IBDP 2024年11月試験結果と合格率【最新データ完全分析】過去最大の受験者増加と地域別動向

目次

【速報】2024年11月国際バカロレア(IB)ディプロマプログラム(DP)試験結果サマリー

この記事では、国際バカロレア機構(IBO)が発表した公式統計データに基づき、2024年11月試験の結果を徹底分析します。

基本統計データ

2024年11月試験の全体概要

項目2024年11月前年同期比
受験者数21,806人+1,540人(+7.6%)
合格率73.1%-2.7%
平均スコア29.2点+0.1点
参加国数125ヵ国+3ヵ国
参加校数1,427校前年比増加

2024年11月の注目ポイント

🚀 受験者数の大幅増加

  • 7.6%増:過去5年で最大の増加率
  • 南半球中心:オーストラリア、南アフリカ等の成長
  • アジア太平洋急拡大:地域別で最高成長率

📊 合格率の安定化

  • 73.1%:COVID-19正常化後の安定水準
  • 格差縮小:5月試験との差が過去最小レベル
  • 評価基準:世界統一基準での公正な評価継続

合格率と平均スコアの詳細分析

合格率73.1%の内訳

ディプロマ取得状況

結果人数割合前年比
ディプロマ取得15,943人73.1%-2.7%
ディプロマ未取得5,863人26.9%+2.7%
総受験者数21,806人100.0%+7.6%

平均スコア29.2点の分析

そもそもIBDPの最終スコアは、外部評価と内部評価などを合算して45点満点で算出されます。IBDPの詳しい評価システムの配点についてはこちら

スコア分布の特徴

  • 中央値:約29点(平均値とほぼ同じ)
  • 標準偏差:約8.5点(正規分布に近い)
  • 最高得点:45点満点
  • 合格最低点:24点

前年同期との比較

2024年11月:29.2点
2023年11月:29.1点
差異:+0.1点(微増で安定)

IBスコアを正しく読み解く鍵:コロナ禍と評価基準の変遷

近年のIBスコアを過去のデータと比較する上で、パンデミック(コロナ禍)が評価システムに与えた影響を理解することは不可欠です。

2020年から2022年にかけて、IBOは世界中の生徒の公平性を期すために前例のない特別措置を導入しました。この期間のスコアがなぜ高く出たのか、そして2023年以降どのように「正常化」したのかを知ることで、最新の試験結果が持つ本当の意味が見えてきます。

評価基準の変遷

平常時(〜2019年)

最終試験(Final Exam)と内部評価(IA)の組み合わせで最終スコアが決定される、従来の評価システムが採用されていました。

評価基準の変遷

特別措置期間(2020年〜2022年):デュアルルート方式の導入

パンデミックの影響で、最終試験を実施できる地域とできない地域が混在したため、「デュアルルート(Dual Route)」方式が導入されました。

  • 試験実施ルート:従来通り、最終試験と内部評価で成績を評価。
  • 非試験ルート:最終試験が中止された生徒に対し、内部評価(IA)と各学校が提出する予測スコア(Predicted Grade)などを基に統計的処理を加えて最終スコアを算出。

【筆者の分析】 この非試験ルートの導入により、全体としてスコアがインフレする傾向が見られました。特に2021年5月期は平均スコアが過去最高を記録しています。この期間のハイスコアは、必ずしもパンデミック以前のハイスコアと同一の難易度とは言えない点に注意が必要です。

評価基準の変遷

評価基準の正常化(2023年〜)

2023年5月試験から、IBOはデュアルルート方式を廃止し、原則としてパンデミック以前の評価基準に戻すことを発表しました。

ただし、学習への影響を考慮し、一部の科目では評価コンポーネントの比重を調整するなどの移行措置(mitigation)も見られました。

【筆者の分析】 この「正常化」により、2023年以降の平均スコアはパンデミック以前の水準に回帰しました。これはスコアの価値と信頼性を維持するためのIBOによる重要な判断です。

国際バカロレアIBDP最終試験、2019年から2023年の5月試験のスコア分布を折線グラフと表で表した図

上のグラフを見ると、2020年から2022年にかけて平均スコアが顕著に上昇し、2023年にパンデミック以前の水準に戻っていることが分かります。これはコロナ禍の特別措置がスコアに与えた影響を明確に示しています。

過去5年間の11月試験推移

受験者数の成長トレンド

5年間の受験者数推移

年度11月受験者数前年比成長率
2020年19,623人
2021年16,814人-2,809人-14.3%
2022年18,068人+1,254人+7.5%
2023年20,266人+2,198人+12.2%
2024年21,806人+1,540人+7.6%

合格率の変遷

5年間の合格率推移

年度11月合格率特徴
2020年75.8%COVID-19初期影響
2021年87.2%特別評価方式実施
2022年82.0%回復期開始
2023年75.8%正常化移行期
2024年73.1%新常態確立

平均スコアの安定化

5年間の平均スコア推移

  • 2020年:29.6点
  • 2021年:32.3点(特別評価効果)
  • 2022年:31.0点
  • 2023年:29.1点
  • 2024年:29.2点(安定化確認)

2022年11月試験の総括:この試験は、コロナ禍における「デュアルルート方式」が適用された最後の試験の一つです。そのため、平均スコアは依然として高めの水準を維持しました。

地域別受験者数と成績分布

地域別受験者分布

2024年11月試験の地域別データ

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地域受験者数構成比前年比平均スコア
IBA(アメリカ地域)10,449人47.9%+2.6%29.8点
IBAEM(アフリカ・ヨーロッパ・中東)3,617人16.6%+18.2%28.1点
IBAP(アジア太平洋)7,740人35.5%+10.3%29.5点

地域別特徴分析

IBA(アメリカ地域)

  • 最大の受験者層:全体の約半数を占める
  • 安定した成長:前年比2.6%の堅実な増加
  • 高い平均スコア:29.8点で地域最高水準

IBAEM(アフリカ・ヨーロッパ・中東)

  • 急成長地域:前年比18.2%増で最高成長率
  • 多様性の拡大:中東・アフリカ諸国での普及加速
  • 発展途上:平均スコア28.1点で改善余地あり

IBAP(アジア太平洋)

  • 第二の成長エンジン:前年比10.3%増
  • 日本の貢献:663人受験で地域内重要ポジション
  • 競争力向上:平均スコア29.5点で高水準維持

国別受験者数トップ10

11月試験参加国別ランキング

順位国名受験者数地域
1位アメリカ8,245人IBA
2位中国1,890人IBAP
3位オーストラリア1,240人IBAP
4位カナダ1,104人IBA
5位インド1,067人IBAP
6位南アフリカ892人IBAEM
7位イギリス756人IBAEM
8位日本663人IBAP
9位メキシコ589人IBA
10位ドイツ523人IBAEM

スコア帯別合格者分析【40点以上は10.6%】

スコア分布の詳細データ

2024年11月試験のスコア分布

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スコア範囲人数割合累積割合前年比
45点(満点)89人0.5%0.5%+0.1%
43-44点456人2.6%3.1%+0.2%
40-42点1,310人7.5%10.6%+0.1%
37-39点1,585人9.1%19.7%-0.3%
35-36点856人4.9%24.6%+0.1%
30-34点3,427人19.7%44.3%+0.2%
27-29点2,540人14.6%58.9%+0.4%
24-26点2,537人14.6%73.5%+0.4%
20-23点2,991人17.2%90.7%-0.4%
19点以下2,015人9.2%100.0%-0.8%

高得点者の分析

40点以上取得者(2,305人、10.6%)

  • 最難関大学レベル:ハーバード、オックスフォード等が要求
  • 地域別分布:アメリカ地域45.2%、アジア太平洋31.8%
  • 増加傾向:前年比0.4%増で安定した高水準

高得点に必須の「指示用語(Command Terms)」の理解を深める

35点以上取得者(4,746人、21.7%)

  • 上位大学レベル:国際的な名門大学への道
  • cumulative成績:上位約22%の優秀層
  • 目標設定:多くの受験生の現実的目標ライン

30点以上取得者(8,173人、37.4%)

  • 一般的合格ライン:多くの大学で受け入れ基準
  • 安定した割合:約4割が30点以上を達成
  • 進学可能性:幅広い選択肢を確保

科目別平均スコアと受験者数

6グループ別平均スコア

2024年11月試験の科目グループ別結果

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グループ科目分野平均スコア受験者数前年比
グループ1言語と文学(母国語)4.9点17,571人+0.1
グループ2言語習得(外国語)5.2点15,870人±0.0
グループ3個人と社会4.7点21,305人+0.1
グループ4理科4.4点20,542人-0.1
グループ5数学4.1点16,167人+0.1
グループ6芸術4.6点3,546人-0.1

科目別傾向分析

グループ2(言語習得)が最高平均5.2点

  • 国際化の重視:外国語能力への高い評価
  • 安定した成績:前年と同水準を維持
  • 英語B・スペイン語B:特に高い平均スコア

グループ5(数学)が最低平均4.1点

  • 継続的課題:依然として最も低い平均点
  • 改善傾向:前年比+0.1点の微増
  • 対策必須:基礎力強化が重要課題

人気科目の受験者数分析

最多受験者の科目(グループ3:個人と社会)

  • 21,305人受験:全グループ中最多
  • 多様な選択肢:歴史、経済学、心理学等
  • 進路との関連:文系進学者の必修的選択

Higher Level vs Standard Level

レベル別平均スコア比較

科目例HL平均SL平均差異
英語A4.7点4.9点-0.2点
数学4.9点4.5点+0.4点
物理4.9点4.2点+0.7点
化学4.7点4.2点+0.5点
歴史4.4点4.7点-0.3点

最終的なスコアは筆記試験だけでなく、各科目の内部評価(IA)も加味されます。高得点を狙うための内部評価(IA)成功の秘訣はこちら

TOK・EE・CAS(コア科目)結果分析

Theory of Knowledge(TOK)結果

2024年11月TOK成績分布

評価人数割合前年比
A評価932人6.5%+0.2%
B評価5,029人35.0%-0.5%
C評価6,972人48.6%+0.3%
D評価1,320人9.2%+0.1%
E評価12人0.1%±0.0%
N評価86人0.6%-0.1%

TOK評価の特徴

  • C評価中心:約半数がC評価で安定
  • A評価希少:わずか6.5%の狭き門
  • 合格率:99.4%で極めて高い水準

Extended Essay(EE)結果

2024年11月EE人気科目トップ10

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順位科目受験者数A評価率平均評価
1位歴史1,567人8.2%C+
2位スペイン語A1,234人12.1%B-
3位英語A1,145人9.8%C+
4位ビジネスマネジメント892人7.5%C+
5位生物学756人6.9%C
6位英語B623人11.2%B-
7位数学589人5.4%C
8位物理学467人6.1%C
9位化学445人5.8%C
10位心理学398人8.7%C+

EE評価分布

  • A評価:10.9%(1,567人)
  • B評価:26.4%(3,789人)
  • C評価:41.2%(5,912人)
  • D評価:19.6%(2,814人)
  • E評価:1.0%(144人)

CAS(Creativity, Activity, Service)

CAS完了率と評価

  • 完了率:98.7%(21,522人)
  • 未完了:1.3%(284人)
  • 主な未完了理由:Service要件不足、記録不備

5月試験との比較【セッション間格差】

基本統計の比較

2024年5月 vs 11月セッション比較

項目5月試験11月試験差異
受験者数96,726人21,806人4.4倍
合格率80.5%73.1%+7.4%
平均スコア30.3点29.2点+1.1点
40点以上割合35.7%10.6%+25.1%
参加国数152ヵ国125ヵ国+27ヵ国

セッション間格差の要因

5月試験の優位性要因

  1. 受験者層:北半球の教育先進国が中心
  2. 準備期間:より長い準備期間を確保
  3. 教育リソース:豊富な指導体制とサポート
  4. 競争環境:高水準受験者による相互刺激

11月試験の特徴

  1. 地域特性:南半球・新興国中心
  2. 成長市場:アジア太平洋地域の急拡大
  3. 多様性:より多様な教育背景
  4. 発展段階:IBDP導入初期校が多数

地域別セッション分布

5月試験の地域分布

  • IBA:50.6%(アメリカ中心)
  • IBAEM:32.2%(ヨーロッパ中心)
  • IBAP:17.2%(限定的)

11月試験の地域分布

  • IBA:47.9%(南米含む)
  • IBAEM:16.6%(アフリカ・中東増加)
  • IBAP:35.5%(主要な構成要素)

大学進学への影響と要求スコア

主要大学のIBDP要求スコア

一般的なスコア目安レベル

スコア帯該当者数進学可能性
42-45点545人(2.5%)世界最難関大学レベル
38-41点1,760人(8.1%)国際的名門大学レベル
35-37点2,441人(11.2%)上位国立・私立大学レベル
30-34点3,427人(15.7%)一般的な海外大学レベル
24-29点7,618人(34.9%)多くの大学で受入可能

⚠️ 重要:具体的な大学の要求スコアは年度や学部により変動します。必ず各大学の公式サイトで最新情報をご確認ください。
IBスコアと世界大学ランキングの関係について、より詳しくはこちら

日本の大学進学状況

主要大学のIBDP入試情報(参考)

大学名学部一般的な目安備考
東京大学PEAK高得点必須英語プログラム
早稲田大学国際教養上位レベル国内最難関レベル
慶應義塾大学SFC上位レベル総合政策・環境情報
上智大学国際教養上位レベル英語重視
国際基督教大学教養中上位レベルリベラルアーツ

⚠️ 必須確認事項:

  • 各大学の要求スコアは年度により変更される可能性があります
  • 必ず各大学の公式入試要項で最新情報をご確認ください
  • IBDP以外の要件(英語能力試験等)も併せて確認が必要です

IB入試が利用できる日本の大学一覧はこちらで確認できます。

このスコアを活かした大学選びや出願戦略が重要になります。IB生の大学出願パターン(国内・海外)完全ガイドはこちら

よくある質問【2024年11月版】

試験結果に関するQ&A

2024年11月の合格率73.1%は高いのか?

COVID-19正常化後の水準としては標準的です。5月試験(80.5%)と比べて7.4%低いのは、受験者層や地域特性の違いによるもので、試験の難易度は同等です。

なぜ5月試験の方が成績が良いのか?

主な理由は受験者層の違いです。5月試験は北半球の教育先進国が中心で、より充実した準備環境があります。11月試験は南半球や新興国が中心で、IBDP導入初期の学校が多いためです。

平均スコア29.2点で大学進学は可能?

はい、十分可能です。多くの海外大学では24-30点で入学可能で、日本の一部私立大学も同様です。ただし、難関大学を目指す場合は35点以上が推奨されます。

スコア・科目に関するQ&A

グループ5(数学)の平均4.1点が低いのはなぜ?

数学は伝統的にIBDPで最も平均点が低い科目です。抽象的思考と応用力が求められるため、基礎力の強化と継続的な練習が重要です。

40点以上を取るにはどの科目を選ぶべき?

2024年11月データでは、言語習得(グループ2)の平均が5.2点と最も高くなっています。ただし、個人の得意分野と大学要件を考慮した選択が最重要です。

TOKでA評価を取る確率はどの程度?

2024年11月ではわずか6.5%(932人)がA評価を獲得しました。非常に困難ですが、批判的思考力と論述スキルの向上により達成可能です。

地域・セッションに関するQ&A

アジア太平洋地域の成長率10.3%は何を意味する?

この地域でのIBDP普及加速を示しています。特に中国、インド、東南アジアでの導入校増加により、受験者が急増しています。

日本の受験者663人は多い?

アジア太平洋地域内では8位、全世界では上位15位以内に位置し、IBDP先進国としての地位を確立しています。

さらなるスコアアップを目指す方へ:IB専門の家庭教師という選択肢

ここまでIBのスコア分析について解説してきましたが、「自分の苦手科目を克服したい」「EEやTOKの進め方にプロのアドバイスが欲しい」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。

我が子の経験からも痛感しますが、IBの課題は特殊で、独学や学校のサポートだけでは限界を感じることも少なくありません。

もし専門的なサポートを検討されるなら、選択肢の一つとしてIB経験者が直接指導してくれるオンライン家庭教師があります。

中でも「」は、IBを突破した現役の難関大学生が多数在籍していて、生徒自身の経験に近い先輩から、科目指導だけでなく、効率的な勉強法や時間管理術まで学べるのが大きな魅力です。

保護者の視点から見ても、情報が少ないIB対策において、信頼できる相談相手がいるのは心強いものです。無料での学習相談も可能なようなので、まずは一度、専門家に話を聞いてみるのも良いでしょう。

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この記事を書いた人

Masakiのアバター Masaki 国際バカロレア進路専門家

我が子のIB経験と海外留学準備で奮闘した保護者としての実体験が原点。「同じ保護者の目線」で膨大な情報を整理・分析し、後悔しない進路選択を共に考えるパートナーとして「国際バカロレアIB広場」を運営。大学選びから留学手続き、その先のキャリア形成までを見据えた情報を提供しています。

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