私立理系学部などを視野に入れる場合、早めに専門家と教育資金の計画を立てておくことで、安心して進路選択に臨むことができます。

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海外大学のみ出願戦略

なぜ海外大学を選ぶのか

選択する主な理由
  • 海外大学の教育・研究環境で学びたい
  • 将来の海外就職を視野に入れている
  • IBカリキュラムとの親和性が高い教育を継続したい
  • より国際的な環境で学びたい

IB生が海外大学で得られる4つのメリット

国内と海外の両方に出願する戦略

併願戦略を選ぶ理由
  • 海外大学を第一志望としつつ、国内大学をセーフティネットとして確保したい
  • 給付奨学金の有無によって進学先を決めたい
  • 複数の選択肢から最終的な進学先を選びたい

この併願戦略では、出願スケジュールの管理が重要になります。特に専願制の推薦入試に合格した場合は他の出願を辞退する必要があるため、事前の戦略設定が必要です。

【時期別】IB生の戦略的出願スケジュール|予測スコアから最終結果まで

時期内容
高校2年秋〜冬進路調査開始
・必要なIBスコアの調査
・必要な語学試験の確認
・希望する進路の具体化
高校3年夏国内大学出願準備
・学校推薦型選抜の出願準備
・総合型選抜(IB入試)の準備
・必要書類の確認と準備
高校3年9月〜10月国内大学への出願
・学校推薦型選抜への出願
・総合型選抜(IB入試)への出願
・奨学金申請
高校3年11月IB最終試験
高校3年11月〜1月海外大学への出願
・🇬🇧 イギリス(UCAS)
・🇺🇸 アメリカ:Early Decision/Regular Decision
・🇦🇺 オーストラリア・シンガポール:各大学による
翌年1月IB最終スコア発表
1月上旬に結果が通知される

※具体的な日程は年度によって変動する場合がありますので、各機関の公式サイトで最新情報をご確認ください。

国内大学への3つの出願ルート|IB入試・推薦・一般選抜の特徴と選び方

IB生向けの国内大学出願3ルートを比較するインフォグラフィック。「総合型選抜(IB入試)」はIBディプロマ、「学校推薦型選抜」は推薦状、「一般選抜」は試験教科書のアイコンを使い、各選抜方法で重視されるものを視覚的に示している。

国内大学では、IB資格取得者向けの入試が年々増加しています。それぞれの入試形態の特徴を詳しく見ていきましょう。

IBスコアで狙える総合型選抜(IB入試)の攻略法

多くの大学が、IBスコアを活用した総合型選抜(旧AO入試)を実施しています。これらの入試では、IBの最終スコアや予測スコアが重視されます。

主な特徴
  • IBスコアを主な評価対象とする
  • 小論文や面接を組み合わせた選考が一般的
  • 共通テストが免除される場合が多い
  • 早期に合否が決まる場合が多く、12月頃に合格発表がある大学もある

出願条件や必要なIBスコアは大学・学部によって異なりますので、必ず各大学の最新の入学者選抜要項で確認してください。

学校推薦を活用したIB生向け推薦入試

通っている高校が作成した調査書を主要な審査材料として選抜する方式です。

一般的な選考方法

  1. 学内推薦基準を満たした生徒を学校が推薦
  2. 筆記試験、口頭試問
  3. 資格試験結果(IBスコアなど)の提出
  4. 基礎学力の確認
  5. 共通テスト(一部の大学で必要)

一条校を卒業する場合は、一条校卒業資格を基礎学力の確認として出願できます。

⚠️ 注意点
多くの大学では「専願」が条件となっています。合格した場合は必ず入学する必要があるため、他の大学と併願する場合は、専願校の結果を待ってから他校に出願することになります。

IB生に不利?一般選抜受験の注意点

国公立大学の一般選抜

  • 1次試験:共通テストで5教科7科目
  • 2次試験:小論文、面接、特定科目試験など

私立大学の場合

  • 科目を絞った共通テスト受験
  • または大学独自の一般選抜試験

IBカリキュラムとの相性問題
国公立大学の一般選抜は5教科7科目の試験が一次試験(共通テスト)で必要となり、IBDPカリキュラムで忙しい生徒にとっては時間的・心理的負担が大きくなりがちです。IBの評価を活用できる入試方法を検討するのが一般的です。

【国別詳細解説】海外大学出願システム完全攻略|UCAS・Common App対応

IBDPは国際的な大学入学資格として広く認められています。主要国の出願システムと特徴を見ていきましょう。

イギリス🇬🇧|UCAS出願の5ステップ完全攻略

UCAS出願システムの基本
イギリスでは、UCAS(Universities and Colleges Admissions Service)という一括出願システムを通して最大5校まで出願できます。IBの予測スコアが重要な役割を果たします。

UCAS出願の具体的な手順

  1. UCASウェブサイトでアカウント作成
  2. 個人情報を入力
  3. 最大5校の志望校・コース選択
  4. パーソナルステートメント(志望動機書)の作成・提出
  5. 教師からの推薦状
  6. IBの予測スコアの提出

英国の大学では、中央機関(UCAS)が国際バカロレアや英国の共通試験であるAレベル等のスコアの統一的な換算表を作成し、各大学が国際バカロレアのスコアを入学オファー等を行う際の目安として活用しています。

合否通知の3つのパターンと対応法

合否通知の種類
  • 条件付き合格(Conditional Offer)
    IBの最終スコアが条件を満たせば入学可能
  • 無条件合格(Unconditional Offer)
    即入学可能
  • 不合格(Unsuccessful)

重要な出願締切日程

アメリカ🇺🇸|Common App出願とIB単位認定

Common Applicationシステムの特徴
多くの大学がCommon Applicationという出願システムを利用しています。IBスコアに加え、エッセイや課外活動なども重視されます。

アメリカでのIB評価の実際

特徴
  • IBスコア自体は出願時に評価されないケースが多い
  • 合格後、IB履修科目が大学の単位に換算される場合がある
  • 高校の成績(GPA)、SAT/ACTスコア、エッセイ、課外活動など総合的に評価
  • 大学独自の追加出願要項が課される場合も

米国の大学では、共通試験(SAT等)や高校の成績等を総合的に評価して入学者選抜を行っていますが、選抜制の高い大学等において、国際バカロレアの履修を推奨又は積極的に考慮するケースも多く見られます。

特に、任意または必須で課される面接(Interview)は、IBで培った思考力や人間性をアピールする絶好の機会です。もし英語でのスピーキングに少しでも不安があれば、実践的な練習を積んでおくと自信に繋がります。

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EU諸国🇪🇺|国別システムの違いと対策

  • 国によって独自のシステムがあるが、イギリスのシステムに類似
  • 各国の出願システムまたは大学に直接出願
  • IBスコアが重視される

オーストラリア🇦🇺|高合格率を実現する条件と戦略

  • IB履修者は学部へ直接出願可能
  • 大学のウェブサイトから直接出願するか、エージェント経由で出願するケースが多い
  • IBDPの科目要件、科目点数、総合点の条件を満たせば合格率が高い
  • 自己アピールのエッセイや推薦状は一般的に不要

詳しくは オーストラリアの人気大学8校のIB入学条件とスコア要件をご覧ください。

カナダ🇨🇦|統一試験不要の出願システム

  • 州によって異なる出願システムあり
  • 州共通の出願システムや各大学の出願システムを使用
  • IBDPの科目要件や総合点の条件を満たすことが必要
  • 自己アピールのエッセイや推薦状が必要な大学も

カナダの大学は、アメリカやイギリスの大学との一番大きな違いは、統一試験の提出が課されていないという点です。IBディプロマやIBサーティフィケートの資格取得が高校卒業要件の充足として認められます。

カナダのカナダ名門大学5校のIB出願要件とスコア基準も参考にしてください

シンガポール🇸🇬|アジアのハブ校への出願戦略

  • 各大学が独自の出願システムを持つ
  • IBDPの科目要件や総合点など明確な条件設定あり
  • トップ校は比較的高いIBスコアを要求する傾向がある

特にシンガポール国立大学(NUS)南洋理工大学(NTU)は高いIBスコアが必要です

IB生よくある質問FAQ|スコア不足・予測スコア・併願戦略の悩み解決

IBスコアが希望大学の基準に達しなかった場合、どうすれば?

国内大学の場合
一般入試などの別の入試形態を検討することができます。

海外大学の場合
以下の選択肢があります

  • 基準を満たす別の大学・学部への出願
  • 大学準備コース(Foundation Course)の受講
  • Gap Yearを取り、再受験を目指す

特にオーストラリアやイギリスなどでは、Foundation CourseやPathway Programを経由して大学入学を目指すことも可能です。

予測スコア(Predicted Grades)と最終スコアに大きな差が出た場合は?

イギリスなど予測スコアで条件付き合格を出す大学の場合

  • 条件を満たした場合:そのまま入学可能
  • 条件を満たせなかった場合:合格が取り消される可能性あり

ただし、わずかに条件に届かなかった場合は、大学側が柔軟に対応してくれるケースもあります。また、イギリスではClearingという制度を利用して、空きのある大学・コースに再出願することも可能です。

詳しくは予測スコアの改善方法予測スコアの精度を参考にしてください。

国内大学と海外大学を併願する場合、注意すべき点は?

以下の点に注意が必要です

  • 専願制の推薦入試に合格した場合、他の出願を辞退する必要がある
  • 出願時期の違いによる書類準備のスケジュール管理
  • 各大学の出願要件の違い(必要書類、テストスコアなど)
  • 入学金・学費の支払い期限が重なる可能性

事前に各大学の出願要件や期限を確認し、計画的に準備を進めることが重要です。

IB大学出願を成功させる5つの準備ポイント|科目選択から英語力まで

IB大学出願を成功させる5つの準備ポイントを示す円形のインフォグラフィック。中心に卒業帽のアイコンがあり、その周りに「科目選択」「英語力の向上」「内部評価」「予測スコアの最大化」「大学リサーチ」の5項目がアイコン付きで配置されている。
STEP

科目選択の重要性

IB科目選択は大学出願に大きく影響します。志望する大学・学部の要求科目を早めに確認し、戦略的に科目を選択しましょう。

STEP

英語力の向上

IBDPに必要な英語レベルを理解し、早期から英語力向上に取り組むことが重要です。特に海外大学を目指す場合は、アカデミックライティングスキルの向上が不可欠です。

STEP

内部評価(IA)への取り組み

内部評価(IA)は最終スコアに大きく影響します。各科目のIA要件を理解し、計画的に取り組みましょう。

STEP

予測スコアの最大化

予測スコアは海外大学出願において重要な役割を果たします。予測スコア向上のための戦略を実践し、目標スコアの達成を目指しましょう。

STEP

大学リサーチの徹底

各大学の特徴、入学要件、奨学金制度などを徹底的に調査し、自分に最適な選択肢を見つけることが重要です。

これらの準備、特に専門性が高いEE(課題論文)やIA(内部評価)の対策は、独学では難しい部分も少なくありません。もし少しでも不安があれば、IBの指導経験が豊富な専門家のサポートを受けるのも、合格への確実な投資と言えるでしょう。

まとめ

国際バカロレア(IB)は世界中の大学への扉を開く貴重な資格です。国内外の大学出願において、それぞれの特徴と要件を理解し、戦略的に準備を進めることで、希望する進路を実現できます。

重要なのは早期からの計画的な準備です。国際バカロレアの基本理解から始まり、科目選択スコア目標設定、そして具体的な出願戦略まで、体系的にアプローチしていきましょう。

IBの学習過程で身につけた批判的思考力、研究スキル、国際的な視野は、大学での学びや将来のキャリアにおいて大きな財産となるはずです。


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この記事を書いた人

Masakiのアバター Masaki 国際バカロレア進路専門家

我が子のIB経験と海外留学準備で奮闘した保護者としての実体験が原点。「同じ保護者の目線」で膨大な情報を整理・分析し、後悔しない進路選択を共に考えるパートナーとして「国際バカロレアIB広場」を運営。大学選びから留学手続き、その先のキャリア形成までを見据えた情報を提供しています。

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