広島叡智学園のすべて|後悔しないために入学前に知るべき偏差値・倍率・寮生活・進路実績まで完全解説

日本初の全生徒国際バカロレア(IB)履修校として高い注目を集める広島叡智学園。

これまでにない教育環境。興味はあるけれど、実際の学校生活や入試の難しさ、そして気になる費用のことまで、知りたいことは山ほど…

「偏差値はどのくらい?」
「寮生活って実際どうなの?」
「卒業後の進路は?」
「学費は本当に安いの?」

瀬戸内海の大崎上島で展開される全寮制IB教育は、厳格な学習環境、限られた娯楽環境、家族と離れた寮生活など、一般的な高校生活とは大きく異なります。それでも倍率5倍超の人気を保つ理由は何か?

2019年の開校から6年が経ち、ようやく初の卒業生を送り出した広島叡智学園について、信頼できる情報源をもとに詳しくお伝えします。

目次

広島叡智学園の基本情報

学校名広島県立広島叡智学園中学校・高等学校
区分公立
所在地〒725-0303
広島県豊田郡大崎上島町大串3137-2
ホームページ 広島叡智学園
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広島叡智学園(正式名称:広島県立広島叡智学園中学校・高等学校)は、2019年4月に広島県豊田郡大崎上島町に開校した公立の全寮制中高一貫校です。愛称はHiGA(ハイガ、Hiroshima Global Academyの頭文字)[1]

広島県の「学びの変革」を先導的に実践する学校として設立され、2020年10月には中等教育プログラム(MYP)の認定校に、2021年5月にはディプロマプログラム(DP)の認定校となり、中学1年生から高校3年生までの6年間で一貫したIB教育を受けることができる日本初の公立校となりました[2]

公立校で初、全ての生徒がIBを履修

IMAGE: 広島叡智学園

立地とアクセス

大崎上島という瀬戸内海に浮かぶ人口約7,800人の島に位置しており、本州とは橋でつながっていないため、フェリーでのアクセスとなります。主なアクセス方法は以下の通りです[3]

  • 安芸津フェリーで安芸津港から大西港へ渡り、大西港からバスで約2分
  • 白水・垂水港からデマンド型バスで「広島叡智学園前」下車
出典:広島叡智学園

学校施設は瀬戸内海を望む位置にあり、中央に中庭を囲んだエリアに職員棟や体育館、カフェテリアが配置され、左側に図書館を軸とした教室エリア、右側にメゾネットタイプの寮ハウスが連なる居住エリアとなっています[4]

教育理念と特徴

広島叡智学園の教育理念は「社会の持続的な平和と発展に向け、世界中のどこにおいても地域や世界の『よりよい未来』を創造できるリーダーを育成する」というものです[5]

主な特徴
  • 全生徒が国際バカロレア(IB)プログラムを履修
  • 全寮制による共同生活での学び
  • 中学は日本語中心、高校は英語中心の授業展開
  • 少人数教育(1学年40人、授業は1クラス20人程度)
  • グループワークを中心とした探究型学習

入試情報と実際の難易度

偏差値と難易度

広島叡智学園中学校の偏差値は、複数の情報源によると58程度とされています。ただし、地域によって評価が異なる可能性があります[6]

倍率は非常に高く、以下のように推移しています[5][7]

年度最終倍率志願者数
20255.80倍232人
20246.55倍262人
20236.55倍262人
20227.80倍312人
20218.35倍334人
20207.13倍285人
20199.38倍375人

倍率は徐々に低下傾向にありますが、依然として高い人気を維持しています。これは公立校でありながらIB教育を受けられることや、全国から出願可能であることが理由と考えられます。

入試制度と選抜方法

中学校入学の選抜は以下の2段階で行われます[8]

第1次選抜

適性検査A資料から情報を読み取り、条件等に従って道筋を立てて考え、推論する力を評価
適性検査B資料を多面的に解釈し、経験や知識と結び付けて発想し、複数の資料を比較・分類・関連付けて考察する力を評価
集団面接コミュニケーション能力や意欲を評価

第2次選抜(第1次選抜通過者対象)

  • 2泊3日の共同生活での評価
  • グループワーク
  • 個人面接
  • 共同生活の振り返り

注目すべき点として、英語力は第1次選抜、第2次選抜ともに問われません[9]。入学後のIB教育に対応できる思考力や協働する力が重視されています。

2次試験への参加者は例年約80名ほどとなっています。

合格するためのポイント

入試の特徴から考えると、以下の要素が合格に重要だと推測されます。

  1. 論理的思考力・読解力
    適性検査では資料から情報を読み取り、考察する力が問われます
  2. 表現力
    自分の考えを分かりやすく伝える力が重要です
  3. 協働する力
    第2次選抜でのグループワークや共同生活では、他者と協力する姿勢が評価されます
  4. 主体性と積極性
    IBの教育理念に沿った姿勢や意欲が評価される可能性が高いです

第2次選抜の2泊3日という特殊な選抜方法は、全寮制という学校の特性を考慮したものといえるでしょう。寮生活の適応性やコミュニケーション能力が重視されています。

寮生活の実情と課題

寮の環境と設備

広島叡智学園の寮は、メゾネットタイプの寮ハウスが連なる形で構成されています[4]。センターハウスなどの共同スペースがあり、生徒たちが集まって話し合いなどを行うことができます。

施設は2019年の開校時に新設されたため、比較的新しく整った環境となっています。

寮生活の課題とその対応

全寮制の学校生活は、生徒同士の人間関係が密接になり、良い面もある一方で課題も存在します。中でも、開校初期には生徒間のいじめ問題が報告されました。

2019年には、男子生徒がいじめを受けて転校するという事案が発生し、県教委はこれを「いじめ防止対策推進法が定める重大事態」と認定しました[8]。その後、第三者委員会による調査が行われ、「初期段階でいじめの全体像を把握できず、加害生徒への指導にとどまり、全体のいじめをなくす方向につながらなかった」との指摘がありました[11]

背景には「中学1年の生徒指導経験が豊かな教職員の不在」「寮生活を支えるスタッフの不足」など、学校と県教委の準備不足があったと分析されています。これを受けて改善策が講じられたとのことですが、詳細な対策内容については公表されていません。

この経験から、学校側は生徒の生活環境や人間関係の構築により注意を払う体制に移行したと推測されます。現在の状況については、新たないじめ問題の報告は公になっていないものの、全寮制という特性上、引き続き生徒間の関係性には注意が必要と考えられます。

叡智学園寮ハウス
出典:広島叡智学園

生徒・保護者の声

全寮制なので、とてもいい友達をつくることができてよかった

寮生活のため、学生同士が仲良くなりやすい

在校生からは「全寮制なので、とてもいい友達をつくることができてよかった」「寮生活のため、学生同士が仲良くなりやすい」などの肯定的な意見が聞かれる一方で、「IB高ということもあり、高校生はいろいろな課題に追われながら生活をしており、いわゆる青春のような高校生活からは程遠い」という厳しい意見も見られます[12][5]

また、離島という立地について「ディズニーやユニバに近くなかったり、テーマパーク自体も少ないので、楽しめるかは人次第」といった声もあり[3]、娯楽や外出の機会が限られるという側面もあることがわかります。

進路実績と教育投資の価値

初の卒業生と進路実績

広島叡智学園は2025年3月1日に初めての卒業生を送り出しました[13]。卒業生は45名で、彼らは2019年の開校時に入学した第1期生にあたります。

IBDPの成績については以下のようなデータが公表されています[14]

IBDPスコア平均32.5(世界平均:29.2)
最高点43
フルDP取得率90%以上(世界平均:72.7%)

これらの数字から、世界平均を上回る成績を収めていることがわかります。特にフルDP取得率が90%以上というのは非常に高い水準といえるでしょう。

進路については、卒業生の「半数以上が海外の大学を志望している」という報道があります[15]。具体的な進学先大学のリストは公開されていませんが、広島叡智学園の公式サイトで「広島叡智学園高等学校1期生 合格状況一覧」というPDFが公開されています。

費用対効果の検討

6年間の学費総額(授業料、寮費、諸経費含む)は以下のとおりです。[16]

入学料11,300円(中学・高校それぞれ入学時)
授業料(高校のみ)9,900円 × 12ヶ月 × 3年 = 356,400円
諸費10,000円 × 12ヶ月 × 6年 = 720,000円
寮費42,000円 × 12ヶ月 × 6年 = 3,024,000円
6年間の総額約411万円(就学支援金適用世帯は約375万円)

この費用構成を見ると、全体の約73.5%が寮費(食費含む)であり、純粋な教育費用(授業料・諸費)は約108万円(就学支援金適用世帯は約72万円)に過ぎません。これは公立校であるがゆえの大きな特徴です。

純粋な教育費用だけを比較すると、その差はさらに大きくなります。また、インターやほとんどの私立IB校では、全寮制でない場合が多いため、寮費が必要な場合は別途発生します。

教育投資としての価値
広島叡智学園の最大の特徴は、「公立校でありながらIB教育を受けられる」という点にあります。IB教育とそのディプロマ取得を目的とすると、他の選択肢と比較して以下のような優位性があります

ただし、離島での生活となるため生じる追加費用(帰省のための交通費・フェリー代など)や、海外大学進学を視野に入れる場合の将来的な教育費も考慮する必要があります。また、全寮制という環境が子どもに合うかどうかも重要な検討ポイントとなるでしょう。

教育内容と特色

国際バカロレア教育の実際

広島叡智学園では、中等教育プログラム(MYP)とディプロマプログラム(DP)の2つのIBプログラムを提供しています[2]。中学生から高校生までの6年間を通して一貫したIB教育を受けることができます。

中等教育プログラム(MYP)は中学1年生から高校1年生の冬まで、ディプロマプログラム(DP)は高校1年生の冬から高校3年生に実施されています。

学習の特徴として、教師が一方的に教えるスタイルではなく、生徒が自ら課題を設定し、解決方法をディベートするような授業が行われています[6]。これにより探究心を持って生涯学び続ける力の育成を目指しています。

英語教育の特徴

英語教育については、日本語と英語のバイリンガル教育を実践しています[17]

中学校では日本語を中心とした授業が行われますが、英語教育にも力を入れています。4技能(聞く、書く、読む、話す)に加え、「やりとり」という5つ目の技能も重視されています。

高校では授業が基本的に英語で行われるため、アカデミックな英語力が必要となります。ただし、入学時には特別な英語力は求められておらず、「小学校の外国語活動で英語に触れ、英語の学びを楽しみに、頑張ろうという気持ち」があれば十分とされています[9]。入学後は生徒一人ひとりの状況に応じた個別指導も行われています。

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費用と学費の詳細

中学校・高校の費用内訳

広島叡智学園の費用は公式サイトによると以下の通りです[16]

中学校

授業料無料
諸費月額10,000円
寮費月額42,000円
(食費28,000円程度含む)

高等学校

入学料5,650円
授業料月額9,900円(一定の収入未満の世帯は就学支援金制度により実質無償)
諸費月額10,000円
寮費月額42,000円
(食費28,000円程度含む)

※諸費には、教育活動費(教材費、英語に関する外部検定試験の受験料、学習に関するオンラインプラットフォームの使用料等)などが含まれます。
※寮費には、食費、光熱水費、共益費、活動費などが含まれます。

その他、入学時や年度当初にかかる費用として、制服代や教材費、修学旅行積立金などの実費が必要となります。

入学検討者へのアドバイス

向いている子どもの特徴

広島叡智学園の教育内容や環境から考えると、以下のような特徴を持つ子どもに向いていると考えられます

向いている子どもの特徴
  1. 好奇心旺盛で探究心がある
    「なぜ?」「どうして?」という問いを大切にする教育を実践しているため[13]
  2. コミュニケーション能力が高い
    全寮制の共同生活では他者との関わりが不可欠[6]
  3. 自主性・主体性がある
    自ら課題を見つけ解決する力が求められる[5]
  4. 多様性に興味がある
    様々な背景を持つ生徒や留学生との交流がある環境[4]

一方で、以下のような子どもは適応に苦労する可能性があります

苦労する可能性がある子
  • 一人の時間を多く必要とする子ども
  • 集団生活への適応が難しい子ども
  • 勉強のモチベーションを外部に依存する子ども
  • 家族と離れて暮らすことに強い不安を感じる子ども

入学前に準備すべきこと

入学を検討している場合、以下の準備が役立つでしょう。

  1. 適性検査対策:論理的思考力や表現力を鍛える学習
  2. 共同生活への心構え:家族と離れて生活することへの心理的準備
  3. 基礎学力の定着:特に国語力(読解力・表現力)の強化
  4. 英語への親しみ:特別な英語力は求められないが、英語学習への前向きな姿勢が重要[7]

また、学校のオープンスクールや説明会に参加し、実際の雰囲気を体感することも大切です。広島叡智学園では年間を通じて様々な形の説明会が開催されています[13]

よくある質問と回答

県外から受験できるのか?

はい、居住地に関わらず出願可能です。県外枠等は設けられていません[9]

入学に必要な英語力はどの程度か?

特別な英語力は求められていません。小学校の外国語活動で英語に触れ、英語学習に前向きな姿勢があれば十分です[9]

寮は男女別?

はい、寮は男女別になっています。

帰省はどのくらいの頻度で可能?

長期休暇や特定の週末など、学校のスケジュールに応じて帰省が可能です。詳細は学校の方針を確認してください。

高校からの入学は可能?

高校からの入学には「海外等連携協定に基づく入学者選抜」と「外国人等生徒を対象にした入学者選抜」があります。日本国籍でも海外の学校での修学期間が5年以上ある場合は「外国人等生徒」として出願可能です[17]


参考情報・引用情報

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