国際バカロレア(IB)生の大学出願完全ガイド|国内外の受験方法とスコア活用法

国際バカロレア(IB)資格は世界100以上の国と地域の5,000以上の大学入試において活用されています。各国の出願システムを正しく理解し、計画的に準備することで、国内外の大学への進学可能性が広がります。

目次

国内大学・海外大学への出願

国際バカロレア・ディプロマ・プログラム(IBDP)を履修した生徒の大学進学には、主に3つのパターンがあります。それぞれの特徴と選択理由を見ていきましょう。

  1. 国内大学のみ出願
  2. 海外大学のみ出願
  3. 国内と海外の両方の大学に出願

国内大学のみ出願

  • 総合型選抜のIB入試
  • 学校推薦型選抜(推薦入試)
  • 一般入試(共通テスト利用など)
選択する主な理由
  • 日本での医師免許や教員免許の取得を目指している
  • 特定の研究分野や教授のもとで学びたい
  • 英語圏の大学と比較して学費が抑えられる
  • 地理的・文化的に身近な環境で学びたい

文部科学省の調査によると、2024年1月時点で、国際バカロレアのスコア等を活用した入試を実施している国内大学は78校に上ります。
出典:文部科学省IB教育推進コンソーシアム「IBを活用した入試」

海外大学のみ出願

選択する主な理由
  • 海外大学の教育・研究環境で学びたい
  • 将来の海外就職を視野に入れている
  • IBカリキュラムとの親和性が高い教育を継続したい
  • より国際的な環境で学びたい

海外大学出願における国際バカロレアの利点

  • 多くの国でIBスコアが直接入学要件として認められている
  • 一定のスコアで入学後に単位認定される場合がある
  • 英語力を証明する追加テスト(TOEFL等)が免除される場合もある
  • IBの授業で培われた批判的思考力やエッセイライティングスキルが出願書類作成に役立つ

国内と海外の両方に出願

選択する主な理由
  • 海外大学を第一志望としつつ、国内大学をセーフティネットとして確保したい
  • 給付奨学金の有無によって進学先を決めたい
  • 複数の選択肢から最終的な進学先を選びたい

一般的な出願タイムライン

時期内容
高校3年秋国内大学の総合型選抜・学校推薦型選抜への出願(IB予測スコアを活用)
同時期海外大学進学者用給付奨学金の申請
11月IB最終試験
11月〜1月海外大学への出願(国や地域によって出願締切が異なる)

国内大学への出願方法

国内大学では、IB資格取得者向けの入試が年々増加しています。それぞれの入試形態の特徴を見ていきましょう。

総合型選抜(IB入試)

多くの大学が、IBスコアを活用した総合型選抜(旧AO入試)を実施しています。これらの入試では、IBの最終スコアや予測スコアが重視されます。

主な特徴
  • IBスコアを主な評価対象とする
  • 小論文や面接を組み合わせた選考が一般的
  • 共通テストが免除される場合が多い
  • 早期に合否が決まる場合が多く、12月頃に合格発表がある大学もある

出願条件や必要なIBスコアは大学・学部によって異なりますので、必ず各大学の最新の入学者選抜要項で確認してください。

学校推薦型選抜(推薦入試)

通っている高校が作成した調査書を主要な審査材料として選抜する方式です。

⚠️ 注意点
多くの大学では「専願」が条件となっています。合格した場合は必ず入学する必要があるため、他の大学と併願する場合は、専願校の結果を待ってから他校に出願することになります。

一般的な選考方法

  1. 学内推薦基準を満たした生徒を学校が推薦
  2. 筆記試験、口頭試問
  3. 資格試験結果(IBスコアなど)の提出
  4. 基礎学力の確認
  5. 共通テスト(一部の大学で必要)

一条校を卒業する場合は、一条校卒業資格を基礎学力の確認として出願できます。

一般選抜(一般入試)

IBカリキュラムとの相性
国公立大学の一般選抜は5教科7科目の試験が一次試験(共通テスト)で必要となり、IBDPカリキュラムで忙しい生徒にとっては時間的・心理的負担が大きくなりがちです。IBの評価を活用できる入試方法を検討するのが一般的です。

国公立大学の一般選抜

  • 1次試験:共通テストで5教科7科目
  • 2次試験:小論文、面接、特定科目試験など

私立大学の場合

  • 科目を絞った共通テスト受験
  • または大学独自の一般選抜試験

国別 🌍 海外大学への出願システム

IBDPは国際的な大学入学資格として広く認められています。主要国の出願システムと特徴を見ていきましょう。

イギリス(3年制)

UCASシステム:イギリスでは、UCAS(Universities and Colleges Admissions Service)という一括出願システムを通して最大5校まで出願できます。IBの予測スコアが重要な役割を果たします。

出願プロセス

  1. UCASウェブサイトでアカウント作成
  2. 個人情報を入力
  3. 最大5校の志望校・コース選択
  4. パーソナルステートメント(志望動機書)の作成・提出
  5. 教師からの推薦状
  6. IBの予測スコアの提出

「英国の大学では、中央機関(UCAS)が国際バカロレアや英国の共通試験であるAレベル等のスコアの統一的な換算表を作成し、各大学が国際バカロレアのスコアを入学オファー等を行う際の目安として活用しています」

出典:文部科学省IB教育推進コンソーシアム「IBを活用した入試」公式サイト

合否通知の種類

合否通知の種類
  • 条件付き合格(Conditional Offer)
    IBの最終スコアが条件を満たせば入学可能
  • 無条件合格(Unconditional Offer)
    即入学可能
  • 不合格(Unsuccessful)

出願締切

  • 一般的なコース:1月15日頃
  • 医学部、オックスフォード、ケンブリッジ:10月15日頃

出典:UCAS公式ウェブサイト「Key dates」公式サイト

アメリカ(4年制)

Common Applicationシステム
多くの大学がCommon Applicationという出願システムを利用しています。IBスコアに加え、エッセイや課外活動なども重視されます。

特徴
  • IBスコア自体は出願時に評価されないケースが多い
  • 合格後、IB履修科目が大学の単位に換算される場合がある
  • 高校の成績(GPA)、SAT/ACTスコア、エッセイ、課外活動など総合的に評価
  • 大学独自の追加出願要項が課される場合も

「米国の大学では、共通試験(SAT等)や高校の成績等を総合的に評価して入学者選抜を行っていますが、選抜制の高い大学等において、国際バカロレアの履修を推奨又は積極的に考慮するケースも多く見られます」

出典:文部科学省IB教育推進コンソーシアム「IBを活用した入試」公式サイト

EU(3年制)

特徴
  • 国によって独自のシステムがあるが、イギリスのシステムに類似
  • 各国の出願システムまたは大学に直接出願
  • IBスコアが重視される

オーストラリア(3年制)

特徴
  • IB履修者は学部へ直接出願可能
  • 大学のウェブサイトから直接出願するか、エージェント経由で出願するケースが多い
  • IBDPの科目要件、科目点数、総合点の条件を満たせば合格率が高い
  • 自己アピールのエッセイや推薦状は一般的に不要

各大学が定める具体的なIBスコア要件については、各大学の公式サイトでご確認ください。

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カナダ(4年制)

特徴
  • 州によって異なる出願システムあり
  • 州共通の出願システムや各大学の出願システムを使用
  • IBDPの科目要件や総合点の条件を満たすことが必要
  • 自己アピールのエッセイや推薦状が必要な大学も

「カナダの大学は、アメリカやイギリスの大学との一番大きな違いは、統一試験の提出が課されていないという点です。IBディプロマやIBサーティフィケートの資格取得が高校卒業要件の充足として認められます

出典:Univ-it!「【進学情報】カナダの大学に進学したい!進学方法・受験資格は?学費や奨学金は?」公式サイト

シンガポール(3年制)

特徴
  • 各大学が独自の出願システムを持つ
  • IBDPの科目要件や総合点など明確な条件設定あり
  • トップ校は比較的高いIBスコアを要求する傾向がある

出願時期と準備のタイムライン

国内大学と海外大学では出願時期が異なります。下記の一般的なタイムラインを参考に、計画的に準備を進めましょう。

時期ステップ詳細
高校2年秋〜冬進路調査開始希望する進路の検討
必要なIBスコアの調査
必要な語学試験の確認
高校3年夏国内大学出願準備総合型選抜
学校推薦型選抜の出願準備
必要書類の確認と準備
高校3年9月〜10月国内大学への出願総合型選抜
学校推薦型選抜への出願
奨学金申請
高校3年11月IB最終試験
高校3年11月〜1月海外大学への出願🇬🇧 イギリス(UCAS)
🇺🇸 アメリカ:Early Decision/Regular Decision
🇦🇺 オーストラリア・シンガポール:各大学による
翌年1月IB最終スコア発表1月上旬に結果が通知される

※具体的な日程は年度によって変動する場合がありますので、各機関の公式サイトで最新情報をご確認ください。

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よくある疑問FAQ

IBスコアが希望大学の基準に達しなかった場合、どうすれば?

国内大学の場合、一般入試などの別の入試形態を検討することができます。
海外大学の場合は、以下の選択肢があります。

  • 基準を満たす別の大学・学部への出願
  • 大学準備コース(Foundation Course)の受講
  • Gap Yearを取り、再受験を目指す

特にオーストラリアやイギリスなどでは、Foundation CourseやPathway Programを経由して大学入学を目指すことも可能です。

予測スコア(Predicted Grades)と最終スコアに大きな差が出た場合は?

イギリスなど予測スコアで条件付き合格を出す大学の場合

  • 条件を満たした場合:そのまま入学可能
  • 条件を満たせなかった場合:合格が取り消される可能性あり

ただし、わずかに条件に届かなかった場合は、大学側が柔軟に対応してくれるケースもあります。また、イギリスではClearingという制度を利用して、空きのある大学・コースに再出願することも可能です。

国内大学と海外大学を併願する場合、注意すべき点は?

A: 以下の点に注意が必要です。

  • 専願制の推薦入試に合格した場合、他の出願を辞退する必要がある
  • 出願時期の違いによる書類準備のスケジュール管理
  • 各大学の出願要件の違い(必要書類、テストスコアなど)
  • 入学金・学費の支払い期限が重なる可能性

事前に各大学の出願要件や期限を確認し、計画的に準備を進めることが重要です。


【免責事項】

本記事は執筆時点の情報に基づいていますが、大学の入試制度や出願要件は変更される場合があります。最新かつ正確な情報については、必ず各大学・機関の公式ウェブサイトでご確認ください。また、国際バカロレア資格の評価方法や出願システムについても変更される可能性がありますので、国際バカロレア機構(IBO)や各国の出願システム(UCAS、Common Applicationなど)の公式サイトで最新情報をご確認いただくことをお勧めします。

この記事は各大学の公式情報や国際バカロレア機構の公開資料を参考に作成しています。

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この記事を書いた人

Masakiのアバター Masaki 国際バカロレア進路専門家

自身のIB子育て経験に加え、各大学への綿密な情報収集と分析に基づき、IB生の国内外の大学進学や留学をサポートする「国際バカロレアIB広場」を運営。

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