国際バカロレア(IB)は意味ない?入試別の答えと費用・後悔の中身

国際バカロレア(IB)に意味があるかどうかは、高3でどの入試を本命にするかで決まります。国内の一般入試が本命なら、高2から時間割がIBの科目中心になり、受験の準備に使える時間が減るので遠回りです。

反対に、IBを出願に使える推薦入試や総合型選抜、または海外の大学が本命なら、意味があります。ただしその場合も、行きたい学部の募集人数や求める点は、大学によって大きく違います。

まだ本命の入試が決まっていないなら、IBを選ぶか考える前に、入試を1つ決めることから始めてください。

目次

意味が問われるのは、高校の最後の2年間(DP)

国際バカロレア(IB)は、認定を受けた学校で学ぶ教育の課程で、年齢ごとに分かれています。そのうち高校の最後の2年間に学ぶ課程を、DP(ディプロマ・プログラム)と言います。この記事で「IB」と書くときは、この高校の2年間のDPを指します。

文部科学省がIBの情報をまとめているサイト(IB教育推進コンソーシアム。以下「文部科学省のIBのサイト」)の説明では、DPを2年間学び、最後の試験で決まった成績を取ると、大学に入る資格として国際的に認められる「IBの資格」が取れます。大学の受け方に関わるのは、この資格と最後の試験の点です。

中学生向けにもMYPという課程がありますが、MYPだけでは大学の受け方は変わりません。ある国立の学校に子を通わせる親のブログには、中学のMYPは全員が学ぶ一方で、高校でDPに進むのは学年の1割ほどだと書かれています。MYPやDPを置く学校を選ぶときに問われるのは、高校でDPに進むかどうかです。

DPでは6科目を2年間学び、ほかに課題論文(日本語なら8,000字)などが必修です。最後の試験の点は45点満点で、1科目7点満点の6科目(合わせて42点)に、課題論文などの評価で最大3点が足されます。この記事で「点」と書くときは、この45点満点の点のことです。

国内の一般入試が本命なら、IBの2年間(DP)は遠回りになる

国内の一般入試を本命にする家にとって、DPは準備の時間を減らします。理由は、時間割・試験の時期・学校の進路指導の3つです。

この記事で「IBコース」と書くのは、日本の公立や私立の高校の中にあるDPのコースです。日本の高校なので、高校の卒業資格も出ます。インターナショナルスクール(インター)とは分けて書きます。

高2から、時間割の中心がIBの科目になる

文部科学省のIBのサイトは、DPを置く日本の高校の例として、日本の高校で必ず学ぶ科目の多くを高1のうちに学び、高2からはIBの科目を学ぶ組み方を挙げています。神奈川県立横浜国際高校の「よくある質問」でも、IBコースは高1の4月〜12月に日本の必ず学ぶ科目を中心に学び、そのあとはDPの科目が中心になると書かれています。

共通テストの科目と、DPの科目がどう対応するかを学校が公式に説明した資料は、調べた範囲では見つかりませんでした。一般入試の科目は、IBの授業とは別に自分で準備することになる、と編集部は見ています。

最後の試験は高3の11月、点が分かるのは1月5日

IBの最後の試験は、南半球と北半球で学校の1年の始まりが違うのに合わせて、世界で年に2回行われます。文部科学省のIBのサイトによると、日本のIBコースは原則として高3の11月に試験を受け、最終的な点は翌年の1月5日に知らされます。11月は、一般入試を受ける生徒が共通テストの仕上げをしている時期です。

共通テストの出願は、DPの最後の試験より先に締め切られる

青い区画が共通テストの出願です。

高3の9月から1月
9月
10月
11月
12月
1月
共通テスト
出願 9月15日〜10月2日
DP
11月
最後の試験
1月5日
点が分かる

出願の期間は、2027年4月に大学に入る人の共通テストの例です。IBの点が分かる1月5日より前に、出願は締め切られます。

ウェブでは、IBコースの受験生から「総合型選抜(以前AO入試と呼ばれていた、書類や面接で選ぶ大学の入試)の時期が、最後の試験と重なった」「出願の準備とIBの両立が大変だった」という声が見つかります。卒業生のブログにも、大学の入試の日が、IBの数学と英語の試験の間に入っていたという話がありました。

塾や過去問に使う時間が短い

文部科学省が依頼して令和6年度(2024年度)に行った調査は、DPを置く日本の高校43校の高校2年生1,794人(うちDPを学ぶ生徒443人)に質問したものです。DPの生徒は、1日の勉強時間が長いと答えました。一方で、塾・予備校の勉強と、過去問や小論文といった大学受験の準備にかける時間は、DPでない生徒より短いと答えています。

東京都立国際高校の案内は、IBコースは基本的に海外の大学に進む前提でカリキュラムと進路指導を行っていて、国内の大学を受けることは可能だと書いています。一般入試の対策を学校が中心になって見てくれるとは限らない、ということです。

「共通テストを受けられない」は、「準備の時間が無い」という意味

ウェブには「IBコースに入ると共通テストを受けられない」という在校生の声があります。ただ、都立国際の案内では、IBコースの生徒は日本の高校卒業資格とIBの資格を両方取ります。高校を卒業する見込みの生徒として一般入試を受ける道が閉じるわけではなく、実際にIBコースから共通テストを受けた人の声もウェブにあります。

編集部は、この声の「受けられない」を「対策の時間が取れない」という意味だと読んでいます。国内の一般入試を本命にするなら、DPを選ばず、高2・高3の時間を受験の準備に使うほうが合っています。

IBを出願に使える入試(推薦・総合型選抜など)が本命なら、意味がある

大学の入試の名前を先に整理する

大学の入試は、一般入試(大学の資料では一般選抜)と、一般入試とは別の見方で選ぶ入試に分かれます。別の見方で選ぶ入試には、推薦入試(大学の資料では学校推薦型選抜)と総合型選抜があります(大阪大学の要項)。総合型選抜は、以前「AO入試」と呼ばれていた入試です(東京大学の要項)。書類や面接などで選びます(国際基督教大学の要項)。

この記事で「IB入試」と書くのは、名前に「国際バカロレア」や「IB」が付く、IBの人向けの入試です。東北大学の国際バカロレア入試のように、総合型選抜の1つとして行う大学があります。

IB入試のほかに、IBの人に限らない推薦入試や総合型選抜で、IBの資格や成績を出願に使える大学もあります。この2つを合わせて「IBを使える入試」と書きます。

「IB入試」と「IBを使える入試」は、範囲が違う

青く塗った箱が「IB入試」です。上にラベルを付けた太い青枠の内側全体が「IBを使える入試」です。

大学の入試

一般入試

大学の資料では一般選抜

一般入試とは別の見方で選ぶ入試

推薦入試(大学の資料では学校推薦型選抜)と総合型選抜

枠の内側全体=IBを使える入試

IB入試

名前に「国際バカロレア」や「IB」が付く、IBの人向けの入試

例:東北大学の国際バカロレア入試

IBの人に限らない推薦入試・総合型選抜

IBの資格や成績を出願に使える

例:東京大学の推薦入試、大阪大学の総合型選抜

ほかの推薦入試・総合型選抜

IBを使える入試がある国内の大学は84校です(文部科学省のIBのサイト、2026年8月)。調べた13校のIB入試の人数(1つの学部に数名から20名)は、青く塗った箱の中だけの数です。

IBを使える大学は84校。東大・京大はIBの人向けの入試ではない

文部科学省のIBのサイトが2026年8月にまとめた資料では、IBを使える入試がある国内の大学は84校です。そのうち39校は全学部で、45校は一部の学部でIBを使えます。一部の学部で使える大学には、東京大学・京都大学・大阪大学・早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学などがあります。全学部で使える大学には、国際基督教大学(ICU)・同志社大学・関西学院大学などがあります。

ただし、東京大学・京都大学・大阪大学は、IBの人向けの入試ではありません。東京大学は推薦入試で、推薦の書類として出せるものの例にIBの成績を挙げています。京都大学は独自の特色入試、大阪大学は総合型選抜で、IBの資格は出願できる資格の1つです。京都大学と大阪大学は、共通テストなどの点に条件や目安が別にあります。

一般入試と違って、IB入試や総合型選抜は大学ごとに時期が分かれています。卒業生のブログには、ICUや早稲田でいくつかの入試を受けて、合格の機会を増やしたという話がありました。

調べた国内の13大学のIB入試で、1つの学部に入れるのは数名から20名

受けられる大学が多いことと、入れる人数が多いことは別です。筑波大学のIB入試は、医学類(医学部にあたる)の募集が7月募集と10月募集を合わせて3名、心理学類は1名です(2027年4月入学の要項)。2026年4月入学の入試の結果では、医学類の7月募集に11人が出願し、合格したのは4人でした。

調べた13大学のうち、筑波大学のほかのIB入試も、医学部は数名です。東北大学の医学科は3名(ほかの入試と合わせた数)、順天堂大学の医学部は2名です。多いところでは、ICUが10名、慶應義塾大学の法学部が20名(2つの学科に10名ずつ。ほかの時期の入学と合わせた数)です。

早稲田大学や大阪大学のように、IBの人に限らない入試でIBを使える大学は、この枠の数え方に入りません。同志社大学や関西学院大学など、調べた13大学に入っていない大学のIB入試の人数は、今回調べていません。

点を出願や選考の条件にしている大学は、13大学のうち2大学

「うちの子に何点要るのか」を先に言うと、点を出願や選考の条件として募集要項に書いていたのは、調べた13大学のうち東北大学と岡山大学の2大学だけでした。どちらも医学科がいちばん高く、東北大学が38点、岡山大学が39点です。世界の受験者の平均は30.8点(海外の大学の章で出てきます)なので、医学科の条件はそれより7〜8点高いことになります。

ウェブでは「国内のIB入試は36点以上が必要」「医学部は38点以上」という声が見つかります。そこで編集部は、親がよく検討する13の大学(東北・岡山・順天堂・早稲田・上智・大阪公立・筑波・慶應・ICU・国際教養・東京・京都・大阪)について、2027年4月入学の入試の募集要項を中心に、点の条件が書かれているかを調べました。書かれていた点は、意味の違いで4つに分かれます。

1. 出願や選考に必要な点を書いている大学

大学必要な点(45点満点)
東北大学出願に必要:法学部35点・理学部30点・医学部医学科38点・歯学部33点・薬学部36点・工学部35点以上。文学部・経済学部・農学部は点の条件なし(語学などの科目の成績で条件)
岡山大学この点以上の人が選考の対象:医学科39点・薬学部32点・工学科の一部30点以上(※)

※岡山大学の工学科の30点は、2027年4月入学の要項にはありますが、文部科学省のIBのサイトの一覧(1年前の2026年4月入学の入試の情報)には載っていません。受ける年の要項の値を見てください。

医学科では、科目ごとの条件もあります。DPの6科目のうち3〜4科目は、授業時間の多い「上級(HL)」で学びます。東北大学の医学科は、数学のHLと理科のHL2科目で、それぞれ7点満点の6以上が必要です。

2. 出願の条件ではないが、点の数字を出している大学

スクロールできます
大学出している
数字
何の数字か
順天堂大学(医学部)40点以上この点があれば、共通テストなどの二次試験が免除される。出願に点の条件は無い
早稲田大学(英語で授業をする学部)36.4〜38.9点(6科目の合計・42点満点)2026年9月入学の合格者の平均。最低点は無い。IBの人に限らない入試。早稲田の合格者平均の表では、SATやACTと並んで、IBの点(予測の点を含む)の平均が出ている

早稲田の数字は、課題論文などの3点を除いた42点満点です。45点満点の条件と、そのまま比べることはできません。予測の点は、最後の試験の前に、在籍する学校が出す見込みの点です(大阪大学の要項)。

3. 45点満点の点ではなく、科目の成績だけを条件にしている大学

大学条件
上智大学(日本の高校向けの第2期)理工学部だけ、数学と理科の科目で7点満点の5以上
大阪公立大学学部によって、日本語で学ぶ科目などの成績

4. 点の条件を見つけられなかった大学

大学調べた結果
筑波大学2027年4月入学の要項では、点の条件は見つけられなかった(下の筑波大学の段落)
慶應義塾大学・ICU・国際教養大学調べた範囲(各大学の最新の募集要項)では、点の条件は見つけられなかった
東京大学(推薦入試)・京都大学(特色入試)・大阪大学(総合型選抜)IBの人向けの入試ではなく、IBは出願の資格や書類の1つ。IBの点の条件は見つけられなかった。京都大学は共通テストとTOEFL、大阪大学は共通テストの点に条件や目安がある

点を書いていない大学も、点を見ないわけではありません。

文部科学省のIBのサイトにも、大学に聞いてまとめた一覧があります。こちらは1年前の2026年4月入学の入試の情報で、同じ13大学のうちIBの点の数字が載っていたのは岡山大学・順天堂大学・大阪公立大学の3大学でした。各大学の要項より少なく、ほかの大学は「なし」や「募集要項をご確認ください」という書き方です。点を知りたいときは、この一覧ではなく、受ける年の各大学の要項を開いてください。

筑波大学の「38点」は、以前の要項に書かれていた

筑波大学のIB入試には、「7月募集」と「10月募集」の2回の募集があります。2024年4月入学と2025年4月入学の10月募集の要項には、医学類について「最終試験の合計点が38点以上であることが望ましい」と書かれていました。必ず要る条件ではなく、目安としての書き方です。ウェブで「医学部のIB入試は38点」と言われるのは、この記載と重なります。

この一文は、2026年4月入学の10月募集の要項で無くなり、2027年4月入学の7月募集の要項にもありません。2027年4月入学の10月募集の要項(2026年6月)でも、「履修していることが望ましい科目等」に載っているのは芸術専門学群だけです。無くした理由は、要項には書かれていません。いま中学生の子が受けるときは、その年の要項で確かめる必要があります。

いまの筑波大学は、合格した人ごとに必要な点を決める

2026年4月入学の10月募集の要項には、最後の試験の点が出る前に「IBの資格を取る見込み」で出願した人の合格は、「この点を取れたら合格」という条件付きで出し、必要な点を1人ずつ伝えると書かれています。その点は、出願時の予測の点や、レポートと面接の中身をもとに決めるので、同じ学類でも志願者によって違います。最後の点が伝えられた点を下回ると、合格は取り消されます。

つまり筑波大学は、全員に共通の目安を書かず、合格した人ごとに点を決める書き方になっています。2027年4月入学の7月募集の要項でも、書類では点のほかに課題論文などの中身から評価し、そのうえで20〜30分ほどの面接をすると書かれています。

IB入試が本命の家は、学部と点を先に調べる

国内のIB入試を本命にするなら、DPを選ぶ意味があります。ただし「受けられる大学が多い」ことに頼らず、行きたい学部の募集人数と条件を先に確かめてください。

学校によって、DPで選べる科目が違います。ウェブには、学校で物理の授業が無かったため、行きたかった大学の理系学部を受けられなかったという卒業生の声もあります。東北大学の医学科のように、HLで取る科目まで決まっている学部があるからです。

次にやること:行きたい大学がIB入試で何名を、どんな条件で取っているかは、大学ごとの記事で確かめられます。

海外の大学なら意味がある。国と大学で求める点が違う

海外の大学を本命にする家には、DPの意味がはっきりあります。ただし、国と大学によって求める点の差が大きいです。

文部科学省が筑波大学に依頼して作った「海外大学進学情報一覧」(2025年12月時点)では、点の条件は次のとおりです。

大学点の条件
(45点満点)
オックスフォード大学(イギリス)38点以上、かつ上級(HL)3科目の合計18点以上
ケンブリッジ大学(イギリス)41点以上、かつ上級(HL)3科目の合計20点以上
香港大学32点以上
シンガポール国立大学点の条件なし(学部により科目の条件)
プリンストン大学・スタンフォード大学・コロンビア大学(アメリカ)点の条件なし(履修科目などの条件あり)

IBの試験を行う国際バカロレア機構(IBO)の速報では、年2回の試験のうち2026年5月の試験で、世界の受験者の平均は30.8点でした。オックスフォードの38点はこれより約7点、ケンブリッジの41点は約10点高い点です。

上級(HL)の3科目は1科目7点満点で合わせて21点なので、オックスフォードは21点のうち18点、ケンブリッジは21点のうち20点が要ります。イギリスの上位校を狙うなら、資格を取るだけでなく、平均よりずっと上の点が要ります。

資格の24点・平均の30.8点と、医学科やイギリスの上位校が求める点

45点満点の数直線です。青い点が、国内の医学科とイギリスの上位校が求める点です。

資格が取れる
24点
世界の受験者の
平均
30.8点

国内の医学科=平均より7〜8点高い

東北大学
医学科
38点
岡山大学
医学科
39点

イギリスの上位校=平均より約7点・約10点高い

オックスフォード
38点
ケンブリッジ
41点
 
0点
45点満点

東北大学の38点は出願に必要な点、岡山大学の39点は選考の対象になる点です。オックスフォードとケンブリッジは、上級(HL)3科目の合計の条件もあります。筑波大学は点の条件を見つけられなかった、順天堂大学の40点は出願の条件ではない、アメリカの大学は点を出願の条件にしていない、という理由で図に載せていません。

アメリカの大学は、IBの点を出願の条件にしていない

同じ一覧で、アメリカの大学の多くは点の条件が「なし」です。ウェブでも「アメリカの大学ならIBは要らない」という声が複数見つかります。

一方で、都立国際からプリンストン大学に進んだ卒業生はIBコースだった、という卒業生の声もあり、IBからアメリカの上位校に進んだ人もいます。編集部は「要らない」を「出願の必須条件ではない」という意味だと読んでいます。IBで学んだことが不利になるという話ではありませんが、アメリカだけが本命なら、DPでなくても出願はできます。

IBの資格が取れなかったら、何が残るか

世界では約6人に1人が資格を取れない

文部科学省のIBのサイトの説明では、IBの資格は45点満点で「原則として」24点以上あれば取れます。ウェブには「25点以上」と書いた声もありますが、公式の説明は24点です。

IBOの速報では、2026年5月の試験を世界で約13万人が受け、資格が取れたのは82.6%でした。取れなかったのは17.4%で、約6人に1人です(日本の受験者だけの数字は、今回開いた資料には載っていませんでした)。

IBコースなら、高校卒業資格は残る

都立国際の案内では、IBコースの生徒は日本の高校卒業資格とIBの資格を両方取ります。DPだけを学んで高校の卒業資格を取らない、という選び方はできないと書かれています。IBコースなら、IBの資格が取れなくても高校は卒業でき、一般入試や、IBの資格を条件にしない入試は受けられます。

ただし、最終的な点が分かるのは高3の1月5日です。IBの資格を出願の条件にする入試だけに絞っていると、取れなかったときに受けられる入試が少なくなります。取れなかったときに受ける入試は、共通テストの出願より前に1つ決めておくことを勧めます。

2027年4月に大学に入る人の共通テストは、出願期間が2026年9月15日(火)〜10月2日(金)で、高3の9月から10月の初めです。ウェブでも、医学部を目指したIBの生徒が、点が足りない場合に備えて共通テストに出願していた例が見つかります。

途中でIBコースをやめたくなったとき

学校によっては、IBコースから同じ学校のほかのコースに移れるかどうかがはっきりしません。掲示板でも、都立国際のIBコースから同じ学校の国際学科に移れるかという質問に、答えが割れていました。受ける前の学校説明会で、途中で移れるかどうかを聞いておくと安心です。

公立でも、試験料などが授業料とは別にかかる

公立でも、IBの試験料は家庭が払う

公立の学校でも、IBの試験料などは家庭の負担です。IBのために授業料とは別にかかる額として、学校が示しているものは次のとおりです。

学校IBのために授業料とは
別にかかる額
(学校の資料)
広島県立広島叡智学園IBの最後の試験の試験料14万5,000円を高3で払う
神奈川県立横浜国際高校授業料はIBでないコース(国際科)と同じ。試験料約12万円、IBの本代が3年で約8万円、グラフ電卓と白衣で入学時に約3万円(合計約23万円)
東京都立国際高校学校が学年ごとに集める積立金が、3年間でIBの生徒は49万5,000円、ほかの生徒は26万5,000円(差は23万円。IBの登録料を含む)

横浜国際の合計は、12万円+8万円+3万円で約23万円です。広島叡智学園は試験料だけの額なので、ほかの費用があるかは資料からは分かりません。今回確かめた公立の3校では、分かっている分だけで3年間に14万5,000円〜約23万円が、授業料とは別にかかります。ほかの公立校の額は今回調べていないので、受ける学校の資料で確かめてください。

私立は、授業料そのものが年に50万円前後高い学校がある

私立の高校では、IBコースの授業料が別に決められている学校があります。茗溪学園の2027年度の生徒募集要項に載っている授業料は、どちらも2026年度の金額で、IBでないコースが年39万円、IBコース(学校の資料ではIBDPコース)が年96万円で、差は年57万円です。玉川学園の2026年度の学費では、授業料はIBでないクラスが年87.9万〜89.3万円、IBクラスが年137.1万円で、差は年約48万〜49万円です。

一方で静岡サレジオ高校では、IBのソフィアコースでほかのコースより多く払うのは、毎月1万円のDP試験積立金だけです(静岡サレジオ高校の学費の記事)。

インターでは、学費が年300万円台の学校があります。St. Mary’s International Schoolは2026年度(2026-27年)の授業料などが年325万円で、IBの試験料が1科目2万円別にかかります。DPは6科目なので、6科目なら12万円です。

ウェブには、IBの化学やエッセイのために家庭教師に月5万円ほど払った家もある、という親のブログがあります。学校に払うお金のほかに、こうした費用がかかる家もあります。学校ごとの学費は、学費を比べた記事で確かめられます。

ついていけるかは、英語で学ぶ量で決まる

IBコースには、ほとんどの科目を英語で学ぶコースと、日本語で学ぶ「日本語DP」があります。文部科学省のIBのサイトの説明では、日本語DPでも6科目のうち2科目(ふつうは外国語と、もう1科目)は英語などで学びます。

ウェブの声は、学校によって大きく違います。名古屋国際高校のIBの生徒は「すでに英語で学べる人のためのコース」と書き、同じ横浜国際でも、在校生が「帰国子女などがほとんど」と書いた年と、「英検3級で入学し、最初は苦労したが努力すればついていける」と書いた年があります。英検の級だけでは判断できないので、そのコースで英語で学ぶ科目がいくつあるかを、学校の説明会で確かめるのが確実です。

英語とは別に、課題の量で苦しむ声も見つかります。課題論文は日本語でも8,000字あり、ほかに科目ごとのレポートもあります。高3の11月の試験まで、2年間ずっと課題が続きます。

「後悔した」と言う人は、何を後悔しているのか

ウェブで「IBを受けて後悔した」「頑張ってきたことが無駄に思えた」という声を探すと、IBコースで大学受験の最中にいる生徒の声が見つかりました。同じ時期の悩みを書いたものを合わせて3件です。3件の後悔の中身は、国内の大学入試の不安です。総合型選抜で不合格が続いた、大学がIBを知らなかった、一般入試の準備が間に合わない、といった声でした。

後悔を書いた卒業生のブログも、1件ありました。理系の科目を英語で学んだので、大学で困らないように、習う単語を日本語でも覚え直す手間がかかった、という後悔です。一方で、卒業生のブログには「大変だったが後悔はない」「IBをやり通せば、そのあとの大学の卒論も楽」という声があります。同じ卒業生が、悪かった点をたくさん挙げたうえで「後悔はない」とまとめている例もありました。

「一生役に立つ」と言える根拠はあるのか

では、IBは「一生役に立つ」と言えるのか。文部科学省が依頼した調査で分かっているのは、高校2年生が質問に答えた自己評価までで、テストの成績ではありません。DPの生徒は「学校とは関係なく自分から勉強する習慣がある」などと答える人が多かったものの、本人の答えです。

卒業したあとの進路や大学での成果を追う調査は、令和6年度(2024年度)の報告書の時点では、実施に向けて検討している段階でした。編集部も、卒業後の成果については、根拠を持って「役に立つ」とは言いません。

ここから言えるのは、受験の最中に書かれた後悔の声3件が、どれも「受ける入試とDPが合っていなかった」ことから来ている、ということです。受ける入試を先に決めてからDPを選べば、「意味がなかった」と感じる原因の多くは避けられます。

高3で受ける入試ごとの答えと、次にやること

ここまでの答えを、高3で本命にする入試ごとに並べ直します。

スクロールできます
高3で本命に
する入試
DPを
選ぶ意味
理由先に確かめること
国内の一般入試(共通テストと大学ごとの試験)薄い。選ばないほうがよい高2から時間割がIBの科目中心になり、最後の試験は高3の11月。塾や過去問の時間が短い高1の時点で、一般入試の対策を学校がどこまで見てくれるか
国内のIBを使える入試(IB入試・推薦入試・総合型選抜)ある84大学でIBを使える。筑波大学やICUは書類と面接で選ぶ行きたい学部の募集人数(調べた13大学のIB入試では1学部で数名〜20名)と、点・科目の条件
海外の大学(イギリス・香港など)あるIBの点で出願できる。イギリスの上位校(オックスフォード・ケンブリッジ)は平均より7〜10点高い条件志望校の点と上級(HL)の科目の条件
海外の大学(アメリカだけ)DPでなくても出願できる一覧の多くの大学で点の条件が無い志望校が求める履修科目などの条件

どの入試を本命にする家でも、次の2つは共通です。

  • IBの資格が取れなかったとき(世界では約6人に1人)に受ける入試を、共通テストの出願(高3の9月から10月の初め)より前に1つ決めておく
  • 授業料とは別にかかる額(今回確かめた公立の3校では、3年で14万5,000円〜約23万円)を、受ける学校の資料で確かめる

本命が国内のIB入試なら、次にやるのは大学ごとの条件を調べることです。行きたい大学がIB入試で何名を取り、何点や何の科目を求めているかは、大学ごとの記事で確かめられます。

よくある質問

IBコースに入ると、共通テストは受けられませんか

受けられます。IBコースは高校卒業資格も取るので、一般入試を受ける道は残ります。ただ、高2から時間割がIBの科目中心になり、高3の11月に最後の試験があるので、共通テストの準備に使える時間は短くなります。

中学のIB(MYP)だけでも意味はありますか

大学の受け方は変わりません。大学入試と資格に関わるのは高校のDPだけです。MYPで学ぶことそのものの意味は、この記事では扱っていません。

IBは就職活動で有利になりますか

調べた範囲では、判断できる材料が見つかりませんでした。文部科学省が依頼した調査も、卒業後の進路や成果を追う調査は、2024年度の報告書の時点では検討の段階でした。


参考情報・出典

  1. 文部科学省 IB教育推進コンソーシアム「IBを活用した国内大学入試について 計84大学」(2026年8月作成)
  2. 文部科学省 IB教育推進コンソーシアム「IBを活用した入試」(大学入学者選抜例の一覧・各大学の入試概要)
  3. 文部科学省 IB教育推進コンソーシアム「IBのプログラム(DP/CP)」
  4. 文部科学省 IB教育推進コンソーシアム「IB認定校・候補校」(令和8年6月30日時点)
  5. 文部科学省 IB教育推進コンソーシアム「海外大学進学情報一覧(令和7年12月時点)」(筑波大学が文部科学省の委託で作成)
  6. 文部科学省 令和6年度「国際バカロレアの教育効果等に関する調査研究業務【タイプB】」成果報告書
  7. IBO「The IB Diploma Programme and Career-related Programme Provisional Statistical Bulletin, May 2026」
  8. 筑波大学「2027年度 国際バカロレア特別入試(7月募集4月入学)学生募集要項」
  9. 筑波大学「令和8年度入試実施結果」
  10. 筑波大学「令和6年度 国際バカロレア特別入試(10月募集4月入学)学生募集要項」
  11. 筑波大学「令和7年度(2025年度)国際バカロレア特別入試(10月募集4月入学)学生募集要項」
  12. 筑波大学「令和8年度(2026年度)国際バカロレア特別入試(10月募集4月入学)学生募集要項」
  13. 筑波大学「令和9年度(2027年度)国際バカロレア特別入試(10月募集4月入学)学生募集要項」
  14. 東北大学「令和9年度 特別選抜(総合型選抜)入学試験学生募集要項 国際バカロレア入試」
  15. 岡山大学「2027年度 国際バカロレア選抜学生募集要項」
  16. 順天堂大学「2027年度 医学部 国際臨床医・研究医選抜 学生募集要項」
  17. 早稲田大学「English-based Undergraduate Programs Average Scores of Successful Applicants」(2026年9月入学)
  18. 上智大学「2027年度 国際バカロレア入学試験要項(第2期募集)」
  19. 大阪公立大学「2027年度 学生募集要項 国際バカロレア特別選抜」
  20. 京都大学「特色入試 学生募集要項(令和9年度)」
  21. 東京大学「学校推薦型選抜 学生募集要項(令和9年度)」
  22. 大阪大学「総合型選抜 学生募集要項(令和9年度)」
  23. 慶應義塾大学「国際バカロレア資格取得者(日本国内)対象入学試験 要項」
  24. 国際基督教大学「2027年度 総合型選抜 要項」
  25. 国際教養大学「2027年度 入学者選抜要項」
  26. 東京都立国際高等学校「国際バカロレアコース案内」(2026年7月版)
  27. 東京都立国際高等学校「学費」(学年積立金・2026年3月更新)
  28. 神奈川県立横浜国際高等学校「よくある質問」(令和7年版)
  29. 広島県立広島叡智学園「費用と各種支援制度」
  30. 茗溪学園高等学校「2027年度 生徒募集要項」
  31. 玉川学園「国際バカロレア(IB)クラス Q&A」(2026年度の学費)
  32. 玉川学園「中学部・高等部 Q&A」(2026年度の学費)
  33. St. Mary’s International School 学費(2026-27)

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この記事を書いた人

Masakiのアバター Masaki IBDP修了生の父/教育・進路メディア運営

我が子のIB経験と海外留学準備で奮闘した保護者としての実体験が原点。「同じ保護者の目線」で膨大な情報を整理・分析し、後悔しない進路選択を共に考えるパートナーとして「国際バカロレアIB広場」を運営。大学選びから留学手続き、その先のキャリア形成までを見据えた情報を提供しています。→ 運営者プロフィール・お問い合わせ

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