「IBDPの評価システムが複雑すぎ…」
「何から始めればいいかわからない…」
「内部評価と外部評価、どっちが重要?」
「TOKやEEって結局何をすればいいの?」
これらは、IBDP履修を検討する方から最も多く寄せられる質問です。実際、国際バカロレアの評価システムは従来の日本の教育とは大きく異なるため、多くの学習者が最初の数ヶ月で戸惑いを経験しています。
しかし、ここに朗報があります。IBDPで高得点を獲得している学習者には、ある共通点があることが分かっています。それは、履修開始前に評価システムの全体像を正確に把握し、戦略的な学習計画を立てていたことです。
この記事では、その成功パターンを詳細に分析し、45点満点の仕組みから科目別攻略法まで、IBDP成功に必要なすべての情報を体系的に解説します。読み終える頃には、あなたも「なるほど、こうすれば良かったのか!」と明確な行動プランが見えているはずです。
2年間という限られた時間を最大限に活用し、目標スコア達成への最短ルートを歩みませんか?
- IBDP 45点満点の詳細な内訳と戦略的攻略法
- 内部評価(IA)と外部評価(EA)の科目別配分
- TOK・EE・CASの実践的な取り組み方
- 日本での11月試験に対応した学習計画
- よくある失敗パターンとその回避方法
国際バカロレア(IB)評価システムとは
なぜIBDPの評価システム理解が重要なのか
国際バカロレア(IB)ディプロマプログラム(DP)は、従来の日本の高校教育とは根本的に異なる評価システムを採用しています。
従来の教育との違い
- 日本の高校教育:定期試験と受験という「点」での評価
- IBDP:2年間の継続的な学習プロセスを多面的に評価
この違いを理解せずに履修すると、学習方法や時間配分で致命的なミスを犯す可能性があります。

IBDPが重視する3つの評価軸
継続的評価(Process-based Assessment)
- 2年間を通じた学習の成長を重視
- 一発勝負ではなく、日々の積み重ねが成績に直結
多面的評価(Holistic Assessment)
- 知識だけでなく、思考力・研究力・表現力を総合評価
- 実技・発表・論文・試験など多様な評価方法
国際標準(Global Standards)
- 世界共通の厳格な基準による客観的評価
- 地域差のない公平な評価システム
IBDP資格取得要件:45点満点の詳細解説
基本構造:6科目 + 3つのコア要件
【45点満点の内訳】
6科目 × 7点 = 42点
+ コア科目(TOK+EE) = 最大3点
+ CAS(必修・点数化されない)
資格取得の必須条件(すべてクリア必要)

✅ 基本点数要件
- 合計24点以上(45点満点中)
- HL3科目の合計12点以上
- SL科目の合計9点以上(3科目の場合)
✅ 個別科目条件
- 「1」の成績を受けた科目:0個
- 「2」の成績を受けた科目:2個以内
- 「3」の成績を受けた科目:3個以内
✅ コア科目条件
- TOK・EEに「E」評価なし
- TOK・EEに「N」評価なし
- CAS要件完全履修(18ヶ月以上)
✅ その他条件
- 不正行為の処分なし
内部評価(IA)で高得点を取る方法
内部評価の重要性:なぜIAが成功の鍵なのか
内部評価(Internal Assessment: IA)は、学校の教師が評価しIBに報告する継続的評価です。科目によって全体の20-40%を占める重要な要素です。
科目別内部評価配分一覧
科目グループ | 内部評価比率 | 外部評価比率 | 戦略的重要度 |
---|---|---|---|
グループ1(言語A) | 30% | 70% | |
グループ2(言語B) | 25% | 75% | |
グループ3(個人社会) | 20% | 80% | |
グループ4(実験科学) | 20% | 80% | |
グループ5(数学) | 20% | 80% | |
グループ6(芸術) | 30-40% | 60-70% | |
TOK | 33% | 67% |
IA成功のための4つの戦略
1. 早期着手戦略
- 1年次9月:IAテーマ研究開始
- 1年次12月:仮テーマ決定
- 2年次3月:第一次提出準備
- 2年次5月:最終調整・提出
2. テーマ選択の黄金ルール
- 個人的興味 + 学術的価値 + 実行可能性
- 範囲を絞りすぎず、広すぎない適切なスコープ
- 信頼できるデータ・資料へのアクセス確保
3. 評価基準の完全理解
各科目のIAには固有の評価基準があります。事前に以下を確認しておく。
- 各評価項目の配点
- 最高点を取るための具体的要件
- よくある減点ポイント
4. 継続的改善プロセス
- 月1回の担当教師との進捗確認
- 中間フィードバックの積極的活用
- 複数回の下書き・修正サイクル
📖 詳細情報
IAの具体的な取り組み方については、こちらの内部評価(IA)で高得点を目指すなら必読!IBDPで成功するTIPSで詳しく解説しています。

外部評価(EA)攻略のコツ
外部評価の特徴
外部評価(External Assessment: EA)は、IB機構が任命した試験官による評価で、主に最終試験を指します。科目によって全体の60-80%を占めます。
日本での実施時期:11月試験対応
日本の一条校の場合
- 試験時期:11月(3年次)
- 結果発表:翌年1月5日
- 理由:4月入学制のため南半球扱い
外部評価の種類
1. 筆記試験(Written Examinations)
- Paper 1:選択問題・短答問題
- Paper 2:論述問題・長文問題
- Paper 3:選択科目別専門問題(HL科目)
2. 実技・作品評価
- グループ6(芸術):ポートフォリオ、作品展示
- 言語科目:口頭試験、音声録音
3. 課題提出
- EE(課題論文): 4,000語の研究論文
- 特定科目:レポート、プロジェクト
外部評価攻略の5つのポイント
過去問題の徹底活用
📚 推奨学習サイクル
・過去5年分の過去問分析
・出題傾向の把握
・時間配分の練習
・弱点分野の特定と強化
時間管理の最適化
- 各問題への適切な時間配分
- 見直し時間の確保
- 効率的な答案作成順序
解答技術の習得
- 各科目特有の解答形式の理解
- キーワード・専門用語の適切な使用
- 論理的な構成での答案作成
体調・環境管理
- 11月試験に向けた体調管理
- 試験会場の環境に慣れる
- 集中力維持のテクニック
戦略的科目配分
- 得意科目での確実な得点
- 苦手科目での最低限確保
- 全体バランスの調整
TOK・EE・CASで確実に得点する方法
TOK(Theory of Knowledge): 33%内部評価 + 67%外部評価
TOKとは何か
「知識の理論」として、知識の本質や構築プロセスを哲学的に探究する科目です。
評価構成
- エッセイ(外部評価67%): 1,600語以内(日本語3,200字以内)
- プレゼンテーション(内部評価33%): 個人/グループ、1人約10分
TOK成功戦略
🎯 エッセイ攻略法
1. 6つの所定課題から慎重に選択
2. 具体例と理論を適切にバランス
3. 批判的思考の明確な提示
4. 複数の知識分野での検証
🎯 プレゼンテーション攻略法
1. 実生活に関連する「知識に関する問い」設定
2. 明確な構成(導入-本論-結論)
3. 聴衆とのインタラクション
4. 視覚的補助資料の効果的活用
EE(Extended Essay): 完全外部評価
EEの重要性
4,000語(日本語8,000字)の個人研究論文で、大学レベルの研究スキルを身につける集大成です。
評価基準(11項目・36点満点)
研究課題 | 明確で焦点の絞られた問い |
---|---|
序論 | トピックの重要性と文脈の説明 |
研究 | 適切な資料調査とデータ収集 |
知識と理解 | トピックに関する深い理解 |
理路整然とした議論 | 論理的で一貫した論証 |
分析・評価スキル | 科目に適切な分析手法 |
言語使用 | 明確で正確な表現 |
結論 | 研究課題に対する適切な答え |
形式・体裁 | 学術論文としての基準 |
要旨 | 300語以内の簡潔な要約 |
総体的評価 | 独創性と洞察力 |
EE成功のロードマップ
📅 24ヶ月スケジュール
【1年次】
9-12月: テーマ探索・文献調査
1-3月: 研究課題の絞り込み
【2年次】
4-6月: 本格的研究・データ収集
7-9月: 執筆・初稿完成
10-11月: 修正・最終稿・提出
CAS(Creativity, Activity, Service): 必修要件
CAS の3要素
- Creativity(創造): 芸術活動、創作活動
- Activity(活動): スポーツ、身体活動
- Service(奉仕): 地域貢献、ボランティア
CAS成功の要件
- 18ヶ月以上の継続的参加
- 3要素すべてへの取り組み
- 定期的な振り返りと記録
- 明確な学習成果の提示

科目選択と学習戦略の最適化
学習タイプ別推奨科目選択
継続型学習者(IAに強い)におすすめ
🎨 内部評価比重の高い科目
・グループ1(言語A): 30%
・グループ6(芸術): 30-40%
・TOK: 33%
📈 期待効果
・日々の積み重ねが直接成績に反映
・創作・表現活動での個性発揮
・継続的な改善による高得点
集中型学習者(試験に強い)におすすめ
🧪 外部評価比重の高い科目
・グループ4(実験科学): 80%
・グループ5(数学): 80%
・グループ3(個人社会): 80%
📈 期待効果
・短期集中での効率的学習
・明確な正答基準での安定した得点
・試験テクニックの活用
スコア目標別戦略
40点以上(世界トップ大学レベル)
🎯 必要戦略
・HL科目で平均6.5以上
・SL科目で平均6.0以上
・TOK+EE で 2点以上確保
📊 配分例
HL: 7, 6, 6 (19点)
SL: 6, 6, 6 (18点)
Core: 3点
合計: 40点
35-39点(優秀レベル)
🎯 必要戦略
・HL科目で1科目は7点確保
・苦手科目も最低4点維持
・TOK+EE で確実に1点以上
📊 配分例
HL: 7, 5, 5 (17点)
SL: 6, 6, 5 (17点)
Core: 2点
合計: 36点
30-34点(合格安定圏)
🎯 必要戦略
・全科目で4点以上の確保
・得意科目で6点以上確保
・コア科目での着実な得点
📊 配分例
HL: 6, 5, 4 (15点)
SL: 5, 5, 4 (14点)
Core: 2点
合計: 31点
「自分の目標スコアで、どのレベルの大学が狙えるのだろう?と疑問に思った方は、IBスコア別の大学レベルの目安をまとめたこちらの記事をご覧ください。

IBDPでよくある失敗と対策
致命的な失敗パターン TOP5
❌ 失敗1:CAS要件の軽視
危険な思考:「CASは点数にならないから後回し」
⚠️ 実際のリスク
・18ヶ月要件を満たせずディプロマ取得不可
・振り返り記録の不備による不認定
・3要素のバランス不足
✅ 正しい対策
・履修開始と同時にCAS活動開始
・月次での活動記録と振り返り実施
・3要素を均等に配分した年間計画
❌ 失敗2:TOK・EE軽視による致命的減点
危険な思考:「6科目に集中すれば大丈夫」
⚠️ 実際のリスク
・TOK+EE で0点→他が完璧でも大幅減点
・「E」評価でディプロマ取得不可
✅ 正しい対策
・TOK+EEで最低2点確保を目標設定
・エッセイテーマの慎重な選択
・複数回の下書き・修正サイクル
❌ 失敗3: 内部評価の提出期限管理失敗
危険な思考:「まだ時間がある」
⚠️ 実際のリスク
・複数科目の締切が重複し手抜きに
・十分な修正時間の不足
・品質低下による大幅減点
✅ 正しい対策
・全科目統合スケジュールでの管理
・2ヶ月前完成を目標とした逆算計画
・担当教師との定期面談実施
❌ 失敗4:科目選択での評価方法未考慮
危険な思考:「興味だけで科目選択」
⚠️ 実際のリスク
・苦手な評価方法の科目で低得点
・学習スタイルとのミスマッチ
✅ 正しい対策
・自分の学習タイプの事前分析
・各科目の評価方法詳細確認
・過去の得意・不得意分野考慮
❌ 失敗5:救済措置・再挑戦オプションの無知
危険な思考:「一回の結果がすべて」
⚠️ 実際のリスク
・再受験機会の見逃し
・部分的再受験可能性の無知
✅ 正しい対策
・November/May session両方の理解
・Certificate→Diploma昇格ルート把握
・科目別再受験オプション確認
緊急時対応プラン
スコア不足時の対応策
📉 24点未満の場合
1. 再受験可能科目の特定
2. November session活用
3. Certificate取得後のDiploma挑戦
📉 個別科目で「1」「2」の場合
1. 該当科目の集中的再学習
2. 内部評価の再提出可能性確認
3. 科目変更オプションの検討
日本の11月試験で成功する方法
日本特有の学習スケジュール
なぜ日本は11月試験なのか
- 4月入学制:日本の学校年度に合わせた特別措置
- 南半球扱い:オーストラリア・ニュージーランドと同じ日程
- 結果発表:翌年1月5日(大学出願に間に合う設計)
11月試験に最適化した年間スケジュール
【2年次(試験年度)】
📅 4-6月: 最終追い込み準備期
・過去問題集中演習
・弱点分野の最終補強
・体調管理の開始
📅 7-9月: 実戦練習期
・模擬試験の定期実施
・時間配分の最適化
・メンタル面での準備
📅 10月: 最終調整期
・試験会場の下見・慣れ
・生活リズムの調整
・最終確認と復習
📅 11月: 試験期間
・ベストコンディションでの臨戦
・科目間の切り替え管理
・体調・集中力の維持

日本の大学出願との連携
IB入試対応大学の活用
🎓 主要対応大学例
・慶應義塾大学: IB専門入試
・早稲田大学: 国際教養学部等
・上智大学: 全学部対応
・国際基督教大学: 積極的受け入れ

IB入試は多くの国内大学で採用されています。具体的にIBスコアで受験できる日本の大学一覧や、各大学の入試方式については、こちらの記事で詳しく解説しています。
📋 出願スケジュール
11月: IB最終試験
1月: 結果発表
2-3月: 大学出願・面接
4月: 入学
海外大学併願戦略
🌍 併願パターン例
・英国大学: UCAS経由でIBスコア活用
・米国大学: SATと組み合わせた総合評価
・カナダ・豪州: IBスコア中心の選考
IBスコアは特に英語圏の大学で高く評価されます。例えば、世界トップレベルであるオーストラリアの大学群「Group of Eight」の特徴や求められるスコアについては、こちらの記事に詳しく書いています。

⏰ 出願時期調整
・海外大学: 11月試験→1月結果→春入学
・日本大学: 同時期出願で選択肢確保
まとめ:IBDP成功への実践的ロードマップ
成功するIBDP生の共通点
- 早期からの全体設計:2年間を見通した戦略的学習計画
- 継続的な進捗管理:月次での振り返りと調整
- バランス感覚:6科目+コア科目の適切な時間配分
- 柔軟な対応力:予期しない状況への適応能力
- サポート活用:教師・同級生・家族との連携
今すぐ始められる3つのアクション
✅ アクション1: 評価システムの完全理解
- [ ] 履修予定科目の評価配分確認
- [ ] IA・EA・コア科目の要件詳細調査
- [ ] 自分の学習スタイルと適合性分析
✅ アクション2: 統合スケジュールの作成
- [ ] 2年間の大まかな学習計画策定
- [ ] 各科目のIA締切日程確認
- [ ] CAS活動の年間計画立案
✅ アクション3: 情報収集と準備体制構築
- [ ] 過去問題・サンプル課題の入手
- [ ] 担当教師との相談体制確立
- [ ] 同級生との情報共有ネットワーク構築
最後に
IBDPは確かに challenging なプログラムですが、適切な理解と戦略的なアプローチによって、必ず成功することができます。この記事で紹介した情報を参考に、あなた自身の状況に合わせた最適な学習計画を立ててください。
IBDPでの成功が、世界への扉を開く第一歩となることを心から願っています。