内部評価(IA)とは?
内部評価であるIA(Internal Assessment)は、学生が自己研究や実験、調査を通じて学んだ内容を評価するための重要な課題です。
内部評価は各科目の最終成績において、約20%ほどの割合を占める重要な要素です。そのため、以下にあげる点に気をつけることが重要です。
- 指示に従う
- タイムマネジメントを意識する
- データの正確性を確認する
- 引用に注意する
指示に従う
内部評価(IA)には、様々な指示や要件が含まれています。例えば、調査の範囲や方法、報告書のフォーマット、引用の方法などがあります。課題を作成する際には、これらの指示に従って正確に作業を進めることが重要です。
科目ごとの指示内容を確認するためにも、シラバス(syllabus)にはしっかりと目を通して理解しておくことが重要となります。
またシラバスには、評価基準なども全て記載されています。例えば、理科系科目のIA評価基準は以下のように記載されています。
Personal engagement | Exploration | Analysis | Evaluation | Communication |
2 (8%) | 6 (25%) | 6 (25%) | 6 (25%) | 4 (17%) |
上表のように、5つの基準で合計24点で評価されます。
- パーソナル・エンゲージメント(最大2点)
- 探索(最大6点)
- 分析(最大6点)
- 評価(最大6点)
- コミュニケーション(最大4点)
Personal engagement(パーソナル・エンゲージメント)という言葉を見ただけでは、全くどういったものか分かりませんが、シラバスを読むとこのように書いてあります。
この基準は、学生がどの程度探査に関与し、それを自分のものとしているかを評価するものです。個人的な関与は、さまざまな属性やスキルで認識することができます。これには、個人的な興味への取り組みや、調査の設計、実施、発表において、独自の思考、創造性、自発性の証拠を示すことが含まれます。(翻訳)
これでも少し分かりにくさが残ります。その場合は、点数の基準の内容を見てみると分かりやすくなります。以下が点数をつけるための評価基準の内容です。
Mark | Descriptor |
---|---|
0 | 学生のレポートが、以下の記述子で説明される基準に達していない。 |
1 | 個人的な探究心の証拠が限られており、自主的な思考、自発性、創造性が乏しい。 研究課題や研究テーマを選択した理由が、個人的な意義や興味、好奇心を示していない。 調査の設計、実施、発表において、個人的な意見やイニシアチブを発揮した形跡がほとんどない。 |
2 | 個人的に探究心をもって取り組んでいることが明らかで、自主的な思考、自発性、創造性がある。 研究課題や研究テーマを選択した理由が、個人的な意義や興味、好奇心を示している。 調査の設計、実施、発表において、個人的な意見やイニシアチブを発揮している証拠がある。 |
上記を見ると、「個人的に探究心をもって取り組んでいることが明らかで、自主的な思考、自発性、創造性がある。」ということが必要となります。
新しい評価モデルでは、個人調査の最終報告書を5つの基準で評価し、以下の生得点と加重を割り当てています。
各探検は、以下の5つの基準で評価されます。各探検の最終的な点数は、各基準の点数の合計となります。最終評価点の最大値は20点です。
Criterion A | Presentation | 4 |
Criterion B | Mathematical communication | 4 |
Criterion C | Personal engagement | 3 |
Criterion D | Reflection | 3 |
Criterion E | Use of mathematics | 6 |
タイムマネジメントを意識する
国際バカロレアの生徒は、高度な学術的スキルを身につけることを目的としているため、6科目+コア科目3つを履修し、それぞれの科目において複数の評価課題をこなす必要があります。
設定された締め切りまでには提出物は出すのはもちろん、これらには長期的なプロジェクトもあり、スケジュールをしっかりと立てて、各科目に十分な時間を割り当て、評価課題を提出するための時間を確保する必要があります。
また、IBプログラムはとてもハードで、ストレスを感じることも多くあるでしょう。この点においても、しっかりとスケジュールを立てることで、各科目に対する時間の使い方を最適化し、評価課題や試験に対する不安を軽減することで、心身的なストレスも軽減することが出来ます。
- スケジュールを作成する
- 優先順位を決める
- リアルタイムでスケジュールを更新する
- バランスを取る
まずは、スケジュールを作成することから始めます。各科目の時間配分などはもちろん、CASプログラムや自習時間なども確保する必要があります。
次に、各科目の評価課題の期限や、テストの日程、その他の重要なイベントなどを確認して優先順位を決めていきます。
また、スケジュールは立てるだけではなく、リアルタイムでスケジュールを更新することが重要です。新しい評価課題やテストなどの日程が決まった場合、スケジュールを更新して優先順位を調整する必要があります。
スケジュール通りに進まない場合もあります。体調を崩したりしても予定が変わりますし、予期していなかったイベントが発生することもあります。その都度、スケジュールを最新のものへと更新していくことが大切です。
最後に、科目の勉強だけでなく、自分自身の成長に繋がるようなCAS活動などにも時間を割く必要があります。また息抜きの時間や睡眠時間なども十分確保したいので、バランスを考えたスケジューリングが必要となります。
データの正確性を確認する
内部評価(IA)では、データの収集や解釈がとても重要な役割を担います。見つけたデータや資料などは、評価課題を書くときの根拠として使うことができるので、整理して保存しておく必要があります。
そんな大切なデータですが、データを収集する際には正確性を確認して使用する必要があります。単に検索にヒットしただけのデータでは信憑性に欠けますし、根拠としては使うことが出来ないと思われます。
しっかりとしたデータや資料を扱うことを忘れずに。また、グラフや表を使用する場合には、データの可視化にも気を配る必要があります。
引用に注意する
評価課題を作成するにあたって、学生は自分で調査や研究を行うことが求められます。当然ですが、資料の内容をそのままコピペしたり、他人のIAの内容をコピーすることは禁止されています。
もし不正行為等があった場合は、学問的不正行為の各形態に対して与えられる罰則のレベルが規定されていて、評点が0点になることや、成績無効といった罰則が与えられる事になります。
他人の研究内容や文献を引用する場合には、十分に注意をして適切な引用を行う必要があります。
- 引用の正当性を確認する
- 引用の正確性を確認する
- 引用のスタイルに従う
- 引用の範囲を考える
引用する際には、引用元が信頼できるものであることを確認する必要があります。学術論文や専門書であれば必要ありませんが、複数の情報源を参照することもとても重要です。
そして引用部分が正確であることの確認も怠ってはいけません。引用元の意図を正確に捉えて、誤った情報を伝えてしまわないように注意が必要です。
引用の形式や参考文献の書き方など、引用する際の規定があるので、学校の指示に従って正しいスタイルや適切な形式で使用します。
そもそも引用は、自分の主張を補強するために使用するもので、引用元の内容やアイデアを盗用するものではありません。引用は最小限の範囲にとどめて、自分自身の考えと組み合わせて使用します。